骨格筋の種類(速筋と遅筋)と収縮の違いや特徴

機能連結
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骨格筋の収縮と弛緩により運動や姿勢保持ができますが、勘違いしやすい2つのポイントから筋肉の収縮と弛緩の定義を正しく理解しましょう。

理想通りの筋肉をデザインするためにも必要な知識です。

人体にある3種類の筋肉

人間の身体には以下の3種類の筋肉があります。

 

  • 骨に付着して意識的な運動を行う骨格筋
  • 内臓を構成する平滑筋
  • 心臓を構成する心筋

 

平滑筋と心筋は自分の意思で操作できる筋肉ではないので(できたら大変なことになりますね….)、ここで説明している筋肉は全て骨格筋のことです。

骨格筋の収縮と弛緩を正しく理解

ポイント1 : 筋肉はチームで働く

骨格筋は人体の筋肉全体の40%を占めていて、400個ほどの種類があります。

例えば、歩く動作は足だけでできる運動のように勘違いされることがありますが、実際は一歩前に進むために使う筋肉の数はメインなものだけでも約200個ほどあり、姿勢を保持するための体幹の運動、バランスを取るための上肢の運動などほぼ全身の筋肉を使っています。

人間の筋肉もチームで動いていて、それぞれの筋肉の強弱、緩急、動静、働休、協力、拮抗…など複雑で絶妙なバランスで姿勢保持や運動が行われます。

筋肉がチームで働いているという意識はとても重要で、リハビリでも、アスリートのパフォーマンス向上でも、ダイエットやボディメイクでも、この意識を持つだけで効果に大きな違いが出ます。

それぞれの筋肉をひとつひとつ理解することに加えて、それぞれの筋肉同士の連携も理解することで、より筋力トレーニングなどの効果を高めることができます。

ポイント2 : 筋肉の収縮と弛緩の定義

先ほど筋肉はチームで働いていると説明しましたが、ある動作をするためにはその運動を起こす機能を持っている筋肉が収縮し、その反対の機能を持っている筋肉が弛緩します。

筋肉の収縮と弛緩を正しく理解することも非常に重要です。

 

  • 筋肉が働いている状態が収縮
    *筋肉に張力が生じていること
    *実際に筋肉の長さが短くなっているとは限らない
    *筋肉の長さが同じでも長くなっている状態でも起こり得る
  • 筋肉が休んでいる状態が弛緩
    *伸展と表現される場合もあるが実際の筋長の変化とは別

 

ポイントは、筋肉が働いているのか休んでいるのかと、筋肉の長さの変化を区別して考えることです。

筋肉が働いている時:収縮

筋肉が働いている状態を収縮と呼びます。

収縮と聞くと、一般的には「縮む、縮んで短くなる」という意味ですが、生理学用語では、「筋肉に張力が発生すること」を収縮といい、筋肉に力を入れた状態、つまり筋肉が働いている状態のことを指します。

筋肉の長さが短くなるとは限らないということを理解しましょう。

収縮と筋肉の長さの関係は、以下の3通りがあります。

1:等尺性収縮

収縮している筋肉の長さが一定で変わらない状態。
重いものなどをずっと同じ姿勢で持っているときなどの状態です。

2:求心性収縮

収縮している筋肉の長さが短縮していく状態。
筋トレなどの一般的な筋肉の使い方です。

3:遠心性収縮

収縮している筋肉の長さが伸びていく状態。
たとえば、筋トレで重いものを持ち上げようとして、支えきれなくなっていく過程での筋肉の使い方で、一番筋肉への負荷が大きい。

筋肉が働いていない時:伸展/弛緩

筋肉が働いていない時:伸展/弛緩と呼びます。

筋肉の収縮に相対する言葉として「伸展」がありますが、生理学的に筋肉の伸展というのは「弛緩」と同義です。

筋肉の伸展といっても必ずしも長さが伸びるわけではないことを理解しましょう。

例えば、右腕の力を抜いてだらりと下げた状態から右腕は脱力したまま左手で右手を持ち上げて右腕の肘を曲げたとき、右腕の上腕二頭筋は、力を入れていないので「弛緩/伸展」したままですが、長さは短縮しています。

