【後頭下筋(大後頭直筋・小後頭直筋・上頭斜筋・下頭斜筋)】イラスト図解わかりやすい筋肉解剖学(作用と起始停止)

背筋(背中の筋肉)
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【後頭下筋】とは首の後ろの最も深層(骨の近く)にある4つの小さな筋肉(大後頭直筋・小後頭直筋・上頭斜筋・下頭斜筋)の総称です。

【後頭下筋】は、体重の10%も重さがある頭を首後ろから支えて目線の位置を一定に保つ重要な働きをしている首のインナーマッスルです。

スマホの長時間利用などでコリやすく、【後頭下筋】のコリを放置すると、首こり・肩こり・眼精疲労の原因となりますので、解剖学構造を理解したマッサージやストレッチ、筋膜リリースを実践して辛い悩みを解消しましょう!

【後頭下筋】とは?どこにあるどんな筋肉?

【後頭下筋】は首の最深層部にあるインナーマッスルで、最も可動性のある第一および第二頸椎と後頭骨をつなぐように走行して、後頚部の筋肉としては最上位にあります。

【後頭下筋】にはそれぞれ独自の走行と筋腹を持つ以下の4つの筋肉が含まれます。

読み方/ふりがな 英語
大後頭直筋 だいこうとうちょくきん Rectus Capitis Posterior Major
小後頭直筋 しょうこうとうちょくきん Rectus Capitis Posterior Minor
下頭斜筋 かとうしゃきん Obliquus Capitis Inferior
上頭斜筋 じょうとうしゃきん Obliquus Capitis Superior

【後頭下筋】は、首が前に出るスマホ姿勢やパソコン使用で負担がかかり硬直しやすい筋肉としても有名で、上頭斜筋・下頭斜筋・大後頭直筋が作る3角形の中を神経や血管が通り、内耳や脳に繋がっているため、【後頭下筋群】のコリを放置すると肩こり、眼精疲労、腕の動きの悪化に始まり、全身にも悪影響を及ぼします。

スマホの長時間利用や不良姿勢でのパソコン作業で、目線が下を向く状態が続くと疲労してコリやすいため、普段から大後頭直筋の解剖学構造を理解した姿勢やほぐし方(マッサージやストレッチ)の実践が重要です。

【後頭下筋】解剖学

【後頭下筋】は、「後頭下(頭蓋の外後頭隆起および項靭帯以下)」で環椎(C1)と軸椎(C2)を含むエリアに付着している大小2つの直筋と上下2つの斜筋が含まれ、それぞれ左右に対称の筋腹を持っています。

僧帽筋、頭板状筋、頭半棘筋を経て後頚部の筋肉としては最深層、最上部に位置します。

【後頭下筋】の主な作用は、重い頭を首の後ろから支えること(姿勢筋)で、姿勢にかかわらず目線を一点に保つためにとても重要な働きをしている頸部のインナーマッスルです。

後頭部および上位頸椎および環椎や脊髄・脳を取り囲む「硬膜」にも付着しているため、【後頭下筋】のコリや緊張状態が続くと、脳への血流や脊髄神経の働きが低下して、肩こり、首コリ、眼精疲労、全身の倦怠感など様々な体調不良の原因になります。

4つの筋肉の位置関係をまとめて把握しておくと、作用がスッキリ理解できます。

【後頭下筋】起始停止

【後頭下筋】4つの筋肉それぞれの起始停止を確認しながら、位置をイメージできるように整理します。

起始 停止
大後頭直筋 軸椎(C2)棘突起 後頭骨下項線外側2/3
小後頭直筋 環椎(C1)後結節 後頭骨下項線内側1/3
下頭斜筋 軸椎(C2)棘突起 環椎(C1)横突起
上頭斜筋 環椎(C1)横突起 後頭骨(上項線と下項線の間)

イラスト図を見るとわかりやすいですが、4つの筋肉合わせて頭蓋を上位頸椎(C1,C2)に安定させつつ作用を微調整するバンドのような配置構造になっています。

【大後頭直筋】および【小後頭直筋】は上行するにつれて筋幅が広がっていることや走行方向にも機能的な意味があります。

【後頭下筋】作用

私たちが目を使う作業(パソコンやスマートフォンなど)をする時は、姿勢が変わっても目の位置を一定に保つことができます。

【後頭下筋】は、頭部を後方に引いて首の上の重い頭が前や横に転がり落ちないように後ろから支えたり、どんな姿勢になっても目線を水平に保てるように首の位置を調整するなど姿勢筋としてとても重要な役割があります。

運動面では、各筋肉の収縮により環椎後頭関節での頭部伸展とC1関節での頭部回旋にも作用します。

同側収縮 片側収縮
大後頭直筋 頭部伸展 頭部回旋(同側)
小後頭直筋 頭部伸展 (頭部回旋)
下頭斜筋 (頭部伸展) 頭部回旋(同側)
上頭斜筋 頭部伸展 頭部側屈(同側)

