身近なものに例えるとことで医学はずっと身近な知識になります。
イグノーベル賞を受賞した研究【バナナの皮が滑る理由と関節の滑らかな動きの関係】に興味がありますか?
イグノーベル賞(物理学賞)を受賞したバナナの皮の研究
バナナの皮で滑るなんてコントの中だけの話のようですが、これを学術的に研究してなんとイグノーベル賞(物理学賞)を授賞してしまった日本人がいます。
『イグノーベル賞』は、ユーモアで笑わせ、かつ考えさせる研究や業績に贈られる賞で、本家ノーベル賞とは財団も別ですが、ユーモアセンスがないと言われがちな日本人が2019年時点で13年連続で授賞しているというとても興味深い賞です。
バナナの皮が滑るのは何故?
『イグノーベル賞』を受賞した研究が評価されたポイントは、「バナナの皮が滑りやすいのは自明のことだが、それを科学的に立証できた」こと。
里大医療衛生学部の馬渕清資教授が率いる研究チームは、バナナの皮の内側にたくさんあるゲル状物質を含んだカプセルのような極小組織が、靴で踏まれた圧力でつぶれ、にじみ出た液体が潤滑効果を高めることを実験データから検証して発表しました。
数値が低いほど滑りやすいことを示す摩擦係数は、内側を下にしたバナナの皮の上からリノリウムの床材を踏んだ場合、床材を直接踏んだ時の6分の1だったということです。
バナナの皮が滑る理由と人口関節
ちなみに、北里大医療衛生学部の馬渕清資教授が率いる研究チームの本職は人工関節の潤滑などの研究で、関節のすべりの説明をする際に「バナナの皮ですべる」話を取り入れていたそうです。
「関節の軟骨による摩擦軽減の仕組みとバナナの皮の摩擦低減の仕組みには共通点があるのでは?」という発想から、実際に検証してみたら世界に認められました。
人体関節の摩擦軽減の仕組み
人間の関節は、骨の発生と当時に作られ、骨・軟骨・靭帯・関節包などで構成されていて、以下3つの役割があります。
また、生体関節は体重の数倍の負荷を受けていますが、その際の摩擦係数が0.003~0.02と低いため、80年以上の耐久性(耐摩耗性)を有する優れた軸受システムです。
生体関節の極低摩擦・極低摩耗は、軟骨内の液相成分が荷重を支持し摩擦を低減する二相性潤滑などが階層的・協調的に機能することにより実現されていると考えられていて、生体関節のこの巧みな潤滑機構は、多モード適応潤滑機構と称されています。
バナナの皮と関節の共通点
専門的に説明されるとなんだかよくわからないですが、関節にはバナナの皮のように滑りやすい構造があるから高い耐久性のある優れたシステムなのだということです。