母指IPの独立した屈曲運動に作用する唯一の筋肉【長母指屈筋】解剖学構造(起始停止、作用、神経支配)をイラスト図解を使ってわかりやすく解説しています。
【長母指屈筋】とは?どこにあるどんな筋肉?
【長母指屈筋】は、「深指屈筋」「方形回内筋」と共に前腕前面深層の筋肉群に分類され、前腕前面表層筋群の深層(骨の近く)に存在します。
- 名称:長母指屈筋
- ふりがな:ちょうぼしくっきん
- 英語名:Flexor Pollicis Longus
【長母指屈筋】は母指IPの独立した屈曲運動に作用する唯一の筋肉として「深指屈筋」と並走し、握る動作に大きく貢献しています。
【長母指屈筋】起始停止
【長母指屈筋】は、「橈骨」および周辺組織から広範囲で起始し、3つの関節を経て下降し、「母指(第1指)末節骨底」に停止します。
起始 | 停止 |
---|---|
橈骨前面 | 母指(第1指)末節骨底掌側面 |
【長母指屈筋】は橈骨前面広範囲(「橈骨粗面」から「方形回内筋」付着部あたり)から広範囲で起始しますが、隣接する「骨間膜前面」や「尺骨鉤状突起外側縁」、更には「尺骨鉤状突起内側縁」や「上腕骨内側上顆」あたりまで広がっている場合もあります。
また、【長母指屈筋】は、「浅指屈筋」「深指屈筋」「円回内筋」と癒合している場合もあったり、ごく稀に完全に欠損しているケースもあるなど、形状にかなり個人差があります。
【長母指屈筋】は、手首近くで平らな腱に移行し、「屈筋支帯」を通過して手掌に入り、「母指(第1指)末節骨底掌側面」に停止します。
【長母指屈筋】作用
【長母指屈筋】は、「母指(第1指)指節間関節屈曲」に作用する唯一の筋肉として、握り拳を作ったり、物を掴む時に不可欠な動作に貢献しています。
関節 | 作用 |
---|---|
母指(第1指)中手指節関節および指節間関節 | 屈曲 |
手関節 | 掌屈(屈曲) |
また、【長母指屈筋】は、他の筋肉群と相乗的に、「母指(第1指)中手指節関節屈曲」や「手首の掌屈(屈曲)」にも作用します。
【長母指屈筋】神経支配
【長母指屈筋】は、「正中神経(前骨間神経C7-C8)」支配です。
【長母指屈筋】触診
【長母指屈筋】は、親指を曲げると前腕の下1/3で簡単に触診できます。
【長母指屈筋】は前腕部では「深指屈筋」外側を走行し、手首部分「屈筋支帯」の下では腱となって「母指対立筋」と「母指内転筋斜頭」の間を通過します。
【長母指屈筋】と「深指屈筋」間の溝には、「前骨間神経、動脈、静脈」が骨間膜上を通過しています。
【長母指屈筋】ストレッチと筋トレ
【長母指屈筋】は、前腕筋群および手内筋全体の構造を把握することで効果的にコンディショニングができます。
前腕を太くするボディメイクトレーニング、握力を強化したい、手首や指を使うスポーツや動作のパフォーマンス向上や疲労時のメンテナンスなど目的に合わせて調整しましょう。