【機能線(FL)】アナトミートレイン・イラスト図解解剖学⑤

この記事は約7分で読めます。

筋膜の機能的なつながりである「アナトミートレイン」のうち、アームラインと体幹をつなぐように走行して運動のパフォーマンスアップに機能する【FL(ファンクショナルライン:機能線)】についてイラスト図解を用いてわかりやすく解説します。

【アナトミートレイン】とは?

【アナトミートレイン(Aatomy Trains)】とは、Thomas Myers氏が開発した、全身の筋膜つながりを示すマッピングのことです。

筋膜の機能的なつながりである【アナトミートレイン】を理解していると、肩こりや腰痛などの身体の不調の解消や運動パフォーマンスや姿勢改善に役立ちます。

筋膜とアナトミートレインの詳細はこちら
【筋膜とアナトミートレイン】筋膜リリースや筋膜はがしのためのイラスト図解解剖学
「筋膜リリース」や「筋膜はがし」という言葉が流行していますが、そもそも「筋膜」とはどんな構造や役割を持っているものなのか正しく理解しておかないと機能改善は期待できません。 「筋膜」の構造や仕組み、筋膜による筋肉のつながりがわかれば、何故「筋膜」が私たちの姿勢や活動に影響するのか、どんな方法で「筋膜リリース」すればいいのかが自分で考えられるようになります。 筋膜の構造と全身の筋膜のつながりをマッピングした「アナトミートレイン」についてイラストを使ってわかりや...

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】とは?

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】には、体幹の運動と筋肉組織による推進力を腕(手)や脚(足)に伝達して強度を高めつつ、反対側では安定を維持するために機能している3つのラインを含みます。

日本語では「機能線」と訳されていて、英語名の頭文字をとった「FL」も使われています。

例えば、右での槍投げや野球のピッチングでは、左脚から腰を経由してためたパワーを右腕へ伝達して右腕からパワーとスピードを込めたボールや槍が放出されますが、【FL(ファンクショナルライン:機能線)】は、このように主にスポーツやアスリートの動作における動作の安定やバランス、外力への対応などにおいて重要な役割をします。

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】経由地点(骨)と筋膜のつながり

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】は、アームライン(胸郭・肩・腕)を延長するように、体幹を横切って反対側の骨盤や脚まで(またはその逆に)つながる構造になっていて、以下の3つのラインに分解できます。

名称 特徴
後機能線(BFL) 体幹後面でクロス(X)を作る
前機能線(FFL) 体幹前面でクロス(X)を作る
同側機能線(IFL) 肩から同側の膝内側をつなぐ

 

後機能線(BFL)

【機能線(ファンクショナルライン/FL)】のうち、腕から体幹背面を走行するラインを「後機能線(バックファンクショナルライン/BFL)」と呼び、以下の部位を経由した筋膜のつながりを構成しています。

筋膜および筋肉
上腕骨骨幹部 1
2 広背筋
3 腰背筋膜
4 仙骨筋膜
仙骨 5
6 大臀筋
大腿骨骨幹部 7
8 外側広筋
膝蓋骨 9
10 膝蓋下腱
脛骨粗面 11

「後機能線(バックファンクショナルライン/BFL)」は、構造上「広背筋」の停止部である上腕骨国幹部から始まりますが、機能的にはアームラインからつながっています。

上腕骨骨幹部から「広背筋」に沿って下降して仙腰筋膜表層部分と結合したら、腰仙関節のあたりで正中線を横切り、仙骨筋膜を経由して反対側の「大臀筋」下部繊維(仙骨および仙結節)につながります。

「大臀筋」下部繊維は、「腸脛靭帯(ITT)」後縁(つまり、「外側線/ラテラルライン」)深層を通過し、大腿骨骨幹部外側縁1/3あたり(大臀筋粗面)に停止します。

大腿骨外側面では大腿四頭筋の一部である「外側広筋」と筋膜のつながりがあるため、同じ方向に進んで膝蓋骨と膝蓋下腱を介して脛骨粗面に達します。

ここで、理論上は「後機能線(バックファンクショナルライン/BFL)」が途切れますが、機能的には脛骨粗面からはSFL(スーパーフィシャルフロントライン)のつながり(前脛骨筋と前脛骨筋筋膜)を介して、足の内側アーチまでつながって作用します。

前機能線(FFL)

【機能線(ファンクショナルライン/FL)】のうち、腕から体幹前面を走行するラインを「前機能線(フロントファンクショナルライン/FFL)」と呼び、以下の部位を経由した筋膜のつながりを構成しています。

