【長趾伸筋】は、下腿(スネ部分)前側にある筋肉のひとつで、足部と足趾に作用して、歩行時などに足のつま先が床にひっかからないように調整してくれています。
スムースな歩行や立位動作に重要な役割を果たす 【長趾伸筋】の構造についてイラスト図解を使ってわかりやすく説明しています。
【長趾伸筋】とは?どこにあるどんな筋肉?
【長趾伸筋】は下腿前面にある羽状の筋肉で、「前脛骨筋」「第三腓骨筋」「長母趾伸筋」と共に下腿前面に筋腹を持つ足首伸筋群に分類されます。
- 名称:長趾伸筋
- ふりがな:ちょうししんきん
- 英語名:Extensor Digitorum Longus(EDL)
【長趾伸筋】は、足背を横切り背屈運動に作用すると共に、距骨下関節、中足趾節関節、足趾節間関節も経由するため、距骨下関節外反や足趾伸展にも作用します。
【長趾伸筋】起始停止
【長趾伸筋】は下腿前面から起始し、足首を経由して4本の腱に別れ、更に2つの束に別れて第2~5趾の中節骨と末節骨に停止します。
起始 | 停止 | |
---|---|---|
長趾伸筋 | 脛骨外側顆・腓骨内側面(近位1/2)・下腿骨間膜 | 第2~5趾中節骨と末節骨 |
【長趾伸筋】は、脛骨外側顆下部、腓骨内側面の近位半分、骨間膜前面から起始しますが、脛骨外側顆から起始する筋繊維の一部は、「長腓骨筋」起始部の繊維と融合しています。
各起始からの繊維はそれぞれ下降して足首の上部で腱に移行し、上伸筋支帯と下伸筋支帯を通過します。
下伸筋支帯内で、4つの小さな腱に分岐して滑膜鞘に包まれ、第2-5足趾先端に向かってそれぞれ走行します。
基節骨の表面では、それぞれの腱が広がって三角形のフード(伸筋フード)を構成し、内側は足の虫様筋腱と混ざり合い、外側は短趾伸筋腱と結合します。
伸筋フードは基節骨上を走行し、中節骨底で中央束と2つの側縁束に別れます。
中央束は第2~5趾中節骨底に停止し、側縁束は中節骨を超えて末節骨近位部で一つの腱になり末節骨に停止します。
【長趾伸筋】は、全ての繊維が腱の片側に付着しているため、羽状筋に分類されます。
【長趾伸筋】と「前脛骨筋」の間を前脛骨動脈と静脈が通過します。
【長趾伸筋】遠位部は足関節前側を横切りますが、支帯内で【長趾伸筋】腱は、「第三腓骨筋」腱内側かつ「長母趾伸筋」腱外側に位置します。
背足では、「短趾伸筋」表層を走行しています。
【長趾伸筋】作用
【長趾伸筋】の主な作用は、第2-5趾中足趾節関節の伸展です。
理論上、【長趾伸筋】が単独で作用する場合(足趾節間関節含む)つま先全体を伸ばすことはできませんが、実際には足趾節間関節に作用する足の虫様筋と一緒に収縮して、第2-5趾足趾前関節を伸展できます。
関節 | 作用 |
---|---|
距腿関節(足関節) | 背屈(底屈抑制) |
距骨下(距踵)関節 | 外反 |
中足趾節関節(第2-5趾MTP) | 伸展 |
足趾節間関節(第2-5趾IP) | 伸展 |
また、下腿前面の筋肉群である「前脛骨筋」「長母趾伸筋」「第三腓骨筋」と協調的に作用することで、遠位部が自由に動かせる時は足関節背屈に作用し、足底が床に固定されている時は、体幹を下肢を前方へ傾けて重心を近位から遠位へ移動させる作用が生じます。
【長趾伸筋】は、底屈筋と背屈筋とのバランスを保つためにも重要で、特に歩行などの際に、かかとが地面に着くまで足や足趾を持ち上げ続ける時に重要で、足先が床に突っかからないように作用しています。
【長趾伸筋】神経支配
【長趾伸筋】は、総腓骨神経の枝である深腓骨神経(L5、S1)支配です。
- 深腓骨神経(L4~S1)
【長趾伸筋】触診
【長趾伸筋】は、下腿前面の筋肉の中で最外側(「前脛骨筋」および「長母趾伸筋」外側)にあります。
最内側にある「前脛骨筋」との区別を意識し、足趾運動や外反運動を加えることで識別しやすくなります。
【長趾伸筋】ストレッチと筋トレ
【長趾伸筋】は、足部全体の構造を理解してトレーニングする必要があります。