下腿(ふくらはぎ)の筋肉

【長母趾屈筋(下腿後面の筋肉)】イラストでわかりやすい筋肉解剖学(作用と起始停止)

歩行のしなやかさやダッシュのときの蹴り出す力に作用する【長母趾屈筋】解剖学構造(起始停止、作用、神経支配)についてイラスト図解を使ってわかりやすく説明しています。

【長母趾屈筋】とは?どこにあるどんな筋肉?

【長母趾屈筋】は、下腿後面から足裏を経由して母趾に停止する羽状筋で、「膝窩筋」「後脛骨筋」「長趾屈筋」と共に下腿後面深層の筋肉に分類されます。

  • 名称:長母趾屈筋
  • ふりがな:ちょうぼしくっきん
  • 英語名:Flexor Hallucis Longus

【長母趾屈筋】の主な作用は「母趾屈曲(長母趾伸筋の拮抗筋)」ですが、「足の内側縦アーチ」にも関与していますし、「足関節底屈」や「足の内反」にも作用し、歩行のしなやかさやダッシュのときの蹴り出す力をサポートします。

【長母趾屈筋】起始停止

【長母趾屈筋】は、「腓骨」後部から起始して「腓骨」に沿って下降し、足首後部を経由して足底を走行して「母趾」に停止します。

起始停止
腓骨後面下方2/3
下腿骨間膜
後部筋間中隔
後脛骨筋筋膜
母趾末節骨底

【長母趾屈筋】は下腿後面深層の筋肉の中でも腓骨側にあり、主要な筋繊維は腓骨後面下方2/3から起始しますが、一部は「下腿骨間膜下方」「後部筋間中隔」「後脛骨筋」を覆う筋膜からも起始しています。

【長母趾屈筋】は、各起始部から「腓骨」に沿うように腱の片側に斜めの筋腹を構成しながら「後脛骨筋腱」の下外側を下降したら足の内側で【長母趾屈筋】腱となり、屈筋支帯で覆われた足根管を通過して前外側を通過する「長趾屈筋」腱と交差し、足底で母趾腱鞘を経由して母趾末節骨底に停止します。

【長母趾屈筋】腱が「長趾屈筋」腱と交差するときに、内側二本の「長趾屈筋」腱と結合する繊維を分岐することもあります。

【長母趾屈筋】作用

【長母趾屈筋】の主な作用は「母趾屈曲(長母趾伸筋の拮抗筋)」と「足の内側縦アーチ(土踏まず)形成と維持」です。

また、「距腿関節(足関節)」および「距骨下(距踵)関節」も経由しているため、他の筋肉群と相乗的に作用して、立位や歩行における足部関節の安定もサポートしています。

関節作用
距腿関節(足関節)底屈
距骨下(距踵)関節内反
中足趾節関節(第1趾MTP)屈曲
足趾節間関節(第1趾IP)屈曲

【長母趾屈筋】は、足が地面から離れるときには「長趾屈筋」と共に作用して足のつま先を屈曲し、足底が接地しているときは、足の内在筋と相乗的に作用して、つま先で地面をしっかりと捉えるように作用します。

【長母趾屈筋】は、ただ立っているときにはあまり働いていませんが、つま先立ちになるときやダッシュなど足を強く蹴り出す時にはとてもよく働きます。

【長母趾屈筋】神経支配

【長母趾屈筋】は、「脛骨神経(L4, L5, S1, S2, S3)」支配です。

【長母趾屈筋】触診

【長母趾屈筋】の筋腹は「下腿三頭筋」の深層にあるため、踵骨の内側に触れ母趾を屈曲伸展することで、【長母趾屈筋】腱の動きを確認できます。

足の内側の【長母趾屈筋】腱は、足根管(足首の骨と屈筋支帯の間)最外側を通過しますので、外科手術などでも重要なランドマークになります。

【長母趾屈筋】は「後脛骨血管」「脛骨神経」と密接していて、「後脛骨筋」とは一部重なりあっていますし、外側には「腓骨筋群(長腓骨筋と短腓骨筋)」があり、深層には、「腓骨」「腓骨動脈」「腓骨静脈」があります。

【長母趾屈筋】ストレッチと筋トレ

【長母趾屈筋】は、足部全体の構造を理解して、目的に合わせてトレーニングやコンディショニングを実践しましょう。

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