【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】解剖学構造を理解したストレッチと筋膜リリースで姿勢を整え、不良姿勢、スマホ、パソコンを長時間使用による首コリ、肩こり、眼精疲労などの悩みを解消しよう!
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】とは?どこにあるどんな筋肉
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】は、頸部深層の内在筋のうち最も表層部にある平らな筋肉で、重い頭を載せた頸部を支えるような形状(構造)になっているため、この形状からギリシャ語で「包帯」を意味する「Splenion」と名付けられました。
日本語の板状はギブスのような意味合いなのか、いずれにしても形状から名前がつけられています。
読み方/ふりがな | 英語 | |
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頭板状筋 | とうばんじょうきん | Splenius Capitis Muscle |
頸板状筋 | けいばんじょうきん | Splenius Cervicis Muscle |
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】の表層には「僧帽筋」や「胸鎖乳突筋」があり、より深層にある「頭半棘筋」や「頭最長筋」を覆うように背筋深層の表面に存在します。
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】起始停止
【板状筋】は「頭板状筋」と「頸板状筋」に分類できますが、最終的に「頸板状筋」が「頭板状筋」に合するように混ざります。
起始 | 停止 | |
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頭板状筋 | C7-T3椎骨棘突起、項靭帯 | 側頭骨乳様突起、後頭骨上項線外側部 |
頸板状筋 | T3-T6椎骨横突起 | C1- C3椎骨横突起 |
【頭板状筋】起始停止
【頭板状筋】は、「項靭帯の下半分と最後の頸椎から上位3胸椎棘突起(C7-T3)」から起始し、上外側方向へ走行し、「側頭骨乳様突起」および「後頭骨上項線外側部」に停止します。
【頭板状筋】は「僧帽筋」や「胸鎖乳突筋」の深層にあり、「頭半棘筋」と「頭最長筋」を覆っていて、「胸鎖乳突筋の後縁」「僧帽筋の前縁」「鎖骨の上縁」で構成される「後頸三角」底面の一部にもなっています。
「後頸三角」には、「胸鎖乳突筋」および「僧帽筋」を支配する「副神経」の経路であり、「鎖骨上神経」「頸神経叢」「腕神経叢」「リンパ節」なども集まっています。
【頸板状筋】起始停止
【頸板状筋】は、「上部胸椎(T3-T6の棘突起)」から起始し、弓を描くように上外側へ走行して「上部頸椎(C1-C3横突起結節)」に停止します。
【頸板状筋】も「僧帽筋」や「胸鎖乳突筋」の深層にあり、「頭半棘筋」と「頭最長筋」を覆っていて、「頭板状筋」下外側縁に沿って走行しながら混ざり合っていきますので、明確な区別は困難です。
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】作用
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】の主な作用は、「頭頸部の伸展、側屈、回旋」などの動作によって身体の動き(立ったり座ったりなど)に合わせて頭部や頸部の位置を微調整することです。
両側 | 片側 | |
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頭板状筋 | 頭頸部伸展 | 側屈・回旋(同側) |
頸板状筋 | 頸部伸展 | 側屈・回旋(同側) |
首の後ろで【後頭骨と背骨をつなぐ頭板状筋】と【頸椎と胸椎を繋ぐ頸板状筋】が連動して、頭部から脊椎(頸椎・胸椎)のスムースな動きの連携作用は、「坐位」から「立位」への姿勢を変える時に最も重要で、動作を変えた後に【頭板状筋】の作用で頭を正中位に戻した時に最適な頸部のポジションを【頸板状筋】が作れるような構造になっています。
また、重い頭を頸椎の上に乗せて背骨の自然な湾曲を作る姿勢筋として、背骨周りの筋肉とともに作用します。
【頭板状筋】作用
【頭板状筋】は、両側が収縮することで「頭頸部の伸展運動」に作用しますし、反対側の「胸鎖乳突筋」および「半棘筋」や「僧帽筋と相互作用して片側が収縮すると「頭部の側屈や回旋(同側)」に作用しますので、イヤイヤと首を左右に回旋させる時などによく働きます。
【頸板状筋】作用
【頸板状筋】が両側収縮すると「僧帽筋」の「頸部伸展作用」を補助しますし、【頸板状筋】が片側収縮すると「頸部の側屈および回旋(同側)」が生じます。
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】神経支配
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】の神経支配は以下の通りです。
神経 | 髄節 | |
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頭板状筋 | 脊髄神経後枝の外側枝 | C2-C3 |
頸板状筋 | 下部頸髄神経の後枝の側枝 | C4〜8 |
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】触診
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】は、「胸鎖乳突筋の後縁」「僧帽筋の前縁」「鎖骨の上縁」で構成される「後頸三角」の底面に含まれるため、比較的簡単に触診できます。
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】ストレッチと筋膜リリース
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】は、スマホ使用などで頭が前に出た姿勢が続くと引っ張られたまま硬直しやすい筋肉です。
胸郭から背骨をニュートラルにした基本姿勢に戻してから、【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】の解剖学構造を意識して首を前後左右に動かしながら、筋肉の柔軟性を取り戻しましょう。