大脳基底核の役割とパーキンソン病 その2 【原因 病理】

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パーキンソン病の原因 病理について説明できますか?

パーキンソン病について、【症状】【原因/病理】【検査/診断】【治療】【予後】と5つの観点に分けて解説しています。

この章ではパーキンソン病の 原因と 病理について解説します。

この章を読むとあなたは、パーキンソン病の原因と病理について理解できるようになります。

パーキンソン病の原因と病理

パーキンソン病の原因に関しては、現在も様々な研究が進められていますが、完全に究明されていません。ただ病変が起こっている部位及び病理については大分わかってきています。

ドーパミンの不足がパーキンソン病の原因と病理
Step1 全体像の把握

まずざっくり大まかに全体像を説明します。
(細かい用語の説明は、あとで解説していきますのでまずは、全体像をつかんでください。)

大脳基底核と呼ばれる目的や状況に応じた運動を促進し、不必要な運動を抑制する役割を持ち、運動の開始や筋緊張の調整に関与している脳の部位があります。

その大脳基底核の線条体に、中脳の黒質緻密部から、ニューロンが伸び、ドーパミンという神経伝達物質が供給され、円滑な神経伝達が行われているのですが、なんらかの原因で、このドパミン神経が減少することで、線条体で放出されるドパミンの量が減少するためにパーキンソン病の症状が、生じていると考えられています。

その根拠として、以下のようなことが報告されています。

1:パーキンソン病の患者ではこのドパミン神経が大幅に減少していること
(1950年代発表)

2:ドーパミンを作る神経は、ニューロメラニンをという色素を含むため、黒く見えるのですが、パーキンソン病患者の黒質では、このニューロンが大幅に減少しているため正常の人よりも、色が薄くなっていること
(1950年代発表)

3:中脳黒質のドーパミン神経が変性脱落したところにレビー小体という封入体が存在すること
(1910年代発表)

 

 

Step2 大脳基底核の役割を理解する

次は、大脳基底核の異常を理解するためにまず正常な大脳基底核の役割について理解しましょう。

大脳基底核とは、随意運動の発現と制御に重要な役割を果たしている高次中枢です。
部位別に分けると、以下の4つの神経核からなります。
脳の断面をみると、以下のように配置されています。

1:線条体……尾状核/被殻
2:淡蒼球…..外節/内節
3:黒質…..緻密部/網様部
4:視床下核

それぞれの部位が神経伝達の面では、大きく以下の4つに役割分担され、間接路と直接路の2つの回路を構成します。

1:入力部:
大脳皮質の広い領域から、運動に直接関与する情報だけでなく、感覚、情動、認知機能などあらゆる情報運動の発現に関与するあらゆる情報がここに入力され、大脳基底核全体で、統合処理されます。

直接路と間接路を形成する線条体の細胞はGABAを有する抑制性であり、大脳基底核の修飾部である黒質緻密部からドーパミン入力を受けます。
そして、直接路を形成する細胞にはD1受容体を介してドーパミン入力が興奮性に作用し、間接路を形成する細胞にはD2受容体を介してドーパミン入力が抑制性に作用します。(直接路と間接路で相反する働きをします。)

2:出力部:
最終的に処理された内容が、運動内容を決定する信号としてここから、視床へ伝えられ、視床から最終的には前頭葉の運動野→脊髄へ出力されることによって運動が起こります。

《正常な運動が発生する回路》

淡蒼球内節と黒質網様部もGABAを有する抑制性の細胞で構成されており、常に活発に活動しているため、視床の神経活動を持続的に抑制しています。

前頭葉からの入力により線条体の細胞が興奮すると、直接路を介して淡蒼球内節や黒質網様部の神経活動が抑制され、一時的に視床に対する抑制が取り除かれる、いわゆる「脱抑制」という現象が起こります。
これにより視床および前頭葉の活動性が亢進し、結果的に必要な運動が惹起されると考えられています。

間接路については、淡蒼球外節から視床下核への神経連絡がGABAによる抑制性で、視床下核から淡蒼球内節や黒質網様部への神経連絡がグルタミン酸による興奮性であるため、視床および前頭葉に対して直接路とは逆の効果、つまり不必要な運動を抑制する働きをしています。

間接路(視床下核から淡蒼球への連絡)と直接路(線条体から淡蒼球への連絡)を細胞レベルで比較すると、間接路が淡蒼球の比較的広い領域をカバーするのに対し、直接路は狭い領域に限局することが知られています。
つまり、直接路が狭い領域への脱抑制効果で、特定の運動の発現に関与するのに対し、間接路はその周辺領域への抑制効果により、それ以外の不必要な運動の抑止に貢献していると考えられています。

3:介在部:
直接路(入力部→出力部)とは別の回路で、間接路(入力部→介在部→出力部)を構成する部位。

4:修飾部:
直接路と間接路を形成する線条体の細胞はGABAを有する抑制性にドーパミンを供給する部位。

直接路は、必要な運動を促進する回路です。
間接路は、不必要な運動を抑制する回路ということになり、両方の回路が正常に働いていることによって私たちの正常な運動が可能になっていますね。

Step3 パーキンソン病の病理の理解

上記正常の回路を踏まえた上で、本題のパーキンソン病の病理について解説します。

パーキンソン病とは、黒質緻密部のドーパミン細胞が変性、脱落することで、線条体でのドパミンが枯渇し、無動、固縮、振戦、姿勢反射障害を主症状とする運動障害が発生する疾患です。

その病理は、直接路、間接路において、視床への抑制が過剰に働くことによって発生しています。

【直接路】
D1受容体を介する線条体の直接路細胞への興奮性入力が消失し、これらの細胞の活動性が減弱

淡蒼球内節の神経活動が亢進

視床、大脳皮質の活動性の抑制

運動を円滑に表現できずに、無動症状になる

【間接路】
D2受容体を介する線条体の間接路細胞への抑制性入力が消失することによりこれらの細胞の活動性が亢進

淡蒼球外節の神経活動の減弱と視床下核の神経活動が亢進

淡蒼球内節の神経活動は亢進

視床、大脳皮質の活動性の抑制

運動を円滑に表現できずに、不随意運動が出現する。

 

検査と診断

その3では、パーキンソン病の検査と診断について解説していきます。

 

 

まとめ 

神経内科学とは正常との比較から病理を追求する学問です。

 

人間にとって正常な状態から逸脱する何かが起こった時、それは病気になります。そのため、病気がどうかを知るためには、まず正常を正しく理解している必要があります。

神経内科学においては、病名や症状を覚える事に意味はありません。それらは全て後付けだからです。

病気や病理について学び、理解を深めることの意義は、なぜその症状が起こるのか、を正常との比較から追求していく事により、問題点を導き出してより適切な解決方法、予防方法を探求していくことにあります。

この考え方でできるようになる事によって、健康維持を含めあらゆる身体の問題解決ができるようになる力が育成されていきますので、この観点を忘れずに勉強していきましょう。

病気や病理は、知るのではなく理解する事、自分自身の健康維持に生かして初めて有意義なものになります。

 

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