筋膜および筋肉
上腕骨骨幹部 1
2 大胸筋下縁
第5肋骨と第6肋軟骨 3
4 腹直筋外側鞘
恥骨結節と恥骨結合 5
6 長内転筋
大腿骨粗線 7

「前機能線(フロントファンクショナルライン/FFL)」は、「大胸筋」付着部である上腕骨から大胸筋下端繊維に沿って第5肋骨と第6肋軟骨までつながり、「小胸筋」を含む胸筋膜も第5肋骨に付着していますので、機能的には「前機能線(フロントファンクショナルライン/FFL)」もアームライン(SFALおよびDFAL)の延長と言えます。

胸筋繊維は「外腹斜筋」や「腹直筋」を包む腹部腱膜と筋膜(半月線)でつながっていますので、筋膜のつながりは、腹直筋外側縁および腹斜筋筋膜の内側縁に沿って下降して恥骨に達します。

その後、恥骨および恥骨結合の繊維軟骨を通過して反対側の「長内転筋」腱につながり、下外後方へ走行して大腿骨粗線外側に停止します。

大腿骨粗線からは「大腿二頭筋短頭」が接続しているので、機能的にスパイラルライン(ラセン線)の外側下腿コンパートメント(腓骨筋群)につながりますが、「大内転筋」で筋膜のつながりは遮断されているので、アナトミートレインとしてはここで途切れます。

同側機能線

【機能線(ファンクショナルライン/FL)】のうち、肩から身体の外側を通って同じ側の膝内側までをつなぐラインを「同側機能線(イプシラテラルファンクショナルライン/IFL)」と呼び、以下の部位を経由した筋膜のつながりを構成しています。

筋膜および筋肉
上腕骨骨幹部 1
2 広背筋外側縁
第10-12肋骨端 3
4 外腹斜筋
上前腸骨棘 5
6 縫工筋
鵞足・脛骨内側顆 7

For more… 会員限定コンテンツ

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】機能と特徴

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】は、名前の通り運動「機能面」で、効率よく大きな力を発揮することに特化したラインで、他のアナトミートレインのように静止立位保持への影響はほとんどありません。

姿勢調整機能

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】は、静止姿勢保持には直接的に作用していませんが、運動において対側とのバランスを取りながら特定の姿勢を維持調整するために重要な働きをしています。

特に野球の投球やテニスのバックハンドなど、体幹をクロスするように腕や脚を使って大きな動きや筋力を発揮する場面での姿勢安定に大きな役割を果たしています。

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】の機能問題で不良姿勢(静止姿勢でのアンバランス)が生じるとすれば、片側の肩が反対側の股関節に近づくような姿勢になります。

ただし、静止姿勢変化には他の姿勢保持に作用するライン(「スパイラルライン/ラセン線」「ラテラルライン(外側線)」「ディープフロントライン(深前線)」など主要な姿勢保持の筋膜ラインの方がより直接的に関与しているため、それらのラインが整っていれば、【FL(ファンクショナルライン:機能線)】による不良姿勢も自然と改善します。

運動機能

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】は、スポーツなど大きな動きや筋力を発揮する場面で、安定性を高めたり、拮抗力となったり、身体の反対側からパワーを集約する必要がある時によく働きます。

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】は構造上、腕の動きに対して常にラセン(クロス)で作用しますので、「スパイラルライン(ラセン線)の追加機能、または「アームライン」の体幹への延長として機能しているとも解釈できます。

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】の典型的運動パターンは、利き手側やスポーツなどの特定の動きによる回旋で、片側の肩が反対側の股関節に近づくような動きで、ヨガポーズや頭上での作業など上肢を体幹に安定させる必要がある姿勢などで、負荷を下部に伝達したり、上肢を安定させるサポート基盤を整えて上向きの安定性を提供しますし、サッカーのキックなど、下腿を使った動きの安定性やバランスなどでも同様の原理で作用します。

身体を横切って反対側の四肢とつなぐことでレバーを長くできるため、床を踏み込む力を上肢に伝える野球の投球、腕の重さを使ってキック、骨盤の動きによってテニスのバックハンドなど、運動の精度やパワーを高めたりするときに活躍しています。

もちろん、スポーツの特殊な動きだけでなく、普段何気なく行っている歩行時の肩と対側股関節とのバランスにも貢献しています。

実際の運動では、張力が発生しているラインは常に変化していて、例えば投球の前後では、投げる前の助走姿勢と投げた後の姿勢では、収縮するラインと伸張するラインが逆転しています。

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】を意識したトレーニングやエクササイズ

【FL(ファンクショナルライン:機能線)】を意識することで、機能的でパフォーマンスの高い姿勢を維持できるようになります。

問題点を明確にして、適切な筋膜リリース、ストレッチ、筋力トレーニングをしましょう。

詳しくは会員限定サイトで

 

 

タイトルとURLをコピーしました