【脳老化と認知症予防対策】脳機能を高めて豊かな人生を送る方法

「脳老化」を抑制する脳トレで人生100年時代を元気に楽しむための具体的な方法について考えました。

世界でもトップクラスの高齢化社会の真っ只中にある日本。

人生100年時代を豊かに過ごすには、足腰を鍛えて姿勢を維持する身体の健康維持に意識を向けるだけでなく、加齢により低下しがちな認知機能を維持・向上させる工夫や生活習慣が不可欠です。

「認知機能」を意識して鍛えると、記憶力や判断力など円滑な社会生活に不可欠な能力の低下や「認知症」を予防できるだけでなく、不満や怒りのコントロール機能も維持向上できるので穏やかな気持ちで毎日を過ごせるようになります。

また、加齢による認知機能の変化や幸福度との関係を理解しておくと、高齢者や認知症の方への適切な接し方やコミュニケーション方法も見えてみます。

「脳機能(認知機能)」は何歳になっても鍛えられるよ!

加齢に伴い「認知機能」は低下する

二十歳を過ぎると細胞の増加や成長が止まり『老化』が始まりますが、脳細胞も例外ではありません。

脳は人体の司令塔として全身の機能を調整統合する役割があり、脳の役割のうち「理解、判断、論理などの知的機能」に関する機能全般を「認知機能」と呼びますが、加齢による「認知機能低下」は60歳を過ぎると顕著にみられるようになると言われています。

「認知機能」の中でも特に、新しいことを覚えたり、新しい環境に適応するために問題解決していく能力は、加齢により大きく低下していくことがわかっていて、脳内での情報処理スピード低下、理解力・記憶力低下などにより、課題遂行に時間がかかったり、反応や判断が苦手になったり、反射運動の低下や平衡感覚障害が生じたりすることで、転倒や事故が多くなったり、社会生活が困難になったりしてしまいます。

ただ、加齢による「認知機能低下」には個人差が大きいことも特徴で、年齢を重ねるほどに発達していくほど発達していく「認知機能」もあります。

認知機能と認知機能低下による症状まとめ

『加齢による認知機能低下』について詳しく見る

【脳の認知機能について】【生理学的脳老化と認知機能障害の違い】【認知機能障害の種類や症状および原因】についてわかりやすく説明しています。

身体機能に加えて、「認知機能」維持向上も、年齢を重ねてからの人生の幸福度や充実度に大きく影響する因子になります。

2025年問題とは、団塊の世代が75歳の後期高齢者に到達するのが2025年のことで、全人口の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会になる時代です。

後期高齢者について考える上で大事なのが健康寿命ですが、日本人の平均健康寿命は、男性70歳、女性73歳。

全人口の4人に1人を占める後期高齢者が健康ではなければ、医療費や介護費など現役世代に負担が大きくのしかかります。

孤独感により昔よりも増えているといわれる「不機嫌な高齢者」を減らすためにも、現役世代の負担を軽くするためにも、今から一緒に正しい健康管理をはじめましょう。

日本の高齢者は不幸になっている?

最近「怒りっぽい高齢者」や「キレるお年寄り」のニュースや体験談をよく聞くようになったと思いませんか?

実際に日本の高齢者の傷害及び暴行の検挙数はこの10年ほどで急増していて、65~69歳の高齢者で5倍、70歳以上の高齢者で10倍になり、再犯者率も34.4%と非常に高い数字が記録されているそうです。

年齢を重ねるほど丸く穏やかになる高齢者像が一般的だった日本に、今何が起こっているのでしょうか?

