【ディープフロントライン(DFL)】アナトミートレイン・イラスト図解解剖学⑥

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筋膜の機能的なつながりである「アナトミートレイン」のうち、最もコアにあり姿勢の軸を支える【ディープフロントライン(DFL)】についてイラスト図解を用いてわかりやすく解説します。

【アナトミートレイン】とは?

【アナトミートレイン(Aatomy Trains)】とは、Thomas Myers氏が開発した、全身の筋膜のつながりを示すマッピングのことです。

筋膜の機能的なつながり【アナトミートレイン】を理解していると肩こりや腰痛などの身体の不調の解消や運動パフォーマンスや姿勢改善に役立ちます。

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【筋膜とアナトミートレイン】筋膜リリースや筋膜はがしのためのイラスト図解解剖学
「筋膜リリース」や「筋膜はがし」という言葉が流行していますが、そもそも「筋膜」とはどんな構造や役割を持っているものなのか正しく理解しておかないと機能改善は期待できません。 「筋膜」の構造や仕組み、筋膜による筋肉のつながりがわかれば、何故「筋膜」が私たちの姿勢や活動に影響するのか、どんな方法で「筋膜リリース」すればいいのかが自分で考えられるようになります。 筋膜の構造と全身の筋膜のつながりをマッピングした「アナトミートレイン」についてイラストを使ってわかりや...

【ディープフロントライン(DFL)】とは?

【ディープフロントライン(DFL)】は、アナトミートレインの中でも最もコアな部分を3次元面でカバーして安定した姿勢を作り、運動や姿勢変化における自律神経支配による心肺や内臓機能とを連携させています。

他の筋膜”ライン”よりのもよりスペース(空間)を含むので、”ライン(線)”というよりは”スペース(空間)”と認識した方がイメージはしやすいと思います。

【ディープフロントライン(DFL)】は、冠状面では左右の「外側線/LL」に挟まれ、矢状面では「浅前線/SFL」と「浅後線/SBL」の間にあり、「らせん線/SPL」と「機能線/FL」に囲まれるように存在して、筋膜の「コア」として機能しています。

【ディープフロントライン(DFL)】経由地点(骨)と筋膜のつながり

【ディープフロントライン(DFL)】は、複数の要素を合わせて三次元のスペースを構成しながら、足裏深層部から顔面頭蓋底面までつながるラインです。

上下どちらから始まるということではなく、それぞれのパーツが相互に機能連携しています。

部位 特徴
足〜下腿部 DFL下端の共通部分で、SFLとSBLの間を足底から大腿骨内側上顆まで走行するライン
大腿〜骨盤〜腰椎部 大腿骨内側上顆から前部と後部に別れて、股関節内転筋群から骨盤を経由して腰椎に至るライン
胸郭〜頭蓋部 腰椎から前部・中部・後部に別れて胸郭スペースを包み込み頭蓋骨に至るライン

足裏深層部から始まったラインは、下腿骨後面から膝後ろを走行して太ももの内側に至り、股関節前面から骨盤までのラインと太ももの後ろから骨盤底までのラインが腰椎にて合流します。

腰筋(大腰筋と小腰筋)から横隔膜表面を経由、複数の経路を介して胸郭に沿って包み込むように上行しながら胸部内臓を通過し、顔面頭蓋底面で停止します。

足〜下腿部

【ディープフロントライン(DFL)】最下部は足底から始まり、SBL筋膜の深層で下腿後面深層を埋める3つの筋肉群を経て下腿後面を上行し、膝窩筋、神経血管束、膝関節包後方の筋膜を経由して大腿骨内側上顆に至ります。

下腿前部(SFL)と下腿後部表層(SBL)および外側腓骨部(LL)の間を上行し、歩行の蹴り出しの際に足の内側縦アーチを支えて足のアーチを適切に保ち、扁平足、ハイアーチ、外反母趾など足部の問題を予防しながら安定した立位歩行に機能しています。

筋膜および筋肉
足根骨底面・足趾骨底面 1 (背足骨間筋と関連する組織)
2 後脛骨筋・足趾屈筋群(長趾屈筋・長母趾屈筋)
脛骨と腓骨の前面および後面 3
4 膝窩筋筋膜・膝関節包
大腿骨内側上顆 5

【ディープフロントライン(DFL)】下端は、足根骨底面および足趾骨底面に付着する「長趾屈筋」および「長母趾屈筋」の腱、および「後脛骨筋」腱ですが、中足骨間の組織も含まれるため「背側骨間筋」および関連する筋膜もこのラインに影響しています。

