脳ヘルニアって何?? ヘルニアの定義

この記事は3分で読めます

脳ヘルニアについて説明できますか?

『ヘルニア』というと、
<椎間板ヘルニア>や<鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)>を
思い浮かべると思いますが、

「ヘルニア」とは、
体の組織が正しい位置からはみ出した状態のことですので、
体内のあらゆる場所で起こりえますし、
頭蓋内でも起こります。

それを「脳ヘルニア」と言います。

もう少し具体的に言えば、
「ある病変により局所的に頭蓋内圧が亢進することによって
脳の一部がゆがんだり、偏倚したりする状態」で、

結果、重篤な神経障害や意識障害をきたします。

脳というのは、人間のあらゆる機能の中枢なので、
対応が遅れると、致命的な結果に
ダイレクトにつながります。

そんな脳のヘルニアについて、
『原因』と『症状』、そして『対応』について
まとめています。

頭蓋内と脳の基本的構造

脳ヘルニアが起こる場所は当然頭蓋内ですが、
その発生について、理解するために
頭蓋内の構造から改めて確認してみます。

頭蓋内と脳の基本的構造

硬い頭蓋骨に囲まれた
頭蓋内腔というスペースに、

脳実質、
それを包む膜(軟膜、くも膜、硬膜)、
血液や脳脊髄液が循環し

納まっています。

そのスペースをさらにいくつかに
分けるような構造が以下のようにあります。

左右の大脳を分ける大脳鎌

頭蓋天井の正中線上の硬膜から、
前後方向に垂れ幕を下ろしたような膜状構造が
あり、左右の大脳を分けています。

大脳と小脳を分ける小脳テント

左右の硬膜から出ていて、
錐体骨という側頭部の骨にはじまる
大脳と小脳を分ける構造です。

テント上腔:左右の大脳が収まっているスペース
テント下腔(後頭蓋窩):小脳、脳幹が収まっているスペース

脳ヘルニアが起こる場所

頭蓋内の基本的な構造
ヘルニアの定義を理解したところで
脳ヘルニアの起こる場所を考えてみましょう。

脳ヘルニアは、脳の実質が
元の位置から圧の低いところへ飛び出る
ことですから、

隙間のある場所

が脳ヘルニアの発生部位です。

1:大脳鎌の下縁と脳梁の間
2:テント切痕と中脳の間
3:大後頭孔(大孔)

脳ヘルニアが起こる原因とメカニズム

なんらかの原因で
急激に生じた頭蓋内スペース間の圧の差の為に
圧の高い方から、低い方へ脳組織が偏倚し、
狭い隙間にはみ出す現象を脳ヘルニアです。

メカニズムは以下の通りです。

内腔占拠病変(脳腫瘍、血腫、脳膿瘍)
脳静脈洞閉塞、髄膜炎、
髄液循環障害(水頭症)

+

☆脳浮腫
☆腰椎穿刺や浣腸などの人為的要因

*全頭蓋内容量から脳実質を除く容量は
100~150ml近くあるため、
腫瘍などが、急激に代償の範囲を超えて
大きくなることが稀なので、
上記2つの誘因が大きく関与します。

*腰椎穿刺や浣腸など頭蓋内圧を亢進させる
可能性のある行為は禁忌です。


頭蓋内圧亢進(頭痛、嘔吐、うっ血乳頭)

液体成分(血液、脳脊髄液)での代償の限界

脳実質のゆがみ
圧の低い方への偏倚

もともとその場所にあった組織を圧迫
細胞の破壊や虚血、変形

意識障害
局所の神経症状

最悪の場合、
呼吸停止や血圧の急激な低下により
『死』に至る。

脳ヘルニアの分類と特徴

大脳鎌ヘルニア

CT所見にて容易に診断可
頭蓋内圧亢進症が主な症状
巣症状はあまりみられない

テント切痕ヘルニア

臨床上もっとも頻度が高く
見逃すと致命傷になりやすい病態

特徴的症状:
中脳圧迫による徐脳硬直
意識障害
病巣反対側の片麻痺、同名半盲
病巣側の散瞳→瞳孔(左右)不同(アニソコリア

大後頭孔ヘルニア

大後頭孔は、延髄が貫通していて
狭いスペースしかありませんので
ここに小脳扁桃が偏倚してくると
脳脊髄循環が閉塞されるため
水頭症が起きます。

さらに、延髄の直接圧迫により
→意識障害、呼吸停止、血圧低下
が置きます。

*小脳扁桃の偏倚が多いため、
小脳扁桃ヘルニアとも呼ばれます。

*腰椎穿刺が原因で起こるヘルニアの
ほとんどが小脳扁桃ヘルニアです。

脳ヘルニアに特徴的なバイタルサインの変化

特徴的な症状を早期に発見することは
重篤な状況になる前の対処としてとても重要です。

バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸、体温)
眼球、瞳孔所見の確認により、
いつもと違う!!
つまり
異常状態に気がつく必要があります。

★血圧
急激な頭蓋内圧亢進

脳血流量の低下

生体調整機構により
血圧の上昇

*クッシング現象

★呼吸
橋、延髄の呼吸中枢の障害による
異常呼吸パターン

★脈拍
急性期は、圧脈拍に

★体温
視床下部の体温調節中枢の障害

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