連続してヨガポーズをとることで相乗効果を高める【太陽礼拝】について整理してまとめました。
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)】とは?
「太陽礼拝」はサンスクリット語で「スーリャナマスカーラ」で、「スーリヤ(全ての生き物に恵みを与える神:つまり太陽)」と「ナマスカーラ(礼拝)」を組み合わせた表現です。
その名前の通り、「全てに恵みを与える神である太陽に向かって1日の始まりを感謝する」礼拝をするような12のポーズで構成されています。
- タダーサナ(山のポーズ)
- 手を上げるポーズ
- 深い前屈ポーズ
- 半分の前屈ポーズ
- プランク(板のポーズ)
- チャトランガダンダーサナ(軽減:八点のポーズ)
- アップドッグ(軽減:ベイビーコブラのポーズをキープ)
- ダウンドッグ(下向き犬のポーズ)
- 半分の前屈
- 深い前屈のポーズ
- 手を上げるポーズ
- タダーサナ(山のポーズ)
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)】効果
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)】は、腕、脚、背中、お腹、体側、首、指先まで全身を使うポーズなので、正しく行うことで様々な美容健康効果が期待できます。
- 自律神経のバランスを整える
- 集中力を高める
- ダイエット効果
- 姿勢改善効果
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)】は、短い時間でも効果が実感しやすいので、全身運動をしたいけれど十分な時間がとれないとき、朝起きてすぐなどがおすすめです。
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)】正しいヨガポーズのやり方
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)】に含まれる12のヨガポーズをひとつひとつ丁寧に確認します。
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)】は、ひと呼吸ひと動作でヨガの醍醐味でもある呼吸と動きの連動を流れで行い、大まかに前屈と後屈を繰り返すような構成になっています。
背骨を軸とする身体の構造を意識しながら行うことで効果を高められます。
目線(ドリシティ)
ヨガでは、自分に集中するために目線にも意識を向けます。
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)】のポーズを効果的に深めるためにも、余裕が出てきたら目線への意識も追加してみましょう。
タダーサナ(山のポーズ)
ヨガで基本となる立位姿勢でもある「タダーサナ」は、足部の機能をフル活用して、床面をしっかりと捉えることが重要です。
- 目線は鼻先、両足を揃えて立ち、踵の内側をつけて足趾は軽く広げ、床面をしっかりと踏みしめる
- 骨盤と背骨をニュートラルに整え、腕は自然に体側に置き、肩の力は抜いたら、身体の軸(背骨)を伸ばす
足のアーチが崩れていると床面を捉える感覚が掴みにくいですが、その場合は足を揃えた後、一度足趾だけを床面から離して、ゆっくり足趾を床に戻すようにすると、足のアーチの変化を感じやすくなります。
手を上げるポーズ
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)】「タダーサナ」の姿勢から腕を上に上げていくヨガポーズです。
- 目線は手の親指、腕を横から、または前から、耳よりも少し前の位置を目指して上げ、肩の力は抜く
- 胸を開いて目線を少し上に向け、重心を少し踵側に移動させる
腕を耳の後ろまで上げてしまうと、肩や首がつまりやすくなってしまうので、耳よりも少し前を目指します。
腕は前方から上げても、横側から上げてもどちらでも良いのですが、解剖学的に上げやすい手のひらの向きがありますので、肩関節の解剖学構造を理解して行うとより効果を高められます。
深い前屈のポーズ
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)深い前屈ポーズ】は、軸を伸ばした状態を維持したまま、股関節から体幹を前屈させていきます。
- お尻を少し後ろに引くようなイメージで、目線は鼻先に向けながら、膝を緩めつつ股関節から前屈し、両手を床につく
- 首や肩の力を抜き、両肘は後ろに向けて脇を締め、更に膝を緩め(屈曲し)て顎を引く
- お尻の穴を天井に向けていくようなイメージで前屈を深め、頭を下げる
前屈した時に脇を開いてしまうと肩に圧迫がかかりやすくなり、前屈を深める時の制限要素になってしまうので、両肘は後ろに向けて脇をしめた状態で肩や首の力を抜いていきます。
両肘が後ろに向いていると頭も下に下げやすくなり、前屈を深めやすくなります。
また、股関節からの前屈を深めるポーズなので、膝は緩めて(曲げて)大丈夫ですが、慣れてきたらお尻の穴を天井に向けて上に引っ張るようなイメージで少しずつ膝関節を伸ばし、頭を下げることで更にポーズが深まります。
半分の前屈ポーズ
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)半分の前屈ポーズ】は、深い前屈ポーズから上半身を半分起こすようなヨガポーズです。
- 目線は第三の目に、背骨を真っ直ぐ前方に伸ばしていくようなイメージで股関節屈曲90度程度を目指して伸展する
- 手は床、または膝の上など、膝関節と軸(背骨)が真っ直ぐにできる位置に置く
- 肘を後ろにひくようなイメージで頭を前方に引いて目線は斜め前方を向く
ポイントは、股関節が90度程度屈曲した状態で、背面をしっかりと伸ばすことです。
プランク(板のポーズ)
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)プランク(板のポーズ)】は、深い前屈ポーズから繋がります。
通常のシークエンスでは、そのままプランクへ移行しますが、正しいポーズを意識するために丁寧にアライメント(ポーズ)を作るひとつの方法を説明します。
- 目線は鼻先のまま、肩の真下に手がくるように両手を床に置く
- 前脚の膝の真下に踵が来るように、後になる方の脚を大きく引いて膝をつく
- 両手の指で床面をかるく捉え(カップハンズ)、軸(背骨)を伸ばして腰を下げる(前脚に体重を乗せない!!)
