筋膜とアナトミートレイン

【外側線(LL:ラテラルライン)】アナトミートレイン・イラスト図解解剖学③

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筋膜の機能的なつながりである「アナトミートレイン」のうち、身体の外側を走行して他の筋膜ラインの統合と調整に機能して外側から全身のバランスを整える筋膜ライン【LL(ラテラルライン:外側線)】についてイラスト図解を用いてわかりやすく解説します。

【アナトミートレイン】とは?

【アナトミートレイン(Aatomy Trains)】とは、Thomas Myers氏が開発した全身の筋膜のつながりを示すマッピングのことです。

筋膜の機能的なつながり【アナトミートレイン】を理解していると、肩こりや腰痛などの身体の不調の解消や運動パフォーマンスや姿勢改善に役立ちます。  

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【LL(ラテラルライン:外側線)】とは?

【ラテラルライン(The Lateral Line)】は、名前の通り身体を「外側」から包み込むような筋膜のつながりで、「足裏と足首外側周辺」→「下腿外側」→「太もも外側」→「お尻(骨盤)」→「体幹」→「肩」→「頭蓋骨(耳の後ろ)」まで上行します。

【ラテラルライン(The Lateral Line)】は日本語では「外側線や側線」と訳されていて、英語名の頭文字をとった「LL」も使われています。

【LL(ラテラルライン:外側線)】経由地点(骨)と筋膜のつながり

【LL(ラテラルライン:外側線)】は、足裏から後頭骨(耳の後ろ)まで身体の外側ラインを上行する筋膜のつながりで、正中線で「SFL(浅前線)」と「SBL(浅後線)」を縫い合わせて統合するかのように身体の外側を走行します。

【LL(ラテラルライン:外側線)】はひとつの筋膜のつながりとして定義されていますが、実際には左右脚別々の2本が体幹部分で連結しています。

 筋膜および筋肉
後頭骨隆起、乳様突起15 
 14頭板状筋、胸鎖乳突筋
第1、第2肋骨13 
 12外肋間筋、内肋間筋
肋骨11 
 10腹斜筋
腸骨稜、ASIS、PSIS9 
 8臀筋群(大臀筋・中臀筋・小臀筋)
 7大腿筋膜張筋
 6腸脛靭帯
外側顆(脛骨)5 
 4腓骨頭の前靭帯
腓骨頭3 
 2腓骨筋群(下腿外側筋群)
第1および第5中足骨底1 

筋膜は、多くの骨格筋のように骨に直接付着しているのではなく、骨を覆う骨膜を経由して骨格構造に付着します。

【LL(ラテラルライン:外側線)】機能と特徴

【LL(ラテラルライン:外側線)】には、私たちの姿勢を維持したり運動を円滑にするための様々な機能があります。

特に他の筋膜ライン同士を統合して連携機能を高める調整役として重要です。

姿勢調整機能(複数の筋膜ラインの統合)

【LL(ラテラルライン:外側線)】は、前後の姿勢バランスを調整する「SFL(浅前線)」と「SBL(浅後線)」、体幹軸と腕をつなぐ「全AL(アームライン)」、斜め方向の安定と機能に貢献する「SPL(スパイラルライン)」の作用を仲介してバランスを取りながら作用しています。

【LL(ラテラルライン:外側線)】が姿勢や運動において「前後バランス調整」および「左右バランス調整」に機能することで、体幹や脚が安定し、バックリング(座屈)が予防できます。

運動機能

【LL(ラテラルライン:外側線)】は「体幹側屈」「股関節外転」「足の外反運動」に機能的に作用すると同時に、過剰な体幹の側屈や回旋を調整する「ブレーキ」としての役割も果たします。

【LL(ラテラルライン:外側線)】注目ポイント

【LL(ラテラルライン:外側線)】の構造や機能をパーツごとに詳細に解説します。

足底部

【LL(ラテラルライン:外側線)】は足底(足の内側アーチと外側アーチの中央である第1中足骨と第5中足骨)から、つまり、足底を挟んで足の内側と外側両方から始まります。

第1中足骨に停止する「長腓骨筋」と第5中足骨に停止する「短腓骨筋」は、腓骨筋腱の停止部でそれぞれ足底を外側に進み、立方骨を介して足首の外側面に向かって上向きに方向を変えます。

踵骨外側下端から第5中足骨底に向かって走行している足底筋膜の外側帯は、理論上【LL(外側線)】ではなく「SBL(浅後線)」に含まれますが、外側のバランスに作用する【LL(外側線)】の機能にも関与しています。

下腿(腓骨筋)部

【LL(ラテラルライン:外側線)】は足裏から深層の「短腓骨筋」とその表層にある「長腓骨筋」に沿って下腿外側を上行します。

「長腓骨筋」と「短腓骨筋」は外くるぶしを超えた部分で中隔にそれぞれ囲まれて融合し、下腿外側部を構成しながら腓骨頭まで続き、前面(SFL部)と後面(SBL 部)に別れて中隔で結合されています。

