【側屈ヨガポーズ解剖学】ヨガのやり方と効果がわかるイラスト図解

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背骨の【側屈】は普段の生活ではほとんど意識しませんが、【側屈ヨガポーズ】を正しく行うことで、背骨や椎間組織の機能と呼吸機能を高める優れた効果があります。

【側屈ヨガポーズ】の解剖学および運動学に基づく正しい姿勢の作り方、注意点、様々な応用ポーズの種類や効果、軽減方法などについてイラスト図解を用いてわかりやすく解説しています。

【側屈】とは?日常の側屈と【側屈ヨガポーズ】

【側屈】とは、前後の動きを抑制した(安定させた)状態で背骨を同じ面上で左右いずれかの方向へ傾ける動きです。

普段の生活で意識的に背骨を【側屈】する機会はほとんどありませんが、ヨガやラジオ体操などには【側屈】の要素が含まれているので、それらの運動の後に全身が整い、呼吸が深くなることを経験として実感したことのある人も多いと思います。

【側屈】は背骨の左右交互に行うため、左右の非対称やバランス改善に効果的で、また側屈時のポジションやポーズの作り方により肩甲帯や股関節を含むため、全身機能が改善して体調が良くなる効果が期待できます。

【側屈ヨガポーズ】を解剖学および運動学の観点から正しい理解を深め、安全に美容健康効果を高めましょう。

【側屈ヨガポーズ】効果

【側屈】は日常意識して行う動きではありませんが、様々な美容効果や健康効果が期待できます。

  • 背骨の柔軟性や可動域を高める効果
  • 椎間板や椎間組織の水分量や潤滑性を高める効果
  • 肩甲帯可動域改善
  • 骨盤帯可動域改善
  • 腹筋強化&ストレッチ&内臓マッサージ効果
  • 左右非対称を整える効果
  • 呼吸を深める効果

【側屈ヨガポーズ】によって体幹の側部構造(腹斜筋群、腰方形筋、腸骨筋、大腿筋膜張筋、腸脛靭帯を左右交互にストレッチと収縮ができるため、左右非対称やバランスを整えて姿勢を改善する効果、肋間筋ストレッチにより胸郭の動きがよくなり呼吸を深める効果などが期待できます。

また、【側屈ヨガポーズ】は背骨の側屈を主体としていますが、ポーズをスムースにかつ効果的に深めるために肩甲帯や股関節の動きも関与してきますので、骨盤帯や肩甲帯とのつながりと連動への意識も重要です。

背骨調整効果

椎間を長くして側屈させる【側屈ヨガポーズ】では、背骨周りの筋肉を強化&ストレッチする効果が高く、人体の大黒柱である背骨の可動域や柔軟性を高め、姿勢を整える効果が期待できます。

側屈することで左右のいずれかの体幹組織を収縮させると同時に、反対側の体幹組織をストレッチできます。

椎間板の潤滑性向上

背骨を側屈させることで椎間板が一時的に圧縮されるため、適度な【側屈】を実践することにより椎間板の潤滑性を保つ効果が期待できます。

肩甲帯および骨盤の可動域向上

【側屈】することで左右のいずれかの体幹組織を収縮させると同時に、反対側の体幹組織をストレッチできますが、ここに腕の動きを加えることで、同側肩甲帯のストレッチや収縮を追加できると同時、体幹側屈の効果(負荷)を深められます。

また、脚の間隔を開け(股関節外転)、片方の足を外に向ける(股関節外旋)すると、股関節を含めた【側屈】になり、股関節周辺、骨盤前面、内股の筋肉(股関節内転筋群)のストレッチ効果や収縮効果を追加できます。

 

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腹部強化/ストレッチ&内臓マッサージ効果

【側屈ポーズ】を効果的かつ安全に行うには、背骨の【側屈】に合わせてコアの筋肉組織(腹直筋・腹斜筋・腰方形筋)をしっかりと収縮させる必要があります。

また、腹圧を高めながら背骨を【側屈】することで、腹腔内の内臓を一時的に圧迫するため、腹部内臓のマッサージして循環を改善する効果も期待できます。

左右非対称を整える

人体構造を重力空間内で支え、痛みを生じることなく機能的な動きをするためには、前後の適切なバランス、左右の最適なバランスが不可欠です。

【側屈】は左右非対称を整える効果に最も優れた動きなので、正しい【側屈のポーズ】を継続することで、全身バランスも整いやすくなります。

呼吸を深める

【側屈】により左右の肋間筋のストレッチ効果も高く、猫背などの不良姿勢で縮こまった胸郭の動きの制限を開放するため、自然と呼吸が深くなり、高い心身のリフレッシュ効果があります。

