正しい【ストレッチ】とは?ストレッチの種類と効果の出るやり方

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【ストレッチ】は、運動のウォーミングアップやクールダウン、柔軟性を高めるための手段として取り入れられることが多いですが、目的を達成するために効果的な「ストレッチ」の種類を選んで正しいやり方で実践できていますか?

【ストレッチ】を効果的に取り入れると、柔軟性向上だけでなく様々な効果が期待できますが、間違った方法や手段を選んでしまうと怪我や関節の問題を引き起こすリスクもあります。

正しく効果的に【ストレッチ】を実践できるように、【ストレッチ】の基礎知識と正しいやり方についてまとめました。

正しい【ストレッチ】のメリット

【ストレッチ】=「柔軟性アップ(身体を柔らかくする)トレーニング/エクササイズ」と漠然と捉えている人がほとんどだと思いますが、【ストレッチ】は目的にあった正しいストレッチ法を選んで正しく実践すれば、例えば以下のような様々な効果が期待できます。

  • 体力強化
  • 動きの習得能力改善
  • パフォーマンス改善
  • 心身のリラックス
  • 身体の変化へ意識が向くようになる
  • 怪我(筋肉・関節・腱などの損傷)リスク低下
  • 筋肉痛緩和
  • 筋肉の緊張緩和
  • 関節の結合組織(潤滑成分)の増加

なんとなく【ストレッチ】の形(ポーズ)を真似しているだけでは、【ストレッチ】効果やメリットは実感できません。

【ストレッチ】に関するよくある間違い

【ストレッチ】は、関節構造と関節を支える筋肉に対してアプローチするトレーニング手法ですが、必要なときに適切なストレッチ方法を選んで正しく実践できている人はあまりいません。

よくある間違いの例としては以下のようなものがあり、間違った方法でストレッチをすると効果が期待できないだけでなく、関節や筋肉を痛めたり、怪我のリスクを増強させてしまいます。

  • ウォーミングアップに適さないストレッチ方法を取り入れている
  • トレーニング間に十分な休息を入れていない
  • オーバーストレッチ
  • 間違った方法でトレーニングをしている
  • 間違った順序でトレーニングをしている

心当たりはありますか?

どんなトレーニングにも共通していますが、正しい方法(手段)を選んで、正しい手順で実践しなければ、効果は期待できません。

そもそもなんとなくやっていたら、間違っているのか正しいのかも判断できませんので、【ストレッチ】の目的や効果、正しいやり方をこれから整理して説明します。

【ストレッチ生理学】ストレッチで起きる身体の変化とは?

具体的なストレッチの種類ややり方を説明する前に、「ストレッチ」されることで起こる身体の変化について生理学的に説明します。

少し難しいので、いったん読み飛ばしても大丈夫ですが、【ストレッチ】を正しく効果的に行う手段を本当の意味で理解するには、絶対に知っておくべき項目です。

【ストレッチ】を極めたい、もっと効果的にやりたいと思えば必ず知りたくなる身体の基礎構造なので、最初はなんとなくで流し読みしておくだけでも、いつか「これか!」と思う瞬間がきます。

ストレッチのターゲットは筋肉

身体の基礎構造(建物でいうことろの柱や壁)を作っているのが骨と筋肉による筋肉骨格系です。

筋肉骨格系には生命を維持して運動をコントロールする内臓を保護する空間を作る役割もあり、隣接する骨は靭帯などの結合組織によってつながり関節を構成しています。

私たちの人体構造の支柱(姿勢)を作る骨と骨のつながりである関節の周りには腱を介して筋肉が付着し、筋肉が収縮したり緊張してその構造(姿勢)を動かす力を発揮することで、私たちは様々な姿勢や動きを伴いながら様々な日常活動や社会活動を行うことができます。

骨、靭帯、腱には身体を動かす(姿勢を変える/関節を動かす)機能はありませんので、ストレッチにおいてアプローチする身体の部位は「筋肉」ということになります。

 

筋骨格系について詳しくはこちら!
骨格を作る人体の骨(ほね)の解剖学構造をまとめました。
私たちの身体は200以上の骨を組み合わせた骨格(関節)で構成されています。骨の形状や関節の構造にはそれぞれ意味があり、骨の構造を理解しておくことで、運動の際に動かすポイントや意識する姿勢がしっかりとイメージできるようになるので、姿勢改善や運行効果アップに役立ちます。
関節の動きと可動域についてまとめました。
関節を構成する骨の構造によって運動できる方向(作用)や可動範囲(可動域)が決まっているため、関節の構造を理解しておくことで、怪我を予防しながら安全に運動したり、正しい姿勢を維持して効果的にパフォーマンスを高められます。
骨格筋を身体のパーツごとに分類して一覧にまとめました。
約400ある骨格筋を以下の4つのパーツに分けて一覧にまとめました。特定の部位に絞った運動(エクササイズ)や筋力トレーニングなどを行う時は、各パーツの筋肉レイヤー(層構造)や主動作筋と拮抗筋や補助動筋の関係を理解することで、より効果を高められます。

筋肉の構造

ストレッチでターゲットになる筋肉は、自分の意思で動かせ、運動や姿勢のコントロールに作用する骨格筋ですが、筋肉は付着している部位により大きさも形も多様で、もちろん働き方(作用)もそれぞれに異なります。

