神経の構造と主要神経路まとめ(感覚神経・運動神経・反射など)

神経の構造と情報伝達の仕組みや主要な神経路についてまとめました。

人体の司令塔である『脳』は神経の集合体で、人体はコントロールセンターである脳と各身体パーツを神経でつないでいるひとつの巨大なネットワークシステムのようなもの。

そんな人体の連絡網である神経を細胞レベルまで分解し、神経伝達を理解する上で重要な【ニューロン、シナプス、神経伝達物質】および【主要神経路】や【反射機能】について整理して説明します。

神経が人体のネットワーク!

神経の構造と役割

情報の伝達【報・連・相】は、仕事においても人間関係においてもとっても重要なものですが、人体の生命維持やあらゆる活動にも必要不可欠です。

人体は、脳を司令塔として複数の機能(臓器や器官などの役割)が相互に協力し合うことによって正常な状態を保っていて、内外部から得られたすべての情報は脳に集まり統合されてから必要な器官に伝達されます。

人体において情報伝達の役割担うのが『神経』で、複数の神経細胞が中継しながら情報を伝達していく様は、郵便局や配達やさんのようなイメージです。

神経は大きく中枢神経系と末梢神経系に分類されますが、いずれも構成要素になるものは神経細胞で、『中枢神経(脳と脊髄)』は「運動・知覚・知能・感情などの神経で伝達される情報が集まる中枢」として機能する神経細胞の塊です。

神経の構成をマクロな細胞単位でみると神経の構成要素は以下の3つになります。

神経細胞 神経機能を司る神経伝達機能の主役で、運動の指令を出したり末梢からの知覚を認識する役割がある
グリア細胞(神経膠細胞)

グリアとは「膠(にかわ)」の意味で、灰白質(大脳皮質や大脳基底核など)の中で神経細胞や軸索を支えるように細胞間の隙間を埋めて神経細胞を構造的・機能的に支えている

えている細胞。細胞の数は神経細胞の約10倍で、「星細胞(星状膠細胞)」「乏突起膠細胞」「上衣細胞」「小膠細胞(マイクログリア)」の4種類がある。

グリア細胞のひとつである星細胞は、神経細胞と血管の間に介在して神経細胞と血管の栄養や代謝物質のやりとりを仲介したり、関門(バリア)の役割も果たしていて、この仕組みは脳組織の中でもかなり独特で「血管脳関門」とも呼ばれています。(*神経細胞は直接血管に接することはないので、有害な物質が血管から直接神経細胞に入ることはありません。)

多数の突起 グリア細胞からは多数の突起が出ている

ちなみに、脳の神経細胞の数は生まれた時から決まっていて増えることはありません。

成人になるにつれできることが増えたり脳の重量が増えるのは、神経細胞から出ている樹状突起や神経軸索が伸展したり軸索を取り囲む髄鞘が増加するからです。

脳の神経細胞は以下のように配置されています。

表層:大脳皮質(灰白質) 厚さ:約2.5mm/表面積:約2,000㎠/140億個の神経細胞
脳内の灰白質部分 小脳皮質・大脳基底核
大脳髄質(白質) 大脳や小脳の大部分を構成し、神経細胞から出た神経軸索と軸索を取り巻く髄鞘からなる

 

神経情報伝達の仕組み

人体では複数の神経間の情報伝達が繰り返し行われていますが、この神経伝達の仕組みを詳しくみていきましょう。

『ニューロン』の構造と役割 

神経伝達の仕組みを理解するには、まず「ニューロン」の構造から整理しましょう。

『ニューロン』とは細胞体と細胞体から出る多数の突起により構成される神経伝達を司る細胞単位ことで、突起は多数の樹状突起(1~2ミクロンの小さな突起)1本の長い神経軸索(一般的に神経線維と呼ばれる)に分かれていいます。

「樹状突起」は、他の神経細胞の細胞体や神経軸索と接触する部位となり、シナプス(神経細胞間での情報やりとり)をし、「神経軸索」は神経細胞で作られた情報(電気信号や神経伝達物質)を運ぶ役割をします。

