足と足趾の筋肉

【小趾外転筋(足の筋肉)】イラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学(作用と起始停止)

【小趾外転筋】解剖学構造構造(起始停止、作用、神経支配)についてイラスト図解を使ってわかりやすく説明しています。

【小趾外転筋】とは?どこにあるどんな筋肉?

【小趾外転筋】は、足底外側にある羽状筋で、「母趾外転筋」「短趾屈筋」と共に足底筋第1層に、機能(位置)的には「短小趾屈筋」「小趾対立筋」と共に足底外側筋群(小趾球筋)に分類されます。

  • 名称:小趾外転筋
  • ふりがな:しょうしがいてんきん
  • 英語名:Abductor Digiti Minimi

【小趾外転筋】は、足の外側で身体を支えて安定した立位をサポートする「足の外側縦アーチ(踵骨・立方骨・第5中足骨)」を構成し、小趾の独立した外転・屈曲運動に作用することで、衝撃吸収や外力分散、スムースな重心移動、立位バランス能力や運動パフォーマンス安定に貢献しています。

【小趾外転筋】起始停止

【小趾外転筋】は、踵骨と第5趾の間をつないで外側のアーチを作るように走行しています。

起始停止
踵骨結節
足底腱膜
第5基節骨底
第5中足骨底

【小趾外転筋】は、「足底腱膜」と「踵骨隆起の内側突起と外側突起」およびその間から起始し、足底外側を前方に進みながら腱に移行して、「第5基節骨底」と「第5中足骨底」に停止します。

「第5中足骨底」に停止する筋腹は踵骨隆起の外側突起から起始する繊維ですが、この筋繊維部分は別の筋肉(「小趾中足骨外転筋」)として分類される場合もあります。

【小趾外転筋】作用

【小趾外転筋】主な作用は、第5中足趾節間関節における外転および屈曲(小趾の独立した運動)です。

関節作用
第5中足趾節間関節屈曲
外転

【小趾外転筋】は小趾を外側に広げる作用を持った筋肉(外転筋)なので、足の外側で身体を支えて「外側縦アーチ(踵骨・立方骨・第5中足骨)」を維持して安定した立位保持や歩行やランニングなどの運動において、衝撃吸収や外力分散、スムースな重心移動に大きく貢献しています。

特にサーフィンやスノーボードなどバランスをとり続けるような運動では、足の内側縦アーチを構成する「母趾外転筋」と一緒に足の踏ん張りと回旋動作に作用し、全身の動的バランス保持の要となっています。

また、名前は「外転筋」ですが、「外転」よりも同じ基節骨底に付着していて第5趾MP屈曲に作用する「短小指屈筋」と共に「屈曲」により強く作用し、歩行中およびランニング中に足の外側縦アーチを維持する役割があります。

【小趾外転筋】神経支配

【小趾外転筋】は、「脛骨神経」の枝である「外側足底神経(S1-S3)」支配です。

【小趾外転筋】触診

【小趾外転筋】は、「足底筋膜」と「小趾屈筋」の間に挟まれるように、足底最外側に存在する筋肉で、第5趾を外転する方向に力を入れると外側に細い筋繊維の緊張を確認できます。

内側には、「短趾指屈筋」と「外側足底動脈および神経」が走行しています。

【小趾外転筋】鍛える方法

【小趾外転筋】は、足の小趾を限定的に屈曲・外転させる筋肉なので、日常において意識的に動かすことはほぼありません。

また、「短小趾屈筋」「小趾対立筋」「小趾外転筋」がそれぞれ癒合したりして運動の区別があいまいになっている可能性もありますので、足部構造全体を理解することで、効果的なトレーニングやコンディショニングを実践できます。

足のアーチを高くするように踵に体重を乗せながら第5基節骨と第5中節骨で床を押したり、指で補助しながら小趾を外転させる方向へ力を入れることで、選択的な筋力強化ができます。

「母趾外転筋」と共に足の縦アーチ(土踏まず)を作り、立位バランスや立位での運動パフォーマンス向上の要となる筋肉なので、足のアーチ構造の理解も深めておきましょう。

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