ただ、顕微鏡レベルでみると筋肉の基本構造はどれも同じで、膨大な数の糸のような筋源繊維が構造単位ごとに束を作って連結しています。

繊維束ごとに割きやすいサラダチキンをイメージすると、筋繊維連結構造がイメージしやすいと思います。

筋源繊維は、太いフィラメントと細いフィラメントが重なり合ってできているサルコメア(筋節)と呼ばれる数百万の束の配列で、この配列が変化することで、筋繊維長が変化し、筋肉の収縮、弛緩、伸張が生じます。

筋肉の収縮

骨格筋の動きは全て脊髄神経にコントロールされています。

神経が筋肉に達して情報を伝達する場所を神経筋接合部と呼びますが、神経からの電気信号は、神経筋接合部を介して筋繊維に伝達されます。

神経からの電気信号により筋繊維内でカルシウムの流れが促進されると、太い筋フィラメントと細い筋フィラメントが互いにスライドしてサルコメアが短くなり力が生じます。

これを収縮と呼びますが、筋源繊維は部分的に収縮することはなく、か必ず全長が同時に収縮します。

また、何十億ものサルコメアが同時に短くなることで筋肉全体が収縮します。

収縮の強さと負荷の関係

筋繊維は作用の負荷によって収縮の強度を変えることはできません。

では、なぜ力は強いとか弱いの違いが生じるのかというと、負荷ごとに動員される筋繊維の数が異なるからです。

動員される筋繊維が多ければ多いほど、収縮によって生じる力が大きくなります。

速筋と遅筋の生理学構造の違い

筋繊維は遅筋繊維(Type 1)と速筋繊維(Type 2)で以下のように3種類に分類され、全ての筋肉にそれぞれが異なる割合で含まれています。

種類 収縮速度 疲労速度 活動開始順
遅筋繊維
Type 1/Slow-twitch fibers
遅い 非常に遅い 1
速筋繊維
Type 2/Fast-twitch fibers
Type 2A 速い 中等度 2
Type 2B 速い 非常に速い 3

筋繊維を収縮させるためのカルシウムの流れを作るエネルギーは、ブドウ糖(血糖)をエネルギーに変換する筋肉細胞組織であるミトコンドリアから供給されます。

遅筋繊維が疲れにくいのは、速筋繊維よりも多くのミトコンドリアを含んでいてより多くのエネルギーを産出できることと、速筋繊維よりも直径が小さいため周りにより多くの毛細血管が走行できることにより、酸素供給と老廃物除去がスムースに行えるからです。

生きている限り休むことが許されない心臓の筋肉は遅筋繊維が非常に多く含まれますし、骨格筋の中でも姿勢保持が主な作用であるインナーマッスルの方が、主に運動を起こす役割のアウターマッスルよりも遅筋繊維の割合が多くなる傾向があります。

筋肉が収縮し始めるとき最初に作動するのはType 1で、続いて(必要に応じて)Type 2A→Type 2Bの順に続きます。

収縮速度は遅くて爆発力はないものの、まず最初に収縮をはじめて長時間使っても疲労しにくい「遅筋」は姿勢を保持するヨガや有酸素運動に適した筋肉です。

一方、収縮速度が早くて体積が大きいため、短時間で大きな力を発揮を発揮する「速筋」は、ダッシュやジャンプなどの瞬発力やパワーが必要となる無酸素運動に適した筋肉です。

ただ、Type 2Bは、Type 1と続いてType 2Aが動員されたあとでしか活動を始めないため、Type 2Bトレーニングは大変です。

筋肉を囲む組織

筋肉および筋繊維の周りを囲むように様々な結合組織が存在します。

結合組織には、腱、靭帯、筋肉を機能単位ごとにまとめて包みこむ筋膜鞘や筋膜があり、筋肉の柔軟性と緊張を補助しています。

結合組織は、基体(ムコ多糖)とタンパク質ベースのコラーゲン結合組織および弾性結合組織で構成されています。

種類 説明
コラーゲン結合組織 主にコラーゲンで構成され、伸張強度を高める
弾性結合組織 主にエラスチンで構成され、弾力性を高める
基体 ムコ多糖と呼ばれ、筋繊維の潤滑剤と束にまとめる接着剤の役割をする

関節周辺の結合組織に弾力性があればあるほど関節可動域は大きくなります。

筋肉を機能単位ごとに包む筋膜および筋膜鞘は存在する位置ごとに名前が異なります。

種類 説明
筋内膜 個々の筋線維を包む最内側の筋膜鞘
筋周膜 筋線維を機能単位ごとに結合する筋膜鞘
筋外膜 筋線維全体を包む最外側の筋膜鞘

ストレッチを効果的に行うために重要なことは、筋肉の柔軟性を補助する結合組織の存在と筋繊維が機能単位ごとに筋膜で結合されているということです。

筋肉間の協調と拮抗

筋肉には機能単位(グループ)があり、通常ひとつのアクションや姿勢(ポーズ)に対して、以下のように分類できます。

種類 説明
主動筋(agonists) 筋収縮により関節を可動させて目的の動作(姿勢)を作る筋肉群
拮抗筋(antagonists) 主動筋に対抗する動きを起こして元の姿勢に戻そうとする筋肉群
協力筋(synergists) 主動筋と同じ関節運動に作用したり、主動筋作用を補助する、または余分な作用を打ち消す筋肉群
固定筋(fixators/stabilizers) 主動筋が作用している間、他の部位を特定の位置に安定させる筋肉群

例えば、膝を屈曲する動作を例にすると以下のように筋肉群を分類できます。

種類 説明
主動筋(agonists) ハムストリング
拮抗筋(antagonists) 大腿四頭筋
協力筋(synergists) 腓腹筋(ふくらはぎ)臀筋(下部)
固定筋(fixators/stabilizers) 上半身を安定させる筋肉など

