脳ヘルニアとは〜種類、症状、兆候、余命、回復などの簡単まとめ

病気の教科書
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「脳ヘルニア」は、何らかの病変や原因により局所的に頭蓋内圧が亢進した結果、脳の一部がゆがんだり偏倚したりする状態(組織が正しい位置からはみ出した病態)で、中枢神経系の正常な構造に影響を与えるため、重篤な神経障害や意識障害をきたします。


【頭蓋内構造】と【脳ヘルニアが起こるメカニズムと特徴的な症状】について整理してまとめました。

頭蓋内の基本的構造

硬い頭蓋骨に囲まれた頭蓋内腔(頭蓋内のスペース)には、脳実質、脳を包む膜(軟膜・くも膜・硬膜)、血液、脳脊髄液が存在しますが、頭蓋内腔を区切るように以下のような構造があります。

  • 【左右の大脳を分ける大脳鎌】
    頭蓋天井の正中線上の硬膜から前後方向に垂れ幕を下ろしたような膜状構造で、左右の大脳を分ける
  • 【大脳と小脳を分ける小脳テント】
    左右の後側頭から内側に張り出した硬膜で、大脳と小脳を分ける
  • 【テント上腔】
    左右の大脳が収まっているスペース
  • 【テント下腔(後頭蓋窩)】
    小脳と脳幹が収まっているスペース
  • 脳ヘルニアが発生する部位

    脳ヘルニアは、脳の実質が元の位置から圧の低いところへ飛び出ることなので、以下のように隙間のある場所で脳ヘルニアが発生します。

  • 大脳鎌の下縁と脳梁の間
  • テント切痕と中脳の間
  • 大後頭孔(大孔)
  • 脳ヘルニアが起こる原因とメカニズム

    なんらかの原因で頭蓋内スペース間の圧差が生じると、圧の高い方から低い方へ脳組織が偏倚し、狭い隙間にはみ出す現象が起こります。

    【原因】

  • 内腔占拠病変(脳腫瘍・血腫・脳膿瘍)
  • 脳静脈洞閉塞
  • 髄膜炎
  • 髄液循環障害(水頭症)
  • +
  • 脳浮腫
  • 腰椎穿刺や浣腸などの人為的要因
  • 全頭蓋内容量から脳実質を除く容量は100~150ml近くあるため、腫瘍などが急激に代償の範囲を超えて大きくなることが稀ですが、脳浮腫、腰椎穿刺や浣腸など頭蓋内圧を亢進させる可能性のある行為が加わることで脳ヘルニアを誘発します。

    頭蓋内圧亢進(頭痛・嘔吐・うっ血乳頭)で、液体成分(血液・脳脊髄液)での代償の限界を超えると脳実質がゆがんで圧の低い方への偏倚し、もともとその場所にあった組織を圧迫するため、細胞の破壊・虚血・変形が起こり、意識障害や局所の神経症状が生じ、最悪の場合呼吸停止や血圧の急激な低下により『死』に至ります。

    脳ヘルニアの特徴

    大脳鎌ヘルニア

  • CT所見にて容易に診断可
  • 頭蓋内圧亢進症が主な症状
  • 巣症状はあまりみられない
  • テント切痕ヘルニア

  • 臨床上もっとも頻度が高く、見逃すと致命傷になりやすい
  • 中脳圧迫による徐脳硬直
  • 意識障害
  • 病巣反対側の片麻痺
  • 同名半盲
  • 病巣側の散瞳
  • 瞳孔(左右)不同(アニソコリア)
  • 大後頭孔ヘルニア

    大後頭孔は延髄が貫通していて狭いスペースしかないので、小脳扁桃が偏倚してくると脳脊髄循環が閉塞されて水頭症が起き、延髄の直接圧迫により意識障害、呼吸停止、血圧低下がおきます。

    小脳扁桃の偏倚が多いため小脳扁桃ヘルニアとも呼ばれ、腰椎穿刺が原因で起こるヘルニアのほとんどが小脳扁桃ヘルニアです。

    脳ヘルニア【バイタルの変化】

    バイタルサイン(血圧・脈拍・呼吸・体温)、眼球・瞳孔所見の確認により、異常状態に早期に気づくことが重要です。

  • 血圧
    急激な頭蓋内圧亢進で脳血流量の低下するため、生体調整機構により血圧が上昇(クッシング現象)
  • 呼吸
    橋、延髄の呼吸中枢の障害による異常呼吸パターン
  • 脈拍
    急性期は圧脈拍
  • 体温
    視床下部の体温調節中枢の障害
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