足底にある筋肉のうち「虫様筋」が筋膜構造としても機能的にも「SFL」に関連していることは明らかですが、骨間筋と足根骨間のスペースが【ディープフロントライン(DFL)】に影響を与えていることは、足底の靭帯面と「後脛骨筋」腱の連動からわかります。

「後脛骨筋」腱は、距骨を除くほぼ全ての足根骨および3つの中足骨底に腱を多様に伸ばし、巧緻動作に適した手の腱のように足裏のアーチや足底を機能的に支えています。

複雑な構造をした「後脛骨筋」腱付着の深層に「長趾屈筋」腱および「長母趾屈筋」腱があり、3つの腱は内くるぶしの後方から足首内側を通過して上行し、3つの筋肉は下腿後方(ヒラメ筋)深層で合して、骨間膜後面の橈骨と腓骨の間を埋めています。

2つの足趾屈筋腱は、地面を捉えるためのつま先の内転を伴う足趾屈曲を促進し、筋肉と腱の複合体により足底の弾力性を高め、蹴り出す時に足の内側縦アーチを安定させています。

【ディープフロントライン(DFL)】下端の連絡通路となる3つの筋肉(「後脛骨筋」「長趾屈筋」「長母趾屈筋」)を触診したり徒手的なアプローチを加えるには、足部および下腿を構成する組織全体の理解が不可欠です。

筋腹部分である足首より近位では、表層を下腿後部表層(SBL)構成要素である「腓腹筋」と「ヒラメ筋」に完全に覆われているため触診は非常に困難ですが、「ヒラメ筋」を十分に弛緩させて腓骨側から筋腹を探ることは可能です。

足底では、「長趾屈筋」と「後脛骨筋」も腱を触診することはほぼ不可能に近いですが、「長母趾屈筋」腱は、母趾伸展(趾先を持ち上げる)して腱を緊張させると足底筋膜の内側縁、内側縦アーチ下部で明確に触診できます。

また、「長母趾屈筋」腱は、アキレス腱前部のスペースに指を置きながら足首の後内側面を押して(神経束を圧迫しないように注意しながら)屈伸させると腱を感じられます。

「後脛骨筋」腱は、内果(内くるぶし)真下に指を触れ、足関節底屈および足の内反をした時に浮き上がってくるので比較的容易に触診できます。

また、「後脛骨筋」腱の指ひとつ分後方には「長趾屈伸」腱があり、4趾を小刻みに動かすと触診できます。

【ディープフロントライン(DFL)】下端の連絡通路となる3つの筋肉(「後脛骨筋」「長趾屈筋」「長母趾屈筋」)は、段差に足趾球部を乗せたり、ヨガのダウンドッグのポーズなどで、足の底屈・背屈によりストレッチすることはできますが、表層でより強い作用のある「腓腹筋」や「ヒラメ筋」(SBL)も同時に作用しているため、それぞれの筋肉の走行や作用のイメージを明確に持っていないと、的確アプローチはできません。

大腿〜骨盤〜腰椎部

下腿深層の筋肉に沿って上行し、膝窩筋筋膜、橈骨神経や膝窩動脈を含む神経血管束、膝関節後方を囲む強力な筋膜包と共に膝後方を通過して大腿骨内側上顆に至った筋膜のつながりは、「股関節内転筋」群を前後に分けて経由して骨盤へと上行します。

後部 前部
大腿骨内側上顆
後筋間中隔・大内転筋・小内転筋 内側筋間中隔・長内転筋・短内転筋
座骨・尾骨・骨盤底筋群 大腿骨小転子
前仙骨筋膜・前縦靭帯 腸腰筋・恥骨筋・スカルパ三角
腰椎

様々な筋長に応じた作用をする複数の筋肉が含まれる「股関節内転筋群」を囲む筋膜は、「股関節内転筋群」全体をひとまとめにして大腿骨粗線に結び付けていますが、アナトミートレインとしての筋膜のつながりの原則に従うと、「股関節内転筋」群が大腿骨粗線から骨盤へ上行する経路で明確に前後に別れ、骨盤を経由して腰椎で再結合します。