膝の屈曲は主にハムストリングの収縮によって生じますが、ふくらはぎや臀筋も強力しています。

一方、膝伸展の作用を持つ大腿四頭筋は弛緩して筋長を長くすることで、膝屈曲への抵抗をコントロールしています。

通常、主動筋と拮抗筋は、以下の例ように作用する関節を挟むように向かいあっています。

胸筋/広背筋、前三角筋/後三角筋、僧帽筋/三角筋、腹直筋/脊柱起立筋、左右腹斜筋、大腿四頭筋/ハムストリングス、すね/ふくらはぎ、上腕二頭筋/上腕三頭筋、前腕屈筋群/前腕伸筋群、など。

協力筋は主動筋と同側ですぐ近くにあり、大きな筋肉が作用するときは、ほとんどの場合近くにある小さな筋肉群も協力筋として動員されています。

筋肉収縮の種類

筋肉の収縮とは筋肉に張力(力)が生じることで、必ずしも筋肉の長さが短くなるとは限りません。

収縮の仕方は以下の4つに分類できます。

種類 説明
等張性収縮(isotonic contraction) 求心性収縮(concentric contraction) 抵抗に対して筋長が短くなる収縮 重い物を持ち上げる時の上腕二頭筋
遠心性収縮(eccentric contraction) 抵抗に対して筋長が長くなる収縮 持ち上げた重いものを床に戻そうとしている時の上腕二頭筋
等尺性収縮(isometric contraction) 抵抗に対して筋長に変化がない収縮 壁を押す時の上腕二頭筋

求心性収縮の場合は短縮している筋肉が主動筋で、遠心性収縮の場合は伸張している筋肉が主動筋です。

等尺性収縮は、筋肉への負荷が収縮する筋肉によって生成される張力を超えている場合に生じます。

ストレッチで起こる変化

先ほど説明した通り、筋繊維の収縮は「サルコメア」が単位となって生じます。

「サルコメア」が収縮すると太い筋フィラメントと細い筋フィラメントが重なりあう部分が増えて筋長が短くなりますが、伸張されることによって重なり合う部分が減少すれば筋長が長くなります。

筋繊維が最大長(すべてのサルコメアが最大長)になっても伸張する力が加わると、周囲の結合組織にも張力が加わり、結合組織のコラーゲン繊維が張力と同じ力線に沿って整列します。

つまり、ストレッチをすると、張力によって筋長を変えるサルコメアが最大長になり、結合組織が張力の方向を整えて残りのたるみを吸収します。

ストレッチをすることで、筋肉や結合組織の配列を整えて、疲労や怪我(組織損傷)の回復を促進する効果があるのは、組織の配列を整える効果があることもひとつの要素です。

ストレッチを行っても一部の筋繊維の筋長が変わらないこともありますが、筋肉全体の長さは伸張された繊維の数によって決まります。

筋力が動員される筋繊維数に応じて決まるのと同じ原理で、伸ばされる筋繊維数が多ければ多いほど、筋長も長くなります。

変化を感知する機能

ストレッチをすると筋繊維(サルコメア)の長さが変化しますが、変化の情報は固有受容器から中枢神経へ常に伝達されています。

固有受容器とは、筋骨格系に関するすべての情報を中枢神経(脳と脊髄)に連絡する神経終末のことで、自分の身体の位置や動き、体内で変化する張力や筋力を正確に把握してコントロールする重要な役割があります。

固有受容器は、関節、筋肉、腱のすべての神経終末に存在します。

筋繊維には、筋原線維を含み一般的に筋繊維と呼ばれる紡錘外繊維と、紡錘外線維と平行に存在して筋紡錘とも呼ばれる紡錘内線維があり、筋肉の主な固有受容器は「筋紡錘」です。

種類 説明
紡錘外繊維 筋原線維(サルコメア)を含み、一般的に筋繊維と呼ばれるもの
紡錘内線維(筋紡錘) 紡錘外線維と平行に存在

ストレッチに関連する固有受容器は、筋繊維にある「筋紡錘」、腱(筋繊維端)にある「ゴルジ腱器官」、ゴルジ腱器官の近くにある「パチニ小体」です。

種類 検出対象
筋紡錘 筋長の変化と変化率
ゴルジ腱器官 腱張力の変化と変化率
パチニ小体 体内の動きと圧力の変化

筋肉内で紡錘外繊維の長さが変化すると、紡錘内線維(筋紡錘)も同じように変化しますが、「筋紡錘」は筋肉の長さの変化と筋長の変化率を感知する繊維の2種類を含みます。

筋肉に張力が発生すると、腱内に存在する「ゴルジ腱器官」が腱の張力の変化と変化率感知します。

また、「ゴルジ腱器官」の近くにある「パチニ小体」は、体内の動きと圧力の変化を検知します。

伸張反射

ストレッチで筋肉を伸張させると、筋肉内にある固有受容器である筋紡錘は長さの変化がどれくらいの速さで生じたかを記憶して脳へ信号を送ります。

筋紡錘からの信号に対して、中枢神経は変化を元に戻そうとする信号を筋肉に送るため、伸張反射(筋反射)が生じます。

伸張反射(筋反射)は筋肉の緊張を維持して怪我を予防しよう目的生じるため、筋長の変化が急激であればあるほど、反射として生じる筋肉の収縮は強くなります。

この伸張反射(筋反射)を活用して瞬発力を高めるプライオメトリック(ジャンプ)トレーニングもありますが、ストレッチにおいてはこの伸張反射によって身体の硬さ(抵抗)を感じます。