また、力こぶを作ったときは、収縮しているのは上腕二頭筋で、上腕三頭筋は伸展(弛緩)していますが、この状態で上腕三頭筋にも力を入れると三頭筋も収縮しますが、短縮はせず長さは伸びたままです。

速筋と遅筋の違い

久しぶりに運動をした時やダイエットやボディメイク目的で新しい筋トレやトレーニングメニューを導入した時、翌日すぐに筋肉痛を実感する場合と3日後くらいに筋肉痛になる場合があります。

そして、翌日に筋肉痛が来るのは若い証拠で、筋肉痛を感じるまでに2〜3日かかるのは歳をとった証拠と言われますが、実は筋肉痛が起こるまでに要する日数と年齢は直接的に関係ありません。

まず、筋肉痛が起こるメカニズムからお話していきます。

筋トレやスポーツなどで、普段の筋肉の働き以上の負荷を課した場合や、お休みしていた筋肉に久しぶりに刺激が入った場合、筋肉の周りの組織である筋膜の細胞が破壊されて痛みを感じる物質が出て、その物質が脳に伝えられることで筋肉痛を感じます。

初めて行う運動時に筋肉痛が起きやすく、慣れてくるとその時と同じ運動を行っていても筋肉痛が起きにくくなる理由は、筋肉が耐えられる負荷が徐々に増えていくからです。

つまり、普段運動を行わない人は、普段から運動を行っている人よりも筋肉痛は起きやすいといえます。

歳をとると筋肉痛を感じるまでに時間がかかる理由として、筋肉で痛みの物質が発生してから脳に届くまでの時差、つまり神経の伝達速度が年齢を重ねると遅くなるからという説も作れなくもないですが、神経の情報伝達が数日もかかるようでは人間としての活動がそもそも行えないので無理があります。

実際、老化により神経伝達速度は減少する可能性はありますが、その時差はあっても人間が自覚出るほどの長さになることはあり得ません。

同じ筋力を持っていて、同じ運動(筋肉の使い方)をする限り、筋肉痛が起こる時間に年齢による差はほぼないと言えます。

筋肉には2種類あり、使う筋肉の種類や使い方により筋肉痛を感じるまでの時差があります。

  • 早く激しい運動が得意な筋肉(速筋)
  • ゆっくりとした長時間の運動が得意な筋肉(遅筋)

筋肉痛は速筋を主に使った場合にはすぐに起こり、遅筋を使った場合には2〜3日後に起こるというメカニズムがあります。

筋繊維は遅筋繊維(Type 1)と速筋繊維(Type 2)で以下のように3種類に分類され、全ての筋肉にそれぞれが異なる割合で含まれています。

種類 収縮速度 疲労速度 活動開始順
遅筋繊維
Type 1/Slow-twitch fibers
遅い 非常に遅い 1
速筋繊維
Type 2/Fast-twitch fibers
Type 2A 速い 中等度 2
Type 2B 速い 非常に速い 3

筋繊維を収縮させるためのカルシウムの流れを作るエネルギーは、ブドウ糖(血糖)をエネルギーに変換する筋肉細胞組織であるミトコンドリアから供給されます。

遅筋繊維が疲れにくいのは、速筋繊維よりも多くのミトコンドリアを含んでいてより多くのエネルギーを産出できることと、速筋繊維よりも直径が小さいため周りにより多くの毛細血管が走行できることにより、酸素供給と老廃物除去がスムースに行えるからです。

生きている限り休むことが許されない心臓の筋肉は遅筋繊維が非常に多く含まれますし、骨格筋の中でも姿勢保持が主な作用であるインナーマッスルの方が、主に運動を起こす役割のアウターマッスルよりも遅筋繊維の割合が多くなる傾向があります。

筋肉が収縮し始めるとき最初に作動するのはType 1で、続いて(必要に応じて)Type 2A→Type 2Bの順に続きます。

収縮速度は遅くて爆発力はないものの、まず最初に収縮をはじめて長時間使っても疲労しにくい「遅筋」は姿勢を保持するヨガや有酸素運動に適した筋肉です。

一方、収縮速度が早くて体積が大きいため、短時間で大きな力を発揮を発揮する「速筋」は、ダッシュやジャンプなどの瞬発力やパワーが必要となる無酸素運動に適した筋肉です。

ただ、Type 2Bは、Type 1と続いてType 2Aが動員されたあとでしか活動を始めないため、Type 2Bトレーニングは大変です。

メカニズム的に筋肉痛の遅延と年齢に関係がないとしても、実際に年齢を重ねるほど筋肉痛が起きるのが遅くなるという体験談をよく聞きますが、その背景には何があるのでしょうか?

