【足関節(足部関節)と足趾関節】運動方向(作用とROM)【イラスト図解でわかりやすい運動学と解剖学】

関節の動きと可動域
この記事は約11分で読めます。

【足部(かかとや足首〜足のゆび先まで)】には左右で56個の骨で構成されていて、それぞれの骨結合ごとに関節面があります。

また、配列や筋肉の作用ごとに、運動機能関節や足裏のアーチ(土踏まず)を作る構造などにも区分でき、体重を支える足部の安定性を維持しつつ、多様な方向へ 運動できます。

レオナルドダビンチも「工学の傑作」と称賛した優れた構造を持つ【足関節(足部関節)および足趾関節】の運動方向や可動域(ROM)】についてイラスト図解を用いてわかりやすくまとめました。

【足部関節】とは?どこにあるどんな関節

【足部(かかとや足首〜足のゆび先まで)】は左右合わせて56個の骨で構成されています。

足部骨について詳しくはこちら!
【足根骨・中足骨・足趾骨】イラスト図解でわかりやすい骨解剖学
【足根骨・中足骨・足趾骨】は、立位歩行においては唯一地面と直接面する骨です。 体重を支えるためにアーチを作るなど、二本足歩行を行う人間特有の構造を持っている【足根骨・中足骨・足趾骨】についてイラスト図解を使ってわかりやすく解説しています。 【足根骨・中足骨・足趾骨】とは?どこにあるどんな骨? 【足根骨・中足骨・足趾骨】は足首以下、立位歩行時に地面や床と瀬する面を作る複数の小さな骨の集合体です。 足根骨:かかとや土踏まずなどを構成する骨 ...

下腿骨(脛骨・腓骨)と足関節を構成して脚(下肢)の構成要素となり、立位歩行時に床面と接して体重を支えつつ動作がコントロールできるように複数の関節が相互に連動しています。

【足部および足趾】は骨ごとの結合による関節面はもちろん、機能(主要な運動方向)ごとの関節も定義されています。

実際の動作においては足部の運動は足部関節が相互に作用する複合運動として生じ、足部の安定性と可動性を両立しています。

体重を支えて安定させつつも、水平方向(歩行やランニング)にも垂直方向(ジャンプ)に大きな運動ができるような仕組みで構築された足関節は、人体工学の最高傑作です。

  • 距腿関節(Ankle Joint):下腿骨(脛骨・腓骨)と距骨で構成される関節で狭義の足関節
  • 距骨下(距踵)関節(Subtalar Joint):距骨下面と踵骨上面(後踵骨関節面)による関節
  • 距踵舟関節:距骨下面と舟状骨の前距骨関節面および中距骨関節面による関節
  • 踵立方関節:踵骨と立方骨による関節
  • ショパール関節(横足根関節):距踵舟関節+踵立方関節
  • リスフラン関節(足根中足関節):遠位足根骨と中足骨底による関節
  • 中足趾節間関節(MTP):中足骨と基節骨による関節
  • 近位趾節間関節(PIP):基節骨と中節骨による関節
  • 遠位趾節間関節(DIP):中節骨と末節骨による関節

骨の形状や配列、関節面の解剖学構造を理解して置くことで、運動方向がイメージしやすくなります。

【足部関節】解剖構造と運動方向の特徴

【足部関節】の主な可動関節の特徴と可動方向についてまず整理します。

地面に足をつける運動(立位や歩行)においては必ず足関節の運動が必要になります。

立位で踵を上げたり下ろしたりする時の主動作は、足関節(足部関節)の底屈⇄背屈ですが、もし、足関節の動きが【底屈⇄背屈】だけだったら、普通に歩行しているだけでもちょっとバランスを崩すだけで簡単に捻挫してしまいますし、サッカー、バスケ、テニスなど素早く方向転換してダッシュするようなスポーツはできません。

足関節(距腿関節) 距骨下関節(距踵関節) ショパール関節 リスフラン関節
蝶番関節 滑走関節(+球状関節構造) 滑走関節(+球状関節) 滑走関節
矢状面 底屈⇄背屈 底屈⇄背屈 底屈⇄背屈 屈曲⇄伸展
横断面 (内旋⇄外旋) 内旋⇄外旋 内転⇄外転 内転⇄外転
前額面 (内反⇄外反) 内反⇄外反 内反⇄外反 内反⇄外反

足部運動が単純な矢上面での上下運動(背屈⇄底屈)だけでなく、複数の骨と筋肉で構成される足のアーチ構造や前額面や横断面を含む動きがあることで、足首の可動性と安定性が両立できる仕組みになっています。

