【アウターユニットとは?】正しい体幹トレーニング(鍛え方)のためのイラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学

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【アウターユニット】とは、「インナーユニット」を補強して体幹軸を安定させつつ、姿勢やバランスを維持しながら関節運動を起こす運動学的な筋肉のつながりのことです。

【アウターユニット】の解剖学構造や役割についてイラスト図解を用いてわかりやすく解説しています。

【アウターユニット】とは?

【アウターユニット】とは、背骨と腹腔を安定させて運動の軸を作る機能構造である「インナーユニット」の表層にある筋肉群が作る機能構造のことで、「インナーユニット」を補強して体幹を安定させつつ、関節運動を段階的に起こしていく役割があります。

【アウターユニット】は、以下の4つのユニット構造に分類できます。

名称 構成要素 目的
DLS(後縦システム) 脊柱起立筋←大腿二頭筋⇄長腓骨筋 背骨を安定させて推進力をためる
POS(後斜システム) 広背筋⇄対側の大臀筋 効率よく推進力を使う
AOS(前斜システム) 腹斜筋(同側内腹斜筋/対側外腹斜筋)⇄股関節内転筋群 体前面を安定させ、上半身での推進力を効率よく使う
LS(外側システム) 「中殿筋」「小殿筋」+ 同側の「内転筋」+ 反対側の「腰方形筋」 片脚立ち時に骨盤と上半身(体幹全体)を安定させる

【アウターユニット】のシステム(スリング)は、解剖学的な筋肉のつながりではなく運動学的(機能的)なつながりで、それぞれ骨盤を中心に体幹や関節を安定させ、運動エネルギーを効率よく使う構造になっています。

【アウターユニット】のシステム(スリング)と解剖学構造(起始停止や作用)をリンクさせると、身体の正しい使い方がすんなりと理解できるようになります。

【アウターユニット】と「インナーユニット」の違い

関節を動かす運動において安定性を維持する【アウターユニット】に対して、安静時を含めてあらゆる動作時においても常に軸となる構造を支えているのがその深層にある「インナーユニット」

【アウターユニット】は効率よく運動を起こすための運動学的な機能構造であり、関節を保護するスタビライザーとしても重要な役割を果たしています。

【アウターユニット】の内側にある「インナーユニット」は、【アウターユニット】よりも小さな筋肉により構成されていて、運動を起こすだけの十分な力を発揮できませんが、わずかな力で長時間収縮し続けて、関節を保護しながら体幹を安定させる役割があります。

【アウターユニット】は運動を効率よく起こすための構造になっていますが、「インナーユニット」の筋肉群、背骨の靭帯や関節を保護しながら「インナーユニット」のスタビライザーとしての役割を補強しています。

 

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【アウターユニット】〜4つの運動学システム〜

【アウターユニット】の4つの運動学システムについてそれぞれ詳しく説明します。

【後縦システム(DLS)】

【後縦システム】は、「脊柱起立筋」から骨盤の仙結節靭帯を経て「大腿二頭筋」そして「長腓骨筋」へとつながる後面(背面)縦のラインです。

骨盤と下腿をつなぐ「大腿二頭筋」を介して運動エネルギーが骨盤を経由して脊柱起立筋へ伝達され、縦軸(仙腸関節や背骨のライン)を安定させながら、効率のよい推進力を生み出します。

例えば、歩行やランニング時に右脚を前に降り出すと、仙骨に対して右の腸骨が後方に回旋して仙腸関節を安定(form closure)させます。

振り出し後の踵接地に向けて「大腿二頭筋」が股関節屈曲と膝伸展を同時に制御するように働きますが、その作用が仙結節靭帯を経て上方に移動して仙腸関節の安定(force closure)をサポートします。