答えはシンプルで、行っている運動の質が若い時と年齢を重ねた時では大きく変わるからです。

年齢を重ねると負荷の大きい運動はほぼやらなくなりますし、若い人と一緒に同じ運動をしているつもりでも使う筋肉や使い方がゆっくりとしている場合がほとんどだと思います。

つまり、年齢を重ねて筋肉痛を感じるのが遅くなったのではなく、年齢を重て筋力が低下し、すぐに筋肉痛になるような運動が行えくなった(つまり慢性的な筋力低下や運動不足)と考えるのがより正確な見方だと思います。

そもそも筋肉痛になるだけの負荷を筋肉に与えなければ筋肉痛にはなりませんので、逆に言えば過負荷にならずに運動できているとも言えます。

筋肉は、年齢を重ねても健康で元気に生きるための要となります。

低い負荷でも、無理に筋肉痛を起こすような無理な運動をしなくても、正しく意識すれば効果的に鍛えることができますので、このサイトを参考に自分にあったプログラムで筋トレを楽しみましょう。

年齢と筋力低下

そもそも私たちの身体の筋肉は、ごく普通に日常生活を営んでいたとしても20歳をピークに年々1%ずつ減っていくと言われています。

また20代の平均的な筋肉量は男性で約40%、女性で約35%ですが、70代になると男性で約26%、女性で約23%とピーク時の2/3程度になっているというデータがあります。

20歳までは成長期なので筋力が増えやすいというのもありますが、多くは年齢を重ねるほど筋肉を使わなくなる生活習慣が原因となります。

また、宇宙飛行士は宇宙から地球に帰還したとき筋力が衰えてしまうので、地球に戻ったあとは筋トレなどのリハビリが必要ということを聞いたことがあると思いますが、重力によるストレスを受けない状態、つまり寝た状態や宇宙などの無重力状態や水中で浮力がかかり重力の影響が相殺されている状態であれば、筋肉にほとんど負荷がかかりませんので1日に約0.5%の筋肉が失われていくと言われています。

病気やケガで寝込むと、症状での体力消耗に加えて筋力が減少することによって身体を支える力が大きく減少してしまいます。

高齢者が骨折後寝たきりになってしまったという話はよく聞くと思いますが、もともと筋力の少ない高齢者が一定期間寝たきり状態になることによって筋力が急速に低下したため骨折部位が治癒したとしても、その後身体を支えるだけの筋力を鍛えることが困難になってしまった為です。

最近ではリハビリテーション医学やスポーツ医学の分野が発達し、病気やケガで安静や入院を余儀なくされても安静は極力局部に限定し早期から離床を促す方向に大きく変わってきていますし、宇宙飛行士にも出発前の十分な筋力訓練と飛行中も宇宙空間でランニングマシンやエアロバイクなどを用いて筋肉に負荷をかけることをプログラムで決められています。

筋肉は正しく使い続けなければ、衰える一方というのは避けられない事実なので、筋力を維持するためには正しい知識とトレーニングが必要となることを知っておくことが非常に重要です。

若くても老けて見える人は姿勢を保つ筋肉が弱いことが原因ですなので、特に重力に対抗して姿勢を維持するという意識を持つだけでも、かなり変わります。

また、人体の筋肉の7割以上がおへそから下の筋肉であり、心臓から送られた血液を心臓に戻す最大のポンプも筋肉なので、下半身を中心に全身をバランスよく使う「歩く」という動作は筋力を鍛える為にとても有効で、この際にも姿勢と自分が使っている筋肉を意識することがとても重要です。

 

 

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