ただし、筋肉を伸張した状態でしばらく保持すると、筋紡錘が新しい筋長を学習して伸張反射が抑制されるため、徐々に抵抗を感じにくくなっていきます。

ストレッチで柔軟性を高めるには、伸張反射をコントロールして、筋肉内の筋紡錘に新しい筋長を学習させていくという意識が重要になります。

紡錘内筋線維には2種類あり、伸張反射もストレッチされている間ずっと継続する静的要素とストレッチ開始時や急激に筋長が変化したときに反動として一瞬だけ生じる動的要素に別れます。

種類 対応する繊維 説明
動的要素 核袋線維 ストレッチ開始直後や筋長が急激に変化した瞬間にだけ生じる反射
静的要素 核鎖線維 筋肉が伸張している間ずっと継続する反射

核鎖線維は細長く伸ばした通りに一定に伸びる性質があり、筋長に応じた伸張反射を起こします。

核袋線維は最も弾力性のある中央部が膨らんでいて、筋紡錘がこの中央部周辺にあるため、筋繊維が伸張すると筋長が急激に長くなります。

核袋線維の両端は粘性のある液体で満たされていて急激な伸張に抵抗しながら、継続する張力に対して徐々に伸張していく性質があります。

急激なストレッチでまず伸張するのは中央部で、ストレッチを続けることで両端部分も伸張されますが、その時点では中央部が多少短縮している場合があります。

つまり、特に急激なストレッチ直後に感じる強い抵抗は動的要素によるもので、筋長の変化率が減少すると徐々に減少していくように感じます。

逆伸長反射

ストレッチにより筋肉が収縮すると、ゴルジ腱器官が存在する腱にも張力が発生します。

ゴルジ腱器官は腱の張力の変化と変化率を検知して脊髄に電気信号を送りますが、この信号が特定の閾値を超えると収縮を抑制して筋肉を弛緩させようとする逆伸長反射(ゴルジ腱反射/クラスプナイフ反射)が生じます。

逆伸長反射は、筋紡錘が筋肉を収縮させようとする信号よりもゴルジ腱器官からの伝達の方が強力である場合にのみ生じ、筋肉、腱、靭帯を損傷から保護する役割があります。

逆伸長反射により筋肉がリラックスしやすくなれば(収縮しようとしなくなれば)、ストレッチした姿勢を長時間保持しやすくなります。

相互抑制

特定の動作を起こす主動筋が収縮する時は、拮抗する作用の拮抗筋は強制的に弛緩させる相互抑制が生じます。

主動筋と拮抗筋が当時に収縮する共収縮が必要な場面もありますが、ストレッチにおいては相互抑制を活用して拮抗筋を収縮させた状態でリラックスした主動筋をストレッチする方が簡単で効果的です。

更に強力筋も弛緩させると更に効果を高められます。

例えばふくらはぎをターゲットにストレッチをしたい場合は、拮抗筋であるスネの筋肉群を収縮させるために足関節を背屈します。

また強力筋であるハムストリングをリラックスさせるために、膝を伸展位に保つなどして大腿四頭筋を収縮させます。

【ストレッチ】の種類

ストレッチは大きく動的ストレッチ(動きを伴うストレッチ)と静的ストレッチ(動きを伴わないストレッチ)の2種類に分けられ、動的ストレッチは動的柔軟性を高め、静的ストレッチは静的柔軟性を高める効果があります。

一般的に動的ストレッチはウォーミングアップ向きで、静的ストレッチはクールダウン向きです。

ストレッチ種類 やり方(目的) 特徴・例
動的ストレッチ ダイナミックストレッチ 可動域範囲内でゆっくりと手足を振ったり身体をねじる動きや体操の中で可動域範囲内で筋肉を伸張する方法 ラジオ体操第一のような運動で、ウォームアップに最適
バリスティックストレッチ 反動をつけた反復運動で可動域を超えて筋肉を伸張する方法 伸張反射が起きやすいため、柔軟性向上効果はない
静的ストレッチ スタティックストレッチ 筋肉が最大長になるような姿勢を維持して、筋肉の伸張反射を抑制しながらゆっくり可動域を広げる方法 可動域拡大を目的とした静的ストレッチの基本
アイソメトリックストレッチ 筋肉の長さや関節の角度を変えず抵抗を加えて筋肉を収縮させることで可動域を広げる方法 柔軟性向上効果が高いが負荷も大きいため制限あり
パッシブストレッチ 補助がある状態で可動域の範囲で姿勢を保持(維持)する リラックスストレッチとも呼ばれ、疲労回復を目的とした「クールダウン」向き
スタティックアクティブストレッチ ポーズや姿勢を自力で維持することで主動作筋を強化しながら筋肉を伸張させて可動域を拡大する方法 ヨガポーズ
PNF 固有受容性神経筋促進 アイソメトリックストレッチ直後に更にストレッチを行い新しい可動域を受容器に学習させる方法 神経筋を促通するリハビリ手技のひとつで、柔軟性拡大と筋力増強強化が最も高い

【バリスティックストレッチ】とは?

【バリスティックストレッチ】は、ダイナミックストレッチのひとつで、体幹や四肢の動きに反動をつけて、通常の可動域を超えるようにするストレッチのことです。

【バリスティックストレッチ】では、ストレッチされた筋肉をバネとして活用しながら反復動作をすることになるので、筋肉を伸ばして関節可動域を広げる(柔軟性)を高める効果やリラックス効果はなく、むしろ伸張反射で筋肉が短縮しやすくなります。

また、解剖学構造を理解せずに無理に行うと怪我の原因にもなります。

【ダイナミックストレッチ】とは?

