ヨガの女王とも呼ばれる【肩立ちのポーズ(ショルダースタンド)】は、肩で全身を支える逆転立位ポーズなので立位とは異なる姿勢保持システムが作用し、重力や不良姿勢の影響をリセットする効果があるため、全身の血流や機能を促進して様々な美容、健康効果が期待できます。
逆転の状態で全身バランスをとるために、自分の身体の中心と手足の位置を明確に認識すること(固有受容感覚)が必要ですが、身体感覚を研ぎ澄ませて自分の身体の深部感覚を鍛える効果もあります。
ポーズの名前と英語
「Slamba」は「支える」、「Sarvanga」は「全身」という意味のサンスクリット語で、肩で支える逆立ちのポーズなので、英語では「Shoulder Stand(ショルダースタンド)、日本語では「肩立ちのポーズ」と呼ばれています。
- 肩立ちのポーズ
- ショルダースタンド
- Shoulder Stand
- サーランバサルヴァンガーサナ
- サーランバ・サルヴァンガーサナ
- Salamba Sarvangasana
【肩立ちのポーズ(ショルダースタンド)】効果
【肩立ちのポーズ(ショルダースタンド)】は肩で支えた逆転立位(逆立ち)なので、普段の立位や歩行などの運動時とは重力のかかり方が逆転します。
重力により圧迫されがちな背骨の骨(椎骨)同士の間隔や下垂しがちな骨盤内の内臓が重力から開放されることにより、神経や内臓の働きや血流やリンパ液など体液の流れなど改善されるため、むくみや疲労回復など全身の様々な不調を解消する効果が期待できます。
肩で全身を支えるために肩甲骨や肩関節周りの柔軟性を高める必要があり、甲状腺を刺激する姿勢でもあるため、肩こりや猫背を解消して顔周りをスッキリさせたり、逆転で立位姿勢を保持するために全身の筋肉を収縮させて強化しつつ、むくみがちな下半身をスッキリさせてくれる効果なども期待できます。
- 体幹強化効果
- 神経の働きを整える効果
- 姿勢改善効果
- 血流改善効果
- 猫背や肩こり解消効果
【肩立ちのポーズ(ショルダースタンド)】3Dポーズ解剖学
普段の生活とは逆転した方向へ重力がかかる(普段上半身を支えている下半身を含め全身を肩で支える)ポーズのため、自分の身体の中心と手足の位置を明確に認識すること(固有受容感覚)が必要です。
自分の身体の動き(筋肉の作用や関節の動き)が明確にイメージできるように3D動画で確認しましょう。
【肩立ちのポーズ(ショルダースタンド)】正しいやり方
【肩立ちのポーズ(ショルダースタンド)】の前後は【鋤のポーズ(ハラーサナ)】にすることで、より安全かつ効果的にポーズの効果を楽しめるようになります。- 【鋤のポーズ(ハラーサナ)】から始める
- 腰に手を添えて両膝を曲げて顔の方へ近づける
- 肘で床を押して腰と背中が丸まらないように意識しながらゆっくりと膝を伸ばしていく
- かかとを天井のほうへ押し上げてかかとから太ももを一直線にする
- 体幹の筋肉を収縮させて下半身を支える
- 顎は引いたまま首は動かさず肩で体重を支えることを意識する
【肩立ちのポーズ(ショルダースタンド)】筋肉解剖学
前面からは腹筋が、背面からは脊柱起立筋や深層の固有背筋群が背骨を支え、立位とは異なる筋収縮システムが作用して真っ直ぐな姿勢を保持します。
肩で支えるポーズなので、頸部と胸部の固有背筋群は伸長されつつ収縮します。
手のサポートを小さくするほど、椎間同士をつなぐ深層固有背筋群の負荷が大きくなります。
【肩立ちのポーズ(ショルダースタンド)】できない時の軽減方法
首に違和感を感じる場合の対処法
まずは【鋤のポーズ(ハラーサナ)】で肩で上半身を支える感覚を習得してから挑戦しましょう。

体重を支えるのは肩(肩甲骨と肩関節)であり、首には負担がかからないポーズです。
胸部や肩甲帯に柔軟性がない場合、頸椎の生理的前弯が潰されてしまい頸部に強い負担がかかってしまいますので、事前に肩周りや胸椎の柔軟性を高めるストレッチやマッサージ、筋膜リリースや肩甲骨はがしなどの事前準備運動を十分に行ってください。
肩の下にブランケットを入れる(2枚かそれ以上の硬めのブランケットを折りたたみ、30×60センチ程度の長方形にして重ねる)かヨガマットでブランケットを包むようにして、頸椎前弯を維持したままポーズがとれるように調整して軽減する方法もあります。
脚が上がらない場合の対処法
体幹筋力が弱く脚が上がらない場合は、体幹を鍛えるトレーニングをします。
同時に脚を壁につけるなどして、逆転した状態でのバランス感覚を掴む練習と並行しましょう。
【体幹強化に最適な筋トレ】