前中隔は外くるぶしと腓骨頭前部を走る線上にあり、「腓腹筋」と「ヒラメ筋」間の後中隔はアキレス腱から腓骨頭の後ろまで辿ることができます。

また、これらの中隔を下腿筋膜が覆っていますので、「 腓骨筋群」は立位姿勢で足の背屈を抑制するために重要な役割をしていて、短縮すると足の外反を引き起こします。

このような時は、足関節の「背屈」⇄「底屈」を繰り返しながら、指先や軽く握ったこぶしで【LL(ラテラルライン:外側線)】前部中隔および後部中隔を広げたり、腓骨筋筋膜ユニットを筋繊維の走行方向に沿って筋膜を長く柔らかくするアプローチが有効です。

太もも外側部(腸脛靭帯)

【LL(ラテラルライン:外側線)】は腓骨頭で一区切りしますが、腓骨頭の前靭帯から脛骨外側顆へ進み、「腸脛靭帯(ITT)」の下部繊維に移行してさらに上行します。

「腓骨筋群」を包む下腿筋膜は腓骨頭で「大腿二頭筋」の筋膜にもつながりますが、この筋膜のつながりは「スパイラルライン(SL)」の構成要素になります。

【LL(ラテラルライン:外側線)】における「腸脛靭帯(ITT)」は脛骨外側顆(実質膝外側全体)から始まり、「腸骨(腸骨稜・ASIS・PSIS)」に停止するまでとみなし、アキレス腱と同じように広く薄く組織形状を変化させながら上行して股関節に達し、大腿骨大転子を包み込みます。

「腸脛靭帯(ITT)」下部の組織は下腿骨(脛骨および腓骨)にも付着して下腿の前部および足部の筋膜も含みますので、脛骨外側顆から腿太もも下部外側で細く太い帯状の繊維を触診できます。

「腸脛靭帯(ITT)」の緊張は、外転筋群による上から作用や「外側広筋(大腿四頭筋)」による下からの作用によって増強し、特に片脚立ちの時に股関節を安定(大腿骨頭を寛骨臼に収めて安定させる)に大きく貢献しています。

更に、「腸脛靭帯(ITT)」大腿骨頸部にかかる体重の負荷を緩和するテンセグリティ構造としても機能していて、この機能は外側広筋(大腿四頭筋)の収縮によって強化されます。

また、「腸脛靭帯(ITT)」の繊維は周囲の繊維と絡み合っていて姿勢の骨盤角度によって「腸脛靭帯(ITT)」の前縁と後縁の収縮を調整しています。

緊張が左右不均衡の場合は骨盤が側傾し、「腸脛靭帯(ITT)」と股関節内転筋群の緊張がアンバランスの場合内版膝や外反膝の原因になります。

股関節および臀部

【LL(ラテラルライン:外側線)】は「大腿骨大転子」を包み込みながら上行して更に幅を広げ、「腸骨稜外縁」に付着して「ASIS(上前腸骨棘)」から「PSIS(上後腸骨棘)」まで伸び、股関節およびお尻の筋肉群(「大腿筋膜張筋」「大臀筋」「中臀筋」)を包み込みます。

お尻の筋肉群は「腸脛靭帯(ITT)」筋膜の深層部と筋膜でつながり、歩行などの際に地面に接している方の脚に体幹が乗って歩行バランスを安定させるために機能しています。

実際「中臀筋」などの「股関節外転筋群」がオープンチェーンにおける「股関節外転」に作用することはほどんどなく、歩行などの際に片脚立ちになった時に張力を高めて内転予防に作用しています。

腸骨稜からウエスト(腹腔)

【LL(ラテラルライン:外側線)】の太ももから骨盤に向かう連絡経路は「ASIS (前方)」と「PSIS(後方)」に別れた「Y字」のような形状になっていますので、体幹部分への連結には方向転換が加わり、アナトミートレインの基本原則(同一方向)の例外となります。

「腸骨稜」は広背筋および三層構造になっている腹筋群(腹直筋・腹斜筋群・腹横筋)の付着部になっています。

【LL(ラテラルライン:外側線)】は「腸骨稜」から「腹斜筋群」へと筋膜をつなげ、体幹前面と後面を縫い合わせるようなクロス構造を構成しながら体幹部を上行します。

【LL(ラテラルライン:外側線)】代償姿勢や動作

【LL(ラテラルライン:外側線)】は左右のアンバランス調整に重要な役割を果たしていてる筋膜のつながりです。

関連する筋膜の機能低下などによって【LL(ラテラルライン:外側線)】が正常に機能しなくなると以下のような典型的な姿勢や動作になります。 

  • 足首回内・回外
  • 足首背屈制限
  • 内反膝または外反膝
  • 内転制限(外転筋短縮)
  • 腰椎側屈(腰椎圧迫)
  • 骨盤と胸郭が近く
  • 肩から首の制限

【LL(ラテラルライン:外側線)】を意識したトレーニングやエクササイズ

【LL(ラテラルライン:外側線)】を意識することで、機能的でパフォーマンスの高い姿勢を維持できるようになります。

問題点を明確にして、適切な筋膜リリース、ストレッチ、筋力トレーニングをしましょう。

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