【スーパーフィシャルフロントライン(SFL)】アナトミートレイン・イラスト図解解剖学②

筋膜の機能的なつながりである「アナトミートレイン」のうち、足背から頭皮まで身前面を2本のラインでつなぐ【SFL(スーパーフィシャルフロントライン:浅前線)】についてイラスト図解を用いてわかりやすく解説します。

【アナトミートレイン】とは?

【アナトミートレイン(Aatomy Trains)】とは、Thomas Myers氏が開発した、全身の筋膜のつながりを示すマッピングのことです。

筋膜の機能的なつながり【アナトミートレイン】を理解していると肩こりや腰痛などの身体の不調の解消や運動パフォーマンスや姿勢改善に役立ちます。

 

筋膜とアナトミートレインの詳細はこちら

https://mydr123.com/myofascia-atomytrains/

【スーパーフィシャルフロントライン(SFL/浅前線)】とは?

【スーパーフィシャルフロントライン(The Superficial Front Line)】は、身体前面表層をつま先から頭蓋側面までをつなぐ筋膜のつながりです。(以降、「SFL(浅前線)」と表記)

厳密にはひとつのラインではなく、左右それぞれのつま先から骨盤までと骨盤から頭部までの骨盤を介して二本のラインが連続していて、股関節伸展位(直立位)ではひとつの統合された筋膜ラインとして機能します。

日本語では「浅前線」と訳されていて、英語名の頭文字をとった「SFL」もよく使われています。

【SFL(浅前線)】経由地点(骨)と筋膜のつながり

【SFL(浅前線)】の中継する骨格構造および筋膜のつながりを図にすると以下のようになり、骨盤以遠では左右に別れます。

筋膜は多くの骨格筋のように骨に直接付着しているのではなく、骨を覆う骨膜を経由して骨格構造に付着します。

筋膜および筋肉
15 頭皮筋膜
乳様突起 14
13 胸鎖乳突筋
胸骨柄 12
11 胸骨/胸軟骨筋膜
第5肋骨 10
9 腹直筋
恥骨結節 8
下前腸骨棘 7
6 大腿直筋(大腿四頭筋)
膝蓋骨 5
4 膝蓋下腱
脛骨結節 3
2 前脛骨部の筋肉群(趾伸筋群・第三腓骨筋・前脛骨筋)
趾骨背面 1

【SFL(浅前線)】はひとつの筋膜のつながりとして定義されていますが、骨盤以下は左右脚別々の2本に別れます。

更に、厳密には、足背から骨盤までと骨盤から頭皮までの2つのパーツに別れ、股関節伸展にて直立している時はひとつの連結したラインとなりますが、股関節を屈曲位では股関節でつながりが途切れます。

【SFL(浅前線)】機能と特徴

【SFL(浅前線)】には、私たちの姿勢や運動を円滑にするための様々な機能があります。

直立姿勢保持

【SFL(浅前線)】は「SBL(浅後線)」や「DFL(深前線)」と協調して作用し、矢状面での姿勢バランス (A–P balance) を調整しています。

具体的には、重心線前方にある骨格(恥骨・胸郭・顔)を持ち上げたり、膝伸展位を維持する役割があります。

【SFL(浅前線)】は足背つま先から始まり、「全てがつながっている」という筋膜の原則からするとつま先を介してSBLとつながっていることになりますが、【SFL(浅前線)】とSBLは拮抗する作用があります。

立位姿勢の観点では、足部において【SFL(浅前線)】は下腿骨(脛骨と腓骨)が後方へ移動しすぎないように抑制し、SBLは逆に前方へ行きすぎないように抑制しています。

筋肉の収縮の連鎖というよりも筋膜面のつながりとして見ると、ほとんどケースで「SBL(浅後線)」が背面を足先から頭頂へ引き上げる構造になっているのに対し、【SFL(浅前線)】は首から骨盤へ引き下げるような構造になっています。

いわゆる猫背姿勢に代表される不良姿勢では、「SBL(浅後線)」と【SFL(浅前線)】のアンバランスにより前後の対応する部位が水平面で一致しなくなっています。

重要器官の保護

【SFL(浅前線)】には、顔、喉、胸郭、お腹(消化器)、鼠蹊部、生殖器など生命維持や様々な活動に欠かせない器官が集中しています。(4本足動物が他者に見せないように隠している部分)

特に腹腔周りには骨による保護構造がないため、お腹が痛いと自然と身体を丸めようとするように、消化器官や生殖器など重要な臓器を守り保護するために【SFL(浅前線)】連動して作用します。

関節運動

【SFL(浅前線)】全体としての運動機能は、体幹屈曲、股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈です。

また、頸部では複雑な頸部の運動に作用します。

【SFL(浅前線)】屈曲作用は身体の防御機能でもあるため、【SFL(浅前線)】を構成する筋肉は急激な収縮にも対応できるように速筋繊維が多く含まれる傾向にあります。

耐久性を重視する「SBL(浅後線)」に対して拮抗する位置にあるため、一方が収縮している時は、もう片方がストレッチされているという関係になります。

足関節背屈、膝伸展、股関節と体幹を屈曲するいわゆる前屈ストレッチや前屈系のヨガポーズは、【SFL(浅前線)】を収縮させて「SBL(浅後線)」をストレッチしています。