【ダイナミックストレッチ】とは、一般的に動的ストレッチと呼ばれるストレッチ方法です。

身体を動かしながら徐々に可動範囲やスピードを増加させていくストレッチ方法で、可動域範囲で腕や脚を振り子のように使ったり、体幹をねじるようなゆっくりとした動きを使いながら筋肉と関節を伸ばす「ラジオ体操第一」などがよい例です。

「バリスティックストレッチ」との違いは、可動域の範囲を越えるための反復や身体の硬さを実感するような無理な動作を含まないことです。

【ダイナミックストレッチ】は動的な柔軟性を向上させる効果があるので、有酸素運動や負荷の大きい運動を行う前のウォーミングアップとして最適なストレッチ方法で、8〜12回の繰り返しを1セットとすることで効果が高まります。

ただし、筋肉が疲労するとせっかく伸ばした筋肉の神経制御がリセットされ、柔軟性が低下して動作時の可動域が低下するのであくまでこれから行う運動の可動域を高める目的で、疲れないように行うことが重要です。

また、疲労した筋肉で可動域を拡大させることはできないので、運動中も決して現在の関節可動域を超えないように身体を動かしましょう。

【スタティックアクティブストレッチ】とは?

【スタティックアクティブストレッチ】は【アクティブストレッチ】と呼ばれることもありますが、特定の姿勢を補助なく維持することで筋肉を伸張させるストレッチ方法で、ヨガポーズの動きがよい例です。

【スタティックアクティブストレッチ】リラックスして行うことで、ターゲットとなる筋肉を強化しながら動的な柔軟性を高める効果があります。

【スタティックアクティブストレッチ】では、通常10秒以上の保持は難しいので、長い時間やる必要はありません。

【パッシブストレッチ】とは?

【パッシブストレッチ】とは、「リラックスストレッチ」や、「スタティックパッシブストレッチ」などとも呼ばれ、身体の他の部分やパートナーの補助を使って姿勢を保持するストレッチ方法です。

例えば、立って片脚を高く上げた状態を補助なしで維持する場合は、ハムストリングの「スタティックアクティブストレッチ」ですが、床に寝て(床に支えてもらい)手で補助して片脚を上げ場合は、ハムストリングの【パッシブストレッチ】になります。

【パッシブストレッチ】はゆっくりとリラックスして行うストレッチなどなので、損傷後のリハビリや運動で疲労した筋肉を癒すクールダウンとして最適です。

各ストレッチの間に15〜30秒の休憩を入れて、2〜5回ほど繰り返しましょう。

【スタティックストレッチ】とは?

【スタティックストレッチ】はターゲットとなる筋肉(筋肉群)が最大長になるように姿勢を保持しながら、静的可動域拡大を目指すストレッチ方法で、静的ストレッチの基本形です。

【スタティックストレッチ】は「パッシブストレッチ」と混同されがちですが、リラックスした状態で外力を活用して関節を可動させる「パッシブストレッチ」は、【スタティックストレッチ】のひとつの特別なやり方です。

【アイソメトリックストレッチ】とは?

【アイソメトリックストレッチ】とは、スタティックストレッチの手法のひとつで、抵抗を活用した筋肉の同尺性収縮で筋肉を伸張させます。

【アイソメトリックストレッチ】は、「パッシブストレッチ」と「アクティブストレッチ」のいいとこどりをしたような方法で、「パッシブストレッチ」や「アクティブストレッチ」を単独で行うよりも効果的に収縮した状態で筋肉を強化して柔軟性を高めることができ、ストレッチの悩みである伸張痛みも大幅に軽減できるというメリットがあります。

【アイソメトリックストレッチ】は筋肉の長さを変えずに筋肉を収縮させるストレッチ方法なので、自分の身体や壁や床の抵抗を活用したり、パートナーに加えてもらうなどの方法で必要な抵抗を加える必要があります。

ターゲットマッスルとポジションを固定したあと抵抗を加えて7-15秒ほど保持し、20秒以上リラックスさせます。

【アイソメトリックストレッチ】で高い柔軟性向上効果が期待できる理由は、筋紡錘にアプローチできるからです。

【アイソメトリックストレッチ】は、「パッシブストレッチ」によりすでに伸張された筋肉に抵抗を加えて同尺性収縮させるため、伸張反射を抑制しながら伸張された筋肉の長さを筋紡錘に一定期間記憶させることができます。

もちろんストレッチをやめると筋繊維はいったん静止長に戻りますが、ストレッチされた筋長を筋紡錘が記憶しているので、その範囲までなら伸張反射が起こりにくくなっていて、可動域が拡大して柔軟性が向上していることを実感できます。

最初のパッシブストレッチの伸張反射を超えて伸張反応を聞き起こしてストレッチされた筋肉が収縮するのを抑制できます。

更に、【アイソメトリックストレッチ】では動員される筋繊維も多くなることも効果が高い理由のひとつです。

筋トレやストレッチで筋肉が収縮する時、必ずしも全ての筋繊維が収縮する訳ではなく、一部は休んだままです。

通常筋肉への負荷が大きくなればなるほどより多くの筋繊維が収縮や伸張に参加しますので、同尺性収縮を活用した【アイソメトリックストレッチ】では、収縮している筋肉の両端が引っ張られて、休んでいる筋繊維も動員されやすくなります。

休んでいる筋肉も動員され、もともとストレッチされていた筋繊維はゴルジ腱器官を活性化されて逆伸長反射(延長反応)によって短縮せずによりストレッチ効果を高められるストレッチ方法が【アイソメトリックストレッチ】ということです。

そんな効果の高い【アイソメトリックストレッチ】ですが、効果が高い分負荷が大きいことも理解しておく必要があります。

成長期の子供やすでに十分な柔軟性がある人に行うと腱や結合組織を損傷するリスクが高まり危険なので避けましょう。

また、【アイソメトリックストレッチ】を行う前にターゲットマッスルの動的筋力トレーニングをしておく(筋肉の作用を身体で理解しておく)こと、また36時間に1回を限度とすることも重要な注意事項です。

【PNFストレッチ】とは?

