胸郭の筋肉

【胸郭筋肉と胸筋】種類一覧まとめ【イラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学】

「胸板やバストの土台を作り上肢運動に作用する胸筋」「胸郭(肋骨)運動に作用して呼吸を補助する筋肉(前面および背面)」「胸部と腹部の境にあるメインの呼吸筋であり全ての筋肉のコアとなる横隔膜」を含む【胸郭筋肉と胸筋】の分類、名称、解剖構造や役割を整理できるように、イラスト図解を用いてわかりやすくまとめています。

【胸郭筋肉と胸筋】構造と役割

【胸郭筋肉と胸筋】とは「体幹胸壁に付着する筋肉」のことで、層および機能により以下のように分類できます。

 層(大分類)層(小分類)筋肉名
前面表層表層大胸筋
中間層小胸筋
前鋸筋
鎖骨下筋
背面表層表層僧帽筋
広背筋
中間層菱形筋
上後鋸筋
下後鋸筋
胸壁内(肋間)胸腔下面横隔膜
肋間外肋間筋
内肋間筋
最内肋間筋
胸椎後外側面深層肋下筋
胸郭前面中央深層胸横筋
胸郭後面深層肋骨挙筋

「深層にある肋骨間を埋める、または、椎骨と肋骨を繋ぐ様に走行する筋肉群」は、胸部と腹部を境する呼吸の主動作筋である【横隔膜】と共に胸郭を動かして呼吸を補助する呼吸補助筋として作用します。

「胸郭表層の筋肉(前面および背面)」は、胸郭前後を覆って胸や背中のラインを作ると共に、上肢帯や上肢を体幹をつなぐ役割もある筋肉で、機能的には肩甲帯の筋肉にも分類されて、上肢(肩甲帯)運動に作用し、理論的には胸郭に付着している筋肉は全て、直接または間接的に呼吸に作用します。

【浅胸筋群(背面)】

背面表層および中間層の筋肉(広背筋・僧帽筋・菱形筋・上後鋸筋・下後鋸筋)については背面(背中の筋肉)を参照してください。

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【浅胸筋群(前面)】

胸部前面表層にある筋肉は、胸板やバストラインを作ると共に、背面の浅胸筋群と共に上肢(肩甲帯)の運動と安定、および呼吸に作用します。

【大胸筋】

【大胸筋】は胸郭前面表層にある大きく強力な筋肉で、男性では胸板・女性でバストアップなど見た目に大きく影響するのはもちろん、腕の運動や肋骨を動かす呼吸補助筋としても作用します。

【大胸筋】は3方向の繊維に別れているため、ターゲットを細分化するとより効果的な筋トレやストレッチができます。

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【小胸筋】

【小胸筋】は、大胸筋の深層にあり、肩甲骨から肋骨に吊り下がるサスペンダーのような形の筋肉です。

「【小胸筋】のあたりを押すと痛い」「バストが垂れてきた」「呼吸が浅く疲れやすい」「肩こり・首こりが慢性化している」「腕を動かすと痛みがある」

こんな悩みや痛みは【小胸筋】コリが原因かもしれません。

【小胸筋】は腕を前に出して使う動作で活躍する筋肉なので、日常動作や家事動作などでも疲労しやすく、特に猫背や巻き肩でスマホやパソコン作業を長時間行ったり、電車でつり革をつかまるなど脇をしめた状態で腕をあげる状態が続くと、コリが慢性化して腕を上げる時の痛みや痺れにもつながります。

【小胸筋】解剖学的構造を理解して、効果的な小胸筋ストレッチでコリや痛みを解消しましょう。

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【前鋸筋】

【前鋸筋】は胸壁側面にある扇状の筋肉で、肩甲骨と胸筋の下層(深層)にあります。

【前鋸筋】は肩甲骨を肋骨面に安定させる姿勢筋としても重要で、腕を前に出して物を押す時にもよく働きボクサーがストレートパンチを打つとき、野球のピッチング、バレーボールのスパイク時、空手で相手を引き寄せる時など腕を素早く前方へ出す時に特に強く作用する筋肉としても有名です。

【前鋸筋】が弱化すると肩甲骨が背中に羽のように浮き出た状態:「翼状肩甲」になったり、腕で自重を支えるような腕立てなどの筋肉トレーニングが難しくなります。

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【鎖骨下筋】

【鎖骨下筋】は鎖骨下にある小さな筋肉ですが、鎖骨を肩甲帯に安定させ、鎖骨下の神経や血管を守る役割があります。

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【深胸筋(胸壁筋)群】

胸郭(胸壁)や肋骨の隙間を埋めるように胸郭深層部にも複数の筋肉があります。

胸郭深層の筋肉は【横隔膜】作用を補助する呼吸補助筋で、スポーツで息が上がっている時や意識した胸式呼吸など、肋骨を動かす必要があるほどの努力呼吸でよく働きます。

【横隔膜】

【横隔膜】とは、膜という名称がついていますが胸郭と腹腔を隔てる位置にある呼吸筋であり、インナーユニットとして運動や姿勢維持でも最もコア(中心)になる筋肉です。

赤ちゃんが一番最初に筋トレを始める筋肉は【横隔膜】で、横隔膜が発達しなければ、寝返り→お座り→立ち上がりと正常な筋肉運動発達ができません。

「呼吸が浅い」「パソコン作業で肩こりがひどい」「声が出にくい」「疲れやすい」と感じている時は、【横隔膜】ストレッチやトレーニングが有効かもしれません。

ちなみに、焼肉の部位でいうと「ハラミ」に当たるのが【横隔膜】です。

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【肋間筋(外肋間筋・内肋間筋・最内肋間筋】

【肋間筋】は名前の通り肋骨間を走行する筋肉(内因性の胸筋)で、一番浅層にある「外肋間筋」と「外肋間筋」の深層を逆方向に走行する「内肋間筋(および最内肋間筋)」があります。

【肋間筋】は11ある肋骨間を埋めるように走行して、胸郭を広げたり狭めたりする作用があるので、【横隔膜】とともに呼吸に作用する呼吸補助筋です。

 読み方/ふりがな英語
外肋間筋がいろっかんきんExternal Intercostal Muscles
内肋間筋ないろっかんきんInternal Intercostal Muscles
最内肋間筋さいないろっかんきんInnermost Intercostal Muscles

また、三層構造で肋間を埋める【肋間筋】は拮抗する作用で常に収縮することで、肋間を補強して胸郭(胸壁)を安定させる重要な役割も果たしています。

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【肋下筋】

【肋下筋】は、内肋間筋と同じ走行で、2-3肋骨をまたぐように走行している呼吸補助筋(胸郭深層筋)です。

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【胸横筋】

「肋間筋」や「肋骨挙筋」と共に内因性の胸郭筋(深胸筋)に分類される【胸横筋】は、胸壁前面内側にある小さな筋肉群ですが、胸郭の安定および呼吸補助筋として作用します。

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【肋骨挙筋】

【肋骨挙筋】は、胸郭背面で胸椎と肋骨をつなぐように走行する小さな呼吸補助筋で、背筋最深層部の筋肉にも分類されています。

【肋骨挙筋】についてイラスト図解を使ってわかりやすく説明しています。

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