骨(ほね)解剖学

【頭蓋】頭蓋骨(頭と顔を作る骨)構造がイラスト図解でわかりやすい骨解剖学

頭と顔を構成する人体で一番上にある骨構造【頭蓋】と頭蓋を構成する【頭蓋骨】骨解剖学(解剖学構造)をイラスト図解を使ってわかりやすく解説しています。

【頭蓋】とは?【頭蓋骨】との違いは?

【頭蓋】とは、人間を含む脊椎動物(背骨のある動物)の頭部骨格全体のことを指し、シンプルな単語で言い換えると、私たちの顔や頭の形の基礎となっている部分のことです。

以下は、人体骨格全体を前・後・横から見た図、頭蓋(頭蓋骨)と背骨(脊柱)のつながりを前・横・後ろから見た図ですが、立位時に一番上にある丸い大きな塊のような骨構造が【頭蓋】です。

【頭蓋】と【頭蓋骨】種類と利害

【頭蓋】はひとつの骨ではなく、15種類(23個)の【頭蓋骨】で構成されています。

ただ、ほとんどの【頭蓋骨】は近接する【頭蓋骨】と縫合によって連結されているので、【頭蓋】全体をまとめてひとつ骨のように捉えて説明する時にも【頭蓋骨】と表現することがあります。

名称定義
頭蓋身体最上部に位置する頭(顔)を作る骨格全体
頭蓋骨頭蓋を構成する15種類23個の骨ひとつひとつ
または、頭蓋全体(ひとつのユニット)

【頭蓋】および【頭蓋骨】構造がわかっていると、「顔の歪みやむくみを改善してスッキリ小顔にする」「顎や噛み合わせのトラブル解消する」「薄毛や白髪などの頭皮や毛根トラブルを改善する」「若々しい顔を維持する」ために重要な「表情筋エクササイズ」や「頭をスッキリさせたい時のヘッドマッサージ」なども正しく効果的に行えるようになります。

【頭蓋】役割

【頭蓋】には主に2つの役割があります。

  • 脳(中枢神経)など各種器官や神経などを保護する空間を作る
  • 頭や顔の骨格を作る

頭や顔の骨格を作る

【頭蓋】は人体の一番上部にある骨構造で、私たちの頭や顔の構造を決める骨格を作る役割があります。

「脳(中枢神経系)」を収納する空間を作る

【頭蓋】は私たちの生命維持や様々な活動をする上で欠かせない重要な器官や神経を収めて保護する役割もあります。

【頭蓋】の中は、人間の活動すべての司令塔である「脳(中枢神経)」と五感のうち全身に広がる触覚以外の感覚:「視覚・臭覚・聴覚・味覚」の情報収集器官である「目」「鼻」「耳(平衡感覚器)」や「咀嚼嚥下器官(口・顎・舌)」および「消化管」や「気道」の起始部が集結する空間になっています。

つまり、人体の一番上にある【頭蓋】内には、人体の最高司令官である脳が収まり、見たり、匂いを感じたり、聞いたり、話したり、呼吸をしたり、食べたりなどあらゆる感覚や生命維持活動に重要な要素を司る器官や神経が集結していることになります。

人体も「脳(中枢神経)」が支配する臓器や器官が集まったトップダウンの組織のようなものなので、「脳や脳の働きをサポートする組織」と「人間としてのコミュニケーション、生命維持、日々の活動に重要な感覚器官」を守っている強固な骨構造である【頭蓋】だからこそ、他の人体骨とは大きく異なる骨構造(複数骨による機能ユニット)になっています。

【頭蓋】構造〜頭蓋骨の分類

【頭蓋】は15種23個の【頭蓋骨】から構成されるユニットですが、口を開ける時に動く「下顎骨(下顎の骨)」以外は、縫合によって連結していて関節のように大きく動くことはありません。

【頭蓋骨】は15種類もあるので、【頭蓋】構造をより使える知識として整理できるように、【脳を収める「脳頭蓋」】【顔面を構成する「顔面頭蓋」】【頭蓋骨構造をサポートする組織である「歯と軟骨」】に分けてそれぞれを構成する骨をより詳しくみていきましょう。