【PNFストレッチ】とは、厳密にはストレッチメソッドではないPNFを活用したストレッチ方法で、「パッシブストレッチ」と「アイソメトリックストレッチ」のメリットを合わせた方法で、静的柔軟性を最大限高める効果が期待できます。

PNFとは、「Proprioceptive Neuromuscular Facilitation」の略で、日本語では「固有受容性神経筋促進法」と訳されていて、もともとは脳卒中のリハビリ手段として開発されました。

受動的にストレッチされた筋肉が抵抗に対して同尺性収縮させた後に、拡大した可動域で再度パッシブストレッチをする方法なので、アイソメトリックストレッチ後にパッシブストレッチを繰り返す方法と言えます。

PNFは通常セラピストなどに抵抗を加えてもらいながら同尺性収縮をした後に、拡大した可動域で関節を動かしてもらいますが、一人でも【PNFストレッチ】を実践できます。

【PNFストレッチ】にはいくつかの方法がありますが、最も一般的なのは同尺性収縮と弛緩を繰り返すhold-relax(ホールドアンドリラックス法:contract-relaxとも呼ばれる)で、1サイクルが以下の3つのステップになります。

①「パッシブストレッチ」した筋肉を7-15秒「アイソメトリックストレッチ」します。

②2-3秒リラックスしたらすぐに最初よりも可動域を拡大させて「パッシブストレッチ」をして10-15秒保持します。

③その後20秒以上リラックスして休ませます。

また、②の「パッシブストレッチ」を「アイソメトリックストレッチ」に変えたhold-relax-contract(contract-relax-contract/contract-relax-antagonist-contract)法もあります。

これは最後のステップを逆制止による拮抗筋収縮に置き換えているため、最初のパッシブストレッチを受けた筋肉をリラックスさせ、さらにストレッチする効果があります。

また、最後にパッシブストレッチを加えないので筋肉組織を痛めるリスクを軽減できます。

2回目の「アイソメトリックストレッチ」に「パッシブストレッチ」を加えて更に柔軟性を高める手法もありますが、怪我をするリスクも高くなるので注意が必要です。

更に、②の「パッシブストレッチ」を「ダイナミックストレッチ」や「バリスティックストレッチ」に変えて、hold-relax-swing(hold-relax-bounce)法もありますがこれは高いレベルのスポーツ選手など筋肉のストレッチ反射を適切にコントロールできる訓練をしていないに行うと関節を痛める危険性が高いので基本的には避けるべき手法です。

「アイソメトリックストレッチ」を含む【PNFストレッチ】は、同じ理由で成長期の子供にも不適切なストレッチ方法です。

【PNFストレッチ】は「アイソメトリックストレッチ」同様に受動的及び能動的な柔軟性向上と筋力強化に効果的ですが、その分負荷も大きいので、ひとつの筋肉群に対してひとつのテクニックのみ1〜5サイクル程度までとし、次のセッションまで36時間程度は開けるようにします。

ひとつの筋肉群に対して1回だけやるのと3〜5回程度やるのでは、効果に大きな違いがないという研究もありますので、関節に負荷をかけすぎないように丁寧に行いましょう。

【PNFストレッチ】は、「アイソメトリックストレッチ」後の、筋紡錘受容体が伸びた筋長さを記憶され、伸長反応で筋肉収縮が抑制され、疲労した速筋繊維がその後のストレッチで抵抗しにくくなっている状態を活用して、更にストレッチ受容体を強化することで、拡大した可動域を定着させていくことができます。

【ストレッチ】ポーズを保持する時間

正しい【ストレッチ】を効果的に行うために重要になるのは、保持時間です。

【ストレッチ】方法や個々人の状態により最適な保持時間は異なるのですが、様々な文献を参照すると10秒から1分(または数分)程度が目安となり、単独の筋肉(筋肉群)にアプローチできるのではあれば成人で20秒程度、成長期の子供で約7〜10秒の保持で十分であると考えられます。

また、ストレッチ後には十分な休息時間をとることも大切です。

【ストレッチ】効果を高める3つのコツ

効果的な【ストレッチ】を選んで正しく行うために注目する要素は以下の3つです。

①アイソレーション(隔離)
②レバレッジ
③リスク

アイソレーション(隔離)

一般的に一度にストレッチする筋肉(筋肉群)の数は少なければ少ないほど、ターゲットマッスルへの効果を高めることができますので、一番効果的にかつ完璧に特定の筋肉(筋肉群)を【ストレッチ】するには、その筋肉(筋肉群)を他の筋肉から完全に切り離す必要があります。

