【ラセン線(SPL)】アナトミートレイン・イラスト図解解剖学④

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筋膜の機能的なつながりである「アナトミートレイン」のうち、足底から頭部まで身体の周りを左右2つの対抗するラセンで包み込む【SPL(スパイラルライン:ラセン線)】についてイラスト図解を用いてわかりやすく解説します。

【アナトミートレイン】とは?

【アナトミートレイン(Aatomy Trains)】とは、Thomas Myers氏が開発した、全身の筋膜のつながりを示すマッピングのことです。

筋膜の機能的なつながり【アナトミートレイン】を理解していると肩こりや腰痛などの身体の不調の解消や運動パフォーマンスや姿勢改善に役立ちます。

 

筋膜とアナトミートレインの詳細はこちら
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【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】とは?

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】は、身体の周りを左右2つの対抗するラセンで包み込むように走行する筋膜のつながりで、ねじれ、回旋、横方向への重心移動などで姿勢や運動を維持調整しています。

日本語では「ラセン線」と訳されていて、英語名の頭文字をとった「SPL」も使われています。

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】経由地点(骨)と筋膜のつながり

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】は、左右2つの対抗するラセンで身体全体をクロスに包み込むような構造です。

筋膜および筋肉
後頭骨隆起、乳様突起、環椎/軸椎横突起 1
2 頭板状筋・頸板状筋
下部頸椎・上部胸椎の棘突起 3
4 菱形筋(大菱形筋・小菱形筋)
肩甲骨内側縁 5
6 前鋸筋
肋骨外側 7
8 外腹斜筋
9 腹筋腱膜・白線
10 内腹斜筋
腸骨稜・ASIS 11
12 大腿筋膜張筋・腸脛靭帯
脛骨外側顆 13
14 前脛骨筋
第1中足骨 15
16 長腓骨筋
腓骨頭 17
18 大腿二頭筋
坐骨結節 19
20 仙結節靭帯
仙骨 21
22 脊柱起立筋・腰仙筋膜
後頭骨稜 23

両側の頭蓋骨から背中上部で反対側の肩と結合し、肋骨周りを経由して身体の前面に向かい、お臍から腰の高さで再度交差して股関節(骨盤)に達します。

股関節からは、前外側太ももに沿って進んでスネを横切り、外側から足底に達します。

足底では、内側縦アーチを経由して足底を横切るように進み、足底内側から脚の後外側を坐骨まで上行し、脊柱起立筋群の筋膜(姿勢に応じていずれかの側)に移行し、筋膜のつながりが始まった位置付近(後頭骨稜)に停止します。

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】機能と特徴

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】筋膜のほとんどは他の筋膜経路 (SBL,SFL, LL,DBAL)にも含まれています。

そのため、【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】は様々な機能を持つ筋膜のつながりであると同時に、機能不全を起こすと他の様々な筋膜ラインにも悪影響を与える可能性があります。

姿勢調整機能

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】は、身体を二重のらせんで包み込み、全ての面で姿勢を安定させています。

ほとんどの人には左右のいずれかが利き手や利き足であり、視力にも左右差があるので、【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】完全に左右対象になることはほとんどありませんが、それでもかなり広範囲の姿勢バランス調整に機能しています。

特に歩行においては、左右の脚間での重心移動に応じて脚からの力を同側または仙骨を介して反対側へ移動させ、ねじれ、回旋、横方向への重心移動などで姿勢を維持調整しています。

運動機能

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】の土踏まずと骨盤を結ぶラインは、歩行時に膝を効率的な動きを作り出しています。

求心性収縮では、身体の回旋や斜めの動きを作り出し、
遠心性および当尺性収縮では回旋運動によって身体がバランスを崩して倒れないように作用します。

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】詳細

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】の構造や機能をパーツごとに詳細に解説します。

頭頸部〜胸郭後面

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】は、頭蓋骨側面(後頭骨と側頭骨間の下項線外側上部)から始まり、板状筋(頭板状筋・頸板状筋)を介して、C6からT5までの椎骨棘突起とつながります。

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】の最初の筋膜連結は、C6〜T5椎骨棘突起部で生じます。

「板状筋」筋膜は、反対側の「菱形筋(大菱形筋・小菱形筋)」筋膜につながり、肩甲骨内側縁に達します。

また、一部は「菱形筋」の下部にある「上後鋸筋」とも筋膜で連結します。

ここまでで、左の頭部から右の肩甲骨内側端までのつながり、および右の頭部から左の肩甲骨内側端までのつながりができます。

菱形筋〜前鋸筋(胸郭側面)

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】において、「菱形筋」は肩甲骨内側縁を介して、「前鋸筋」(主に下部)へとつながります。

*肩甲骨内側縁からは、ローテーターカフ(回旋筋鍵盤)の構成要素である「棘下筋」と「肩甲下筋」とも直接的な筋膜連結がありますが、これはアームラインへとつながります。