「大腿二頭筋」の収縮に連動して「長腓骨筋」が緊張し、「前脛骨筋」と協調的に作用して足部と足関節(足首)を安定させて足底設置の準備をします。

足裏が地面に着くと、骨盤と下腿を連絡している「大腿二頭筋」を介して運動エネルギーが胸腰筋膜に集まり、脊柱起立筋を介して推進力として使われます。(後頭部までは達しません。)

解剖学的に下腿と足部の動的なスタビライザーとして作用する「長腓骨筋」は、腓骨頭で筋膜を介して「大腿二頭筋」とつながり、「前脛骨筋」と共に第1中足骨の近位頭の足底側に停止していますが、歩行の踵接地直前に「大腿二頭筋」と「前脛骨筋」が作用し、「大腿二頭筋」の収縮力が【後縦システム】により約18%「長腓骨筋」に伝達されます。

足底接地に向けて「大腿二頭筋」による股関節屈曲と膝伸展制御作用と足の背屈が生じることで下肢を安定させながら推進力を胸腰筋膜に蓄えることができます。

【後斜システム(POS)】

【後斜システム】は、「広背筋」から胸腰筋膜を経て反対側の「大臀筋」をつなぐ後面(背面)斜めのラインです。

歩行の踵接地直前では、反対側の腕を前に降り出していることで「広背筋」が伸張しているため、「大臀筋」も最大に伸張されています。

踵が接地すると同時に体重を支えて蹴り出す側の脚に切り替わるので、「大腿二頭筋」収縮に「大臀筋」の収縮が加わり、腕を降るために反対側の「広背筋」も協調的に収縮します。

「大臀筋」と「広背筋」の相乗作用である【後斜システム】により胸腰筋膜が緊張し、地面についている側の脚の仙腸関節を安定させながら、運動エネルギー(推進力)を効率よく放出して、前へ進むバネになります。

足に合わない靴や運動に適さない靴でスポーツをすると無駄なエネルギー消費が増えて最適なパフォーマンスができず、怪我につながりやすいのも床反力を生かす【後縦システム】や【後斜システム】システムを生かしていないことが原因です。

【前斜システム(AOS)】

【前斜システム】は、「腹斜筋(外腹斜筋・内腹斜筋)」と股関節「関節内転筋群」を前腹部筋膜を介してつなぐシステムです。

「関節内転筋群」は同側の「内腹斜筋」および反対側の「外腹斜筋」と協調して作用して体幹と骨盤を前面から安定させ、歩行の推進力や腕を降る力となったり、多様な運動やスポーツの加速、減速、方向転換に貢献します。

歩行においては、踵接地に向けて股関節と骨盤の位置を整えるために、骨盤を前方に回転させたり(オープンチェーン)、重力の力を借りて支持脚上での体幹屈曲と骨盤内旋(クローズドチェーン)を補助し、体幹を引いて肩甲帯を推進させる力となり、脚の動きに合わせた体幹と腕の振りを生み出します。

私たちは、実は脚がなくても背骨のS字カーブにより生じる回転力によって歩行(推進)は可能であることが様々な研究で実証されていて、その力を生み出す要素のつながりが【前斜システム】です。

【前斜システム】の主導力となる「腹斜筋」は体幹の回旋力を生み出しやすい解剖学構造になっていて、他の体幹筋群と協調的に作用することで生じる位置エネルギーと運動エネルギーによって背骨の回旋力を生み出すことができます。

脚を使って行う歩行においても、当然「腹斜筋」と「股関節内転筋」は歩行の安定性と可動性に貢献している要素になり、歩行中の「腹斜筋」と「股関節内転筋」の筋電図を重ね合わせてみると、相乗的に立脚開始時の安定性に貢献しながらスイング中に骨盤を回転させて脚を引いていることがわかります。

更に、【前斜システム】は歩行スピードが加速すればするほど活性化することがわかっていて、ダッシュや短距離走ではもちろん、テニス、サッカー、バスケットボールなど加速、方向転換、減速などを繰り返すスポーツトレーニングでも注目されています。