「高齢者が怒りっぽくなる」ことを示した研究結果は、【Grumpy old man syndrome】や【Irritable male syndrome】など世界中にたくさんあります、高齢者が怒りっぽくなる背景に以下のような要因があると考えられています。

要素 説明
前頭葉萎縮 判断力が低下することに加え、感情の抑制やコントロールが難しくなる
セロトニン減少 40代頃から幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌量が減り、心の安定を得にくくなる
テストステロン減少(男性) 男性ホルモンであるテストステロンが減少し、6〜70代になると女性の更年期に似た抑うつ症状(イライラ・不安・精神不安定)が起きる
エストロゲン減少(女性) 女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少し、更年期障害(特に感情のコントロールが難しく、イライラしたり怒りやすくなる)が生じる
認知機能障害 認知症や脳血管障害による認知機能障害(高次機能障害・感情失禁・脱抑制)

「高齢者が怒りっぽくなる」ことを示した研究がある一方で、「年を取るほど脳の前頭皮質が薄くなり、よりしわになることなどから、気が長くなり、穏やかになる」「人間は年を取るほど、神経質ではなくなり、学習から感情をコントロールしやすくなると同時に、誠実さと協調性が増し、責任感が高まり、より敵対的でなくなる」など結論付けた研究もあり、世界では現在でも「年を取るとより性格が穏やかに優しくなる」という説の方が有力です。

お年寄りになればなるほど話し方がゆっくりになり、気は短くなるというより長くなる印象があり、科学的にその傾向を実証するデータは多く存在しますし、欧米では「年を取るほど争いごとが少なくなり、争いごとに対するより良い解決法を出せること」「感情をコントロールすることを学び、怒りっぽくなくなる」「死が近づくと長期的なゴールを気にしなくてよくなるため、今を生きることが上手になる」ことなどから、年齢を重ねると幸福度が増す傾向が顕著に出ていてます。

また、先進国の年代別の幸福度を追った調査では、子供の頃は非常に高いが、成人になるにつれて下がり中年ごろで最も低くなるが、高齢になるにしたがってまた上がっていくUカーブの傾向が出ています。

かつての日本の高齢者のイメージも、どちらかといえば年齢を重ねるごとに穏やかになっている印象があったため、特に最近の「不機嫌な高齢者が増えている傾向」が注目されています。

高齢になれば、病気・身体的な不自由・金銭的な不安などさまざまな要素がありますが、これらは世界各国共通の話なので、日本で近年高齢者の幸福度が急激に下がっている背景には日本特有の原因がありそうです。

幸福度を測るランキング調査などでも、日本は先進国の中では下から数えた方が早いようなかなり低い順位に終わることが多く、日本人はもともとこうした調査において自分が本当に感じているよりも低めの点数をつける傾向があることを含めても、幸福度を感じることを積極的に求めない国民性も関係しているかもしれません。

「キレる高齢者が増えている」と指摘する若者の意見に対し、高齢者の立場からさまざまな意見を集めた資料を見ていると、背景には様々なものがあれど共通点が浮かび上がってきます。

「仕事一筋で生きていきた人が会社という所属を失ったとき」「家庭内で孤独を感じたとき」「急激に変化する時代に適応できていないと感じたとき」「自分がこれまで信じてきた正義や価値観が通用しなくなったとき」「プライドを傷つけられたとき」「自分が積み上げてきたものが評価されない・通用しないととき」など、様々な要因で「満たされない承認欲求」または「自分の居場所がない喪失感」から生きがいを感じられないことで、満たされない孤独や寂しさから、イライラや不満につながっていくと考えられます。

日本の高齢者の幸福度を上げる方法

日本は世界でトップクラスの高齢化社会で、2025年に向けて高齢化社会はますます深刻化していきます。

「高齢者問題」は社会全体に高齢者が増えたから高齢者の問題が目立つようになった部分もありますが、高齢者の承認欲求や寂しさを満たすような社会インフラや共通認識も必要です。

まず私たちが今すぐできることは、相手に配慮したコミュニケーションです。

挨拶、感謝、褒めるなどポジティブな言葉がけが街中で自然と行われるだけでも、人間の幸福度は高められますし、世界を見ていても、お互い笑顔に気軽に声を掛け合う国民性の国は幸福度が高い傾向があります。

