腹筋(コアの筋肉)

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】くびれをつくる横腹筋【イラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学(作用と起始停止)】

「くびれたウエストや自慢したくなる腹筋作り」に意識したい「斜めの腹筋」:【腹斜筋】の解剖学構造(起始・停止・作用・神経支配)をイラスト図解で正しく理解し、効果的な【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】トレーニングをしましょう!

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】とは

【腹斜筋】は、名前の通り、腹部側面を斜めに走行している薄いシート状の腹筋で、表層にある【外腹斜筋】と、その直下(深層)で走行が直行する【内腹斜筋】の二層に別れます。

 読み方(ふりがな)英語
外腹斜筋がいふくしゃきんExternal Oblique
内腹斜筋ないふくしゃきんInternal Oblique

「腹筋群」の分類では、【腹斜筋】は「側腹筋群」に分類され、「側腹筋群」には、【外腹斜筋】【内腹斜筋】「腹横筋」が含まれます。

「側腹筋群」は、表層から順に【外腹斜筋】【内腹斜筋】「腹横筋」と三層構造になっていて、最表層に【外腹斜筋】、その直下に【外腹斜筋】と走行が直行する【内腹斜筋】があり、その深層に腹腔をぐるりと横方向の繊維で囲む腹部最深層の筋肉である「腹横筋」があります。

腹筋トレーニングといえば、バキバキのシックスパックやお腹なの縦線を作る「腹直筋」トレーニングに注目しがちですが、【腹斜筋】を鍛えるとウエストのくびれがわかりやすくなり、お腹周りが引き締まってメリハリが出るので、シックスパックやお腹の縦線も含めてお腹ライン全体がキレイに整います。

【腹斜筋】を正しく鍛えることで腹筋群全体として腹部内臓の位置を安定させる効果も高まるので、姿勢改善効果、下腹を凹ませる効果、便秘解消効果など、様々な美容健康効果も期待できます。

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】起始停止

【腹斜筋】は、表層にある【外腹斜筋】とその直下にある【内腹斜筋】の二層に別れ、【外腹斜筋】と【内腹斜筋】の走行は互いに直行しています。

 起始停止
外腹斜筋第5(6)~12肋骨外面白線・恥骨結節・腸骨稜前半分
内腹斜筋腸恥筋膜弓・腸骨稜前部2/3・腸骨稜後端と胸腰筋膜結合腱を介して恥骨櫛と腸骨稜・白線・第10~12肋骨下縁

【外腹斜筋】起始停止と隣接組織

【外腹斜筋】は「側腹筋群」の中でも最大かつ最表層にある筋肉で、胸部や腹部の皮膚下で「内腹斜筋」「肋骨前半分」「肋間筋」を覆っています。

【外腹斜筋】は、第5-12肋骨外面から起始して「広背筋」や「前鋸筋」の繊維と統合しながら胸郭外側にジグザグに斜めラインを形成し、筋繊維は腹部正中線と下縁に向かって走行します。

【外腹斜筋】筋腹部分は側腹部を、筋膜部分は腹直筋鞘の前葉で前腹部を構成し、下縁はASISと恥骨結節の間に伸びて後方にカーブして鼠径靭帯(鼠径管底)を構成します。

最後方の繊維はほぼ垂直に走行しますが、ほとんどの繊維は前内側を通過して扇状に広がり、鎖骨中央線(鎖骨中央を通る垂直線)内側とおへそと「上前腸骨棘(ASIS)」を結ぶ線の下あたりで腱膜となり、「白線」「恥骨結節」「腸骨稜前半分」に停止します。

他の「側腹筋群(内腹斜筋と腹横筋)」後縁は「胸腰筋膜」に付着していますが、【外腹斜筋】後縁には特定の付着部がありません。

【内腹斜筋】起始停止と隣接組織

【内腹斜筋】は「側腹筋群」中間層の筋肉で、「外腹斜筋」の深層で「腹横筋」表層にあります。

肋骨縁下では、【内腹斜筋】腱膜上部3/4が腹直筋周囲の深層および表層に別れますが、深層部は「腹横筋」と合して「腹直筋鞘後葉」を構成し、表層部は「外腹斜筋」の腱膜と融合して「腹直筋鞘前葉」を構成します。

【内腹斜筋】腱膜下部1/4では、「外腹斜筋」腱膜と「腹横筋」腱膜と収束して腹直筋前部を覆いますが、【内腹斜筋】腱膜、「外腹斜筋」腱膜、「腹横筋」腱膜が収束するポイントを「弓状線」と呼び、おへその約2.5cm下にあります。