【前斜システム】が使われているかどうかは腹部と鼠蹊部の緊張や痛みで簡単に評価できます。

例えば砂場でダッシュを繰り返すと腹部の疲労や筋肉痛を感じますが、これは床面が安定していない状態で床反力を生かした胸腰筋膜のバネ(後縦システムと後斜システム)がうまく活用できないため、【前斜システム】による体幹(身体の前面の力や上半身の回旋)での推進力に頼る要素が大きくなるからです。

更に、脚と体幹の力を肩甲帯に伝達する【前斜システム】は、体幹を安定させてハンマー振り下ろす動作の時にも重要になります。

【外側システム(LS)】

【外側システム】は、「中殿筋」および「小殿筋」と同側の「内転筋」で構成される外側のラインで、反対側の「腰方形筋」を含めて片脚立ち時の骨盤の側方への安定に作用します。

私たちは歩行や階段を昇り降りする時に、片脚立ちを繰り返す必要がありますが、その時にいちいち骨盤が傾いて上半身がグラグラしないように前額面を安定させているのが【外側システム】です。

つまり、片脚立ちになっても骨盤とその上の背骨をニュートラルに保てるように、「中臀筋」「小臀筋」「股関節内転筋群」と反対側の「腰方形筋」が協調的に作用して、脚の振り出しがスムースに行える状態を維持する役割があります。

【外側システム】が正常に機能していない状態で無理な姿勢を続けると骨盤や背骨を支える靭帯や椎間板に過剰な負担がかかり、背骨や脚を痛める原因になります。

歩行において【外側システム】は踵接地(支持脚に切り替わる瞬間)からアクティブになり始め、支持脚の固定している大腿骨に対して腸骨凌を引く「中臀筋」と「小臀筋」と反対側(遊脚)の腸骨を持ち上げる対側の「腰方形筋」と「腹斜筋」の偶力(force-couple)によって前額面で骨盤と背骨を安定させています。

前額面での背骨(特に胸椎と腰椎)の動きは横断面の動きでの動きと一体になっているため、いずれの面でバランスが崩れても腰痛などの椎間関節の損傷が生じますので、【外側システム】は単純に股関節と背骨を安定させているだけではなく、骨盤上の上半身、つまり、体幹全体の安定性に大きく貢献していると言えます。

体幹が不安定では脚を前に出す推進力を効率よく生成することができなくなりますが、【外側システム】が正常に作動していないトレンデレンブルグ徴候が見られる状態で歩行を続けると距骨下関節上で重心が外側へ移動し、足首の内反捻挫が生じやすくなります。

実際、足首の捻挫を繰り返すスポーツ選手は、「中臀筋」の弱さと「腰方形筋」の過負荷による対側の腰痛が見られる傾向があることをまとめた研究結果もあります。

【アウターユニット】を効率よく鍛える方法

【アウターユニット】は、「DLS(後縦システム)」「POS(後斜システム)」「AOS(前斜システム)」「LS(外側システム)」の4システムで構成される運動学的なつながりのことで、「インナーユニット」の作用による体幹安定をベースとして、「インナーユニット」を補強して更なる体幹安定に貢献しつつ効率的な運動を起こします。

「インナーユニット」が正しく機能していない状態では【アウターユニット】システムも正常に作動せず、運動やトレーニングにはげんでも効果が出ないばかりか怪我に繋がるので、まずは「インナーユニット」を正しく強化しましょう。

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【インナーユニットとは?】正しいコア(体幹)トレーニング(鍛え方)のためのイラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学
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また、いわゆるジムの筋トレマシンなどでは、【アウターユニット】のパターンを使った効果的なトレーニングは困難です。

【アウターユニット】を効果的にコンディショニングするには、「インナーユニット」と【アウターユニット】の相乗作用を考慮した上で、実際に高めたいパフォーマンスや動きに対して、パターンを適応する必要があります。

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