もし、身の回りに「起こりっぽい」「いつも不機嫌」と感じる高齢者がいる場合は、その背景を理解した上で対応を工夫すると、多くの場合で円滑におさまります。

この考え方は「認知症」の人への接し方とも共通しています。

敬意を示す

コミュニケーションを円滑にするには、相手への立場を尊重して、敬意を忘れないことが何より重要です。

特に高齢者は長い人生で培ってきた人生経験とプライドがあるので、人生の先輩として敬う姿勢をは絶対に忘れてはいけません。

すぐ応戦せずにペースや場所を変える

怒っていたり、イライラしている人の対してすぐに応戦したり、相手と同じペースでやり返そうとすると、お互いに怒りや不機嫌がどんどんエスカレートします。

まず、「一呼吸おく」「まず座りましょうか」「場所を変えておちついて話しましょうか」とお互い気持ちをおちつける時間を上手にとるようにしましょう。

たった6秒時間を置くだけでも、怒りの感情は落ち着きます。

怒りの背景にある感情や思いに寄り添う

怒りや不機嫌の背景には、心配・寂しさ・不甲斐なさ・恥ずかしさ・残念・不安・悲しみなどがあるので、表に出ている怒りや不機嫌だけでなく、その背景にあるものに目を向けると、相手が本当に求めている物がわかり、冷静に対応できます。

高齢で認知機能や身体機能が低下し、自分で思っているようにできないことに一番辛さともどかしさを感じてるのは「本人」なので、できないことを責めたり、相手を蔑むような言動は絶対に避けるようにしましょう。

正論を押し付けない

人には感情があります。

それぞれ生きてきた時代と成功体験があるため、理論的に正しいと思っても感情が拒否するケースも多々あります。

世代のギャップなどで相手の対応や言動を理不尽に感じることがあっても、一方的にこちら側の正論(正義)を押し付ける姿勢は避けましょう。

幸福度を上げる生活のコツ

加齢に伴い、怒りっぽくなっている、幸福感が下がっていると実感がある場合は、以下の項目を意識してみてください。

脳を活性化させ、幸福ホルモンであるセロトニン分泌を促すためには、生活習慣を整え、積極的な社会交流や新しい挑戦が有効です。

家族や身近な人とのかかわりを増やす

仕事に没頭していた人は特に、会社を定年した途端、所属がなくなり、強い孤独を感じるようになってしまい、これは「不機嫌な高齢者」が日本で急増している大きな要因です。

忙しい時間の合間でも、家族や友人と時間を大切にする、特に家族や身近な人とのコミュニケーションを大切にする意識を持つだけで、その後の人生の幸福度が大きく変わります。

生活を整える

規則正しい健康的な食生活をして、十分な睡眠時間を確保することで、ストレスや不安が軽減できます。

特に、自律神経によって制御されていて、またドーパミンやセロトニンなど神経伝達物質の元のなる成分の90%以上を生産しているため腸内環境を整えておくことでストレス耐性を高めて、幸福感を感じやすくする効果が期待できます。

いつもと違うことをする

「歳を取るごとに1年が短く感じる」ようになりますが、これは19世紀にフランスの心理学者によって提唱された「ジャネーの法則」によって説明されています。

ジャネーの法則とは、「時間の心理的長さは年齢に反比例する」という法則で、例えば、50歳の大人にとって、1年の長さは人生の1/50ですが、5歳の子供にとっては人生の1/5なので、同じ1年という時間の長さでも、5歳の子供の1年は50歳の大人の10年分のような感覚になるそうです。

5歳の子供が経験値が少なく何をしても新鮮ですが、50歳の大人は既にたくさんのことを知って経験していますし、新しいことに挑戦しようとすることも少ないため、毎日が同じように過ぎていき、振り返って見ると毎日同じようなことばかりで変化がなく、受けている刺激が少ないため、過ぎた時間の長さを実感しにくくなることでこのような差が生まれているそうです。

5歳の子供が経験値が少なく何をしても新鮮ですが、50歳の大人は既にたくさんのことを知って経験していますし、新しいことに挑戦しようとすることも少ないため、毎日が同じように過ぎていき、振り返って見ると毎日同じようなことばかりで変化がなく、受けている刺激が少ないため、過ぎた時間の長さを実感しにくくなることでこのような差が生まれているそうです。

誰にとっても、何歳になっても、1年は365日だし、1日は24時間(1440分)。

つまり、年齢を重ねても毎日をワクワクしながら楽しく新しいことに挑戦している人の時間の感じ方は子供の頃と変わらないし、むしろ、自分で選べる選択肢が増えている分、子供以上に充実した(変化の多い)時間を過ごすことは可能です。