軸索の中には無数の繊維(フィラメント)が縦軸方向に走行していて、電気信号や神経伝達物質が末梢方向(神経終末部)に急速に輸送します。

神経細胞が発電所とすれば神経軸索は電気を送る電線のようなものなので、神経軸索が太ければ太い程神経の伝達速度は早くなり、訓練することでも神経伝達速度を上げることが可能です。

また、神経軸索には髄鞘と呼ばれる鞘で取り囲まれたもの(有髄繊維)髄鞘を持たないもの(無髄繊維)があります。

髄鞘は電線の周囲にまかれた絶縁テープのようなもので、有鞘繊維では髄鞘間に「ランビエの絞輪」と呼ばれる境目があるため絶縁テープが切れた状態になり、次のランビエの絞輪部まで電気がショートすることにより電気信号の伝導速度が早まりますが、このように電気信号がピョンピョンと飛び跳ねながら伝わっていく様式を「跳躍伝導」といいますが、この「跳躍伝導」により有髄繊維は無髄神経より神経伝達速度が速くなります。

有髄繊維は中枢神経にも末梢神経にも存在します。

シナプスとは

『シナプス』とはこのニューロン同士の接合部の構造のことで、神経軸索の末端である神経終末から他のニューロンに情報が伝達され、神経の伝達方法は2種類あります。

電気的伝達刺激 神経細胞からの刺激が神経軸索や樹状突起を伝わっていく方法
科学的伝達 刺激(情報)を科学的な物質(神経伝達物質)に変換して次のニューロンに伝える方法

シナプス部にはシナプス間隙(かんげき)と呼ばれるわずかな隙間があり、隙間があっても情報の受け渡しができる理由は、神経伝達物質が介在して伝達をサポートしてくれるからです。

「神経伝達物質が神経細胞内で生成」→「神経軸索内を輸送」→「神経終末部のシナプス小胞に保存」→「神経細胞から何か電気刺激が伝えられると神経伝達物質がシナプス間隙に放出」→「シナプスを形成している次のニューロンには、放出された神経伝達物質を受け入れるレセプターがあり、レセプターに神経伝達物質が取り込まれるとイオンチャンネルが開く」→「次のニューロンに電気的な刺激が伝わっていく」

『神経伝達物質』とは?

神経伝達物質とはシナプス部での神経伝達をサポートする物質のことで、神経伝達物質が介在することでシナプス部に隙間があっても情報の受け渡しが可能になります。

神経伝達物質には、「アセチルコリン」「ドーパミン」「ノルアドレナリン」「γ―アミノ酪酸」などがあり、例えば、大脳の黒質や被蓋にはドーパミンをたくさん含んだ神経細胞が集まっていて、線条体(尾状核+被殻)にたくさんの神経線維を送り出しドーパミンを輸送しています。

この働きによって神経伝達がスムースになり、手足が顔面などの運動を細かく調整することができているのですが、なんらかの原因でドーパミンが黒質で作られなくなったり、線条体への神経線維が破壊されたりして線条体にドーパミンが送り込まれなくなると、筋肉の強直やふるえ(振戦)が起こったりするパーキンソン病が発症します。

神経の構造とパフォーマンスの関連

神経細胞同士が軸索という伝達ケーブルを伸ばし、外界からの情報を伝言ゲームのように次の神経細胞に情報を伝えることで私たちは必要な運動や活動を行う事ができますが、この繰り返し行われる神経伝達の精度の高さ・安定性スピードでパフォーマンスに差が出てきます。

つまり、「パフォーマンスが高い」とか「運動神経が良い」とか言われている人は、脳を中心とする身体の神経伝達ネットワークが安定していて高速通信ができるということで、スポーツになどより高いパフォーマンスを求めて競いあう分野では、特にネットワークの速さと正確さが重要です。

