上腕(二の腕)の筋肉

【上腕二頭筋】イラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学(作用と起始停止)

腕の筋肉の中でも一番有名な、いわゆる「力こぶ」の筋肉【上腕二頭筋】の解剖学構造(起始停止、作用、神経支配)についてイラスト図解を使ってわかりやすく説明しています。

【上腕二頭筋】とは?どこにあるどんな筋肉?

【上腕二頭筋】は上腕前部表層を占める大きく分厚い筋肉で、2頭で起始しているため【上腕二頭筋】と呼ばれます。

  • 名称:上腕二頭筋
  • ふりがな:じょうわんにとうきん
  • 英語名:Biceps Brachii

腕の筋肉の中でも一番有名な、いわゆる「力こぶ」の筋肉である【上腕二頭筋】は、「肩関節」と「肘関節」をまたぐ構造のため、腕の様々な運動に作用し、特に前腕の「屈曲」と「回外」に強く作用します。

つまり、【上腕二頭筋】は、肘を曲げて手を顔や頭に近づけたり物を持ち上げたりなど人間として生きていくために欠かせない活動をはじめ、大きく厚い筋肉なので腕の見た目(ボディビルディングやボディメイク)やスポーツパフォーマンスにも大きく影響する筋肉です。

【上腕二頭筋】起始停止

【上腕二頭筋】は、肩甲骨の異なる2箇所から2頭で起始し、大きな筋腹を作って下降して「橈骨粗面」に停止します。

起始
長頭肩甲骨関節上結節
短頭肩甲骨烏口突起

【上腕二頭筋】長頭は、「肩甲骨関節上結節」から腱で起始して、上腕骨頭で折れるように曲りて結節間溝を下降し、【上腕二頭筋】短頭は、「肩甲骨烏口突起先端」から起始し、「烏口腕筋」腱起始部の腱と一部結合しています。

【上腕二頭筋】長頭と【上腕二頭筋】短頭、それぞれ下降する筋繊維が合してひとつの大きな筋腹を作り、上腕骨前面を走行し、橈骨粗面に停止しますは、【上腕二頭筋】遠位部から生じる上腕二頭筋腱膜は、「前腕筋膜」に停止します。

【上腕二頭筋】作用

【上腕二頭筋】は「肩甲骨」から「橈骨」に走行しているため、「肩関節」と「肘関節」に作用する二関節筋で、「肩関節」においては、長頭と短頭では一部拮抗する運動に作用します。

 関節作用
肘関節屈曲
回外
肩関節(両頭同時)屈曲補助
肩関節の安定
肩関節(長頭)外転
内旋
肩関節(短頭)内転

「肘関節」においては、前腕回外時の屈曲に強力に作用し、肘関節が屈曲している状態では前腕の回外筋としても強力に働きますが、前腕回内時には橈骨が回転して橈骨粗面がずれるため屈曲する力が弱くなります。

「肩関節」において、【上腕二頭筋】長頭は外転と内旋、【上腕二頭筋】短頭は内転方向への力が働き、【上腕二頭筋】両頭が同時の場合は屈曲に作用しますが、これら拮抗する要素も含む肩甲帯の多方向への作用により、拮抗筋である「上腕三頭筋」と共に肩甲上腕関節を(上腕骨頭と肩関節に)安定させる役割があります。

【上腕二頭筋】神経支配

【上腕二頭筋】は、「腕神経叢の枝である筋皮神経(C5-C6)」支配です。

【上腕二頭筋】触診

【上腕二頭筋】は、腕前面最表層の筋肉で、「肘関節屈曲」や「肘関節屈曲位での回外」で筋腹や停止位の腱をわかりやすく触診できます。

【上腕二頭筋】起始部は「三角筋」に覆われ、深層には「烏口腕筋」および「上腕筋」があります。

【上腕二頭筋】と拮抗する作用の「上腕三頭筋」は、境となる2つの溝(内側二頭筋溝と外側二頭筋溝)を構成していて、内側二頭筋溝には、上腕動脈、尺骨神経、正中神経が走行し、外側二頭筋溝には橈骨神経が走行しています。

【上腕二頭筋】ストレッチと筋トレ

【上腕二頭筋】は、前腕回外位での肘屈曲や肘屈曲位での回外運動で強化できますが、拮抗筋である「上腕三頭筋」とのバランスや「肩関節」への影響も考慮し、目的に応じて負荷や体位を調整しましょう。

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