ふだんと違うことをすると加齢により低下しがちな前頭葉を活性化する効果が期待できます。

例えば、いつも朝は家でコーヒーを飲んでいたけど、今日は喫茶店で飲んでみるとか、あえて紅茶をオーダーしてみるとか、ささいなことでもいいので、ドキドキ・ワクワクする小さな変化を楽しみましょう。

とても幸せそうにいつもニコニコしているお婆さんがいます。

いつもほぼ同じご飯とお味噌汁の朝食に「わーこんな珍しいもの食べるの初めて。美味しい。」
いつもの日課の朝の体操の時に、「わーこんなことするの初めて。楽しい。」
おやつの時間に毎日飲むお茶の時間に、「わーこんな美味しいお茶初めて。嬉しい。」

このお婆さんは認知症で少し前のこともすぐ忘れてしまいますが、毎日が新鮮で新しいので、子供のように毎日目をキラキラさせながら日常を楽しんでいます。

四季の変化を楽しみ五感を刺激する

四季の変化に目を向け、自然を五感で感じるだけでも、心身とも癒されつつ、五感が鍛えられ脳の活性化が期待できます。

特に、「実りの秋」「食欲の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」「読書の秋」 などと呼ばれる秋は楽しみが多く、いろいろなことに挑戦しやすいシーズン。

また、面白いことに、秋には他の3つ季節とは違って「秋が来た」とは言いません。

「春が来た」「夏が来た」「冬が来た」他のどの季節も「来る」のに秋だけはなぜか「来ない」のですが、その変わり、「夏の終わり」または「冬の始まり」と表現されます。

秋は、暑い夏の疲れをしっかり癒し寒い冬にしっかり備える健康管理にも重要季節ですが、意識せずに過ぎ去ってしまいがちなのかもしれません。

四季を意識して五感を鍛えれば、他に特別なことをしなくても毎日の生活でも気付きや変化を楽しむ能力を高められ、1年の充実度は高まります。

決めつけずにまずは行動してみる

年齢を重ねると、過去の経験にとらわれて、どうしても行動を起こす前から「こうすべき」「こうなるに決まってる」と決めつけてしまいがち。

たとえ失敗したとしても、その想定外の出来事が前頭葉を刺激し、感情の老化を防いでくれるのだから、子供のころみたいに、あまり考えずにやりたいと思ったことはまず挑戦してみる、行動してみることも大切です。

人間関係を広げる・恋愛する

前頭葉が衰えると意欲がなくなり、引きこもりがちになり、ますます孤独を感じて不機嫌になりやすくなります。

地域のイベント、趣味のサークル、ボランティア、習い事など仕事以外の趣味や楽しみの人間関係を確保し、人との関係を楽しみましょう。

特に恋愛はいくつになっても脳活性化に有効で、好きな芸能人や気になる人がいるだけでも生活にハリがでます。

記憶力や判断力を鍛える脳トレ

加齢により低下する「認知機能」の中でも自覚しやすく、日常生活の問題に直結しやすいのは「記憶力」や「判断力」だと思います。

特に、新しいことを覚えたり、状況の変化に適応していくことが大変だと感じると思いますが、脳の構造や「記憶力」や「判断力」の仕組みを理解していれば、対策は明確になります。

この考え方は、子供の脳発達過程でも有効に転用できます。

記憶力を高める方法

まず、脳はそもそも「忘れる」ことを許容しているということを含んだ「記憶のメカニズム」理解した上で「記憶力」を維持向上させる対策を実践しましょう。

「エビングハウスの忘却曲線」によると「20分後には42%忘れる」「1時間後には56%忘れる」「1日後には74%忘れる」「1週間後には76%忘れる」「1ヶ月後には79%忘れる」そうで、脳は意識的に重要ではない情報を忘れようとする機能があること、記憶のほとんどは短時間のうちに衰退していく仕組みになっていること理解しましょう。

