ALS(筋萎縮性側索硬化症)【症状】【原因・病理】【検査・診断】【治療・予後】

病気の教科書
スポンサー

アイスバケツチャレンジで世界中に病名が広く病名が知られるようになり、最近は美容家佐伯チズさんの公表でも注目された原因不明の難病ASL(筋萎縮性側索硬化症)。


ALS (筋萎縮性側索硬化症)について、【症状】【原因・病理】【検査・診断】【治療・予後】と 4つの観点に分けて病理学的に解説しています。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の症状

特徴

ALSの症状は個々により様々ですが、症状が限局的にはじまり、全身に波及していくという特徴があります。

好発年齢・性別

50代から70代前半の年齢層に多く、一番多いのは65~69歳。

男女比はおよそ1.5:1の割合で男性に多く、職業や生活環境とは無関係に発生します。

初発症状パターン

初発症状のパターンは大きく以下の2つがあります。

手先の細かい動きができなくなったり、手先・足先の力が入りにくくなるタイプ

全体の3/4を占めるタイプで以下のような特徴があります。

  • 箸が持ちにくい
  • 重いものを持てない
  • 手や足が上がらない
  • 走りにくい
  • 疲れやすい
  • 手足の腫れ
  • 筋肉のピクツキ
  • 筋肉の痛みやつっぱり
  • しゃべったり、飲み込んだりなど口の中が先に動かなくなるタイプ

    全体の1/4を占めるタイプで以下のような特徴があります。

  • 舌の動きが思いどおりにならない
  • ことばが不明瞭(とくにラリルレロ、パピプペポの発音が困難)
  • 食べ物や唾液(つば)を飲み込みにくくなり、むせることが多くなる
  • 進行パターン

    初期症状の出方には複数のパターンがありますが、いずれの場合も以下のように全身に広がっていきます。

  • 手足から始まる場合は、手先・足先など体幹から遠い部分の筋肉が弱く・細くなってきます。
  • 追って飲み込みが困難になる、しゃべりにくくなるなどの症状がでてきます。
  • 2~4年で、全身の筋力低下・呼吸困難なども出てくるため、人工呼吸器が必要になったり、日常生活にも介助が必要な状態になってきます。
  • ALSによる上位・下位運動ニューロン障害

    ALSでは、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンのどちらも障害されます。


    上位運動ニューロン症状

  • 運動の巧緻性低下
  • 痙縮(折りたたみナイフ現象)

  • 下位運動ニューロン症状

  • 筋痙攣
  • 筋委縮(猿手・鷲手・垂れ足)
  • 筋弛緩
  • 繊維束性収縮
  • 球麻痺(第Ⅸ、Ⅹ、Ⅻ脳神経の両側性障害)
  • ALSの陰性症状

    ALS (筋萎縮性側索硬化症)は、障害されやすい部分と障害されにくい部分があり、以下の症状は出にくいという特徴があります。

  • 眼球を動かす筋肉は障害されにくい
  • 肛門括約筋も障害を受けにくい
  • 知覚障害が起こりにくい
  • 感覚障害が起こりにくい
  • 認知機能も正常に保たれる
  • 失禁が起きにくい
  • 認知機能も正常に保たれるため、全身の筋力が低下していてもアイコンタクトやなんらかの手段でコミュニケーションが可能であるということも大きな特徴のひとつです。

    ALS (筋萎縮性側索硬化症)の【原因・病理】

    ALS (筋萎縮性側索硬化症)の医学的定義

    ALSをひとことでまとめると、身体を動かすための神経系(運動ニューロン)が変性する病気で、以下のように定義されています。

    上位運動ニューロン、下位運動ニューロンが選択的かつ進行性に変性、消失していく原因不明の疾患

    運動ニューロンが変性することで発生していることはわかっているのですが、選択的に運動ニューロンが変性する原因そのものについては現在も不明の難病です。

    正常の神経経路

    正常の神経経路は以下の通りですが、この経路を司る運動ニューロンのいずれかが変性することで症状が発生します。

  • 脳で、「口や手を動かしたい」と考える
  • 運動神経細胞(上位運動ニューロン)からその命令が神経線維を伝わって下降する(錐体路)
  • 脳幹、脊髄で次の神経細胞(下位運動ニューロン)に命令が伝わる
  • 筋肉に命令が伝わり、運動が起こる
  • ALS (筋萎縮性側索硬化症)の【検査・診断】

    ALS (筋萎縮性側索硬化症)の診断

    ALS初期は特定診断が困難で、特異的に診断する検査方法はなく、症状の経過を追い、様々な検査結果から他の疾患の可能性を除外しながら、特定診断となる場合がほとんどです。

    ALS (筋萎縮性側索硬化症)は手足の先の方の筋肉が徐々に低下して動かしにくくなり、その他の部位にゆっくり拡大進行する際にまずその可能性が疑われます。

    筋肉の表面が小さく痙攣する症状(筋線維束攣縮)も診断基準のひとつになりますし、しゃべりにくい、飲み込みにくいなどの舌や口の中の筋肉の動かしにくさ(球症状)も見られたり、腱反射の亢進などもみられるようになるとほぼALSと特定されます。

    つまり、実際にはかなり進行してやっと診断が確定すると言うのが現状です。

    ALS (筋萎縮性側索硬化症)の診断に有効な検査

    下位運動ニューロン障害に対しては、筋電図での証明は可能です。
    ALSの場合は、まだ症状が出ていない手足や舌の筋肉でも異常を認めるので、診断のひとつとして有効です。

    また、血液検査で、血液中のCKが経度上昇する症例もみられます。

    その他、筋電図以外に血液検査、脊髄・脳のMRI、髄液、場合によっては筋生検などを行い、変形性頸椎症、脊髄空洞症、ミオパチーなどその他の可能性を検討する為の検査は並行して行われます。

    ALS (筋萎縮性側索硬化症)【治療と予後】

    ALSは原因不明の進行性病変の為根本的な治療がなく、薬物療法やリハビリテーションなどの対処療法が中心になります。

    通常、発症後3~5年で人工呼吸器などを使用しなければ、呼吸不全、肺炎、窒息などで死亡することが多く、予後はきわめて不良です。

    世界中を巻き込んだアイスバケツチャレンジとALS(筋萎縮性側索硬化症)

    ビルゲイツやレディーガガ、スピルバークなど世界を騒がす著名人までをも巻き込んだアイスバケツチャンレンジ。

    これは、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を支援するチャリティーのひとつでアメリカで始まりました。

    あまりに衝撃的で大きな広がりをみせたので、本来の意図とかけ離れ批判の声もありますが、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を知るひとつのきっかけになったというのはとても大きな意味を持っていると思います。

    アイスバケツチャレンジを通してALS(筋萎縮性側索硬化症)という病名をはじめて聞いた人も多いと思いますし、そこから、症状などについて詳しく調べた人もいると思います。

    多くの人にきっかけを与えたという意味では、この活動は、とても素晴らしいと考えています。

    ALS(筋萎縮性側索硬化症)に限らず、神経難病の患者さんはその病状の過酷さに加えて、孤独感、孤立感はとても簡単に説明できるものではありません。

    でも、ただ、理解してくれるだけで救われる部分って誰にでもある。

    アイスバケツチャレンジはそんな多くの共感を生んでいます。

    このサイトはもちろん健康を維持し病気を予防する助けになることを第一の理念としていますが、同時に病気の理解を得ることで、誰かの思いをつなぐきかっけになればとても嬉しいと思っています。

    タイトルとURLをコピーしました