関節とは?関節の種類と運動方向(運動面)の基礎知識まとめ

『関節』の構造がわかると運動がわかる!

 【関節】は、骨と骨をつないで人体の姿勢や運動軸を作り、筋肉の収縮による運動方向や可動域を決める重要な要素です。

【関節】とは、どんな解剖学構造でどんな動きをするのかそのメカニズムについて、イラスト図解を使ってわかりやすく整理しています。

  1. 『関節』とは?
  2. 『関節』の仕組みと運動方向の考え方
  3. 姿勢や運動における『関節』の役割
『関節』の動きで運動や姿勢が決まる!

【関節】とは?

【関節】とは骨と骨の間を繋ぐ(骨格を結びつける)構造で、姿勢や運動する時の身体のあり方を決める主要要素です。

人体には複数の関節があり、関節の周りにはそれぞれ関節を動かしたり、姿勢(ポジション)を維持するための筋肉や靭帯などの軟部組織が付着しています。

【関節】の種類①:可動域による分類

【関節】は、可動域または結合組織構造により大きく3種類に分類できます。

私たちの身体は安定した姿勢(骨格)を保って臓器などを保護しながら、動作や運動(可動)する必要があります。 【関節】は安定性と可動性のバランスをとる必要があるため、結合する軟部組織などによって可動範囲が異なる設計になっているのです。

分類 構造と仕組み
不動関節 安定を優先した動かない関節 頭蓋縫合線、歯と顎の結合、第一肋骨と胸骨の結合など
半関節 他の関節運動などと連動して限られた範囲で可動する関節 恥骨(左右の恥骨)結合、下腿骨(脛骨と腓骨)間結合、前腕骨(橈骨と尺骨)間結合など
可動関節 運動を優先した全域が動く関節 股関節、肩関節など

身体の部位ごとに、静と動のバランスを取る仕組みが骨結合の時点で出来上がっています。

【可動関節】

【可動関節】は、股関節や肩関節など運動する時に意識する関節です。

【半関節】

【半関節】は、恥骨(左右の恥骨)結合、下腿骨(脛骨と腓骨)間結合、前腕骨(橈骨と尺骨)間結合による関節があり、単独で関節運動をするというよりは、姿勢や他の関節運動に連動するように結合組織(繊維や軟骨)の可動範囲内で動きます。

【不動関節】

【不動関節】には、安定性を重視している構造で、「関節」ではなく「結合」や「線」などと呼ばれることもあります。 頭蓋縫合線、歯と顎の結合、第一肋骨と胸骨の結合など強固な骨結合が特徴です。

【関節】の種類②:構造による分類

【関節】は、骨と骨を結びつける組織構造の違いによっても以下の通り3種類に分類できます。

分類 構造と仕組み

繊維性(Fibrous)

主に安定を目的とした関節構造で、線や結合などと表現されることも多い 頭蓋骨の縫合線、歯と顎の関節、骨間膜結合

軟骨性(Cartilaginous)

骨と軟骨が一体化した構造で、特に中心部の安定性を維持しつつ重力を分散しながら特定の方向へ動かす要素を持つ 第一肋骨と胸骨の関節、椎間関節、小児期の恥骨結合(成人は骨結合のみ)など

滑膜性(Synovial)

運動を起こす「可動関節」の代表的な構造で、運動方向や可動域により更に6種類の構造に分類できる 背骨や四肢の運動する関節は全てここに分類

運動をする時に注目する関節のほとんどが【滑膜性の関節】ですが、それぞれの関節構造(メカニズム)を正しく理解しておくことで、痛みや怪我を予防しつつ効果的な運動が行えるようになります。

【繊維性関節】〜構造と特徴〜

【繊維性関節】は、線維性結合組織によって構成される関節です。 【繊維性関節】は、更に以下の3つのタイプ(種類)に分類できます。

分類 構造と仕組み

縫合線(Suture joints)

ジグザグの縫い目模様のような繊維で骨同士を結合させている構造で、可動域による分類では安定を目的とした不動関節に分類 頭蓋骨の縫合線

釘状関節(Gomphosis joints)

ペグがソケットにぴったりをはまる構造の関節で、可動域による分類では安定を目的とした不動関節に分類 歯と下顎骨または上顎骨による関節

靭帯結合(Syndesmosis joints)

「骨間膜」とも呼ばれる線維性結合組織で2つの骨間をつないだ構造で、他の関節運動に連動して少ない可動範囲をもつ半関節。動きが少ないので「靭帯結合」と呼ばれることも。 前腕骨(橈骨と尺骨)間および下腿骨(脛骨と腓骨)