その上で、以下の点を意識すると「記憶力」維持に効果的です。

原因 詳細
マルチタスクはしない

脳は、同時に複数のインプットを処理することはできませんので、マルチタスクで何かを覚えておこうとしても、集中力や注意力が分散されてしまい非効率です。
(ちなみに、マルチタスクで何かしようとすると、ひとつのことに集中して行うよりも2倍以上の時間がかかると言われています。)

重要な仕事や勉強をする時は、非効率で脳を疲弊させるマルチタスクはせずに、極力不要な情報を遮断して、一つ一つのことを集中して処理することで記憶の定着率が高まります。

認知症の人の生活環境もできるだけシンプルにすることで、悩みやストレスを減らすことができます。

楽しく興味を持って取り組む

好き嫌いなどの感情を司る扁桃体が、短期記憶から長期記憶への移行に関する海馬に影響を与えるため、楽しくポジティブに取り組める環境や目標を設定することでも記憶力を高められます。

また、興味のあることの方がつまらないものよりもすぐ覚えられたという経験は誰にもあると思いますが、興味を示しているときの脳波は、海馬の神経細胞を柔軟にして脳を感受性の高い状態に保つ性質を持つθ(シータ)波になる性質があるので、興味を持って何事にも取り組んでいる人のほうが記憶の定着率が高くなる傾向があり、これには年齢は関係ありません。

年齢を重ねて物覚えが悪くなったと感じるほとんどのケースが、記憶力の低下というよりも興味関心の低下が原因とも言われています。

アウトプットする

記憶定着には反復練習が不可欠ですが、反復してインプットするよりも反復してアウトプットする方が脳回路へ定着するというデータがあります。

脳は、感覚器官から常に入り込む膨大な情報の取捨選択をし、どの記憶が不要でどの記憶が必要であるかを選別する必要があるため、記憶として定着させるべき情報を「頭に入った情報」ではなく「頭から出した情報」とすることで、脳の負担(エネルギー消費)を抑えています。

アメリカの国立訓練研究所(National Training Laboratories)の調査でも、教育の効果(学習定着率)が指導方法によって異なることを示していて、講義や読書といった受動的な要素の強い学習方法の場合は知識の定着率は低くなるが、自身の体験や他者への指導(出力)が伴う能動的な要素の強い学習方法の場合は知識の定着率が高くなる傾向があることを述べています。

海馬では神経幹細胞が生涯にわたって新しい神経細胞が生産され続けているため、記憶量が限界を迎えても、一定期間が過ぎれば記憶量の上限が増加することを示した研究もあり、脳機能(記憶力)は年齢関係なく、訓練(アウトプットの反復)で高められます。

年齢を重ねても、「頭を使えば使うほど良くなる」と言われています。

神経細胞自体は増えることはなくむしろ加齢とともに減少していくのですが、神経細胞の多くは樹状突起を持っていて、他のニューロンと接合して神経回路としてのネットワークを形成する樹状突起は、年齢関係なく経験や知識を学習すればするほど成長します。

また、よく眠る人ほど成績が良いと言われていますが、海馬からの情報の転送は睡眠時に行われる、つまり、記憶は眠っている間に整理されて定着していくこと、神経新生は運動によって促進されることも研究によって分かっています。

記憶には膨大なエネルギーも必要になるので、健康的な食生活で十分なエネルギーと栄養を確保することも重要です。

食事・睡眠・運動と基本的に脳機能を高める生活習慣は、記憶力を高める上でも重要な土台になります。

筋トレで判断力を鍛える

近年、高齢者の車の運転による事故が多発していますが、アメリカに高齢者による車事故を大幅に減らした事例があります。

アメリカは、言わずとしれた車社会で高齢者の交通事故が社会問題化し、原因としてドライバーの脳が「危ない!」と察知してから実際にブレーキを踏むまでの時間が長いことが挙げられていました。

そこで、政府は高齢者にいわゆる机上での脳トレを推奨して脳の活性化を図りましたが成果が現れませんでした。

それならと、今度は危険を察知してから実際にブレーキを踏むまでの過程を医学的・解剖学的に分析し、脳から筋肉への神経経路を鍛える筋トレのような脳トレを推奨したところ交通事故が大幅に減ったそうです。