一般的に神経の情報を伝える軸索が太ければ太いほど、神経の伝達速度は速くなり一度に伝えられる情報も多くなりますので、自然界でも、捕食の為に素早く動く必要があったり、逆に生命を守るために機敏に外界の情報をキャッチして逃げる必要がある動物はとても太い神経線維を持っています。

ちなみに、超動きが俊敏なヤリイカの神経細胞が直径1ミリもあるんだそうです。

人間の神経細胞の太さと伝達速度は以下の通りです。

分類 直径 スピード 種類
15μ 100m/s 骨格筋運動線維・筋紡錘求心線維
50m/s 皮膚触覚・皮膚圧覚
20m/s 筋紡錘運動線維
15m/s 皮膚温度感覚・皮膚痛覚
B 7m/s 交感神経節前線維
C 0.5μ 1m/s 皮膚痛覚・交感神経

骨格筋(随意的な運動を司る繊維)が特に太く神経伝達速度が速いのがわかると思いますが、人間という生命体において優先順位が高い順と考えると納得できるかと思います。

反射の仕組みと役割

神経と言えば「反射神経が良い」とか「反射的に逃げた」とか反射という言葉は日常生活でも使われます。

反射とは生体に与えられる刺激(痛み・摩擦・光など)を感受し、それに対応して生体が示す一定の反応のことで、「反射神経」という神経はなく、「反射神経が良い」とか「反射的に逃げた」などの意味で使う【反射のように迅速な動き】は、脳も含めより広範囲の神経経路が関わります。

状況を正確に判断して、瞬時に行動するには、脳と神経を含めた全身の機能を高める必要があります。

正常の神経経路によって生じる反射は、例えば熱いものを触ったときに何も考えなくても瞬間的に手を引っ込めたり、食事のときに気道を塞いで食べ物が肺に入らないようにするなど、生命維持や危険回避機能として人間に備わっているものです。

吸啜反射や把握反射など赤ちゃんのときに必要でも成長と共に不要になれば自然に消失する反射もありますが、何らかの理由で反射の神経経路に障害が起こると、正常な反射の消失や亢進が起こったり、通常は起こり得ない異常反射が発生したりします。

正常の反射反応を理解しておくことで、反射検査による正確なスクリーニングができます。

反射のメカニズム

反射は以下のようなメカニズムで起こり、この経路を反射弓といいます。

「生体に刺激が与えられる」→「感覚受容器が刺激を感知する」→「刺激が求心性伝導路を伝わって反射中枢(脊髄)へ届く」→「反射中枢から運動指令が遠心性伝導路を伝わって目的の筋肉へ送られる」→「筋肉の収縮が生じて反射反応が起こる」

反射中枢は脊髄にあって脳は経由しないため、反射反応は無意識に生じますが、脳まで情報を届けて統合する時間を省き、生体として必要な反応(防御反応や逃避反応など)を迅速に起こすための神経経路です。

反射の種類

反射には正常なものや成長に応じてなくなるもの、病的に生じるものなど様々でし。

反射は比較的簡単に行えて意識にコントロールされない反応としてスクリーニングに有効なため、臨床でも反射を神経学的検査としてよく用います。

深部腱反射

腱や骨膜などを刺激する事で筋肉が急激に伸長する反射(腱反射・骨膜反射など)が起こります。

一定の強さの反応がある場合が「正常」で、反射弓(末梢神経)に障害がある場合は反射の減弱または消失し、反射中枢(中枢神経)に障害がある場合は反射の亢進が亢進するので、スクリーニングにも効果的です。

深部腱反射中枢(脊髄前角細胞)は、錐体路からの運動ニューロンだけでなく、錐体外路系ニューロンともシナプスを形成しています。

表在性反射

皮膚や粘膜に触覚刺激を加えると、筋肉が反射的に収縮を起こす反応(角膜反射・原始反射のひとつである手掌反射・腹壁反射・足底反射など)のことです。

正常では普通にみられる表在性反射が減弱または消失し、さらに深部腱反射が亢進した場合は錐体路障害が考えられます。

病的反射

約10ヶ月までの乳児を除いて、正常者ではみられない反射のことで、神経系の器質的障害で錐体路が障害されて出現する反射なので、錐体路性反射とも呼ばれます。

【顔面の病的反射】の例としては、「マイヤーソン徴候(鼻根部を叩打するとまばたき出現:パーキンソン病でみられる)」や「口とがらし反射(上口唇外側部を叩打すると口輪筋の収縮により口がとがる)」があります;。