【軟骨性関節】〜構造と特徴〜

【軟骨性関節】とは軟骨性の結合組織で骨を結合させる構造で、更に以下の2つに分類できます。

分類 構造と仕組み

軟骨結合(Suture joints)

骨と軟骨が一体化した構造の不動関節 第一肋骨と胸骨の関節

繊維軟骨結合(Gomphosis joints)

隣接する2つの骨の間に弾力性のある繊維軟骨性のパッドがクッションのように組み込まれている構造で、安定性を維持しつつ重力を分散しながら特定の方向へ動かす機能があり、身体の中心軸を作る骨格に多い 「椎間板」で結合される椎間関節、小児期の恥骨結合(成人は骨結合のみ)など

【滑膜性関節】〜構造と特徴〜

【滑膜性関節】は、結合する骨と骨の間に「関節包」があり、動くための関節「可動関節」の代表的な構造です。

「関節包」とは、【滑膜性関節】にのみ存在する組織構造で、関節の安定性と可動性を両立させる関節周囲組織全体を指します。

具体的には、関節の潤滑剤になる滑液を含む「滑膜」、構成する骨の関節面を保護する「軟骨」、関節外側を補強する「繊維性組織(主に靭帯)」が含まれ、運動中の摩耗や損傷を最小限に抑えつつ安定性と可動性高められるようになっています。

【滑膜性関節】は、骨結合(可動域)の特徴により更に以下の6つに分類でき、それぞれ特有の運動方向(特徴)があります。

分類 構造 動き特徴 代表例
球(きゅう)関節(ball-and-socket) 球形の骨端が他の骨のカップ(お皿)状のソケットに収まる構造 運動軸の制限がほとんどないため、滑膜関節の中でも最も可動範囲や方向に幅がある 肩関節(肩甲窩と上腕骨骨頭)
臼状(きゅうじょう)関節(ball-and-socket) 股関節(大腿骨骨頭と寛骨臼)
蝶番(ちょうつがい)関節(hinge) 骨の凸面ともう一方の骨の凹面結合する構造 ドアの開閉のように基本的に単軸方向の運動のみだが、骨構造により回旋や滑りなどの運動も同時に生じるものも含まれる

屈曲と伸展が主な作用である肘関節や指関節、口の開閉のみを行う下顎関節など

膝関節や足関節は回旋や滑りなどの運動も含まれますが、【蝶番(ちょうつがい)関節(hinge)】に分類

車軸(しゃじく)関節(pivot) 丸い骨端がもう片方の骨または靭帯で構成されるリング状構造内 骨自体が軸となって回旋する 環椎軸椎関節(上位頸椎関節):首を左右に降る、橈尺関節(肘または手首):前腕回内外
鞍(あん)関節(saddle) サドル状の凹凸がある骨端同士が垂直方向で面して構成 動域は蝶番関節よりもわずかに大きい

母指の手根中手関節が代表例:母指は屈曲⇄伸展や内転⇄外転に加えて、他の指との対立運動ができる

鎖骨内側と胸骨柄による胸鎖関節(SC)を鞍関節に分類している文献もあり

滑走(かっそう)/平面(へいめん)関節(gliding/plane) 平またはわずかに湾曲した面を互いに滑走するように動く構造で、ほとんどが複合関節内に存在 滑膜性関節の中では最も可動範囲が小さい 手根間関節、足根間関節、手根中手関節、仙腸関節、肋椎関節、胸肋関節、肩鎖関節など
顆状(かじょう)関節(ellipsoid/condyloid) 楕円形の骨端(凸)が他の骨の楕円形の空洞(凹)に収まる構造 球関節と類似しているが、楕円形のため可動範囲が球関節よりも小さい 頭頸部の結合(環椎後頭関節)、手首(橈骨手根関節)、(中手指節関節)など

 

【機能関節】〜関節の解剖学構造を持たない関節〜

人体には解剖学構造では分類できないけれど、運動学的に重要な関節(骨構造同士の連携)があり、これらも運動を考える上では関節と捉える必要があります。

機能関節の代表例は、【肩甲骨と胸郭による関節(肩甲胸郭関節)】です。

肩甲骨と胸郭背面は、靭帯など結合組織による結合も関節包もありませんが、肩甲骨および胸郭が他の関節が作る解剖学的関節に連動して動きます。

 