目的と効果で選ぶ【側屈ヨガポーズ】

【側屈ポーズ】のバリエーションは大きく以下の3つに分類できます。

主対象 特徴 ヨガポーズ例
背骨全体 股関節を固定して上半身(肩甲帯と背骨)のみを側屈するポーズなので、体幹(背骨)側屈強度が最も高い ()など
股関節支点 上半身を固定して股関節から側屈するポーズで、股関節側屈(外転)が主な目的となり、股関節周り、特に股関節内転筋群のストレッチや筋トレ効果が高い ()など
肩甲帯〜股関節含む背骨全体 背骨に肩甲帯と股関節を含んで全身を使って側屈する(股関節を外転・外旋した状態で体幹側屈を行う)ポーズで、股関節側屈(外転)も含むため、体幹側屈強度は下がる ()など

【側屈ポーズ】ごとの特徴や負荷のかかる部分と効果を意識して、目的に応じたヨガポーズを選びましょう。

背骨全体

股関節を固定して上半身(肩甲帯と背骨)のみを側屈するポーズなので、体幹(背骨)側屈強度が最も高く、基本となる背骨の側屈に集中しやすいポーズです。

サンスクリット語 日本語 英語
()

coming soon

股関節支点

股関節を支点とする【側屈】は、股関節側屈(外転)が主な目的となり、股関節周り、特に股関節内転筋群のストレッチや筋トレ効果が高い特徴があり、股関節の非対称性(アンバランス)解消に効果的です。

背骨の側屈効果はほとんど含まれませんが、間接的に背骨の左右対称性に影響します。

また、立位での【側屈ポーズ】を効果的に安定して行うためには、股関節の安定性が不可欠(基礎)なので、側屈ポーズの一部として正しい解剖学理解を深めておきましょう。

サンスクリット語 日本語 英語 姿勢
() 背臥位
()
Ardha Chandrasana(アルダチャンドラアーサナ) 半月のポーズ/ハーフムーンポーズ Half Moon Pose 立位
Utthita Hasta Padangusthasanaウッティタ・ハスタ・パーダングシュタ・アーサナ 手で足の親指をつかんで伸ばすポーズ Extended Hand to Toe Pose 立位

普段の生活で股関節が左右非対称になる習慣はたくさんあります。

特に女性は、習慣、文化、宗教など様々な理由で、脚を組んだり膝を揃えて斜めにしたりしている時間が長くなりがちで、股関節外転筋と股関節内転筋群のアンバランスが生じやすい傾向があります。

股関節の左右非対称はそのまま上半身(背骨)の左右非対称に影響します。

例えば美容院で髪をカットしてもらうときに、美容師から脚を組まないようにとお願いされた経験がある方もいるかもしれません。

美容師さんによると脚を組まれてしまうと身体が左右非対称になるため、髪を左右整えてカットできなくなるためそうお願いしているそうですが、解剖学的にも理にかなっています。

また、脚を組むと血圧が高くなることがあるとも言われていますが、これも股関節アンバランスが血液の循環(身体の正常な機能)を妨げる要因にひとつになり得ることのひとつの証明です。

全身に影響を与える股関節を支点とする【側屈ポーズ】では、股関節外転筋と外旋筋を強化しながら、骨盤、鼠蹊部、股関節内転筋群、会陰部の組織構造をストレッチできるため、股関節内転筋群と股関節外転筋群のアンバランス調整や左右非対称の改善効果が期待できます。

股関節を支点とする【側屈ポーズ】の基本動作は、片脚股関節の外転と外旋です。

外転・外旋する脚は膝伸展位(真っ直ぐ)が原則となりますが、準備なくいきなり行うととても負荷が大きいので、股関節周囲筋のウォームアップやストレッチをしっかりと行い、必要(筋肉の柔軟性や強度)に応じて膝を軽く屈曲するなどの軽減した姿勢から行った方が効果的なケースがほとんどです。