【上肢の病的反射】の例としては、「ホフマン反射(中指を固定し先端を抑えて下方へ屈曲させた後、急激に放すと母指と他の指が屈曲する)」や「トレムナー反射(中指を固定し先端の腹を上方に跳ね上げると、母指と他の指が屈曲する)」などがあります。

【下肢の病的反射】の例としては「バビンスキー反射(外側足底を後方から前方へこすると、母趾が背屈(母趾現象)して、各足趾が解離する(開扇現象)」「チャドック反射(足の外果外側を弧状にこすると母趾背屈がみられる)」「シェーファー反射(アキレス腱を強くつまむと母趾背屈がみられる)」などがあります。

その他の反射

その他にも・自律神経反射・嚥下反射などの生理的反射があります。

神経路(情報の伝導路)の役割と神経繊維の種類

神経路とは身体に張り巡らされた「神経」でつなぐネット回線のようなもので、脳と皮膚・目・耳・筋肉・関節などの各末梢器官が常に神経路を通じて互いに連絡を取り合っているから感覚や運動機能が正常に働き、日常生活が問題なく送れるようになります。

正常の神経路を理解しておくことで、障害や病状の理解にも役立ちます。

例えば、交叉の前で障害された場合傷害側と麻痺側は反対になりますが、脳卒中の際に右脳の傷害で左の手足に麻痺が出るのはこのような神経路の構造によるものです。

また、障害部位が上位運動ニューロンなのか下位運動ニューロンなのかによっても出てくる症状が全く違うので症状からの損傷部位も予測できます。

神経路を構成する神経繊維は主に以下の種類があります。

遠心性繊維(下行性) 身体の中心にある中枢神経から末梢へと情報を運ぶ繊維で運動神経が代表例
求心性繊維(上行性) 末梢から中枢神経へ情報を運ぶ繊維で感覚(知覚)神経線維が代表例
投射繊維(上行性・下行性) 大脳皮質と下位の脳部(大脳基底核・脳幹・小脳)や脊髄とを連絡する繊維
大脳皮質運動野から内包に至る四肢・体幹・顔面に運動指令を伝える線維(皮質脊髄路・皮質延髄路)
視床から大脳皮質知覚領野に至る感覚情報を伝える繊維
連合繊維 同側半球の皮質間を連絡する繊維
大脳皮質の神経細胞同士を結びつけたり、情報を集めてまとめたり、過去の記憶に照合して判断を下すなど連合的・統合的な機能を果たす
前頭葉前部と後頭葉・側頭葉を結ぶ上縦束
交連繊維 反対側半球の皮質間を連絡する繊維
それぞれの半球から得られた情報を交換しあいながら、各半球の機能を十分生かすように働く
左右の大脳半球を広くつなぐ脳梁など

 

知覚伝道路の構造と役割〜感覚を伝える求心性経路

知覚伝道路とは皮膚や関節などの身体中にある感覚器官を通じて得た情報を脳に伝える経路のことで、末梢から中枢に向かう経路のため求心性(中心に向かう)経路と呼ばれ、運動神経とは逆に末梢の感覚受容器がある部位が第1次ニューロンとなります。

第1次ニューロン 感覚受容器で感覚刺激を感知し脊髄の後根を通って脊髄内へ
第2次ニューロン 温度覚・痛覚は脊髄後角/位置覚・振動覚は脊髄後策
第3次ニューロン 視床を経由して大脳皮質知覚領野

