プリオン病〜脳に異常蛋白が蓄積する致死性感染症

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プリオン病とは、大脳や小脳などの中枢神経系に異常なプリオン蛋白が蓄積して脳機能が障害され、脳組織の海綿(スポンジ)状変変性を特徴とする疾患群です。

社会問題として広く認知された狂牛病と呼ばれる牛海綿状脳症(BSE)、人間に発症するヒトプリオン病としてクロイツフェルト・ヤコブ病(CDJ)などが代表的な疾患です。


プリオン病について整理してまとめました。

プリオン病とは

プリオン(Prion)とは、蛋白質性感染粒子(proteinaceous infectious particle)のことで、プリオン蛋白はヒトのすべての細胞に発現し、特に神経系細胞上に多く存在します。

プリオン病とは、異常構造を有する異常プリオン蛋白が大脳や小脳などの中枢神経系に蓄積し、不可逆的かつ致死性の神経障害を起こす疾患群のことで、正常なプリオン蛋白が感染型に変異・変化し、徐々に蓄積範囲が増加していきます。

ヒトに発生するヒトプリオン病の大半を占めるのはクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)で、他にクールー斑状沈着を特徴とするゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、家族性に発症する致死性家族性不眠症があります。

現在プリオン病の詳細な発生機序は解明されておらず、有効な治療法もないため、対処療法が行われますが、予後は不良で数年以内に寝たきりになり死亡します。

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)

クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt‐Jakob disease, CJD)はプリオン病の代表疾患で、大多数は弧発性(遺伝ではない)ですが、プリオンには感染性があり、家族歴や遺伝子変異のある遺伝性CJD、CJD患者の角膜や脳硬膜を移植で発症した医原性CJD、牛海綿状脳症(BSE:狂牛病)がヒトに感染した疑いのある変異型CJDも報告されています。

世界各国の弧発性CJD有病率は同一(100万人に1人の割合)と地理的な相違のない稀な感染症で、発症年齢の平均は62歳、女性が男性よりやや多い傾向があります。

CJDは、1920年代初頭にドイツの神経病理学者CreutzfeldtとJakobによって論述されたため、クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt‐Jakob disease,CJD)と呼ばれていましたが、現在では病理学的成因から、プリオン(prion)病や伝達性海綿状脳症(transmissible spongiform encephaolopathy,TSE)として哺乳類の神経疾患群としてまとめられています。

孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の主症状は進行性痴呆とミオクローヌスです。

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の症状は、易疲労性、性格変化、記憶・記銘力低下などからはじまり、数ヶ月後には認知機能障害、幻覚・幻想・妄想などの精神症状、四肢のミオクローヌス・振戦・不随意運動・筋固縮(錐体外路症状)、小脳性失調・協調性運動障害・筋委縮・失行などが出現し、3〜7ヶ月大脳皮質の全般的な機能障害による無動性無言・徐皮質姿勢に至り、1〜2年で全身衰弱・呼吸麻痺、肺炎などで死亡します。

遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)

遺伝子変異が認められる遺伝性CJDの臨床症状や経過は、弧発性CJDに類似しています。

変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)

20歳代の若年者に好発し、行動異常・感覚障害・ミオクローヌスを主症状とし、無動性無言状態に至るまで1年程度と孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)よりも緩徐な経過を辿ります。

ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)

ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)は、脳に異常なプリオン蛋白が蓄積して脳神経細胞の機能が障害され、脳に海綿状の変化が出現するプリオン病と呼ばれる疾患群に属する病気ですが、遺伝子に異常が認められ(ただし同じ家族に全員発症するとは限らない)、病気の主症状や経過が他のプリオン病とは異なります。

孤発性CJDに比べ、発症年齢は、40~60歳代(30歳代の若年発症例もあり)と若く、発症から死亡までの経過も緩徐です。

ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)の主症状は、プリオン蛋白遺伝子変異の部位によって多少異なりますが、行動異常・四肢の知覚異常が主訴に始まり、小脳症候(酔っぱらいのような歩行障害や四肢の運動障害)と認知症が出現し、徐々に進行して起立・歩行が出来なくなり、寝たきりの状態になり、発病後2~10年に全身衰弱、肺炎などで死亡します。

脳の病変部に広範に異常プリオン蛋白が沈着したクールー斑や空胞がみられることも特徴です。

致死性家族性不眠症(FFI)

致死性家族性不眠症(fatal familial insomnia: FFI)は、脳に異常なプリオン蛋白が蓄積して脳神経細胞の機能が障害され、脳に海綿状の変化が出現するプリオン病と呼ばれる疾患群に属する病気ですが、遺伝性で(プリオン蛋白遺伝子の178番のコドンに異常)40~50歳代で発症することが多く、病気の主症状や経過が他のプリオン病とは異なります。

視床が主に侵されるため、夜に興奮状態となり眠れない、幻覚、記憶力低下、体温上昇、多汗、脈が速くなるなどの症状から始まり、認知症やミオクローヌス(けいれん)が発症し、1年前後で意識がなくなり、発病後2年以内に全身衰弱や肺炎などで死亡します。

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