肩こり・首こり・眼精疲労・老け顔・たるみ…..スマホが手放せずパソコン作業が多い現代人の悩みを解消するポイントとなる頚部(首)の筋肉を一覧にまとめました。
それぞれの筋肉の起始・停止・作用・神経支配などは各筋肉の詳細ページをご確認ください。
筋肉の解剖学的構造を理解して、効果的なセルフメンテナンスができるようになろう!
頸部筋肉の役割
頸部の筋肉層分類
浅頚筋(広頚筋)
【広頚筋】は、名前の通り頚(頸)表面を広範囲に覆う浅層筋で、骨に付着せず皮膚の直下に存在します。
口角から下に向かう方向へ筋肉繊維が伸びているため、収縮すると口角が下がる作用が生じます。
また、首前面から胸部前面の筋肉を包み込む筋膜のように表層に存在する薄い皮膚のような筋肉のため、その深部にある筋肉を連動して緊張させたり、収縮によりシワを作るなどの作用が生じます。
顔面神経支配であり、口角の動きに関与するため、頸部の筋肉としてだけでなく表情筋として分類される場合もあります。
側頚筋(胸鎖骨乳突筋)
【胸鎖骨乳突筋】はミケランジェロのダビデ像にもくっきり表現されているデコルテの筋肉で、【胸鎖骨乳突筋】のまわりにはリンパ節が多く存在します。
胸鎖骨乳突筋をよい状態に維持することは健康美容面でも重要で、スマホ首などで短縮した状態で凝り固まるとリンパの流れが悪くなるため、肌荒れなどのお顔のトラブルも生じやすくなります。
また、表層にある大きな筋肉のため、レスリングやボクシングなどの格闘技、ラクビーやアメフトなど首に直接的な負荷がかかる可能性のあるスポーツでは、怪我の予防目的で強化が推奨されています。
深頸筋群(椎前筋群と斜角筋群)
椎前筋とは首の筋肉の中でも1番深層(骨の近く)にあり、頸部脊柱の前面に接して縦(上下)に走行する4つの筋肉の総称です。
頸長筋

頭長筋

前頭直筋

外側頭直筋

斜角筋は、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋という3つの繊維で構成されていて、頚部の運動と肋骨挙上(呼吸補助)にも作用します。
前斜角筋と中斜角筋の間(斜角筋隙)を腕神経叢と鎖骨下動脈が走行するため、斜角筋のコリや過緊張による挟み込み(絞扼)で腕や手に痺れが生じることがあり、斜角筋隙の絞扼による痛みや痺れの症状は「斜角筋症候群」と呼ばれ、胸郭出口症候群のひとつです。
肩こりや首こりにともなう手足の痺れや腰痛などがある場合、斜角筋ストレッチやマッサージでトリガーポイントにアプローチして斜角筋の緊張を緩めることで、痛みや痺れなどの症状が緩和する場合が多くあります。
斜角筋はスマホやパソコンを長時間使う姿勢や力を入れる作業をすると過緊張になりやすい筋肉なので、斜角筋の解剖学的構造を理解し、自分でトリガーポイントをみつけて斜角筋ストレッチやマッサージができるようにしておくと首や肩周りを快適に保てるようになります。
前斜角筋
中斜角筋
後斜角筋
斜角筋(前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋)【3D筋肉解剖学】はこちら

背筋深層部にある頸筋(後頭下筋群)
【後頭下筋群】とは、背筋の中で1番深層(骨の近く)にある固有背筋群のうち、後頭下部から環椎、軸椎に至る4筋(大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋)の総称のこと。
背骨を構成するパーツの中で1番可動性があり、負担がかかりやすい頭蓋骨直下の環椎(1番目の椎骨)と軸椎(2番目の椎骨)に付着していて、重い頭を支えながらの首の動きはもちろん、目の動きにも関与します。
首が前に出るスマホ姿勢やパソコン使用で負担がかかり硬直しやすい筋肉で、上頭斜筋・下頭斜筋・大後頭直筋が作る3角形の中を神経や血管が通り、内耳や脳に繋がっているため、【後頭下筋群】のコリを放置すると肩こり、眼精疲労、腕の動きの悪化に始まり、全身にも悪影響を及ぼします。
背面にある筋肉は解剖学上背部の筋肉(背筋)に分類されますが、首の動きに直接関与する深層筋で、前面の頸の筋肉との関連も重要なため、首の筋肉としても分類しています。
大後頭直筋

小後頭直筋

下頭斜筋

上頭斜筋

背筋浅層部にある頸筋(板状筋)
【板状筋(頭板状筋・頸板状筋)】は、後頭骨から胸椎まで繋がる長い固有背筋浅層の筋肉で、体重の10%もある重い頭を支えつつ、頭部から脊椎(頸椎・胸椎)のスムースな動きと頸部の生理的湾曲(S字)カーブをサポートしています。
背面にある筋肉は解剖学上背部の筋肉(背筋)に分類されますが、首の動きに直接関与する筋肉、前面頚部筋肉との関連も重要なため、首の筋肉としても分類しています。