首(頸部)の筋肉

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】椎前筋① 【イラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学(作用と起始停止)】

「環椎後頭関節:後頭骨と環椎(一番上の椎骨)間関節)」に作用して首を前からサポートしている椎前筋群に含まれる【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】の構造についてイラスト図解(解剖図)を使ってわかりやすく説明しています。

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】とは?どこにあるどんな筋肉?

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】は、頚部前面最深層部(頸椎前面)にある首のインナーマッスル:「椎前筋群」のうち、「環椎後頭関節」に作用する短い筋肉です。

 読み方/ふりがな英語
前頭直筋ぜんとうちょくきんRectus Capitis Anterior
外側頭直筋がいそくとうちょくきんRectus Capitis Lateralis

「第一頸椎(環椎)棘突起前面」と「後頭骨」をつなぐ首前面の筋肉で、後面から環椎後頭関節をサポートする「後頭下筋群」と相互作用しながら重い首を頚部に安定させつつ、頭部の運動(目線の変化)に作用しています。

頚部前面の筋としても最深層部(舌骨筋群よりも深層で椎骨直前にある筋肉)にある小さな筋肉で、様々な神経や血管とも隣接していますので、安全かつ効果的なコンディショニングをするためには、解剖学構造をしっかりイメージできるようにする必要があります。

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】起始停止

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】は、いずれも起始が「環椎」停止が「後頭骨下面」で、前面で環椎後頭関節を繋ぐように走行しています。

 起始停止
前頭直筋環椎外側塊および横突起の前面後頭骨底部下面
外側頭直筋環椎横突起上面後頭骨頸静脈突起下面

【前頭直筋】起始停止と隣接組織(層)

【前頭直筋】は、「環椎(一番上の頸椎)外側塊」と「横突起の前面」から起始して上内側に走行して「後頭骨底下面」に停止する「頸椎と頭部を直接的につなぐ小さな筋肉」です。

【前頭直筋】は、同じく「椎前筋群」に分類される「頭長筋」の上部深層で、咽後腔の直後にあり、外側には「鎖骨下動脈」「頸神経叢」「腕神経叢」などがあります。

【外側頭直筋】起始停止と隣接組織(層)

【外側頭直筋】は、「環椎(一番上の頸椎)横突起上面」から起始して垂直上方に走行し、「後頭骨頸静脈突起下面」に停止します。

【外側頭直筋】も「環椎(一番上の頸椎)」と「後頭骨」を繋ぐ短く平らな筋肉であり、「前頭直筋」および「頭長筋」の外側に位置し、「顎二腹筋」「内頸静脈」「椎骨動脈」「舌咽神経」「迷走神経」「副神経(CN IX-XI)」などと隣接しています。

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】作用

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】は、「環椎後頭関節を安定させる(頭部を背骨に安定させて重い頭部が後ろに転がっていかないようにサポート)」作用と目線を変えるための頚部に対する頭部の運動調整に作用しています。

 運動作用姿勢筋としての作用
前頭直筋頭部屈曲環椎後頭関節の安定
外側頭直筋頭部側屈(同側)環椎後頭関節の安定

運動に作用するといっても、「環椎後頭関節」に作用する短く小さな筋肉なので可動域はごくわずかで、姿勢変化に対する頭部位置(目線)調整としての役割(動き)と考えた方が実用的で、首の後ろ側から強調に作用する「後頭下筋群」との相互作用も意識する必要があります。

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】神経支配

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】は、いずれも脊髄神経前枝(C1- C2)支配です。

 神経髄節
前頭直筋脊髄神経前枝C1- C2
外側頭直筋脊髄神経前枝C1- C2

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】触診

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】は、舌骨筋群よりも更に深層にある小さい筋肉なので直接的な触診はできませんが、頸椎を安定させて頭部を小さく前屈および側屈させる運動で収縮させることができます。

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】解剖図をイメージしながら運動することで、深層での【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】の動きを感じられます。

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】ストレッチとトレーニング

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】スマホやパソコンなどを使用している姿勢で短縮したまま動かず、機能低下しやすい筋肉なので、意識して動かす時間を作るようにしましょう。

【頭直筋(前頭直筋と外側頭直筋)】は、一番上の頸椎を起点に頭蓋骨動かす程度のごく小さい動きで収縮しますので、より表層の大きな筋肉が作用しないように意識してアプローチしましょう。

また、背面から頸椎横突起(後面)から後頭骨に走行して「環椎後頭関節」をサポートしている【後頭下筋群】との連携作用を意識することで、より効果的に首コリや眼精疲労などの悩みにアプローチできます。

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【椎前筋】とは?どこにあるどんな筋肉?

【椎前筋】とは、舌骨筋群よりも更に深層部で頸椎前面に接して縦(上下)に走行する筋肉で、椎前筋膜に覆われる4つのインナーマッスル:【頭長筋・頸長筋・外側頭直筋・前頭直筋】が含まれます。

 読み方/ふりがな英語
前頭直筋ぜんとうちょくきんRectus Capitis Anterior
外側頭直筋がいそくとうちょくきんRectus Capitis Lateralis
頭長筋とうちょうきんLongus Capitis
頸長筋けいちょうきんLongus colli

【椎前筋】は、頭蓋骨と第一頸椎の関節である環椎後頭関節の安定と運動に作用する「頭直筋(外側頭直筋と前頭直筋)」と頸椎間を繋ぐように走行して首を前から支えつつ頭頸部の運動に作用する「長筋(頭長筋と頸長筋)」の2つに分類できます。

【椎前筋】はそれぞれ左右対称に存在し、主な運動作用はいずれも頸部屈曲ですが、それぞれの筋肉の走行が異なるため、私たちは頭頸部を様々な角度に屈曲しながら目線の調整ができます。

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