反対にブリッジや後屈系のヨガポーズでは、「SBL(浅後線)」を収縮させて、【SFL(浅前線)】をストレッチしています。

【SFL(浅前線)】代償姿勢や動作

【SFL(浅前線)】は主に矢状面での姿勢や動きを制御するラインなので、機能に問題があれば、基本的に屈曲/伸展制限が生じます。

例えば、腹直筋が骨盤を胸郭に向かって引き寄せるように作用するのではなく、胸郭を骨盤に引き寄せるように作用するなど、筋肉付着部のうちより下部にある方により上位にある骨が引き寄せられるような筋収縮になります。

問題 機能制限の要因
足首底屈制限
膝の過伸展
骨盤前傾
骨盤前方移動
呼吸における肋骨前面の制限
頭が前に出る

全体的な【SFL(浅前線)】の問題、つまり「SBL(浅後線)」とのアンバランスは、身体を真横から観察することで明らかになります。

また、ラインの性質上頸部や股関節以下で左右差も出やすい構造ので、左右どれぞれ横から確認しましょう。

【SFL(浅前線)】詳細

【SFL(浅前線)】の構造や機能をパーツごとに詳細に解説します。

つま先から足首

【SFL(浅前線)】は、足趾背面先端の腱から始まります。

【SFL(浅前線)】には、足部内在筋および下腿から5本足趾へ走行する「足趾伸筋腱」を主体とし、足の背屈に作用する外側:第5中足骨に停止する「第三腓骨筋」と内側:第1中足骨に停止する「前脛骨筋」を含めた7本の腱が含まれます。

足首から下腿前面

足趾背面先端の腱から始まる【SFL(浅前線)】は、伸筋支帯の下を通過して前脛部(スネ)に至ります。

伸筋支帯は下腿筋膜表層の肥厚部のようなもので、足部と下腿の間でほぼ直角に曲がって上行する腱が、関節運動の度に皮膚を押し上げないように固定させる役割があります。

更に、伸筋支帯は、腱を包み込む潤滑組織によって趾伸筋腱を固定しながらも、下腿前面の筋肉の作用をつま先に直接伝える滑車の役割もします。

伸筋支帯を通過した【SFL(浅前線)】は下腿前面を上昇します。

【SFL(浅前線)】には、脛骨および脛骨の骨膜も含まれ、脛骨外側の筋肉群:前脛骨筋・長母趾屈筋も含むため、骨間膜より表層にある下腿前面の組織はほぼ【SFL(浅前線)】に含まれることになります。

下腿前面から【SFL(浅前線)】を取り除くとほとんど組織が残らないことになります。

下腿前面で一番大きな力を発揮する筋肉は「前脛骨筋」で、下腿前面の筋肉群の主な作用は足関節背屈(底屈抑制)です。

足首から下腿前面への筋膜の流れにおいては、角度のある構造と伸筋支帯による圧迫が運動や姿勢の制限に大きく影響します。

膝が足首より前に出る前傾姿勢になっている場合、ふくらはぎの筋肉が引く伸ばされた状態で固定し硬くコリ、スネの筋肉は求心性収縮により短縮したまま固定して硬く凝っています。

これ解消するには、下腿前面の筋肉の短縮をリリースしてSFL を引き上げる(相対的にSBLを引き下げる)必要がありますが、下腿前面のリリースは足の背屈運動に合わせて伸筋支帯や筋膜の流れに沿ってゆるい握り拳で圧をかけることで劇的な改善が見られます。

詳しいやり方は会員限定サイトで!

膝から骨盤

下腿前面を上行した【SFL(浅前線)】は、脛骨結節を経由して「膝蓋下腱」と「大腿四頭筋」につながり骨盤に達します。

下腿骨(脛骨・腓骨・骨間膜)に付着している筋肉群から大腿前面にある「大腿四頭筋」へ筋膜の流れが移行する経由点(骨)は、脛骨結節です。

脛骨結節から「膝蓋下腱」と「大腿四頭筋」が【SFL(浅前線)】を引継ぎます。

「大腿四頭筋」は、大腿骨を内側・中間・外側からカバーする3つの広筋(「内側広筋」「中間広筋」「外側広筋」)と最表層で骨盤まで走行する「大腿直筋」と4つの筋肉を含み、膝蓋骨を含む共同腱となって脛骨に付着していますので、運動機能的には「大腿四頭筋」全体がグループとして作用します。

ただし、骨盤まで筋膜をつなぐのは「大腿直筋」のみなので、【SFL(浅前線)】に含まれるのは厳密には「大腿四頭筋」のうちの「大腿直筋」のみになり、「大腿直筋」が股関節と膝関節の両方に作用する2関節筋であることも重要なポイントです。

「大腿直筋」は、太ももにおいては最表層を走行しますが、骨盤の付着部である下前腸骨棘(上前腸骨棘のやや下内側)では、「大腿筋膜張筋」や「縫工筋」の深層にあり、小さいですが、股関節上部を包む重要な構成要素です。

「大腿直筋」は上前腸骨棘(ASIS)まで筋膜を伸ばしている人もいます。

また、【SFL(浅前線)】には膝蓋骨も含まれます。

「大腿四頭筋」膝伸展作用の効率を高める役割をしている最大の種子骨である膝蓋骨があることで、膝関節支点からSFLを離しておくことができ、「大腿四頭筋」膝伸展作用の効率を高められます。

上半身

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頸部

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【SFL(浅前線)】を意識したトレーニングやエクササイズ

【SFL(浅前線)】を意識することで、機能的でパフォーマンスの高い姿勢を維持できるようになります。

問題点を明確にして、適切な筋膜リリース、ストレッチ、筋力トレーニングをしましょう。

詳しくは会員限定サイトで

 

 

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