ヨガ効果を高めてリスクを減らす【リセットポーズ】

ヨガポーズは目的のポーズをやりっぱなしにしてはいけません。
ポーズで生じた負荷や負担をリセットするポーズとセットで行うことで、リスクを予防して効果を最大限高めることにつながります。
ヨガのリセットポーズについてまとめました。

【ヨガポーズ】組み合わせのコツとリセットポーズ

【ヨガポーズ】では背骨や関節を普段あまり意識しない方向へ大きく動かし、呼吸にも集中しながら心身とも緊張した状態になることがあります。

心身機能を改善させるなどの目的があって【ヨガポーズ】に取り組む人がほとんどなので、よい方向への挑戦にかかるストレス(負荷)自体は決して悪いものではありません。

ただ、そのときに背骨をはじめとする身体構造にかかる負荷を中和してニュートラルポジションへ戻すための「リセット」ヨガポーズを適切に取り入れることで、怪我のリスクを最小限びし、身体のバランスを整えてエクササイズの満足感や効果を高めることができます。

ここでいう「リセット」ヨガポーズは、Gary Kraftsow氏により「基本的にシンプルで、前の姿勢でストレスが蓄積した特定の領域にアプローチしてストレスを緩和する効果がある姿勢」とされているもので、英語では一般的に「compensation pose(補償/埋め合わせポーズ)」と表現されています。

このサイトでは、役割がイメージしやすいようにあえて「リセット」という表現を使っています。

負荷を中和してバランスを取る「リセット」ヨガポーズは、目的とするヨガポーズの後の休憩ポーズとしてだけでなく、また次のポーズへの繋ぎとしても有効です。

ヨガレッスンなどでも、終わった後に気持ちよく満足感を感じられるクラスと、なんだか不完全燃焼だったり違和感が残ったりするクラスがあります。

様々な要因がありますが、ひとつ大きな要素となるのが「リセット」(pratikriya,counteracting,compensation)の考え方を持ってレッスン(シークエンス)が組まれているかどうかです。

 

シークエンスの組み方についてはこちら!

効果的なヨガ練習方法とシークエンスの組み方

 

「リセット」ヨガポーズの基本的な考え方

「リセット」ヨガポーズは、ヨガポーズで酷使した身体の方向と反対方向へ動かせばいいのではないか、と単純に考えがちですが注意したいポイントがいくつかあります。

例えば、どんなにしなやかな棒でも前後に何度も同じ場所で繰り返し折り曲げていたら、いつかは折れます。

人間の身体の軸(背骨)も十分な柔軟性を持っていますが、特定の方向へ負荷をかけ続ければ痛めてしまうのは明らかです。

目的として行うヨガポーズとで適切なバランスを取るためには、目的として行うポーズの目的、身体のどの部分にストレスがかかるのかが分かっている必要があり、それがわかっていると必然的にそのストレスを緩和してバランスをとるために必要なポーズも見えてきます。

ポーズによって決まったリセットポーズの絶対的なパターンがあるというよりも、人(その人の姿勢の特徴やクセ)によってポーズの選び方が異なる場合もあります。

ヨガポーズで負荷のかかりやすい場所を知る

前屈、後屈、側屈、ツイストいずれの要素を含むヨガポーズでも、胸椎における胸郭のように骨格構造で保護されていない頸椎と腰椎に大きなストレスがかかる傾向(可動性と安定性は反比例する関係)があります。

また、同じポーズをとっていても元々の姿勢やクセなどにより負荷のかかる場所に個人差も出るので、ポーズを客観的に観察してもらったり、ポーズの後に違和感や痛みを感じる場所を意識するようにしましょう。

「前屈」と「軸を伸ばすポーズ」が基本

「前屈」は、背骨の他の方向への動きを中和する効果のあるポーズなので、後屈、側屈、ツイストのリセットポーズとしては「前屈」が有効です。

同様に「軸を伸ばすポーズ」も背骨のアライメントを整える効果があるため、リセットポーズとしては有効と言えます。

緊張を和らげるシンプルなポーズを選ぶ

ヨガポーズのリスクを抑えて効果を最大化するには、「前屈」と「軸を伸ばすポーズ」を「リセットポーズ」として含めながらシークエンスやレッスンを構成する必要があります。

もちろん、「前屈」と「軸を伸ばすポーズ」ならどれでも「リセットポーズ」として有効な訳ではありません。

例えば、「ダウンドッグ」はエクササイズ中に背骨をニュートラルに戻すための休憩ポーズとしてよく使われ、実際に軸を伸ばして整える効果に優れていますが、姿勢の取り方によって肩、首、腰、脚には大きなストレスがかかりますので、よほどの上級者以外は「リセット」ポーズとしては機能しません。

「リセット」は緊張を和らげるためのものなので、新たな緊張が生じるポーズでは意味がありません。

また、同じ理論で、ポーズは複雑では誰でも簡単にできるシンプルなものにすることで、気持ち的にもリラックスできるので「リセット」ポーズとしてより効果的なものになります。

「リセット」ポーズに【前屈】ヨガポーズが最適な理由

【ヨガポーズ】における前のポーズによる負荷を中和し、背骨や姿勢をニュートラルに戻すことを目的とした「リセット」ポーズとしては、前のポーズが後屈、側屈、ツイストのいずれであっても「前屈」ポーズと「軸を伸ばす」ポーズが最適です。

「軸を伸ばす」ポーズはどの方向へ背骨を動かすとしても基礎となるので、「リセット」ポーズとして有益なのは簡単に理解できると思いますが、なぜ【前屈】のポーズも、リセットポーズとして最適なのでしょうか?