他の筋肉の代償や拮抗(抵抗)を気にしなくてよければ、誰でも確実にストレッチしたい筋肉を効果的にストレッチできます。

とはいえ、私たちの身体の筋肉は筋膜を介して相乗作用する筋肉や拮抗する筋肉つながっていて特定の筋肉をストレッチしようとしても、実際には複数の相乗作用する筋肉(協力筋)も同時にストレッチしていることが多いため、効果的なストレッチをするためにはできるだけ関与する筋肉(筋肉群)を少なくなるように姿勢ややり方を工夫する必要があります。

例えば、座り姿勢で短縮しがちな両脚裏のハムストリングも、両脚同時に伸ばそうとするよりも片脚ずつ行う方が、抵抗を制御しやすくなるので特定の筋肉のストレッチ効果をより高められます。

また、協力筋を先にストレッチしておくことで、ターゲットマッスルをストレッチするときの制限要因にならないため(実質的に隔離できる)、より効果的にターゲットマッスルを【ストレッチ】できます。

原則として以下の順番が効果的です。

・最初に背中をストレッチする
・背中をストレッチした後に脇腹をストレッチする
・お尻をストレッチした後にハムストリングをストレッチする
・ふくらはぎをストレッチした後にハムストリングをストレッチする
・スネのストレッチをした後に大腿四頭筋をストレッチする
・胸のストレッチ前に腕のストレッチをする

逆を言えば、複数の筋肉群を同時にストレッチしようとすればするほど抵抗も増えて難易度が高く(コントロールが難しく)なります。

例えば、開脚はストレッチで柔軟性を高めたい人の憧れのポーズですが、両脚を同時に、かつ複数の筋肉群を同時にストレッチしようとしているため、【ストレッチ】方法としては理想的なやり方とは言えません。

レバレッジ

【ストレッチ】におけるレバレッジとは、強度や速度を適切にコントロールすることで、最大の機械効率で筋肉にアプローチすることです。

正しくレバレッジを効かせることができれば、大きな力を使わずに適切な強度で最も効果的な【ストレッチ】できます。

つまり、どんなストレッチ方法でも、運動学的なつながりを意識することで、レバレッジを高めてより効果的な【ストレッチ】になります。

リスク

【ストレッチ】は柔軟性を高めて疲労を回復する優れた効果がありますが、関節の動かし方や筋肉および軟部組織への負荷のかけ方を間違えると関節に負担をかけて怪我につながるリスクが常にあります。

例えば以下の例のように、腱や靭帯に負担のかかるひねりや背骨の椎間板の圧迫などには特に注意が必要です。

十分な解剖学知識と筋力および柔軟性があるか、プロの指導下以外で行う場合以外は、期待できる効果よりもリスクの方が大きいので他の方法(軽減法や代替のストレッチ)を選択するようにしましょう。

ヨガの鋤のポーズ

ヨガの鋤のポーズは、不良姿勢で短縮しがちな筋肉をストレッチする効果があり、正しく行えば背骨の柔軟性を高めて姿勢改効果に優れています。

ただし、正しい理解なく行うと背骨や腰に負担をかけ、肺と心臓を圧迫して呼吸をしにくい姿勢になりやすい傾向があります。

ブリッジ

手のひらと足裏だけで全身を支えて、背中で逆アーチを作るブリッジポーズも、椎間板を圧迫しやすいため、注意が必要です。

ハードル選手ストレッチ

床に座り、片脚を前に真っ直ぐ伸ばしてもう片方の脚は屈曲したまま(または両脚を屈曲したまま)身体を後ろに倒して「大腿四頭筋」を伸ばそうとするストレッチは、膝の内側側副靭帯を伸ばして半月板を圧迫するリスクが非常に高いストレッチ方法です。

ねじれや圧迫で膝蓋骨の位置がずれてしまう可能性もあります。

立位体前屈

立位で身体を股関節から折り曲げて指先をつま先や床につけようする、柔軟性を計測するときにも使われるポーズも、膝や背中を痛めるリスクが高いので注意が必要です。

自分の身体をコントロールできる筋力や柔軟性が十分にない場合、膝が過進展、かつ腰椎下部を圧迫する姿勢になりがちです。

特に脚幅を広くとっているほど膝に負担がかかりやすく、膝関節症など慢性的な損傷につながるリスクもあります。

ツイスト(身体のひねり)

ウエストのくびれを作る効果が高いと人気のツイスト(体幹を捻る運動)ですが、体重や反動を使って急激に大きな力で行うと背骨周りの軟部組織の段断裂を引き起こす場合があります。

立位で行う時は、膝の靭帯にも過剰な負担をかけて損傷につながります。

逆転(逆立ち)

いわゆる逆立ちやヨガでも人気の逆転のポーズなど、頭を下にして脚を上にするポーズは、正しく負荷をコントロールして行えば高いリフレッシュ効果や姿勢改善効果が期待できます。

ただし、血圧が上昇しやすく背骨の安定性も低下するため、心臓血管系や背骨に問題がある場合は負担が大きすぎるので避けましょう。

 

十分な解剖学知識と筋力および柔軟性があるか、プロの指導下以外で行う場合以外は、期待できる効果よりもリスクの方が大きいので他の方法(軽減法や代替のストレッチ)を選択するようにしましょう。

正しい【ストレッチ】の選び方とやり方

【ストレッチ】は目的に応じて、正しい方法を選んで正しい方法で実践することで、期待する効果を実感できます。

例えば、以下の例のように場面や個人の身体の状態、環境など応じて最適なストレッチ方法は変わります。

目的 ストレッチの種類 注意事項
ウォームアップ ダイナミックストレッチ
スタティックストレッチ
その後に行う運動につながる要素を組み込むと効果的
クールダウン パッシブストレッチ 疲労回復が目的なのでリラックスして行う
可動域改善 スタティックストレッチ 入浴後など身体が温かくリラックスしているときに行うと効果的
ボディメイク(姿勢改善) アクティブストレッチ 全身のバランスを整える意識を持つと効果的
ダイエット(有酸素運動) ダイナミックストレッチ 気持ちよい伸びを感じながらストレッチ
リハビリ(機能改善) PNF 神経筋の伝達経路を意識