- 両手で床面を押し、後ろ脚の膝を床から離して踵を後ろに蹴り出す
- 骨盤の位置や伸びた背骨の軸がずれないように維持したまま前脚を後ろに引いて、左右の脚の感覚が腰幅になるように調整する
正しいポーズをマスターしたら、中間の要素を抜いて流れを意識しましょう。
八点のポーズ(チャトランガの軽減ポーズ)
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)八点のポーズ】は、プランクから難易度の高い「チャトランガ」や「アップドッグ」に繋げるためのポーズです。
チャトランガより支える点が増えて安定しますので、「八点のポーズ」で骨盤から上半身の正しい動かし方を習得してから、難易度が高く間違ったポーズになりやすい「チャトランガ」の挑戦をするようにしましょう。
- プランクから膝の位置を変えずに床につける
- お尻を突き上げるようにしてお腹を伸ばし、肘を後ろに引いて脇を締める
- 腹部〜胸部の筋肉から腕へのつながりを意識して、斜め前方に向かって床面ギリギリまで上半身を下げていき、胸から肩先と顎を床に着ける
上半身を下げていく時は、マットに向かって身体を落とそうとすると手首に大きな負担がかかってしまいます。
腹部〜胸部の筋肉から腕へのつながりを意識して、マットと押し合うように体幹の緊張を維持したまま上半身を床に近づけていきます。
股関節の柔軟性や体幹の力がないと難しいポーズなので、柔軟性や筋力を高めるエクササイズと合わせて練習すると効果が実感しやすくなります。
ベイビーコブラのポーズ
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)ベイビーコブラのポーズ】は、太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)八点のポーズから、肘を後ろに引いて身体の軸(背骨)を後屈させるポーズです。
- 下半身の位置は変えずに上半身を前に出して腹部を床につけて胸部から上体を少し起こしてから、足部を床から離して膝と足の甲を床につける
この時脚幅を開かず、左右の脚を真っ直ぐ伸ばして足の甲も真っ直ぐ床面についていることがポイントです。
チャトランガダンダーサナ
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)チャトランガダンダーサナ】は、太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)プランクから繋がります。
上半身を床面ギリギリまで下げ、太ももや膝は床から浮いた状態が目指す完成形です。
- 目線は鼻先のまま、足趾で床面をしっかりと捉え、脇を締める
- 目線は斜め前方を維持し、手のひらでマットを押しながら上体を床面ギリギリまで下げる
「チャトランガダンダーサナ」→「アップドッグ」の流れが難しい場合は、「八点のポーズ」→「ベイビーコブラのポーズ」で軽減しましょう。
アップドッグのポーズ
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)アップドッグのポーズは】は、太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)ベイビーコブラのポーズから繋がります。
- ベイビーコブラのポーズで、肘が後ろを向いて脇が閉まっていること、両脚が真っ直ぐ伸びていることを確認する
- 目線を第三の目に、お腹の前面がしっかり伸びることを意識しながら、両手で床面を押して上半身を起こす(背骨全体で後屈する)
- 肩は下げ、目線は斜め上にして呼吸をしながら後屈を深める
腰を反るのではなく、身体の軸全体で大きな後屈を描くように胸を開き、お腹前面全体が気持ちよく伸びるポーズです。
肩を後ろに大きく回すようなイメージで骨盤を前に出しながら上半身を起こして胸を開きますが、足の甲〜太もも前面からお腹まで繋がって伸びていること、腰に痛みや違和感がないことを確認しましょう。
「お腹が伸びる」「背骨全体で後屈する」感覚がわかりにくい場合は腰を反ることで代償してしまうので、枕やヨガブロックなどをお腹の下に置いて、正しいポジションを覚えてから実践しましょう。
ダウンドッグ
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)アップドッグのポーズは】は、太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)ダウンドッグのポーズから繋がります。
ダウンドッグは軸を伸ばすためのポーズですが、代償動作が出やすいポーズでもあるので、基本の軸を伸ばすポーズで練習してからシークエンスに取り入れるようにしましょう。
肋骨と骨盤の間を離すように背骨の軸の伸びを感じられることを最優先にし、目線はおへそに向けます。
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)】よくある間違いと正しい軽減方法
【太陽礼拝(スーリャナマスカーラ)】に含まれるヨガポーズや連動する流れの中で、よくある間違いや身体が辛い時の軽減方法や並行して行いたい筋力トレーニングやストレッチなどを紹介します。
腕が辛い・身体が支えられない
「チャトランガ」や「プランク」の際に、体幹を支える力が弱いと、お尻や骨盤の位置が上がりすぎたり下がりすぎたり、肩や手首への負担が大きくなってしまいます。
腕に体幹を乗せるのではなく、手の母指球で床面をグッと押して胸筋や腹筋も使って身体を押し上げることで、肩、腕、手首の負担を減らせます。
肩甲骨がしっかりと開いて胸筋が使えているかどうかがひとつチェックポイントになります。