この2つのラインは、体幹から太もも(前と後ろ)を安定させるために重要なラインです。

後面

後面を走行する筋膜ラインは、後筋間中隔・大内転筋・小内転筋を経由して坐骨結節付近の座骨枝後方まで上行したあと、内閉鎖筋の高密度繊維に覆われた弓状線を介して骨盤底で尾骨上の肛門挙筋につながり、仙骨前面の筋膜を介して上行を続け、背骨前面を走行する前縦靭帯と融合し、最終的に腰筋と横隔膜脚の間の腰椎で大腿前部を走行する筋膜ラインと再結合します。

筋膜および筋肉
大腿骨内側上顆 1
2 後筋間中隔・大内転筋・小内転筋
座骨枝 3
4 骨盤底筋筋膜・肛門挙筋・内閉鎖筋筋膜
尾骨 5
6 前仙骨筋膜・前縦靭帯
腰椎椎体 7

実際太もも後面では、大内転筋と小内転筋だけでなく、ハムストリングおよび内転筋群の間の付随する筋膜を含みます。

また、後筋間中隔に沿って大内転筋後面を上行する筋膜の流れに沿って坐骨から同じ筋膜面に「深層外旋六筋(主に大腿方形筋)」があり、この筋膜のつながりは解剖でも確認できます。

「深層外旋六筋」は、蹠行動物(踵を含む足の裏全体を使って歩行する動物)の活動を最適化するために欠かせない機能構造ですが、太ももに沿って上行してきた繊維と横向きに走行する「深層外旋六筋」は互いに直行するため、「臀筋群(深層外旋六筋)」は【ディープフロントライン(DFL)】には含まれません。

骨盤底は、【ディープフロントライン(DFL)】が脚から体幹部へつながる時の体幹の底面(腹腔底)を構成しています。

膝裏は神経血管束が通り、脂肪組織にも覆われているため、筋肉や筋膜のつながりを触診で確認するのはとても難しいのですが、膝関節内側直上の「大腿骨内側上顆」は大腿内側を軽く押圧しながら探ることで簡単に触診できます。

「大腿骨内側上顆」は、ハムストリングと後部内転筋群分離する「後筋間中隔」と大腿四頭筋と前部内転筋群を分ける「内側(前)筋間中隔」がそれぞれ開始する地点でもあります。

内側ハムストリングの腱と「大腿骨内側上顆」の間には指1本分ほどの隙間があり、坐骨結節の後下方まで真っ直ぐ上行するように続きます。

筋肉グループごとに十分な隙間と弾力性がある場合、大腿骨粗線に沿ってS字に走行する筋間中隔を確認できます。

「後筋間中隔」と周辺組織である大内転筋とハムストリングは密接し過ぎている(癒着している)場合は、深部組織を触診しにくくなるので、筋肉グループごとの隙間を作るような運動(膝の屈伸)を加えます。

前面

前面を走行する筋膜ラインは、大腿骨内側上顆から内側筋間中隔・長内転筋・短内転筋を経由して大腿骨小転子に達し、骨盤前面の筋肉群を経由して腰椎に至り、大腿後部を走行する筋膜ラインと再結合します。

筋膜および筋肉
大腿骨内側上顆 1
大腿骨粗線 2
3 内側筋間中隔・長内転筋・短内転筋
大腿骨小転子 4
5 腸腰筋(腸骨筋・大腰筋・小腰筋)・恥骨筋・大腿三角(スカルパ三角)
腰椎椎体と横突起 6

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胸郭〜頭蓋部

腰椎椎体で再結合した【ディープフロントライン(DFL)】は、腹腔を経て横隔膜横隔膜を経由し、内臓を含む胸郭全体を包み込むスペースを構成しながら上行して脳頭蓋および内臓頭蓋の底部に至ります。

後部 中部 前部
腰椎椎体
前縦靭帯 隔膜脚後面・横隔膜脚・中央腱 横隔膜前面
頚長筋 心膜・縦隔・壁側胸膜 肋骨・胸骨・胸内筋膜・胸横筋
頭長筋 椎前筋膜・咽頭縫線・斜角筋群 気管前筋膜・舌骨および舌骨筋群
頭蓋骨基底部 頭蓋骨基底部・頸椎横突起 下顎骨

【ディープフロントライン(DFL)】

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後面

【ディープフロントライン(DFL)】

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筋膜および筋肉
腰椎椎体 1
2 前縦靭帯・頚長筋・頭長筋
頭蓋骨基底部 3

【ディープフロントライン(DFL)】

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中間

【ディープフロントライン(DFL)】

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筋膜および筋肉
腰椎椎体 1
2 隔膜脚後面・横隔膜脚・中央腱
3 心膜・縦隔・壁側胸膜
4 椎前筋膜・咽頭縫線・斜角筋・内側斜角筋筋膜
頭蓋骨基底部・頸椎横突起 5