股関節を支点とする【側屈ポーズ】の目的を正しく解剖学的に理解し、代償動作でごまかさないように適切に準備したり、必要に応じた軽減ポーズを取り入れましょう。

半月のポーズ(アルダチャンドラアーサナ)

【半月のポーズ(アルダチャンドラアーサナ)】は、片脚でバランスを取りながら、脚(大腿骨)を固定した状態で、股関節支点の側屈を行うヨガポーズです。

「アルダ」は「半分」「チャンドラ」は「月」という意味のサンスクリット語で、「上に引き上げた手先」「体幹の延長線上に上げた脚の足先」「支持脚の足」「床についた手」を結ぶと弧を描いた半月のように見えることから「半月のポーズ(ハーフムーンポーズ)」と呼ばれています。

普段の生活では意識しにくい太もも周り(内側と裏側)、横腹、胸筋をしっかりストレッチしつつ、自分の身体の感覚を手先から足先まで研ぎ澄ませてバランス感覚(深部感覚)を鍛え、股関節の柔軟性を高め、全身でバランスを取りながら体幹と軸脚の強化できるヨガポーズで、姿勢調整や骨盤調整効果も期待できます。

両脚を横に大きく開いて立ち、両腕を肩の高さになるまで真横に挙げ(床と平行)たら、右の足先を90度程度外側に向けて膝を軽く曲げ、胸を開いて骨盤を正面に向けたままゆっくりと上半身を右に側屈して左脚を床から離して右手の先を床に軽く添えるようにつけます。

支持脚となる脚の足先が90度外側を向いて、その延長線上に手を軽く置けるとポーズの完成度が高くなりますが、股関節の柔軟性(股関節周りの筋肉のしなやかさ)、支持脚と支える体幹のバランス感覚が必要です。

最初は少し軸脚の足先を内側に向けるとバランスが取りやすくなりますので、背骨が曲がらずに真っ直ぐな体幹を軸脚に乗せる感覚を掴みましょう。

また、胸筋群、股関節内転筋群、股関節伸展筋群の短縮等で床に手を着くのが難しい場合はブロックなどを使って支える面を高くするか、軽く膝を曲げるなどして軽減します。

重心は軸脚メインで支えて手は添える程度の負荷になるように、まずは頭部から足先が一直線になり片脚で重心を支える(バランス)を取ることに集中してください。

股関節の柔軟性が向上してきたり、バランスが安定して上半身の余計な力が抜けるようになると自然と低い位置に手がつけるようになってきます。

床面から離した脚も真っ直ぐ伸ばしますが、自分の身体の感覚がわかりにくい場合は、壁や椅子などを使って身体が真っ直ぐに伸びているかどうか確認しながら感覚を覚えるようにしましょう。

余裕があれば目線は上に向けるように首を回旋して、首のストレッチも追加しましょう。

 

肩甲帯〜股関節含む背骨全体

背骨に肩甲帯と股関節を含んで全身を使って側屈する(片方の股関節を外転・外旋した状態で体幹側屈を行う)ポーズです。

サンスクリット語 日本語 英語
Trikonasana(トリコナーサナ) 三角のポーズ Triangle Pose
Utthita Trikonasana(ウッティタ・トリコーナ・アーサナ) 伸ばした三角のポーズ Extended Triangle Pose
Utthita Parsvakonasana(ウッティタ・パールシュヴァコーナ・アーサナ) 体側を伸ばすポーズ Extended side angle pose

股関節側屈(外転)も含むため体幹(背骨)側屈強度は下がりますが、全身を協調的に使う必要があるため、ポーズとしての難易度は最も高くなります。

また片脚を外側に向けだけで、両足を並行にしているよりも仙腸関節を痛めるリスクが増加するため、骨盤へのさらに深く注意を向ける必要が出てきます。

更に、股関節内転筋群だけでなくハムストリングの高い柔軟性も必要なので、よくある間違い(代償動作)やできない時の軽減方法などを確認し、自分身体に合わせて求める効果を実感できるようにポーズに取り組みましょう。

