「ヨガ」「ピラティス」「フィットネス」「有酸素運動」「ラジオ体操」「筋トレ」「痩せるダンス」など何か運動を始めようと思った時にはいろんなエクササイズ方法があります。
更に、運動の前後には「ストレッチ」や「マッサージ」が推奨さています。
それぞれのエクササイズにはどんな目的や効果があり、どんな違いがあるのかを知れば、正しく効果的に実践する方法や自分にあったエクササイズの選び方がかわるようになります。
全てのエクササイズ、運動、体操の共通点
「ヨガ」「ピラティス」「フィットネス」「有酸素運動」「ラジオ体操」「痩せるダンス」など様々な運動やエクササイズがあり、それぞれ生まれた背景(理念)や目的は様々ですが、どのエクササイズや運動も筋肉を働かせることで身体機能改善を図っているという共通点があります。
つまり、どんなエクササイズ、運動、体操でも、ターゲットとなる筋肉の「筋トレ要素」と「ストレッチ要素」を最大化させるポーズや姿勢をぞれぞれの目的や視点で組み合わせたものであると言えます。
また、ヨガやピラティスのように「呼吸」を重要要素として組み込んでいるものもたくさんありますが、呼吸も横隔膜という筋肉を中心に胸郭と腹腔の筋肉を総動員して行うインナーマッスルの筋肉運動です。
「筋トレ」と「ストレッチ」の違い
筋肉にアプローチをして身体の機能やアライメントを改善したり、見た目を変えるボエィメイクやダイエットの手段は大きく「筋トレ」と「ストレッチ」に分類できます。
「筋トレ」や「ストレッチ」とひとことでいっても、筋肉の解剖学構造を理解したやり方次第で結果の出方が大きく変わります。
目的に合わせたアプローチの仕方がわかっていると、ヨガやピラティス、ダイエット体操やエクササイズなどでもポーズごごとに意識するポイントが明確になるので効果が格段にアップします。
筋トレ(筋力トレーニング)とは
筋トレとは一般的に「筋力トレーニング(きんりょくトレーニング)」のことで、骨格筋(主に骨に付着して随意的な関節運動に作用する)の出力や瞬発力を高めたり、姿勢(アライメント)を整えたり、筋肉の太く大きくしたり(筋肥大)する目的で行う運動の総称です。
400以上ある骨格筋は筋肉の走行に応じて運動方向は決まっていますが、太さ、柔軟性、出力の大きさ、瞬発力は筋肉の使い方(鍛え方)次第でいくらでも変わります。
スポーツ選手が競技によって全く体型が違うことや、運動を日課としている人とそうでない人、普段の生活習慣で姿勢や見た目に差がでることなどからも筋肉が身体を変える重要な要素であることがわかると思います。


筋トレの種類(目的別アプローチ)
筋トレのやり方は、筋肉の収縮方法により大きく3つに分類できます。
収縮方向 | 筋収縮の仕方 |
---|---|
求心性収縮 | 収縮している筋肉の長さが短縮していく |
等尺性収縮 | 収縮している筋肉の長さが一定で変わらない |
遠心性収縮 | 収縮している筋肉の長さが伸びていく |
筋トレを目的に合わせて効果的に行うには、ターゲットとなる筋肉の解剖学(起始・停止・作用・神経支配)、筋肉の収縮弛緩の仕組み、運動神経の仕組みを理解する必要があります。


ストレッチとは?