【足関節(距腿関節)】運動方向と可動域

【足関節(距腿関節)】とはいわゆる足首(ankle)部分のことで、下腿(脚)と足部(足)を繋ぐ3つの骨で構成される関節です。

解剖学でより詳しく説明すると「距骨上面の距骨滑車(円筒のような凸)」が「下腿骨(脛骨・腓骨)下面(凹)」に嵌まり込む構造の滑膜性蝶番関節です。

【足関節(距腿関節)】基本の運動方向は底屈⇄背屈(矢上面)となります。

足背は足の甲(上部)で、足底は足の裏(下部)のことなので、足首を上方向に動かす足関節運動を「背屈」、足首を下方向に動かす足関節運動を「底屈」と呼びます。

【足関節(距腿関節)背屈】は、足先を持ち上げてかかとを下げる運動で、同時に足趾間が開きやすい傾向があります。

【足関節(距腿関節)底屈】は足先を引き下げて踵を持ち上げる運動なので、バレエのようにつま先で押す運動が同時に生じる傾向があります。

足関節「底屈⇄背屈」運動もオープンチェーン(非荷重)かクローズドチェーン(荷重)かで他の関節への連動や影響が変わってきます。

椅子に座っていたりベットや床で長坐位になっている時など足首が自由に動ける完全なオープンチェーンの場合は、下腿骨に対して距骨が動くので他の関節には影響がありません。

一方、足部に体重が乗っている状態では、距骨に対して下腿骨や距骨を介して荷重を受ける他の足部関節も連動します。

実際の運動場面で例をあげると、足関節底屈は歩行時に踵を持ち上げたり立ち上がったりする時の重要な運動要素になり、足関節背屈は持ち上げた踵を床に下ろしたりしゃがむ時の重要な運動要素になります。

もう一つ抑えておきたいポイントは、距腿関節の安定性と運動軸が底背屈運動の角度によって変化するということです。

これは、距骨は前方は後方よりも平均で約4.2mmほど幅広になっていて、距骨と関節面を構成する腓骨外果が脛骨内果よりも後下方に位置していることにより生じます。

つまり、【足関節】の可動域や運動方向を考える上で重要なポイントは、基本姿勢(真っ直ぐ立っていて一番安定している状態)で、下腿軸が内側に回旋して足関節が背屈しているということです。

バイオメカニズムの詳細を説明をすると長く難しくなってしまうので別の記事で解説しますが、足関節の運動方向と可動域を考える上で重要なことは、【荷重時(いわゆる日常の立位歩行やスポーツをする時)の足関節の運動においては純粋な足関節のみの底背屈など単関節や短軸方向での運動ではなく、他の関節の運動と付着する筋肉や靭帯などに影響を受けながらの複合運動になっている】ということです。

【足関節(距腿関節)】運動により生じる軸の変化や他の骨との関節面との連動などで、「外旋⇄内旋(水平面)」および「外反⇄内反(前額面)」方向にもわずかに動きます。

「足関節内旋(内転)および外旋(外転)」は踵を中心にした水平面でのごくわずかな動きで、「足関節内反および外反」は、足裏が内側または外側に回転する前額面での動きです。

運動方向 同時に起こりやすい運動 参考ROM 作用する筋肉
足関節背屈(DorsiFlexion) 外旋+内反 10-20度 前脛骨筋
長趾伸筋
長母趾伸筋
第3腓骨筋
足関節底屈(PlantarFlexion) 内旋+外反 20-50度 腓腹筋(膝伸展時)
ヒラメ筋
足底筋
後脛骨筋
長趾屈筋
長母趾屈筋
長腓骨筋と短腓骨筋

【足関節】運動は、歩行や立位運動で地面(床)を捉えたり、足を蹴り出すなどの際に重要な役割があり、これらの運動を起こす筋肉は下腿および足部の前面、後面、および側面に付着しています。

【足関節底屈】は体を前に押し出す運動なので、歩行、ランニング、ジャンプなどで重要な動きになります。

歩行において、腓腹筋は足を底屈してかかとを持ち上げ、ヒラメ筋は脚を足に安定させるために強い力を発揮しています。

【足関節背屈】は、歩行やランニングなどの際につま先が床を擦らないようにしたり、前傾姿勢を保つスキーやスケートなどで重要な運動です。

背面深層にある後脛骨筋や長趾屈筋、外側にある長腓骨筋なども足関節背屈に補助的に作用します。

足首を背面曲する時は指と指の間が開く傾向があり、足関節を底屈する時は、指と指の間が近くように足先が押し合うようになります。

合わせてチェック!
下腿(ふくらはぎ)の筋肉を一覧にまとめました。
第二の心臓とも呼ばれる下腿(ふくらはぎ)の筋肉は、二本足動物としてのパフォーマンスを高めるために重要な役割をしています。膝下から足首までの間に筋腹を持つ下腿(ふくらはぎ)の筋肉の解剖学構造(起始停止や作用)をイラスト図などを使ってわかりやすく説明してます。
足と足趾の筋肉を一覧にまとめました。
26個の骨で構成される足部に付着して二本足歩行を獲得した人間特有の構造や機能を支えている足部(足底と足背)に筋腹を持つ筋肉の解剖学構造(起始停止や作用)をイラスト図を用いてわかりやすく説明しています。足機能的なアーチを作って扁平足や外反母趾など足のトラブルを予防し、安定した歩行や立位バランスを高めるために必要な解剖学知識です。

 