膝頭の向きとつま先の向きが一致していること、膝をロック(過進展)していないこと、両足裏でしっかりと地面を踏んで体重を乗せることで、膝に負担をかけない意識も忘れないようにしましょう。

原則通り肩甲帯-背骨-骨盤帯が同じ面であることを意識するため、最初は壁を使って練習すると効果的です。

伸ばした三角のポーズ(ウッティタ・トリコナーサナ)

【三角のポーズ(トリコナーサナ)】は、三角形を作るように背骨に肩甲帯と股関節を含んで全身を使って側屈(片方の股関節を外転・外旋した状態で体幹側屈を行う)するポーズで、ヨガの代表的なポーズのひとつです。

【三角のポーズ(トリコナーサナ)】に類似するポーズに【伸ばした三角のポーズ(ウッティタ・トリコナーサナ)】があり、「三角のポーズ」と「伸ばした三角のポーズ」の違いや定義は指導者によって異なるようで、主には手の位置による体幹ポジションの差です。

サンスクリット語で「ウッティタ」は伸ばした、「トリコーナ」は三角のという意味で、いずれのポーズでも【側屈】の原則に沿って行う場合の基本事項や注意事項は同じなので、ここではまとめて(原則が同じポーズとして)解説します。

「3」や「三角形」は、安定やバランスのとれた状態を象徴している概念で、土台となる下半身をしっかり安定させた状態の上で気持ちよくしなやかに伸びていく体幹、胸、腕との調和で、姿勢を整える効果とそれに伴う様々な美容健康効果が期待できます。

特に普段の生活で意識しにくく機能低下しがちですが、きれいな姿勢を維持するために不可欠な股関節内転筋群、ハムストリングス、腹斜筋、大胸筋などに効果的に刺激を加えることができるため、姿勢の歪みや傾きを調整したり、デスクワークで疲れた心身をリフレッシュしたい時に特にオススメです。

左右の足に均等に体重を乗せて下半身を安定させた上で側屈することで全身で大きな三角形を作りながら、胸と脇腹をしっかりと伸ばして筋肉のつながりを感じられるかどうかで、ポーズの完成度や効果に差が出てきます。

両足を左右に大きく開いて立ち、骨盤と背骨を同じ面ニュートラルに整えたら、左つま先を正面のまま、右つま先だけ右へ90度外側へ向けたら、右足のかかとの延長に左足の土踏まずが来るように足の位置を整えます。

吸う息で胸をおへそから離すように背骨を長くして、鎖骨を広げるイメージで胸を開きながら腕を肩の高さまで外転し、手の平は下向きにしたら、肩と耳が近づかないように肩甲骨を引き下げて上半身はリラックスします。

吐く息で徐々に腹筋群を収縮させながら側屈しますが、身体が1枚の面からずれないように意識して骨盤の位置を確認し、下になる手は脚に添えるようにおきます。

側屈をするときに特に注意したいポイントが3つあります。

注意1:手の位置には拘らない

ポーズの効果を高めるために、床やできるだけ足の近くを持とうとする必要はないということです。

【側屈のポーズ】では、ほとんどの人が側屈を深めようと手を床や足部などできるだけ下に着こうとしますが、手が床に着くのは正しく側屈を深めた後の結果であって、【側屈のポーズ】のゴールでも目的でもありません。

正しく【側屈】ができていない状態で手の位置に捉われると様々な代償動作(間違ったポーズ)で身体を痛める原因になるだけです。

手は自然と届く位置に置く、手を置く台を用意する、膝を曲げるなどの軽減方法を使って、本来の目的である【側屈】に集中しましょう。

注意事項や軽減方法を理解して、段階的にポーズを深めていきましょう。

注意2:骨盤をヒンジ(蝶番)にしない

また、【側屈】を起こすときに骨盤をヒンジ(蝶番)にせず、股関節と背骨全体で負荷を分散するように【側屈】することが重要です。

背骨の生理的湾曲を乱すように背中を丸める(前屈)ような代償動作が出てしまうと問題ですが、背骨の正常可動域範囲で「正しい側屈」を行うことで背骨の機能を整える効果が期待できます。

胸椎の側屈正常可動域は約20度で、腰椎の側屈正常可動域は約20度ですが、日常生活で意識することがほとんどないため、「正しい側屈」は積極的に行いたいヨガポーズのひとつです。

