運動麻痺の分類2 ~中枢性障害(上位運動ニューロン障害)の部位別症状~ 

この記事は3分で読めます

運動麻痺について正しく評価できていますか?

運動麻痺は
損傷部位や損傷の仕方によって
症状の出方が異なります。

・・ということは、
症状から損傷部位をある程度特定する事も
損傷の状況から症状を予測することも
可能です。

それぞれの損傷部位と症状の出方について
スッキリと整理できていますか?

運動麻痺の分類の仕方−2

今回は、上位運動ニューロンの障害を
障害の部位ごとにまとました。

大脳皮質、白質の障害

大脳皮質、白質どちらが障害されても
運動麻痺が起こります。

・大脳皮質:脳の最表層にあり神経細胞の集まり
・大脳白質:神経細胞から出た神経軸索

運動機能に関係する大脳皮質は、

・中心前回(ブロードマン第4野)
・前運動領野(ブロードマン第6野)
*4野と6野で出る症状は、異なるが
隣接しているので単独障害は少ない
*4野と6野と同時に障害されると
典型的な中枢性麻痺の症状が出現

の2つが主となりますが、

その他にも
・前頭(第8野)
・頭頂(第3野)も関与していると
考えられています。

第4野単独障害

・麻痺のタイプと強さ:不全片麻痺
・麻痺の内容:微細な運動の障害
・筋肉の緊張:弛緩性
・深部反射:減弱
・病的反射:バビンスキー(母趾現象)
:チャドック反射

第6野単独障害

・麻痺のタイプと強さ:不全片麻痺
・麻痺の内容:より大きな協調運動障害
・筋肉の緊張:剛直性
・深部反射:中等度亢進
・病的反射:バビンスキー(開扇現象)
:ホフマン反射

第4野・6野同時障害

・麻痺のタイプと強さ:完全片麻痺
・麻痺の内容:全般的な随意運動障害
・筋肉の緊張:痙性
・深部反射:亢進
・病的反射:バビンスキー(母趾、開扇現象)
:ホフマン反射、チャドック反射

大脳皮質の運動領野障害時に出現するその他の症状
痙攣発作

・焦点性(ジャクソン型)痙攣が特徴的
-大脳皮質の運動機能局在に一致して
・身体部位限局の痙攣が生じる

例:円蓋部髄膜腫が手の運動機能を
支配している頭頂部の大脳皮質を圧迫

異常な電気性興奮(てんかん焦点)が発生

腫瘍と反対側の手だけに痙攣

周辺の大脳皮質に波及

指→手→腕→上肢全体→顔面、足

全身へ広がる
(ジャクソン型進展)

失語症

優位半球前頭葉下部の言語中枢の損傷

運動性失語
語健忘

反対側失認症

非優位半球の頭頂葉の皮質

麻痺側の存在を無視

内包の障害

・広範囲の大脳皮質から出る錐体路の神経線維は
狭い内包部に集束

・内包やその周囲の障害では、
症状の現れる範囲は広範囲かつ重篤

*内包部や隣接するレンズ核や視床を
栄要する血管

前脈絡叢動脈
レンズ核線状体動脈
視床穿通動脈など

脳幹部の障害

・中脳、橋、延髄のことで
第3(動眼神経)~第12(舌下神経)の
脳神経核がある場所

・皮質延髄路に関係する脳神経
(第3~7、9~12脳神経):脳幹部で交叉

・皮質脊髄路の上位運動ニューロン
:延髄下部の錐体交叉部で交叉


障害されると
病変と同じ側の脳神経障害
反対側の手足の麻痺
(交代性片麻痺)

例:左側の中脳腹側に出血

左動眼神経核
左動眼神経(末梢神経)
皮質脊髄路

左側の眼球運動障害
右側の運動麻痺
*皮質延髄路も同時に障害されると、
右側脳神経麻痺も発生
(5~7、12脳神経)
*第9~11脳神経(舌、咽頭、喉頭)は、
両側性支配のため、一側だけの障害では
症状がでにくい。

代表的な脳幹症候群

(交代性麻痺を呈する症候群)
中脳(腹側):動眼神経麻痺+反対側運動麻痺(顔含む)
(ウェーバー症候群)
橋下部(腹側):顔面神経麻痺+反対側運動麻痺(顔を除く)
(ミヤール・キュブレール症候群)
橋下部(背側):顔面神経、外転神経麻痺+反対側運動麻痺(顔を除く)
(フォビーユ症候群)
延髄:舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経+反対側運動麻痺と温痛覚脱失(顔を除く)
(ジャクソン症候群)

脊髄の障害

*損傷部以下の運動、知覚麻痺
膀胱直腸障害
*損傷を受けた脊髄髄節:下位運動ニューロン障害の症状
損傷を受けた脊髄髄節以下:上位運動ニューロン障害の症状

脊髄横断損傷の症状

★上部頸髄の障害(第1~4頸髄)
呼吸麻痺
(胸髄:肋間筋 横隔膜:第3~5頸髄)
四肢麻痺(痙性麻痺)

★下部頸髄の障害(第5~8頸髄)
呼吸不全(肋間筋麻痺)
四肢麻痺(下肢、体幹:痙性麻痺 上肢:弛緩性麻痺)

★胸髄の障害
対麻痺(下肢:痙性麻痺)
はさみ足歩行(両下肢伸展、尖足、内旋位)

★腰髄の障害
対麻痺(下肢:弛緩性麻痺)

脊髄半側損傷の症状

★上部頸髄の障害(第1~4頸髄)
同側片麻痺(痙性麻痺)

★下部頸髄の障害(第5~8頸髄)
同側片麻痺(痙性麻痺)(下肢、体幹:痙性麻痺 上肢:弛緩性麻痺)

★胸髄以下の障害
同側下肢麻痺(下肢:痙性麻痺)

まとめ

中枢と抹消では働きが異なるため、
麻痺の性質が大きく異なります。

病気を評価するためには
まず正常の仕組みを理解していることが
大前提になりますが、
麻痺を見る際にも
この原則が当てはまります。

中枢性麻痺と末梢性麻痺の分類についてはこちら

運動麻痺の分類1 ~中枢性と末梢性麻痺 上位と下位運動ニューロン~ 

末梢性麻痺の分類についてはこちら

運動麻痺の分類3 ~末梢性障害(下位運動ニューロン障害)の部位別症状~

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