【距骨下関節(距踵関節)】解剖学特徴と運動方向

【距骨下関節(距踵関節)】はいわゆるかかとの骨と下腿骨と直接つながる距骨との関節で、足関節の真下にあります。

距骨を介して踵と脚をつないでいる関節とも言え、足関節(距腿関節)と連動して動くことで立位運動時の衝撃吸収に重要な役割を果たしていますが、過剰な内反や回内で捻挫や損傷を起こす時に問題となることが多い足部の関節のひとつでもあります。

【距骨下関節(距踵関節)】は距骨下面と踵骨上面(後踵骨関節面)で構成される滑走関節ですが、以下の2つの関節面が作用して球関節の要素も加わります。

  • 距骨後下部と踵骨後上部による後外側の関節面結合
  • 距骨頭、載距突起(踵骨)、舟状骨近位部による球関節と似た構造の前内側関節面(ショパール関節の一部)

【距骨下関節(距踵関節)】は基本3面での運動方向に加えて、三面の運動方向が合わさった複合運動も生じます。

運動面 運動方向
矢状面 底屈 背屈
前額面 外反 内反
横断面 内旋 外旋
複合運動 回内 回外

矢上面、前額面、横断面の運動における基本的な考え方は脚足関節と同じなので、回内⇄回外運動について説明します。

【距骨下関節】では、足部に体重が乗っている時は踵骨に対し距骨が動くので、距骨の動きに連動して下腿骨(脛骨・腓骨)から下肢ポジションに変化が生じますが、足部に体重が乗っていない時は距骨に対して踵骨が動きます。

つまり、【距骨下関節回内⇄回外運動】では、荷重時と非荷重時で以下のように異なる運動連鎖が生じます。

回内 回外
非荷重時 踵骨 外反+外転+背屈 内反+内転+底屈
距骨 なし なし
荷重時 踵骨 外反 内反
距骨 内転+底屈 外転+背屈

非荷重時では、回内⇄回外運動は、距骨下関節における踵骨の動きのみで、距腿関節や横足根関節は関与しません。

荷重時の回内⇄回外運動では、踵骨の動きに加えて距骨も動くため、より近位の関節やポジションに影響します。

【ショパール関節(横足根関節)】解剖学特徴と運動方向

【ショパール関節(横足根関節)】は、足根部を横断するように存在する以下の2つの関節の組み合わせのことです。

  • 距踵舟関節:距骨および踵骨と舟状骨による関節で凹凸による球関節状(球関節より制限あり)関節
  • 踵立方関節:踵骨と立方骨による滑走関節

【ショパール関節(横足根関節)】は、足関節および距骨下関節に連動して側根間で運動を行います。

運動面 運動方向
矢状面 底屈 背屈
前額面 内反 外反
横断面 内転 外転

 

【リスフラン関節(足根中足関節)】解剖学特徴と運動方向

【リスフラン関節(足根中足関節)】は、足根骨(立方骨と3つ並んだ楔状骨)と中足骨近位端で構成される滑走関節です。

【リスフラン関節(足根中足関節)】は、歩く、走る、ジャンプするなど体重を支えながら行う運動を、足のアーチを平にしたり、盛り上げたりすることで調整する役割があります。

また、足の底屈⇄背屈と同時に生じる【リスフラン関節(足根中足関節)】の内反⇄外反運動は、ゴツゴツした道や不安定な面で身体のバランスをとるために重要な作用です。

【足の外反】は、足の裏が身体の正中線から離れて外側を向く運動で、【足の内反】は足の裏側を見る時のように足の裏が身体の正中線から離れて内側を向く運動です。

日常生活だけでなく、サッカーのリフティングや空手など武道の蹴りなどでも重要な動きのひとつになります。

【足趾関節】運動方向と可動域

【足趾関節】は大きく以下の2つに分類できます。

  • 中足趾節関節:各足趾の中足骨頭と基節骨底による関節
  • 指節間関節:各趾節間の関節

【足趾関節】は近位・遠位それぞれ各足趾にありますが、それぞれ以下の方向へ動きます。

中足趾節関節(MTP) 母趾指節間関節(IP) 近位趾節間関節(PIP) 遠位趾節間関節(DIP)
顆状関節 蝶番関節 蝶番関節 蝶番関節
矢状面 伸展⇄屈曲 伸展⇄屈曲 伸展⇄屈曲 伸展⇄屈曲
横断面 外転⇄内転 MTPに追従 MTPに追従 MTPに追従
前額面 回旋 MTPに追従 MTPに追従 MTPに追従

つま先(足趾)の動きは、手先(手指)の動きほど大きくありませんが、立位保持や歩行においてとても重要な役割があります。

歩行時に足が地面から離れて前に降り出す時には、つま先は上方向に伸展しながらわずかに広がり、つかっかりを防ぐ方向に動きますし、足が床に着地する時には屈曲して地面を掴んで立位を安定させます。

 

運動方向 補足 参考ROM 作用する筋肉
屈曲
伸展
外転
内転
回旋

 

タイトルとURLをコピーしました