もし、股関節を起点に上半身を吊り下げる蝶番のように身体を使った場合、上半身全体の体重を右腰に乗せることになるので、ハムストリングと内股の筋肉(股関節内転筋群)を強く引っ張る力が働き、股関節を痛めるリスクを高めます。

背骨を【側屈】することで、各椎間関節(背骨全体)、股関節、前腿にもに負荷を分散できます。

注意3:上側体側と下側体側は同じ長さにはならない

【伸ばした三角のポーズ(ウッティタ・トリコナーサナ)】のやり方や中事項として、上側の体側と下側の体側を同じ長さに保つことを指摘されていることがありますが、上側と下側を同じ長さに保つということは、側屈の支点が腰になるため、【背骨側屈】のメリットを完全に放棄していることになります。

正しく【側屈】をすれば、上側の体幹構造(外腹斜筋、内腹斜筋、腰方形筋、大腿筋膜張筋、腸脛靭帯)がストレッチされ、反対に下側の体幹構造が収縮し、体幹を安定させたまま背骨を長くすることができます。

上側と下側を同じ長さに保つことを意識すれば、体幹上側の構造に変化をつけず、短縮した体幹下側の構造を長くする必要が出てくるため、尾骨をかかとに向かって伸ばそうとして下側の股関節の関節結合を深める(大腿骨頭を寛骨臼に押し込む)力が働き、骨盤が前傾して下(右)の脚側へ回旋し、同時に体幹(背骨と仙骨を含)を左(反対方向)に回旋していますので、仙腸関節が引っ張られます(仙腸関節靭帯がねじれる)。

体重による負荷がかかっていなければ大きな問題となる姿勢ではありませんが、実際には右腰で上半身の体重全体を支えていますので、背骨と骨盤に反対方向への力が加わり続ける状態になり、右の仙腸関節に大きな負担がかかり続け、やればやるほど関節を痛めます。

左右の体側を同じ長さにする意識さえ無くせば(下側の股関節を押し込まずに背骨を長くしようとすれば)、身体が自然と進む方向へ下がっていくだけなので、仙腸関節への負担は遥かに小さい正しい側屈になります。

また、上になる手や腕も無理に伸ばす必要はなく、骨盤の上に手を置いて無理のない範囲で胸を開くことを意識しましょう。

首を上に向けることが辛い場合は、目線は下のままでも問題ありません。

体側を伸ばすポーズ(ウッティタ・パールシュヴァコーナ・アーサナ)

【体側を伸ばすポーズ(ウッティタ・パールシュヴァコーナ・アーサナ)】は「伸ばした三角のポーズ(ウッティタ・トリコナーサナ)」に似ていて、違いは前になる脚が真っ直ぐではなく、90度屈曲していることです。

前になる脚を屈曲することで、骨盤を安定させやすく背骨側屈により体側を伸ばすことに集中しやすくなります。

【側屈ヨガポーズ】効果を高めるコツと注意ポイント

【側屈ポーズ】効果を最大限高めるには、前後のバランスが安定した背骨ニュートラルポジションから、身体がひとつの面に収まるように肩甲帯と骨盤帯のポジションを含めてコントロールしながら【側屈】する必要があります。

背骨の他の動き(ありがちなのは前屈や回旋)がある状態で【側屈】しても効果が期待できないだけでなく、仙腸関節や腰を痛める原因になります。

自分の身体を理解し、達成したい目標に対して適切なアプローチなのかどうか解剖学的な正しい理解を持って取り組みましょう。

面で側屈する

ヨガポーズにおいて後屈ポーズが得意(後屈可動域が大きい)人ほど側屈ポーズが苦手な(側屈可動域が小さい)傾向があり、反対に後屈可動域が小さい人ほど側屈の可動域が大きくなる傾向があると言われています。

もちろんこれはあくまで傾向で、人によりできるできないは様々ですが、この傾向の本質は解剖学的に説明できます。

背骨は安定性を保つため、多様な方向へ過剰な動きができなうようにな構造になっているため、後屈、前屈、回旋など他の背骨の動き要素が優位な時は、他の方向への動きが制限されます。