*頭蓋を構成する骨【頭蓋骨】分類には諸説ありますが、最終的に頭蓋として構造・位置・役割を整理して必要な情報として使えるようになっていれば問題ないというスタンスでまとめています。(学術論文を書くことではなく、医学を誰でも理解できて日常で使える知識に落とし込むことがこのサイトの目的です。)

【脳頭蓋】名称と役割

【脳頭蓋】には6種類8個の「頭蓋骨」が分類でき、脳を上下から保護して支え、目や鼻など顔や感覚器官のパーツを分ける役割があります。

【脳頭蓋】名前と個数
頭蓋骨名称読み方英語
後頭骨こうとうこつOccipital bone1個
前頭骨ぜんとうこつFrontal bone1個
頭頂骨とうちょうこつParietal bone2個(左右1対)
側頭骨そくとうこつTemporal bone2個(左右1対)
篩骨しこつEthmoid bone1個
蝶形骨ちょうけいこつSphenoid bone1個
【脳頭蓋】の役割
  • 脳を上からヘルメットのように包んで保護
  • 脳を支える底面を作る
  • 目や鼻など顔や感覚器官のパーツを分ける
  • 「表情筋」や「顎運動(咀嚼筋)」の付着部になる

【顔面頭蓋】名称と役割

【顔面頭蓋】に分類される頭蓋骨はは9種15個あります。

【顔面頭蓋】は、目、鼻、頬、口の形状をサポートし、「表情筋」や「顎運動(咀嚼筋)」の付着部にもなります。

【顔面頭蓋】名前と個数
頭蓋骨名称読み方英語
鋤骨じょこつVomer1個
下鼻甲介かびこうかいInferior nasal concha2個(左右1対)
涙骨るいこつLacrimal bone2個(左右1対)
鼻骨びこつNasal bone2個(左右1対)
頬骨きょうこつZygomatic bone2個(左右1対)
上顎骨じょうがくこつMaxilla2個(左右1対)
口蓋骨こうがいこつPalatine bone2個(左右1対)
下顎骨かがくこつMandible2個(左右1対)
舌骨ぜっこつHyoid bone1個

【歯(歯骨)と軟骨】名称と役割

「頭蓋骨」構造を補足し、顔や頭の形状や感覚や咀嚼をサポートする組織として、「軟骨」や「歯(歯骨)」があります。

名称読み方英語個数
大鼻翼軟骨(左右)  
小鼻翼軟骨(左右)   
耳介軟骨(左右)   
横鼻軟骨(左右)   
鼻中隔   
上あごの歯    
下あごの歯

【脳頭蓋】6種8個で作る脳の格納庫

【頭蓋】分類のうち「頭」部分を構成する【脳頭蓋】には6種類8個の頭蓋骨が含まれ、脳、および、表情や感覚器官を機能させるための組織を包み込んで保護する空間や面を作る役割があります。

頭蓋骨名称位置特徴役割
後頭骨脳頭蓋後下部大後頭孔と呼ばれる脊髄神経が通る大きな穴と背骨(環椎)との関節面
軸椎後頭関節を形成して頸椎(背骨)とつながり、脊髄神経を通す
脳を後底面から保護
前頭骨脳頭蓋前部頭頂から額(おでこ)を作るように眼窩および鼻部上部までを覆う台形の骨
目と鼻の上縁を作る
脳を前面から保護
頭頂骨脳頭蓋頂部頭頂部をヘルメットのように覆う四角形の骨
左右対象に2つある
脳を頭頂部から保護
側頭骨脳頭蓋側部耳のあたりにある台形の骨
左右対象に2つある
脳を側下面から保護
篩骨頭蓋内部
(前頭蓋窩正中部)
鼻腔、脳頭蓋、眼窩を隔てる内部眉間の奥の方)
方形骨で外側からは見えない
眼窩の内側壁、鼻腔、頭蓋腔を作る
蝶形骨後頭骨底部前方から鼻腔に達する1つの体と3対の突起(大翼、小翼、翼状突起)からなる
蝶のように見えることから命名
頭蓋の中心
9種の頭蓋骨と結合