【関節の運動方向】〜基本運動面〜

ほとんどの関節の運動方向は、角度、回旋、円、滑走(すべり)で説明できます。

分類 構造と仕組み

角度

2つの骨で作る角度が変わる運動 屈曲⇄伸展、内転⇄外転など

回旋

空間での骨の位置は同じで骨自体が軸となって回旋する運動 回内⇄回外など

関節内の骨の一端がほぼ静止した状態でもう一端が円を描くように動いて円錐ができるような運動 指を回すなど

滑走

骨の平面と平面が滑るように動く運動 プロトラクション ⇄リトラクション、内転⇄外転、内反⇄外反など

実際の運動では複数の関節運動が同時に生じていますが、関節の運動方向を整理する上で共通言語になる基本姿勢と3つの運動面(軸)が定義されています。

【関節の運動方向】〜基本運動面〜

運動の3軸(3面)は対になる2種類の運動がセットになり、それぞれ名前がついています。

基本姿勢は、背骨が自然な湾曲を保ち骨盤は左右対称の立位で掌と顔は正面を向いて、左右の足に均等に体重が乗っている状態と定義しています。

分類 面の説明

矢上面

体を垂直方向に右と左に分割する面 背骨や腕脚の前後運動(屈曲⇄伸展)など

前額面

体を垂直方向に前部と後部に分割する面 背骨の側屈や腕脚の左右運動(内転⇄外転)など

水平面

体を水平方向に上部と下部に分割する面 回旋運動

これらの面で運動方向を分割することで、実際は複数の面で複合的に行われる運動の理解がしやすくなります。

【関節の運動方向】〜各論〜

主要関節の運動方向についてはこちらで詳しく説明しています。

バナナの皮と関節の共通点

身近なものに例えるとことで医学はずっと身近な知識になりますので、最後におまけ的なお話を。

人間の関節は、骨の発生と当時に作られ、骨・軟骨・靭帯・関節包などで構成されていて、先ほども説明した通り、「動き(可動性)」「固定」「動きの受容器」としての3つの役割があります。

また、重力に対抗して姿勢を保持しながら運動を行う私たちの関節は体重の数倍の負荷を受けていますが、80年以上の耐久性(耐摩耗性)を有する優れた軸受システムになっています。

この高い機能性と耐久を維持するために重要な要素になっているのが摩擦係数で、私たちの関節の摩擦係数が0.003~0.02と非常に低い値になっています。

生体関節の極低摩擦・極低摩耗は、軟骨内の液相成分が荷重を支持し摩擦を低減する二相性潤滑などが階層的・協調的に機能することにより実現されていると考えられていて、生体関節のこの巧みな潤滑機構は、多モード適応潤滑機構(軟骨からの水分の滲み出しによる滲出潤滑・関節液中の吸着成分による境界潤滑・軟骨表層に存在するプロテオグリカン凝集体が形成するゲル膜による表面ゲル水和潤滑)と称されています。

専門的に説明されるとよくわかりませんが、要するに滑る時の抵抗が極限まで小さくする仕組みができているから、関節の構造の寿命が長いということで、「関節がよく滑る仕組みは、バナナの皮が滑りやすいこと」と同じ仕組みなんだそうです。

バナナの皮で滑るなんてコントの中だけの話のようですが、これを学術的に研究してなんとイグノーベル賞(物理学賞)を授賞してしまった日本人がいます。

『イグノーベル賞』は、ユーモアで笑わせ、かつ考えさせる研究や業績に贈られる賞で、本家ノーベル賞とは財団も別ですが、ユーモアセンスがないと言われがちな日本人が2019年時点で13年連続で授賞しているというとても興味深い賞です。

北里大医療衛生学部の馬渕清資教授が率いる研究チームは、バナナの皮の内側にたくさんあるゲル状物質を含んだカプセルのような極小組織が、靴で踏まれた圧力でつぶれ、にじみ出た液体が潤滑効果を高めることを実験データから検証して発表しました。

ちなみに、北里大医療衛生学部の馬渕清資教授が率いる研究チームの本職は人工関節の潤滑などの研究で、関節のすべりの説明をする際に「バナナの皮ですべる」話を取り入れていたそうです。

「関節の軟骨による摩擦軽減の仕組みとバナナの皮の摩擦低減の仕組みには共通点があるのでは?」という発想から、実際に検証してみたら世界に認められました。

『イグノーベル賞』を受賞した研究が評価されたポイントは、「バナナの皮が滑りやすいのは自明のことだが、それを科学的に立証できた」こと。

数値が低いほど滑りやすいことを示す摩擦係数は、内側を下にしたバナナの皮の上からリノリウムの床材を踏んだ場合、床材を直接踏んだ時の6分の1だったということです。

     

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