皮膚からの触圧覚、温度覚、痛覚、筋・関節からの深部感覚、内臓感覚(便意、尿意、悪心、口渇感、飢餓感、満腹感、内臓痛など)が伝達されます。

痛覚と温度覚(温痛覚)の神経伝導路

痛覚と温度覚は同じ経路ですが、四肢体幹と顔面で経路が異なります。

神経路名 感覚 経路
外側脊髄視床路 四肢体幹の温痛覚

第1次ニューロン(温痛覚の受容器→脊髄神経節→後根→脊髄後角で第2次ニューロンとシナプスを形成)

第2次ニューロン(1~2髄節上行した後中心管の前方を通過し、白交連で交叉して反対側の脊髄側策前方を上行(外側脊髄視床路)して第3次ニューロンにシナプス

第3次ニューロン(視床→大脳皮質知覚領野)

顔面の温痛覚

第1次ニューロン(温痛覚の受容器→三叉神経節神経細胞→橋(2次ニューロンにシナプス)

第2次ニューロン(三叉神経脊髄路核(延髄)で交叉し第3次ニューロンにシナプス

第3次ニューロン(視床→大脳皮質知覚領野)

 

触覚・深部覚の神経伝導路

触覚の種類に応じて別の経路を通ります。

神経路名 感覚 経路
脊髄延髄路 四肢・体幹の微細触覚・深部覚 第1次ニューロン(脊髄神経節→後根→同側の後策に達して上行し第2次ニューロンとシナプスを形成 第2次ニューロン(延髄下部の後策内(薄側核・楔状束核)で反対側へ交叉→内側毛帯を上行して第3次ニューロンにシナプス 第3次ニューロン(視床→大脳皮質知覚領野)
前脊髄視床路 四肢・体幹の粗大触覚・圧覚 第1次ニューロン(受容器→脊髄神経節→後根→数髄節上の脊髄後角で2次ニューロンにシナプス) 第2次ニューロン(白交連(交叉)→脊髄前策(前脊髄視床路を上行)で第3次ニューロンにシナプス) 第3次ニューロン(視床→大脳皮質知覚領野)
顔面の微細触覚・粗大触覚・深部覚 第1次ニューロン(受容器→三叉神経節神経細胞→橋で2次ニューロンにシナプス) 第2次ニューロン(三叉神経主知覚核で第3次ニューロンにシナプス) 第3次ニューロン(視床→大脳皮質知覚領野)

第1次ニューロン(受容器→三叉神経節神経細胞→橋で2次ニューロンにシナプス) 第2次ニューロン(三叉神経主知覚核で第3次ニューロンにシナプス) 第3次ニューロン(視床→大脳皮質知覚領野)

運動神経経路の構造と役割〜運動の指令を伝える遠心性経路

運動神経経路とは、運動領野から身体の各部位に運動の指令を送る神経伝道路のこと。
中枢から末梢に向かう経路のため遠心性(中心から離れる)経路と呼ばれます。

大脳皮質の中心前回(運動領野)と呼ばれる中心溝のすぐ前方にある脳の隆起(脳回)が運動の指令を統括。
運動領野は大脳円蓋部に沿って内側面から(足→体幹→手→顔面→舌→咽喉頭)の順番でそれぞれの領域を支配している神経細胞が分布しています。

それぞれの領域から出た指令が最終器官(筋肉)まで到達する経路も目的別に複数存在します。

錐体路(皮質脊髄路と皮質延髄路)と錐体外路

錐体路とは、「意図的な運動(随意運動)を手足、体幹、顔面、咽頭などに 起こさせるインパルスを伝達する中枢神経系の主要な伝導路」のことで、狭義では皮質脊髄路を指しますが、広い意味では皮質延髄路も錐体路に含めます。