ストレッチの目的
「ストレッチ」は一般的に柔軟性を高めて関節の可動域を広げる目的で、骨格筋を良好な状態にする手段(アプローチ)の総称です。
骨格筋にアプローチするという意味では「筋トレ」の一部でもあり、実際に筋トレと類似するアプローチをする場合もありますが、短縮したり硬い状態になってしまたりして柔軟性の低下した筋肉の柔軟性向上と(関節)可動域拡大に特化(身体を柔らかくする)しています。
ストレッチの効果
ストレッチはターゲットとなる筋肉の解剖学構造を理解して正しく行うことで、以下ような効果が期待できます。
- 骨格筋および結合組織の柔軟性向上
- 関節可動域の拡大
- アライメント(姿勢の改善)
- 運動パフォーマンスの改善
- 血行促進
- 疲労回復
不良姿勢や日常の癖などが原因で筋肉が短縮したり硬い状態(柔軟性低下)になっていると姿勢やアライメントが崩れて、運動パフォーマンスが低下してしまいますし、怪我や肉離れなどの原因にもなってしまいます。
ストレッチによって筋肉の柔軟性向上することにより、全身の筋肉バランスが整うことで、様々な健康効果、美容時効果、ボディメイク効果が期待できます。
ストレッチの種類(アプローチによる効果の違い)
ストレッチ種類 | やり方(目的) | 特徴 |
---|---|---|
静的ストレッチ (スタティックストレッチ) |
筋肉をゆっくり伸ばして可動域を広げる | 筋肉の伸張反射を抑制するためにゆっくり可動域を超えて筋肉を伸ばすアプローチ |
アイソメトリックストレッチ | 筋肉の長さや関節の角度を変えず収縮強度を変える | 筋肉の等尺性運動の一種 |
パッシブストレッチ | 補助がある状態で可動域の範囲で姿勢を保持(維持)する | リラックスストレッチとも呼ばれ「クールダウン」向き |
静的アクティブストレッチ | ポーズや姿勢を維持することで筋肉を伸張する | ヨガポーズなどで手動作筋を支えるように筋肉を伸張させるアプローチ |
動的ストレッチ (ダイナミックストレッチ) |
可動域範囲内でゆっくりと手足を振ったり身体をねじる動きや体操の中で筋肉を伸張する | ラジオ体操第一のような運動。ウォームアップに最適。 |
バリスティックストレッチ | 反動をつけた運動で可動域を超えて筋肉を伸張する | ラジオ体操第二のような運動。伸張反射が起きやすい。 |
PNF (固有受容神経筋促進) |
脳神経と筋肉の連絡を改善することで筋肉の状態を整える | 神経筋を促通するリハビリ手技のひとつ |
正しいストレッチの選び方とやり方
呼吸が止まると筋肉が硬くなってしまうので、いずれの場合もリラックスした呼吸が続けられる範囲で実践します。
目的 | ストレッチの種類 | 注意事項 |
---|---|---|
ウォームアップ | ダイナミックストレッチ | その後に行う運動につながる要素を組み込むと効果的 |
クールダウン | パッシブストレッチ | メインエクササイズとは反対方向へ優しく誘導すると効果的 |
可動域改善 | 静的(スタティック)ストレッチ | 運動後や入浴後が効果的 |
ボディメイク(ダイエット) | 静的アクティブストレッチ バリスティックストレッチ |
全身のバランスを整える意識を持つと効果的 |
リラックス | 静的ストレッチ パッシブストレッチ |
気持ちよい伸びを感じながらストレッチ |
リハビリ | PNF | 神経筋の伝達経路を意識 |
マッサージとは?
マッサージとは、人間の解剖学的構造に沿って皮膚に刺激を与えてリンパや筋肉の走行を整える手技のことで、指圧やあん摩も広義では同じカテゴリーに分類されています。
マッサージの効果
マッサージは「さする」「揉む」「押す」「叩く」などの手技を使って外側から筋肉に刺激を加えることで筋肉の緊張を和らげて柔軟性を向上させたり、血流を改善して疲労回復効果やリフレッシュ効果が期待できます。
ストレッチや筋トレと併用することで、相乗効果を高められます。
運動効果を高める「呼吸」
身体のコアにある筋肉を総動員させた深い呼吸は、酸素や血液などの循環を改善する効果とインナーユニットを鍛えて一番コアとなる部分から姿勢を整える効果に優れています。
心と体を呼吸でつないで心身のバランスを整えることを目的としたヨガや戦場で傷ついた戦士のリハビリとして作られたピラティスでもポーズに合わせて「呼吸」をとても重視していますし、筋トレやストレッチも呼吸の仕方で効果が変わることもわかっていますし、無酸素運動と有酸素運動などのように呼吸の仕方そのものに焦点を当てたエクササイズも多数あります。
パソコンやスマホの長時間使用で猫背になりがちな現代人は呼吸が浅くなりがちで、浅くなった呼吸が原因で運動パフォーマンスも低下している傾向があります。
どんな運動を始めるにしても、呼吸と基本姿勢の見直しからはじめることで、エクササイズ効果を最大限高めることにつながります。



