上腕(二の腕)の筋肉

【上腕三頭筋】イラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学(作用と起始停止)

腕の裏側(二の腕)にある唯一の筋肉【上腕三頭筋】の解剖学構造(起始停止、作用、神経支配)についてイラスト図解を使ってわかりやすく説明していますので、正しい知識で効果的に腕の引き締めやボディメイクをしましょう。

【上腕三頭筋】とは?どこにあるどんな筋肉?

【上腕三頭筋】は、上腕後面(いわゆる二の腕:力こぶの反対側)に分類される唯一の筋肉で、上腕後面全域に大きな筋腹を構成しています。

【上腕三頭筋】は、上腕にある三頭で起始する筋肉のため、【上腕三頭筋】という名前が付けられています。

  • 名称:上腕三頭筋
  • ふりがな:じょうわんさんとうきん
  • 英語名:Triceps Brachii

【上腕三頭筋】の3つの起始は「肩甲骨」および「上腕骨」にあり、共通の腱となって「尺骨」に停止するため、「肩甲骨」および肘関節の運動に作用しますが、特に、肘を伸ばしながら腕で何かを押す運動で強力に作用する筋肉で、プッシュアップ(腕立て)などのトレーニングでもキーとなります。

【上腕三頭筋】は腕の裏側(二の腕)にある唯一の筋肉で、面積も大きいので、柔軟性や筋力が低下すると腕のたるみだけでなく前側の筋肉に引っ張られた「猫背」や「肩こり」などの原因にもなります。

【上腕三頭筋】解剖学構造を理解したトレーニングやマッサージなどで、引き締まった二の腕や背中から腕のラインを作りましょう。

【上腕三頭筋】起始停止

【上腕三頭筋】は3頭で起始して「上腕骨」を下降し、それぞれの筋腹は共通の腱に収束して「肘関節」を経由して「尺骨肘頭近位後面」に停止します。

上腕三頭筋起始
長頭肩甲骨関節下結節
外側頭上腕骨後面(橈骨神経溝上方)
外側筋間中隔
内側頭上腕骨後面(橈骨神経溝下方)
内側および外側筋間中隔後面

【上腕三頭筋】長頭起始

【上腕三頭筋】長頭は、肩甲骨「関節窩下縁」にある「関節下結節」から起始します。

【上腕三頭筋】外側頭起始

【上腕三頭筋】外側頭は、「橈骨神経溝のすぐ上の上腕骨後面の細長い隆起」および「外側筋間中隔」から起始し、三角筋結節の後方の上腕骨外外側を斜めに上昇して外科頸、小円筋停止部内側、上腕三頭筋内側頭付着部の上まで付着部を広げています。

【上腕三頭筋】内側頭起始

【上腕三頭筋】内側頭は、外側頭および長頭に覆われるように存在し、橈骨神経溝下方で上腕骨後面全体を覆う細長い三角形の頂点部分が上腕骨内側縁「大円筋」停止部上方で、底辺が上腕骨内側上顆と外側上顆を結ぶ線のような広い面と、内側および外側の筋間中隔の後面から起始します。

【上腕三頭筋】停止

【上腕三頭筋】各頭は共通の腱に収束して「尺骨肘頭近位後面」に停止しますが、外側繊維束は「肘筋」を覆うように下降し続けて前腕筋膜と結合します。

【上腕三頭筋】作用

【上腕三頭筋】の主な作用は肘関節の伸展で、上腕前面にある「上腕二頭筋」や「上腕筋」の拮抗筋として作用し、肘関節の運動をコントロールしています。

 関節作用
肘関節伸展
肩関節(長頭のみ作用)伸展・内転

「肘関節」運動は【上腕三頭筋】の拮抗筋である「上腕二頭筋」の弛緩によっても生じる運動(作用)ですし、重い荷物を持っている時など重力によって「肘関節」が伸展する時は、主に「上腕二頭筋」や腕の屈筋群による遠心性収縮で肘の動きが制御されています。

【上腕三頭筋】の主作用である「肘関節」伸展作用は、物を押したり肘が軽く屈曲した状態で体重を支えるような腕立てやプッシュアップなどの運動で最もよく作用します。

【上腕三頭筋】内側頭はあらゆる肘伸展運動において収縮しますが、長頭および外側頭は抵抗に対して肘伸展する時にのみ活発に活動します。

【上腕三頭筋】長頭は関節窩下縁にある関節下結節から起始しますが、一部関節唇上方にも付着して肩関節包と混ざり、二関節筋として、肩関節の安定、肩関節の伸展および内転に作用します。

【上腕三頭筋】神経支配

【上腕三頭筋】は、頭によって橈骨神経の別々の枝に支配されます。

 頭
長頭橈骨神経 C7
外側頭橈骨神経 C6
内側頭橈骨神経 C8

【上腕三頭筋】触診

【上腕三頭筋】は上腕後面に筋腹を持つ唯一の筋肉で、長頭上部は「三角筋」後縁で覆われていますが、肘を伸ばした時に「三角筋」後縁と並行に内側に盛り上がる「長頭筋腹」を触診できます。

【上腕三頭筋】は外科的なランドマークとしても重要で、【上腕三頭筋】長頭筋腹が下降する経路(【上腕三頭筋】が境界を作る空間)には、「大円筋」「小円筋」「上腕骨」の間で解剖学的な空間がいくつかあり、様々な神経や血管の通路となっています。

 解剖学的空間経路構成要素
上三角肩甲回旋動脈および静脈が
腋窩から肩甲帯へ移動する通路
上部小円筋
肩甲下筋
下部大円筋
外側上腕三頭筋長頭
下三角腕の前部と後部間の通路として
橈骨神経と上腕深動脈が通る
上部大円筋
外側上腕骨
内側上腕三頭筋長頭
四角腋窩神経、肩甲回旋動脈および静脈が
腋窩から肩甲帯後面へ移動する通路
上部肩甲下筋
小円筋
外側上腕骨外科頸
内側上腕三頭筋長頭
下部大円筋

【上腕三頭筋】外側頭起始部下方、かつ内側頭起始部上方で、上部内側縁から外側縁に向かって下外側に走行橈骨神経溝には、橈骨神経と上腕深動脈および静脈が含まれますし、【上腕三頭筋】内側頭は、腕の内側で前方にある「上腕二頭筋」と隣接しています。

内側頭と「上腕二頭筋」間には内側二頭筋溝があり、上腕動脈、正中神経、尺骨神経が通過しています。

【上腕三頭筋】ストレッチと筋トレ

腕を太くしたい場合やたるんだ腕を引き締めたい(腕痩せしたい)場合には、「上腕二頭筋」よりも大きな筋肉で日常生活ではあまり使われない【上腕三頭筋】をターゲットにした方が効果が見えやすいので、解剖学構造を正しく理解した筋トレで効果的にボディメイクしましょう!

長頭、内側頭、外側頭を区別することでより理想的なボディメイクやコンディショニングができます。

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