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【側屈】することで、体幹側面の組織(筋肉など)が収縮またはストレッチされますが、他の動きの要素(前屈、後屈、回旋)を加えず純粋な【側屈】動作にするには身体(肩甲帯-背骨-骨盤帯)を一枚の平面上にまとめる意識が必要です。

代償動作として前屈や回旋が特に出やすいので注意して、効果を最大化しつつ腰(仙骨)を痛めるリスクを最小にします。

「正しい側屈」のボディイメージを明確にするには、頭から足まで背骨、肩甲帯、骨盤がひとつの面に置かれる背臥位での練習がオススメです。

骨盤や肩甲骨が床面から浮いてしまう場合は、純粋な「側屈」運動になっていないということです。

背臥位で両脚を揃えて真っ直ぐにし腕で誘導しながら体幹を側屈するポーズでは、反対側のお尻が床から浮いてしまう傾向があるので、側屈角度が減少してもいいので身体全体を床面に設置させたままを優先します。

股関節側屈でも同様に、伸展した脚の動きに続くように骨盤が回旋し、上半身も追従して反対側が床面から離れる傾向があり、股関節が硬いほど骨盤の傾きが出やすくなります。

股関節に手を置いて位置がずれていないか確認しながら、伸ばした脚を屈曲したり、脚を動かす角度を減らすなどして反対側の骨盤に影響を与えない軽減ポジションを探り、この傾向を意識して改善しましょう。

立位で側屈する場合、側屈に集中するには足を並行にして股関節を安定させた状態から始めるのがベストです。

【側屈】の基本原則を理解する

【側屈】には様々なバリエーションがありますが、身体の構造を痛めずに安全に効果を高める側屈の基本原則は同じです。

  • 背骨を長くする(胸とおへそを離す)
  • 胸を開く(鎖骨と鎖骨の間を開く)
  • 腹筋群を収縮させながら背骨を側屈する
  • 肩甲帯-背骨-骨盤帯を同じ面に置く

背骨を長くして胸を開いて腹筋群を収縮させ、前後方向へのブレをなくして体幹(肩甲帯-背骨-骨盤帯)が安定した面を作ってから、その面からずれないように【側屈】が原則です。

骨盤の位置を常にモニターする

正しく効果的な【側屈ポーズ】ができているかどうかは、骨盤の位置が目安になります。

ヨガポーズでは見た目で見本に近づけようと代償動作でごまかしがちですが、【側屈ポーズ】では骨盤の位置が伸ばした脚の方向へ回旋しないようにコントロールすることを最優先にするため、反対側の骨盤の位置をモニターしながら調整するために手を添える方法が有効です。

肩甲帯-背骨-骨盤帯を同じ面に置かれていないと、【側屈】ポーズの効果が期待できないので、代償動作の起点となりやすい「骨盤」を常にモニターしながら、少しづつ確実にポーズの完成度を高めていきましょう。

手の位置が高くても問題なし

特に立位で行う【側屈ポーズ】では、手を趾先や床に近づけることでポーズの完成度を高めようとしてしまいがちです。

もちろん、正しい【側屈】を深めた結果手を趾先や床に近づくのは正しいのですが、【側屈】ポーズのよくある間違いや身体を痛めてしまう代償動作のほとんどが、正しい【側屈】よりも手を趾先や床に近づけようとすることを優先した結果として生じています。

よくある間違いによる代償動作(背骨の生理的湾曲が乱れる)や仙腸関節の痛みの原因には以下のようにものがあります。

腰椎前弯が増強する

背骨の生理的湾曲が崩れる(腰椎前弯が増強するなど)ため、腰に過剰な負担がかかり仙腸関節靭帯を痛めます。

これは、腰(腰椎)の可動域が大きすぎる(安定性が低下している)場合に生じやすい問題なので、側屈動作を起こすときはもちろん、ポーズを保持している間も腹筋群収縮させることをしっかりと意識して骨盤の傾きをコントロールする必要があります。