前屈は他の方向への背骨の動きの負荷をニュートラルにする効果があるポーズとされていて、後屈、側屈、ひねりを加えた後は他のポーズをする前に「前屈」を挟むと効果的になるという5つの根拠について書いてみたいと思います。

「前屈」は日常でも馴染みのある動きだから

「ヨガポーズ」を背骨の動きから、「軸を伸ばす」「前屈」「後屈」「側屈」「ツイスト(ひねり)」に分類できますが、このうち日常的に意識せずにおこなっている運動は「前屈」のみです。

「前屈」は寝ている時も、座っている時も、立っている時も、日常生活の中で意識せず(負担を感じず)に頻回におこなっている動作ですし、もし日常から「前屈」動作を除いたら靴を履くことも、目の前の食べ物に手を伸ばすことも困難になります。

「後屈」は寝転がって本を読む時などにやることもありますが、長時間は辛くて続けられませんし、「側屈」する機会はまずありません。

小さな「ツイスト(ひねり)」も日常的におこなっている動作ではありますが、ほとんどのケースで「前屈」主体の動作に付随しています。

つまり、「前屈」は一番馴染みのある動きで、動き方が理解しやすく安全かつ自然に取り入れることができることがメリットのひとつです。

「前屈」すると落ち着くから

「前屈」するとなんだか心身が落ち着くように感じるので、私たちはリラックスや休憩したいとき無意識に「前屈」姿勢をとっています。

私たちが胎児としてお母さんのお腹の中にいるとき、背骨全体が連続した前屈のようなカーブが最初にでき、その姿勢を維持したまま生まれてきます。

生まれてから成長の過程でS字カーブが完成して、二本足歩行を獲得しても、胎児の時のように横を向いて膝と股関節を曲げて抱くように「前屈」するようにするとぐっすり眠れるという人は多いと思います。

「後屈」「側屈」「ツイスト(ひねり)」した姿勢でリラックスできる人はまずいないはずです。

背骨がそもそも「前屈」しやすい構造だから

背骨の可動域を見ると、背骨の全てのパーツが前屈しやすい構造になっていることがわかります。

動きの方向 頸椎 胸椎 腰椎
前屈 40 45 60
後屈 75 25 35
側屈 45 20 20
ツイスト 50 35 5

例えば腰椎は60度程度前屈できますが、回旋は5度程度です。

これは、行動に不可欠な感覚器官が集合した顔や腹部臓器を守るためにも理にかなっている構造と言えます。

腰のストレッチに適しているから

「前屈」の主な効果は、腰のストレッチなので、ヨガポーズで最も負荷のかかりやすい部位に効果的なアプローチができます。

また、ポーズによっては腰と首を含む背面構造全体(SBL)をストレッチできます。

複雑で難しいポーズの後は自然と「前屈」になるから

「ラクダのポーズ」などの難易度の高い後屈ポーズの後に「チャイルドポーズ」、「深いリクライニングツイスト」の後に「胸に膝を抱えるポーズ」を入れると、身体が自然に戻る感じがして心地良さを感じます。

【ツイスト(ひねり】ヨガポーズは本当にリセットポーズになる?

「ツイスト(ひねり)」ヨガポーズも背骨周りの緊張を和らげる効果があるとよく言われていますが、本当にそうでしょうか?

【ツイストのポーズ解剖学】のページでも説明した通り、確かに、「ねじりによって椎間板の体積と脊椎の長さが減少するにつれて、圧縮力が椎間板を脱水する傾向がある」がねじれから解放されると、椎間板や周辺組織の湿潤性や弾力性は高まる」ことが実証されていますが、この効果を安全に得るには濡れたタオルを絞るのと同じように、背骨を上下両端から引っ張って長くし、張力をかけ続ける必要があります。

椎間が並行で、椎間板を真っ直ぐ押しつぶすのでは問題は生じませんが、以前の姿勢の負荷が残り、ななんらかの方向へ傾いた状態のままひねりを加えると椎間板に強い負荷がかかります。

特に、深い側屈の後は背骨は簡単にニュートラルに戻りません。

更に、背骨がねじれると、仙腸関節の仙骨プレートも同時に捻れるため、仙腸関節の安定性を担保している靭帯を緩める傾向もあり、仙腸関節を痛めるリスクも増やします。

もちろん、これらのリスクをコントロールできる上級者であれば問題はないのかもしれませんが、「リセットポーズ」として考えるのではあれば、普段の生活で当たり前のように行っている優しい動きの「前屈」の方が圧倒的に適していると言えます。

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