【甲状舌骨筋（舌骨下筋群）】イラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学（作用と起始停止）

嚥下時の「舌骨」引き下げや高音を出す時の「咽頭」の動きにも作用する【甲状舌骨筋】解剖学構造（起始停止、作用、神経支配）についてイラスト図解を使ってわかりやすく説明しています。

【甲状舌骨筋】とは？どこにあるどんな筋肉？

【甲状舌骨筋】は、頸部前面深層の筋肉群のうち、「胸骨舌骨筋」「肩甲舌骨筋」「胸骨甲状筋」と共に「舌骨下筋」に分類される筋肉です。

「舌骨下筋」とは、発声、嚥下、咀嚼中に「舌骨」と「喉頭の甲状軟骨」の動きや位置を調整してる筋肉群のことで、名前の通り舌骨より下位にあります。

「舌骨下筋」は更に、表層（「胸骨舌骨筋」「肩甲舌骨筋」）と深層（「胸骨甲状筋」「甲状舌骨筋」）に分類できます。

• 名称：甲状舌骨筋
• ふりがな：こうじょうぜっこつきん
• 英語名：Thyrohyoid

【甲状舌骨筋】は同じく「舌骨下筋群深層」に分類される「胸骨甲状筋」の上部にある四角形の小さい筋肉で、「胸骨甲状筋」の頭蓋拡張部とみなされることもありますが、「胸骨甲状筋」とは神経支配と一部作用が異なります。

【甲状舌骨筋】も他の「舌骨下筋」と相乗的に作用して嚥下後の「舌骨引き下げ（気道再開通）」に働く他、「舌骨上筋」とも働いて高音を出す時の「咽頭挙上」にも作用します。

【甲状舌骨筋】起始停止

【甲状舌骨筋】は「胸骨甲状筋」停止部である「甲状軟骨斜線」から起始し、垂直方向に四角の筋腹を構成して「舌骨大角と下縁」に停止します。

【甲状舌骨筋】作用

【甲状舌骨筋】の作用は、「舌骨の下制」と「咽頭の挙上」です。

【甲状舌骨筋】は、他の「舌骨下筋」との相乗作用により、嚥下後に気道を再開通させるための「舌骨引き下げ」に作用しますが、「舌骨上筋」によって舌骨が上方に固定させている時には、【甲状舌骨筋】は「咽頭挙上」に作用し、歌唱時などに高音を出す時に作用します。

【甲状舌骨筋】神経支配

【甲状舌骨筋】は他の「舌骨下筋」と同じ「頸神経ワナ」支配ではなく、「脊髄神経C1の前枝による舌下神経（CN XII）」支配です。

【甲状舌骨筋】への「舌下神経（CN XII）」は、舌骨舌筋後縁付近で分岐します。

【甲状舌骨筋】触診

舌骨下筋群に含まれる4筋は「前頸三角」を更に細分化した「筋三角（正中線・肩甲舌骨筋上腹・胸鎖乳突筋前縁）」内にあります。

【甲状舌骨筋】前側を「胸骨舌骨筋」斜め繊維と「肩甲舌骨筋 上腹」が交差し、上側を「茎突舌骨筋」と「顎二腹筋」後腹が走行します。

【甲状舌骨筋】外側には、「外頸動脈」と「内頸静脈」の分枝である「上甲状腺動脈と静脈」が隣接しています。

【甲状舌骨筋】ストレッチと筋トレ

【甲状舌骨筋】は、他の「舌骨下筋」との相乗作用により、嚥下後に気道を再開通させるための「舌骨引き下げ」に作用する他、「舌骨上筋」によって舌骨が上方に固定させている時には、【甲状舌骨筋】は「咽頭挙上」に作用し、歌唱時などに高音を出す時に作用します。

「咽頭」の神経構造とも密接している筋肉なので、他の「舌骨筋」や「咀嚼筋」と合わせて解剖学構造を理解したメンテナンスを実践しましょう。