【ストレッチ】は柔軟性向上を目的に行いますが、柔軟性を高めるには【ストレッチ】で以下の2つの目標を達成する必要があります。

①ストレッチ受容体に伸張した筋長を記憶させる
②結合組織の抵抗を減らす

もし特定の姿勢を補助なく維持できる能動柔軟性(Active Flexibility)を高めたい場合は、上記に加えて姿勢を維持できる筋力も必要です。

【ストレッチ】方法を選んで実践する前に、そもそもどんな柔軟性を高めたいのかを理解しましょう。

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現在の研究では、動的柔軟性(Dynamic Flexibility)を向上させたい場合は、静的ストレッチと動的ストレッチを効果的に組み合わせが有効ですし、受動的柔軟性(Passive Fexibility)向上には、PNFストレッチが最も効率的だと言われています。

正しい方法を選び、正しい手順で行い、1〜2ヶ月程度の時間をかけて怪我を予防しながら、徐々に柔軟性を高めていきましょう。

【ストレッチ】中に痛みや不快感を感じる場合は、原因を特定し、もし損傷がある場合は回復するまで【ストレッチ】やトレーニングを中止してマッサージなど適切な処置を行います。

【ストレッチ】を行って痛みや不快感を感じる場合、以下のいずれかが原因である場合がほとんどです。

組織の問題 生じた要因
軟部組織断裂 ウォームアップが不十分、または負荷が大きい、姿勢が不適切
疲労物質の蓄積 負荷が大きい、ウォームアップが不十分、クールダウンが不十分
筋肉の痙攣 急激かつ過剰な筋肉への負荷

原因によっては、スタティックストレッチやクールダウンを行うことで解消する場合もありますが、組織が損傷している場合はしっかりと回復させてからトレーニングを再開してください。

正しい方法で【ストレッチ】をすれば、翌日に痛みや不快感を生じることはありません。

もし【ストレッチ】前後に痛みや不快感を感じる場合は、ストレッチの負荷ややり方を見直しましょう。

早く柔軟性を高めたいと無理な(過負荷や長時間の)ストレッチをすると、怪我などの原因になるだけでなく、効果が出るまでにかかる時間も長くなってしまいますので、正しい方法でゆっくり時間をかけて取り組みましょう。

【ストレッチ】効果を高めるタイミング

【ストレッチ】は身体が温まっているときにやると効果を高められますので、温まっていない場合は身体を温めるウォームアップを行ってから【ストレッチ】をするようにしましょう。

また、日内リズムで考えると、朝起きて日中活動して夜眠る生活をしている人では、2:30pm-4pmごろが最も身体の柔軟性と強度が高まっているので、朝寝起きの身体で無理をするよりも、午後や1日の終わりの入浴後で身体が温まったタイミングでストレッチする方が効果的です。

「ウォーミングアップ」と【ストレッチ】

【ストレッチ】=「ウォーミングアップ」と勘違いしている人も多いので、まずそれぞれの定義と目的を整理しましょう。

「ウォーミングアップ」の定義は、文字通り「warming up(深部体温を上げる」で、深部体温を1.4 〜 2.8℃程度上昇させることでスポーツなど特定の運動を行うときに動きやすい状態に整える目的で行います。

【ストレッチ】は、正しい方法を選べば「ウォーミングアップ」のプロセスのひとつとしてとても有効です。

また、仕事などの都合で早朝にストレッチをしたい人は、「ウォーミングアップ」のプロセスにそってストレッチを実践しましょう。

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「クールダウン」と【ストレッチ】

【ストレッチ】=「クールダウン」もよく勘違いされますが、「クールダウン」は運動後の疲労や筋肉にたまった乳酸などを減らすために行うプロセスのことです。

【ストレッチ】は、正しい方法を選べば「クールダウン」のプロセスのひとつとしてもとても有効です。

 

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【ストレッチ】と呼吸

呼吸が止まると筋肉が硬くなってしまうので、【ストレッチ】中は、ゆっくりとリラックスした呼吸にコントロールすることで効果を高められます。

呼吸は腹腔(コア)の圧力を調整する体幹筋トレかつアクティブストレッチでもあるので、正しい呼吸をするだけで、リラックス効果、血流改善効果、乳酸や疲労物質の除去効果もあります。

ストレッチ中の呼吸は、鼻からゆっくりと息を吸い込み、胸ではなくお腹を膨らませ、しばらく止めてから、ゆっくりと鼻または口から吐き出します。

鼻から吸うことで、肺に入る空気の異物を取り除いて温めることができるので、できるだけ鼻呼吸を意識しましょう。

また、横隔膜や腹横筋を柔軟に保ったまま、肩やお腹に余計な力が入らずリラックスしていることも重要です。

筋肉が伸びているとき(負荷をかけているとき)に息を吐くようにするとより効果的です。

呼吸の速度は喉の後ろにある声門でコントロールします。

副鼻腔で匂いを嗅ぐような吸い方ではなく、喉の内側でとても柔らかい音(hm-m-m-mn)が出るように吸い、吐くときの喉の内側から安心したため息のような音(hm-m-m-mn)が出るように吐きます。

 

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