【大後頭直筋】作用

【大後頭直筋】は、C2棘突起から筋腹幅を広げながら上行し、後頭骨下項線外側部に付着します。

両側が収縮すると頭部を伸展する方向への作用が生じ、片側が収縮すると顔の向きを同側に回旋させる作用が生じます。

小後頭直筋作用

【小後頭直筋】は大後頭直筋のすぐ内側に位置します。

C1後結節から筋腹幅を広げながら上行し、後頭骨下項線内側部(下項線と大後頭孔の間)に停止します。

収縮すると頭部を伸展する方向への作用が生じます。

下頭斜筋作用

【下頭斜筋】は、斜筋のうち下方にある大きい方の筋肉です。

大後頭直筋と同じくC2の棘突起から起始して、外側上方に走行してC1の横突起に停止します。

C1回旋(顔が同側を向く)が主な作用で、C1の長い横突起により張力を発揮しやすい構造になっています。

上頭斜筋

【上頭斜筋】は、下頭斜筋からバトンを受け継ぐようにC1の横突起から起始し、筋腹を広げながら上方かつ後方に走行して大後頭直筋の停止部と重なります。

収縮すると頭部を伸展する方向と側屈する方向への力が働きます。

【後頭下筋】神経支配

【後頭下筋】は全て後頭下神経(C1)支配です。

  • 後頭下神経(C1)

【後頭下筋】のニューロンあたりの筋繊維は3〜5本と少なく、頻回な頭部(目)位置の微調整に正確かつ迅速に対応できるようになっています。

【後頭下筋】のうち、「大後頭直筋」「下頭斜筋」「上頭斜筋」の3つの筋肉で囲まれた三角形の空間を「後頭下三角」と呼びますが、この三角形の間を椎骨動脈と最初の頸神経である後頭下神経の背側枝が通過しています。

【後頭下筋】触診

【後頭下筋】は最深層部にありますが、眼精疲労や首の奥からくる深い首こり解消に重要な筋肉なので、ぞれぞれの起始停止や位置関係をイメージしながら触診してみましょう。

触診ポイント
大後頭直筋 小後頭直筋の外側に触れる筋腹
小後頭直筋 頭蓋骨下端(首の付け根)に指を揃えて触れた時、中央にある窪み部分
下頭斜筋 頭蓋骨下端(首の付け根)から指2本分あたり
上頭斜筋 頭蓋骨下端(首の付け根)外側

【後頭下筋】触診のポイントとなるのは、首(頸椎)と頭(後頭骨)の境目です。

両耳を覆うように手のひらを当てて、人差し指と中指を揃えて指先が背面中央になるように両手で首背面を包みこみます。

首を固定したまま頭をごく小さく伸展する(上を向く)と、中央に小さな窪みを感じられますが、その位置にあるのが「小後頭直筋」です。

環椎後頭関節に作用する筋肉なので、首を反らすのではなく頚部は安定させたまま頭部を伸展させることがポイントです。

「小後頭直筋」外側に斜め上行する筋腹が「大後頭直筋」です。

「大後頭直筋」の停止部から指で「ハの字」を描くように軸椎棘突起まで指で触れると「上頭斜筋」が触診でき、「下頭斜筋」は「小後頭直筋」が触れる部分から1横指下あたりから斜め上行する筋腹を触診できます。

【後頭下筋】ほぐし方(ストレッチとマッサージ)

まず、【後頭下筋】を覆う僧帽筋や板状筋などより浅層にある大きな筋肉にコリがある場合は、ローラーやストレッチポールなどで十分にコリをほぐして(筋膜をリリースして)ください。

表層の筋肉のコリが十分にほぐれたら、【後頭下筋】の解剖学構造を意識しながら、ごく小さな動きで刺激を加えてストレッチやマッサージをしてコリや筋膜をリリースしましょう。

表層の大きな筋肉が働かないようにごくごく小さい動きで行うことがポイントです。首コリ、肩こり、眼精疲労などの辛い悩みを解消しましょう。

大きく首を動かすストレッチでは、表層の筋肉も一緒に動いてしまい、【後頭下筋】を効率よくほぐすことができませんので、指をあて、手の熱で温めながら、小さくゆっくりと収縮させる方向へ動かしてください。

ペットボトルにぬるま湯を入れタオルを巻いて首の下に入れ軽く動かす方法もオススメです。

パソコンやスマホ姿勢で引っ張られ硬直していた【後頭下筋】がほぐれ、首こり、眼精疲労、肩こり、腕の疲れなどが解消します。

筋肉は複数の層構造を構成して、筋膜でつながり相互に作用して、私たちの身体や姿勢や運動を支えています。

筋肉や筋膜ごとのつながりも意識しながら、コンディショニングやトレーニングをすることで、効果を大きく高められます。

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