危険を察知してからブレーキを踏む行為は言葉にするとたった一行ですし、時間にしても数秒ですが、医学的にその経路を説明すると細胞レベルの話は省略してものすごく簡略化しても以下のような長くなります。

  • 運転中に視覚で目の前に危険物をとらえる

  • 脳がその情報を受け取る

  • 脳がそれを危険だと判断する

  • 脳がブレーキを踏めと指令を出す

  • 神経が筋肉にその指令を伝達する

  • 指令を受け取った筋肉が運動を起こす

  • 足が動かしブレーキを踏む

  • 車が停止する

これらの反応速度が全体として遅くなる理由は神経の伝達速度の低下なので、神経の伝達速度をあげるような筋力(=脳力)トレーニングをすればいいということになります。

近年「脳トレ」ブームでオンラインゲームや書籍でも様々なトレーニング教材が発売されている一方、ボディメイクやダイエットを目的とした「筋トレ」もまたブームです。

筋トレは単に筋肉を太く強くするためのものではなく(ボディビルディングなど筋肉の肥大やデザインを主な目的となる筋トレもありますが…)、目的に応じて素早く適切な動作を起こすために行います。

スポーツ選手のトレーニング方法に当てはめてみるとわかりやすいと思いますが、スポーツはかなり特殊な環境で、特殊な姿勢でバランスを取り、瞬間の筋の最大出力を高めることで身体の限界に挑み記録に挑むものなので、脳から筋肉への神経伝達経路を鍛えるという視点は必要不可欠です。

脳トレは筋肉に直接アプローチをするものではありませんが、情報を処理しアウトプットするという意味では筋力トレをする際にも有効に作用する機能を鍛えることもできますし、筋トレに関してはいくつかのアプローチ方法がありますが、ほとんどの場合において脳の機能を一緒に鍛える必要があるため、筋トレ=脳トレと考えたほうが合理的だし望む結果を導きやすくなります。

現代人はかつてないほど脳で情報を処理する必要性が増えていて、肉体は疲れていないのに、脳が疲労して全身のバランスが崩れている人が非常に多くいます。

そんな現代人にとって、体を使うスポーツやトレーニングは心身のリフレッシュにとっても重要な役割を果たしますが、普段使わない体の使い方をすることによって脳の機能が活性化していることも有効に働いていると言えます。

忙しい人ほど、日々頭を使う仕事をしている人ほど、あえて時間をとってスポーツや筋トレなどで普段使わない神経経路に刺激を入れてみることをお勧めします。

【筋トレ + 脳トレ】を意識すると、身体の健康効果に加えて、今まで以上に脳機能が上がるので仕事や勉強のパフォーマンスは上がっていき、同じ時間で処理できる仕事量が増えていきますし、今まで気がつかなかったりできなかったことができるようになったという声も多く聞きます。

毎日10分でも、定期的に脳トレのつもりで筋トレやスポーツをしてみると、それだけで人生よい方向に変わっていきます。

健康寿命を伸ばすことへ意識を向けよう!

日本国の経済を大きく圧迫している「医療費」の中でも特に大きな比重を占めるのが高齢者を対象とする介護費用を含む保険医療費で、その額は国内総生産(GDP)の1割(先進国の平均以上)を超えています。

医療技術が発達して新生児の死亡率や病気や怪我になった場合の死亡率も大幅に減り、私たちが長生きできるようになったのは大きなメリットですが、実際長生きしても、健康で楽しく生活や社会参加できる状態でない人が多く、実際は病院や施設の中で「長生き」している人が多いという実情もあります。

結果医療費は増大し、若年層に負担が大きくのしかかるという構造になってしまっています。

高齢者は人生の先輩であり様々なことを私たち若年層に教えてくださる大切な存在で、健康で元気で長生きをしてくださることで、世代間の有効な交流が生まれ社会は活性化していくはずですが、そのためには健康で長生きする【健康寿命】を伸ばしていくことに焦点を当てなければいけません。

現代医療は寿命を伸ばせても【健康寿命】は伸ばせないので、私たち一人一人がもっと健康寿命を伸ばす努力をし、寝たきり・痴呆症・介護などの問題を大幅に削減していく必要があります。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

おすすめカテゴリー記事