骨(ほね)解剖学

『人体の軸:骨(ほね)』骨解剖構造と役割(骨解剖学と生理学)関節を作り運動や姿勢の軸となる!

二本足歩行をする人間が重力に対して安定した生命体構造を維持し、姿勢や運動の軸となる骨の基本的な役割や構造(骨解剖学や運動学について、イラスト図解を使ってわかりやすく解説しています。

【人体の骨(ほね)】役割

どんなモノにも柱や土台が必要ですが、人体構造の基礎土台(柱)になっているパーツが【骨(こつ)】であり、大きく5つの役割を担っています。

  • 人体(姿勢)の柱(軸)になる
  • 臓器を保護する
  • 血液を作る
  • 関節運動の軸になる
  • カルシウムを貯蔵する

人体(姿勢)の柱(軸)になる

【骨(こつ)】には、人体構造の基礎(土台/軸)を構築する役割があります。

【骨(こつ)】同士がつくる「枠組み(骨格)」は家に例えると柱であり、「骨格」を軸として人体の様々な構造や仕組みが構成されていることで、人間としての生命維持活動や運動などが行えます。

臓器を保護する器になる

【骨(こつ)】同士がつくる「枠組み(骨格)」は、生命維持に不可欠な臓器などを収納する腔所(部屋)を作る役割もあります。

脳を保護をする「頭蓋骨」、脊髄を保護する「脊柱(背骨)」、肺や心臓を保護する「胸郭(ウエスト上の骨構造)」、膀胱や子宮などを保護する「骨盤(上半身と下半身をつなぐ骨構造)」など、人体にはいくつかの骨が集まった腔所(部屋)があり、その中に生命維持に重要な臓器を納めて保護しています。

血液を作る(骨の造血機能)

【骨(こつ)】には骨髄があり、毎日新鮮な血液の成分(赤血球・白血球・血小板)が作られている造血器官としての役割もあります。

【骨(こつ)】は重力によるストレスを受けて活性化しますので、適度な運動で【骨(こつ)】に刺激を与えると全身に新鮮な血液を供給できます。

関節運動の軸になる

【骨(こつ)】には「筋肉(骨格筋)」が付着していて、「筋肉(骨格筋)」が収縮することによって起こる様々な姿勢変化や運動の軸となる役割があります。

「筋肉(骨格筋)」が【骨(こつ)】同士の連結である「関節」を補強したり動かしたりすることで、重力に対して姿勢を保持したり、「関節」を動かす運動や様々な日常生活活動ができます。

「骨格」がすべての土台になっている為、「骨格」が歪めば「筋肉(骨格筋)」や皮膚も影響を受けますし、逆に偏った「筋肉(骨格筋)」の使い方が「骨格」をゆがめる原因になります。

カルシウムを貯蔵する

【骨(こつ)】はカルシウム貯蔵庫でもあり、全身に血流を通してカルシウムを供給する役割もあります。

古くなった【骨(こつ)】を「破骨細胞」が破壊して血液中にカルシウムを補給し、「骨芽細胞」によって新しい骨を作る骨代謝を繰り返していますが、そのサイクルは3ヶ月〜1年程度です。

「骨芽細胞」と「破骨細胞」のふたつの細胞が上手く機能して正常な骨代謝が行われている限り、健康で丈夫な骨を維持できますが、骨生成が不十分だと「骨粗鬆症」など骨が脆くなる症状が出てきて骨折しやすくなります。

【人体の骨(ほね)】いくつある?【骨】の種類と構造各論

人体には206個の【骨(こつ)】があると言われていますが、左右対称のものや、まとまってひとつの骨のような構造をするものなどもあります。

このサイトでは役割別に大きく分類して、骨の種類や特徴について個別に解説しています。

【関節】とは?【関節】の構造と役割(解剖学と生理学)

人体の「骨(こつ)」は人間としての形状や姿勢運動機能を発揮するために、とても精巧な構造を有しています。

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200以上の「骨」とそのまわりを囲む数百の【筋肉(骨格筋)】が互いに協力し合って作用することで、私たちの姿勢や見た目(ボディライン)が決まり、様々な活動や運動が可能になります。

例えば、「肩こり」「腰痛」と聞くと「筋肉のコリ」だから【筋肉(骨格筋)】をほぐせばいいだろう、とマッサージなどに行っても一時的な効果しか期待できないのは、人体構造を理解した根本的な解決方法ではないからです。

「骨」と「骨」がつながって関節が作られて「骨格」が形成され、そのなかに人体の生命活動を司る内臓が収まっていますが、内臓を囲む「骨格」を外部の衝撃から守ったり様々な動線やライフラインをつなぐ役割をするのが「骨」に付着している【筋肉(骨格筋)】という筋肉なので、「骨」と【筋肉(骨格筋)】は常にセットで考える必要があります。

「骨格(骨と骨との連結)」が歪むとその形に引っ張られた【筋肉(骨格筋)】は無理な姿勢を強いられ、「肩こり」「腰痛」などの症状が生じますし、偏った【筋肉(骨格筋)】の使い方をしていると【筋肉(骨格筋)】バランスが崩れるので「骨格」が歪み始め「肩こり」「腰痛」などの症状に繋がります。

また、ひとつの動作を行うだけでも常に全身の【筋肉(骨格筋)】や「骨格」になんらかの影響を及ぼしています。

例えば、上半身を後ろに反らすいわゆる「伸び」の運動では背中の【筋肉(骨格筋)】を緩めると同時に反対側のお腹の【筋肉(骨格筋)】は身体が後ろにひっくり返らないように収縮しますし、背骨周りの小さい【筋肉(骨格筋)】はもちろん、関係ないように思える首の筋肉や手足の筋肉や顔の【筋肉(骨格筋)】も作用しています。

更に、現代は高度に文化が発達して、これまでの人類の歴史にはなかった「長時間机でパソコンを使って仕事をしている」「満員電車でつり革につかまり必死に立っている」「いつもスマホ画面を見る為に下を向いている」などのような不自然な姿勢を長時間強いられることが多くあります。

これらの不自然な同じ姿勢を長時間そのまま続けると、本来は柔軟性とバランスに富んだ【筋肉(骨格筋)】同士の相互作用が働く機会を失い、一定の方向で【筋肉(骨格筋)】が固定されて動かない状態なので、【筋肉(骨格筋)】の偏った張力により「骨格」も引っ張られて歪んだ状態になりやすくなります。

「骨格」の歪みをそのまま放置すると、「老」という漢字の語源となった腰の曲がった老人のように「骨格」まで曲がって固定(元に戻らない)してしまうということも起こり得ます。

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