「菱形筋」も「前鋸筋」も肩甲骨に付着している筋肉ですが、実際に解剖をしてみると「菱形筋」と「前鋸筋」は一枚の筋肉かのように密接に連携しているので、「菱形筋」と「前鋸筋」の間に肩甲骨が吊るされている、と表現した方が正確かもしれません。

「前鋸筋」は、肩甲骨内側縁から第1-9肋骨をつなぐ走行ですが、【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】においては下位肋骨(第5-9肋骨)へつながり、胸郭外側面まで筋膜のつながりを構成します。

「菱形筋」と「前鋸筋」のつながり、内側から外側または左右の不均衡は外からも評価(触診や視診)ができ、徒手で筋膜リリースやストレッチなどもできます。

典型的な姿勢不良パターンも「菱形筋」と「前鋸筋」からわかります。

いわゆる姿勢の悪い人(猫背)やボディビルダー、後弯症(胸椎前湾)の人の典型的なパターンは「菱形筋」は引き延ばされ(オーバーストレッチ、遠心性収縮)、「前鋸筋」は短縮した状態(求心性収縮)で固定し、肩甲骨が背骨から離れます。

また、稀ではありますが反対のパターン(菱形筋が短縮して前鋸筋が引き延ばされる)もあり、この場合は肩甲骨の位置が高くなり、背骨(身体の中心)に近づき、胸椎伸展(後弯減少)を伴います。

肋骨周りの肩甲帯全体にアプローチするイメージで、「菱形筋」と「前鋸筋」のつながりを意識して、それぞれの筋緊張のバランスや左右差を整えるようなアプローチ(ストレッチや筋膜リリース)をしましょう。

前鋸筋から腹斜筋(外腹斜筋〜内腹斜筋)

胸郭外側面まで走行する「前鋸筋」は、「外腹斜筋」と強固に筋膜で連結していて、【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】を身体の前面へ繋ぎます。

「外腹斜筋」の筋繊維は、腹筋の表層筋膜と結合し、白線で反対側の「内腹斜筋」につながり、身体の前面をタスキのように走行して骨盤の上前腸骨棘(ASIS)に達します。

胸郭外側から反対側の骨盤までのクロスが左右にありますので、片側が短縮している場合は、片側が伸張します。

肋骨が反対側の骨盤に近づいている姿勢では、【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】へのアプローチが必要です。

上前腸骨棘(ASIS)から下半身へ

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】は、上前腸骨棘(ASIS)を経由して脚へ続きます。

「上前腸骨棘(ASIS)」は、解剖学構造、特に筋膜連結構造において重要で、複数の筋肉や筋膜経路の中継地点になっているため様々な方向からの張力が生じています。

ASISを引く方向 ポイント
内腹斜筋 上内側方向 一部の繊維は直接内側、または下内側方向へ
腹横筋 内側 一部繊維は水平方向後ろ
鼠径靭帯 下内側
縫工筋 下方 + やや内側
腸骨筋 下内側 腸腰筋の一部
大腿直筋 下方 ASISの下部にある下前腸骨棘(AIIS)から起始
大腿筋膜張筋 下方
中臀筋 下後方
外腹斜筋 上後方

複数の方向への力が同時に作用する骨盤前面を、立位や歩行を含む活動において股関節前面のバランスをとるのは簡単なことではないので、アナトミートレインでも、【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】の他、「外側線(LL/ラテラルライン)」「深前線(DFL/ ディープフロントライン)」「浅前線(SFL/ スーパーフィシャルフロントライン)」もバランス調整に関与しています。

そのため、【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】は、ASISより上部(頭蓋骨→胸郭→骨盤)と下部(脚と足を両側から包み込む部分)が連携しない場合もあり、ASISで別れる2本のラインとして評価したほうが良い場合もあります。

SPL下部(ASIS以下)

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】下部(ASIS以下)は、股関節から足底アーチを経由して股関節に戻ってきます。

「内腹斜筋」からASISおよび腸骨稜を直接経由して「大腿筋膜張筋」と融合して脚の外側部を下降していきます。

「大腿筋膜張筋」は「腸脛靭帯(ITT)」と癒合して一連の筋膜のつながりを保ったまま脛骨外側顆に達し、「前脛骨筋」を介して足底までつながります。

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【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】代償姿勢や動作

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】は、左右のアンバランス調整に重要な役割を果たしていてる筋膜のつながりなので、機能低下などによって以下のような典型的な姿勢や動作になります。

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問題 機能制限の要因

 

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】を意識したトレーニングやエクササイズ

【スパイラルライン(SPL/ラセン線)】を意識することで、機能的でパフォーマンスの高い姿勢を維持できるようになります。

問題点を明確にして、適切な筋膜リリース、ストレッチ、筋力トレーニングをしましょう。

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