 起始停止
前部腸恥筋膜弓恥骨櫛と腸骨稜
外側腸骨稜前部2/3白線
後部腸骨稜後端と胸腰筋膜第10~12肋骨下縁と肋軟骨

【内腹斜筋】起始部・走行・停止部は体幹前側部に沿って「前部」「外側部」「後部」に別れます。

【内腹斜筋】前部繊維

【内腹斜筋】前部繊維は、「腸骨筋膜と共に鼠径靭帯上面外側2/3」から起始すると言われていましたが、現在はより深層の「腸恥筋膜弓」から起始することがわかっていて、下内側に走行して鼠径管を超え、「腹横筋」腱線維と融合して結合腱を形成し、「恥骨櫛」と「腸骨稜」に停止します。

男性では、【内腹斜筋】前部繊維の一部が精索まで伸び、「精巣挙筋」を形成します。

【内腹斜筋】外側繊維

【内腹斜筋】外側繊維は、「腸骨稜前部2/3」から起始して上内側に広がり、「腹直筋鞘」を形成する腱膜に至って「白線」に停止します。

【内腹斜筋】外側繊維は前腹壁の大きな腱膜である「腹直筋鞘」と連結していますが、「腹直筋鞘」には、「前腹筋群(「腹直筋」と「錐体筋」)」および前腹の神経血管構造のほとんどを含む組織です。

【内腹斜筋】後部繊維

【内腹斜筋】後部繊維は、「腸骨稜後端」と「胸腰筋膜」から起始し、上外側に向かって走行して「下位3-4肋骨の先端および下縁と軟骨」に停止します。

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】作用

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】は「側腹筋群」分類され、「前腹筋群(「腹直筋」と「錐体筋」)」と連結していわゆるお腹周り全体(腹腔)を構成していますので、収縮する部分や他の筋肉との連携によって様々な作用があります。

 両側片側
外腹斜筋体幹屈曲、腹圧上昇(呼吸、排泄、発声など)体幹側屈(同側)、回旋(反対側)
内腹斜筋体幹屈曲、腹圧上昇(呼吸、排泄、発声など)体幹側屈(同側)、回旋(同側)

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】は腹筋群のひとつとして腹壁を構成して内部臓器を守ったり、腹圧を高めて呼吸、排泄、出産、発声などの際にも重要な筋肉です。

運動面では、【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】が「腹直筋」とも共同して両側性に作用する時は、「体幹前屈(胸郭固定時は骨盤後傾)」が生じ、片側のみが収縮する時は、「背骨の側屈や回旋運動」が生じます。

「内腹斜筋」と「外腹斜筋」の走行は違いに直行するため、体幹を回旋する時は、回旋をする側の【内腹斜筋】と対側の【外腹斜筋】が作用します。

つまり、上半身を「左側」にねじるには「右側の外腹斜筋」と「左側の内腹斜筋」が収縮し、上半身を「右側」にねじるには「左側の外腹斜筋」と「右側の内腹斜筋」が収縮して、身体をねじるという働きが生じています。

日常生活やスポーツなどにおける【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】の作用は、特定の関節運動というよりも体幹を安定させるお腹のコルセットのような働き(アウターユニット)が重要になり、左右非対称に身体を使う運動(歩行や多くのスポーツ)時にも体幹を安定させるために機能しています。

合わせてチェック!

腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)の神経支配

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】は、胸髄神経前枝(T7-T12)支配です。

 神経
外腹斜筋肋間神経(T7- T11) 肋下神経(T12)
内腹斜筋肋間神経(T7-T11) 肋下神経(T12) 腸骨下腹神経(L1) 腸骨鼠径神経(L1)

【外腹斜筋】支配神経

【外腹斜筋】は「胸髄神経前枝(T7-T12)」支配で、大部分は「肋間神経(T7-T11)」支配ですが、下部は「肋下神経(T12)支配」です。

また、感覚神経は、「腰神経叢から腸骨下腹神経(L1)」支配です。

【内腹斜筋】支配神経

【内腹斜筋】は主に「下位6胸髄神経 (T7-T12)支配」です。

【外腹斜筋】同様、大部分は「肋間神経(T7-T11)」支配ですが、下部は「肋下神経(T12)」支配で、「腸骨下腹神経」および「腸骨鼠径神経(L1)」にもわずかに支配を受けます。

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】触診

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】は、ウエストをねじる運動で収縮を確認できます。

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】鍛える方法(ストレッチと筋トレ)

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】を鍛えるメリットには、「ウエストやお腹周りのラインがキレイになる」「体幹機能が安定するため姿勢が良くなる」「運動パフォーマンスが上がる」「声が良く出るようになる」「疲れにくくなる」「腰痛が改善する」などがあります。

また、【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】は、バキバキに割れたシックスパックやお腹のきれいな縦線を作る「腹直筋」をサイドからサポートしている筋肉なので、【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】を鍛えるとお腹のラインにメリハリが出ます。

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】トレーニングは、筋肉の走行を意識して収縮させて強化しますが、「腹直筋」トレーニングにひねる動きを加えることで、【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】を効果的に強化できます。

【腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋)】の具体的なトレーニング方法としては、「サイドプランク」「サイドクランチ」「ツイスト」などが代表的なトレーニングですが、姿勢や負荷のかけ方で効果を調整できます。

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