【ディープフロントライン(DFL)】

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前面

【ディープフロントライン(DFL)】

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筋膜および筋肉
腰椎椎体 1
2 横隔膜前面
肋骨下後面・軟骨・剣状突起 3
4 胸内筋膜・胸横筋
胸骨柄後面 5
6 気管前筋膜・舌骨下筋
舌骨 7
8 舌骨上筋
下顎骨 9

【ディープフロントライン(DFL)】

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【ディープフロントライン(DFL)】機能と特徴

姿勢のコアを構成する【ディープフロントライン(DFL)】は、筋膜の一部にアプローチするだけでも様々な複合効果が期待できますが、DFLの筋膜構造は、神経血管系など内臓機能へのつながりも含まれるため、解剖学および機能構造の深い理解を持って、より慎重なアプローチが必要です。

姿勢機能

【ディープフロントライン(DFL)】は姿勢を安定させ、様々な活動を行う身体の軸部分を形成するラインです。

具体的には以下の姿勢要素が含まれ、骨盤、背骨、胸郭、頭頸部の柔軟性ある安定に機能しています。

部位 特徴
足部 内側縦アーチを持ち上げる
脚・股関節 股関節(骨盤)を含む脚の各パーツを安定させる
腰椎 前方から支える
腹腔 骨格壁がない腹腔を囲む壁を形成する
胸郭 心肺機能の中枢を収める胸郭(胸壁)を安定させて安定した呼吸を確保する
頭頸部 SFLおよびSBLからの張力に対して均衡を保ち、重い頭を支える脆い頸部とのバランスをとる

【ディープフロントライン(DFL)】各部の筋緊張のアンバランスや適切な緊張(収縮)がない場合、もしくはDFL筋膜が短縮して正常に機能しないなどの問題があると、姿勢がコアから崩れるため、他のアナトミートレインのラインすべてに影響します。

また、【ディープフロントライン(DFL)】の筋膜は他のラインの筋膜よりも密度が高く、遅筋(より耐久性の高い筋繊維)と融合していることからも姿勢安定性を重視した構造であることがわかります。

機能不全パターン

【ディープフロントライン(DFL)】の機能障害などによって生じる典型的な不良姿勢パターンは以下の通りです。

部位 機能不全パターン
足部 底屈優位・足のアーチが高すぎる/扁平足・回内/回外
内反膝/外反膝
骨盤 骨盤前傾・骨盤底機能不全
背骨 腰椎アライメント不良・頸椎屈曲/過伸展
胸郭 呼吸制限
頭蓋 顎関節症候群・言語障害・嚥下障害・鬱(姿勢不良伴う)

姿勢のコアを構成する【ディープフロントライン(DFL)】は、筋膜の一部にアプローチするだけでも様々な複合効果が期待できますが、DFLの筋膜構造は、神経血管系など内臓機能へのつながりも含まれるため、より慎重なアプローチが必要です。

運動機能

股関節の内転および呼吸のための横隔膜収縮を除けば、【ディープフロントライン(DFL)】に明確な「運動」機能はありません。

ただし、【ディープフロントライン(DFL)】の大部分は、表層を他の筋膜にも覆われているので、アナトミートレインの他のラインの運動に応じて、姿勢を安定させるための微調整という意味では常に活動をしているラインでもあります。

また、胸郭と骨盤を密接に関連させ、歩行リズムと呼吸リズムを連動させたりなど、運動機能と自律神経機能の連動にも重要な役割を持っています。

明確な運動方向がない【ディープフロントライン(DFL)】の機能低下を評価するのは非常に難しく、積もり積もった負荷や他のラインでの代償動作により、突然(のようにみえる)大きな怪我や損傷へつながったります。

他のアナトミートレインのラインの問題や姿勢を評価して改善しようとする時には、【ディープフロントライン(DFL)】と他のアナトミートレインのラインとの関係や筋膜経路におけるテンセグリティのバランスなどを総合的にみる必要があります。

【ディープフロントライン(DFL)】を意識したトレーニングやエクササイズ

【ディープフロントライン(DFL)】を意識することで、機能的でパフォーマンスの高い姿勢を維持できるようになります。

問題点を明確にして、適切な筋膜リリース、ストレッチ、筋力トレーニングをしましょう。

詳しくは会員限定サイトで

 

 

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