胸椎後弯が増強する

胸椎の後弯が増強して胸が前に出る代償動作は、もともとその姿勢の傾向がある人に起こりやすい間違いです。

息を吸うときに胸とおへその距離を離すように背骨を伸ばして、鎖骨間を広げるように胸を開くことを意識しましょう。

外転・外旋する側の脚(右とする)を更に外側に回すと大腿骨骨頭が寛骨臼に深く入り込むので、骨盤が右にわずかに傾くことでより股関節での深い側屈が可能になり、体幹右側屈での負荷を軽減できます。

また、右膝を軽く屈曲する方法も軽減に効果的です。

股関節回旋が限界の場合は、手の位置を高くして体幹側屈角度を軽減してください。

骨盤が前方に回旋する

側屈中に骨盤が前方に回旋し過ぎると右側の仙腸関節に大きなストレスがかかります。

たとえ、ポーズが見本通りにならなくても、深い側屈ができないとしても骨盤のズレが生じないことを優先する必要があります。

正しい【側屈】ができていれば、手が趾先につかなくても【側屈】効果は十分に期待できますので、手は膝の内側においてできるだけ脚を伸ばすようにしましょう。

筋膜リリースやマッサージで硬い筋肉をほぐしておく

特に硬さを感じる筋肉がある場合は、マッサージや筋膜リリースなどを行って柔軟性を向上させてからポーズに向かうようにしてください。

無理にポーズを完成させようとする代償動作で生じる関節痛や怪我を予防できます。

特に、立位での【側屈ポーズ】の土台となる「股関節」は上半身と下半身をつなぐ構造として安定性を保つため様々な筋肉組織が付着していますので、十分な準備をせずに大きく負荷の大きい動きをしようとすると股関節と仙腸関節を安定させる組織構造を損傷してしまうので、痛みが生じたりや不安定性を増強させてしまうリスクがあります。

例えば、「木のポーズ(ヴリクシャーサナ)」に続いて、足趾を掴んで外転する「手で足の親指をつかんで伸ばすポーズ(ヴリクシャーサナ)」に移行することなどがあると思いますが、安全に行うには、事前にこの動きに耐えうるような準備が必要です。

比較的負荷の小さい背臥位で行う場合も含め、股関節を支点とする【側屈ポーズ】を行う場合は、股関節内転筋群、股関節外転筋群、ハムストリングのウォームアップとストレッチを行い柔軟性を高めておきましょう。

段階的に強度を高める

【側屈】は普段の生活で意識して行うことがあまりない動作なので、いきなりヨガポーズの教科書にあるような最終形を作ろうとすると腰や首を痛めます。

現在のコンディションで無理なくできる状態から計画的にポーズの強度を高めていきますが、まずやりたいヨガポーズの解剖学構造(骨格・関節・筋肉・筋膜のつながりなど)のレベルでポーズの本質を理解する必要があります。

その上で、安全にかつ効果が期待できる1回ヨガポーズレッスン内の変化目標と長期的な目標を決め、身体に余計な負担をかけないようにします。

一度に連続してやり過ぎない

何事もそうですがやればやるほど効果が高まる有りませんので、基本原則をきちんと守り、身体によけいな負担をかけないようにしましょう。

また、仙腸関節い違和感を感じる場合は、すぐにポーズをやめてください。

アフターケアで左右対称を確認

【側屈】ポーズは左右非対称解消に効果的なポーズですが、正しく行えていない場合は、逆に左右非対称やアンバランスを強めてしまうこともあります。

側屈のポーズ前後に左右対称で行う前屈ポーズや後屈ポーズを取り入れ、前後の変化を確認するとともに、負担がかかりやすい仙腸関節を左右対称にアフターケアしましょう。

 

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できない時の軽減方法を知っておく

【側屈ヨガポーズ】の効果を最大限高めつつ、代償動作による怪我を予防するため、できない時の軽減方法も解剖学的に理解しておきましょう。

仙腸関節に急性の問題を抱えている場合は、【側屈】の際に足を並行にして腰の回旋が生じないようにあらかじめ制限をかけてしまいましょう。

もちろんその分【側屈】可動域は制限されますが、仙腸関節は安定します。

現在の身体の状態や目的に合わせて負荷や姿勢を調整ししたり、補助具などを使って筋肉や関節組織に適切な刺激が入るように工夫し、正しい考え方と意識でポーズを続けていると自然に柔軟性が高まりますので、焦らず丁寧に自分の身体と向き合いましょう。

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