【脳頭蓋】の解剖学的分類方法にも諸説(観点の違い)ありますので、ここではあえて触れず、誰でもわかりやすいように位置と役割の整理に特化しました。

【頭蓋】の中心【蝶形骨】

【蝶形骨】は、15種類23個の「頭蓋骨」がパズルのようにぴったりと組み合わさったようなユニット構造である頭蓋全体の中心となっている「頭蓋骨」です。

「頭蓋骨」の構造や機能を理解する上で中心にある【蝶形骨】から整理すると全身構造とのつながりも見えてきて、より包括的に身体を見て評価できます。

特徴説明補足
位置頭蓋の中心で9種の頭蓋骨と結合
柔軟性段ボール紙ほどの柔軟性がある
顎関節頭の中心から口を開閉するときの支点「咀嚼筋(外側翼突筋と内側翼突筋)」の起始部
脳神経脳神経の大半が蝶形骨孔や蝶形骨と接する骨間を通過
脳下垂体蝶形骨直上のトルコ鞍に脳下垂体(ホルモン分泌器官)成長ホルモン
甲状腺刺激ホルモン
副腎皮質刺激ホルモン
性腺刺激ホルモン
(卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモン)
プロラクチン(催乳ホルモン)
抗利尿ホルモン
オキシトシン(射乳ホルモン)など
筋膜連結筋膜を通じて横隔膜や心膜とのつながる心拍や呼吸と関連:自律神経

頭蓋の中心にある【蝶形骨】に歪みや左右差があれば、他の「頭蓋骨」との連結に影響し、顔や頭の歪みや左右差につながるだけでなく、自律神経(呼吸や心拍)のバランスの乱れや不調、ホルモンバランスの乱れや不調、口の開閉のトラブル(顎関節症)、視力の極端な左右差など、全身の健康問題つながる可能性もあります。

【顔面頭蓋】9種15個で作る顔面部分

【頭蓋】のうち、いわゆる「顔(顔面):目、鼻、頬、口」部分を構成する【顔面頭蓋】に分類される頭蓋骨は9種15個あり、表情筋や顎運動(咀嚼筋)の付着部にもなります。

顔面部分

頭蓋骨名称特徴役割
鋤骨側面観は滑らかな平板状(上鼻甲介と中鼻甲介を含む)篩骨と鼻中隔後下部を形成し、鼻腔構造を支持
下鼻甲介上鼻甲介・中鼻甲介・下鼻甲介の3つが上下に並んでいる鼻腔粘膜の表面積を大きくする
涙骨不正長方形の薄い骨で左右一対目頭のあたりの骨で涙嚢窩後半部と鼻涙管骨壁の一部を形成
鼻骨2個(左右1対)鼻腔を上前方から覆う
頬骨2個(左右1対)頬部分の骨
上顎骨顔面中心大部分を作る左右対称に1対の骨顔面中心上部を構成

顎関節部分

顎関節を構成して咀嚼運動に関与

頭蓋骨名称位置特徴役割
口蓋骨顔面の中心部で上顎骨の後方左右対称に2つ口蓋(口内上側)を構成
下顎骨上顎骨と対になるいわゆる顎部分頭蓋顔面骨最大の骨で関節運動で大きく動く顎関節を構成して咀嚼運動に関与
舌骨下顎と咽頭の間蹄鉄型で他の骨と関節(つながり)がなく首の筋肉で支持舌運動(咀嚼や嚥下)に関与する

【軟骨と歯】頭蓋骨構造をサポートする組織

頭蓋骨構造をサポートする組織には「軟骨」と「歯骨」があります。

軟骨

名称位置特徴関連組織
大鼻翼軟骨(左右)  
小鼻翼軟骨(左右)   
耳介軟骨(左右)   
横鼻軟骨(左右)   
鼻中隔   
    

歯骨

名称位置特徴関連組織
上あごの歯
下あごの歯

【頭蓋】に付着する筋肉と構造

【頭蓋】に付着する表情筋や咀嚼(顎や舌)の筋肉などを一覧にまとめています。

合わせてチェック!

-骨(ほね)解剖学