AIDS(エイズ)とは〜特徴、エイズ感染経路や感染率、潜伏期間と初期症状、HIVとエイズの違いなど

病気の教科書
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ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染が適切に治療されないことが原因で生じる、後天性免疫不全症候群(エイズ・AIDS)の【症状】【原因・病理】【検査・診断】【治療・予後】について整理してまとめました。

後天性免疫不全症候群(エイズ)とは

後天性免疫不全症候群(エイズ・Aids:Acquired immune deficiency syndrome)は、レトロウィルスに属するヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染後、適切な治療がされなかったために免疫機能が低下し、健康であればまず感染しない感染力の弱い細菌・真菌(カビ)・ウイルスに日和見感染したり、悪性腫瘍などにかかったりする状態のことです。

レトロウィルスとは、遺伝物質としてRNA をもち、感染細胞(宿主細胞)内で逆転写によってDNAを合成するウイルスの総称で、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、血液や体液に含まれるHIVが傷口や粘膜から体内に入り、リンパ球の中に入り込むことで感染します。

後天性免疫不全症候群(エイズ)の病理

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染経路

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染経路は大きく以下の3つがあります。

  • 性的感染:性器の粘膜や精液・膣分泌液に含まれるHIVが性行為によって侵入する
  • 血液感染:輸血・汚染血液製剤の使用・汚染注射器を介するもの・血友病患者に対する輸入血液製剤
  • 母児間の垂直感染:妊娠中・出産時・母乳
  • HIVの感染力自体は弱く、直接血液や精液に触れない限り、日常生活(トイレの便座、風呂、プール、吊り革、握手、体に触れる、食器を共用する、せきやくしゃみ、蚊やダニなどが媒介)での感染例は報告されていません。

    HIV感染による免疫低下メカニズム

    HIVが体内に入り、ヒトのリンパ球のうち抗体産生や細胞障害性T細胞の誘導などに必要なCD4抗原細胞陽性のヘルパーT細胞に感染すると、ヘルパーT細胞死滅し、宿主の免疫不全が起こります。

    後天性免疫不全症候群(エイズ)の症状と経過

    HIVに感染してもすぐに症状が出るわけではなく、何も症状が出ない期間(無症候期)が長く続き、免疫機能が低下していくことで、日和見感染症、悪性腫瘍など指定された23の指標疾患のうちどれかにかかった場合にエイズ発症と診断されます。

    【急性期】
    感染初期2~12週間は、HIVの体内増殖による発熱・頭痛・だるさ・関節痛など風邪やインフルエンザに似た症状が現れるが、通常は数日から数週間で症状は消える。
    この時期にリンパ節腫大(伝染性単核球症状様の症状)や急性無菌性髄膜炎や急性脳症を合併することもあり。

    【無症候期】
    急性期を過ぎると、何も症状のない無症候期と呼ばれる期間が数年~10数年続くが、自覚症状はなくても体内ではHIVが増殖を続けていて、免疫力は少しずつ低下しているので、急激な体重減少や長く続く下痢、寝汗、帯状疱疹、口腔カンジダ、ギランバレーのような急性または慢性の炎症性脱髄性多発根神経障害などが出始めます。

    【AIDS発症】
    さらに免疫力が低下すると、弱い真菌(カビ)・細菌・ウイルス・原虫などにも日和見感染を起こし、呼吸困難・肺炎・腸炎・意識障害・けいれん・全身性のリンパ節腫大、1ヵ月以上にわたる発熱や下痢による衰弱、HIV脳症による運動障害や認知症症状、神経症状、カポジ肉腫などの悪性腫瘍、空胞化脊髄症(進行性の対麻痺と膀胱直腸障害を伴う)、多発筋炎、感覚性多発神経障害など多彩な症状が現れる。

    後天性免疫不全症候群(エイズ)の検査・診断

  • 血液中のHIVに対する抗体を調べて感染を確認
  • 脳トキソプラズマ症、サイトメガロウィルス脳炎、神経根炎などは抗体検査やPRC法によるDNA診断が可能
  • クリプトコッカス症、カンジダ症などは血液あるいは髄液中の抗原を検出することで診断可能
  • トキソプラズマ原虫や真菌による感染症がある場合で糖尿病などの基礎疾患がない場合は、感染が疑われる
  • その他画像診断
  • 後天性免疫不全症候群(エイズ)の治療・予後

    かつては死に至る病気であったHIV感染ですが、現在では慢性疾患としてコントロール可能になってきていて、通常は3~4種類の抗HIV薬を組み合わせて内服する多剤併用療法でウイルスの増殖を抑え、免疫力を維持することでエイズ発症を抑制するとともに、他人を感染させる可能性を低くする治療が行われます。

    HIV感染を早期発見し、適切な治療を行えば免疫力を下げることなく通常の生活が可能であり、エイズの発症を防ぐことも可能となってきています。

    ただし抗HIV薬はHIVを体内から排除する効果はないため、一生飲み続ける必要があります。

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