さらに錐体路の上位運動ニューロンは、錐体外路と呼ばれる神経路とともに下位運動ニューロンに対し反射や運動が過剰にならないように抑制する働きもあります。

そのため、錐体路が障害されると複雑な動きを巧みに行ったり、意図的な動きができなくなったり、腱反射が亢進したりします。

錐体外路とは錐体路と同じ場所から出て同じ場所に至る経路で、錐体路による随意運動を微妙に調整して円滑で正確な動きができるように指令を伝達しています。

神経路名 運動 経路
皮質脊髄路(錐体路) 四肢や体幹へ指令を伝達する経路 上位運動ニューロン:大脳白質を経て内包の後半分を通過→中脳大脳脚中央部→橋→延髄(腹側にある錐体を通過)→ 延髄と頸髄の境界部で神経繊維の大部分(約80%)が交叉し反対側へ(錐体交叉)脊髄側索を下降(外側皮質脊髄路)または白交連で交叉(前皮質脊髄路)→目的の脊髄髄節の脊髄前角 下位運動ニューロン:直接運動器の筋肉に指令を送るニューロン(脊髄前角細胞)とシナプスを形成
皮質延髄路 顔面・口腔・咽頭へ指令を伝達する経路 上位ニューロン:皮質脊髄路と並んで内包へ→内方膝部を通過し中脳へ→脳幹の中で、皮質脊髄路と分れて反対側に交叉し、その側の中脳、橋、延髄内にあるそれぞれの神経核へ 下位ニューロン:関連する器官のニューロンとシナプスを形成
錐体外路 調整機能 上位ニューロン:大脳皮質→大脳基底核(線条体(被殻と尾状核)赤核・黒質・中脳網様体など)→脳神経核・脊髄前角の神経細胞→錐体路同様内包を通過 下位ニューロン:錐体路とほぼ同じ経路を通るが錐体は通らず、延髄オリーブを通って脊髄前角の神経細胞へ

皮質延髄路に関連する神経は運動神経(第3:動眼神経・第4:滑車神経・第5:三叉神経・第6:外転神経・第7:顔面神経・第9:舌咽神経・第10:迷走神経・第11:副神経・第12:舌下神経)で、純粋な知覚神経(第1:嗅神経、第2:視神経、第8:聴神経)は、皮質延髄路に関係しません。

小脳を含む神経経路:脊髄小脳路

姿勢の調節運動における個々の筋の精密な協調のために必要な情報の伝達する神経路で、末梢からの感覚情報が以下の経路で小脳に届けられます。

神経路名 運動 経路
後脊髄小脳路 主に下半身の深部感覚を伝える神経路で、脊髄に入り後索をやや上行した後か直接に後角の胸髄核に達します。 第1次ニューロン:感覚受容器で感覚刺激を感知→脊髄の後根を通って脊髄内へ 第2次ニューロン:同側の側索の後外側部の表層を後脊髄小脳路として上行(非交叉性) 第3次ニューロン:下小脳脚→小脳
前脊髄小脳路 主に下半身の深部感覚を伝える神経路で、姿勢や下肢の運動の全般的協調に関与しています。 第1次ニューロン:感覚受容器で感覚刺激を感知→脊髄の後根を通って脊髄内へ 第2次ニューロン:脊髄の後角内から白交連を通って反対側に交叉して側索の表層近くを前脊髄小脳路として上行(交叉性) 第3次ニューロン:小脳
副楔状束核小脳路 主として上半身(上肢と体幹上部)からの深部感覚を伝える神経経路 第1次ニューロン:感覚受容器で感覚刺激を感知→脊髄の後根を通って脊髄内へ 第2次ニューロン:脊髄の後索を上行して延髄の後索核(副楔状束核)で中継(非交叉性) 第3次ニューロン:下小脳脚→小脳

脳血管障害などで、小脳機能に障害が生じると、筋肉運動すべての協調性が乱れるため、巧緻性低下:細かい動作ができない、随意性低下:思った通りに体が動かせない、協調性低下:ぎこちない動きになる、構音障害:言葉を思い通りに発したり、声量の調整が難しく、話す言葉が聞き取りにくくなる、起立動作や歩行が困難、運動開始までに時間がかかったり、思ったタイミングで止まれないなど意図的な運動がコントロールできない、振戦:手足が勝手に震える、眼球運動障害によるめまいや眼振、高次脳機能障害、記憶障害などが生じます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

おすすめカテゴリー記事