捻挫予防や立位動作安定に貢献している【第三腓骨筋】解剖学構造(起始停止、作用、神経支配)についてイラスト図解を使ってわかりやすく説明しています。
【第三腓骨筋】とは?どこにあるどんな筋肉?
【第三腓骨筋】は下腿外側下部にある筋肉で、「前脛骨筋」「長趾伸筋」「長母趾伸筋」と共に、主に「足関節背屈(足趾伸展)」に作用する下腿前面の筋群に分類されます。
- 名称:第三腓骨筋
- ふりがな:だいさんひこつきん
- 英語名:Peroneus Tertius
【第三腓骨筋】は小さな筋肉なので力は弱いですが、「距腿関節(足関節)」と「距骨下(距踵)関節」にて背屈と外反に作用します。
【第三腓骨筋】は、外側筋群として分類される「短腓骨筋」と同じ「腓骨」から始まりほぼ同じ位置に停止しているので足部外反作用に関しては「腓骨筋群」と共同して作用しますが、腱の走行により足部の底背屈に関しては違いに拮抗する関係になります。
【第三腓骨筋】起始停止
【第三腓骨筋】は、「腓骨」内側面遠位1/3あたりで「長趾伸筋」付着部から直接繋がる部分、脛骨と腓骨を繋いで下腿前部の筋肉の下腿後部深層の筋肉を隔てる役割のある骨間膜前面、下腿前面の筋肉群と下腿側面の筋肉群を隔てる前筋間中隔の3つの部位から起始します。
それぞれの起始部からの筋繊維は下外側へ走行し腱となり、「長指伸筋」に沿うように「上伸筋支帯」の下を通過し、「第5中足骨」底背面内側に停止します。
起始 | 停止 | |
---|---|---|
第三腓骨筋 | 腓骨内側面(遠位1/3) 骨間膜(前面) 前筋間中隔 | 第5中足骨底背面内側 |
【第三腓骨筋】は、ほとんどの場合で「腓骨遠位端」から「第5中足骨底」に停止していますが、個人差があり、完全に欠損している場合や、「長指伸筋」の五本目の腱のようになっている人もいます。
【第三腓骨筋】は「短腓骨筋」と前外果動脈の前方にあり、「長趾伸筋」の外側を走行して腱部では鞘を共有していますが、【第三腓骨筋】は、「脛骨遠位1/3外側」「距踵舟関節後外側」「足根中足関節外側」を走行します。
【第三腓骨筋】作用
【第三腓骨筋】の主な作用は以下の2つですが、小さな筋肉なので単独で運動を起こすには弱く、下腿前後の筋肉の機能バランスを調整するように作用しています。
関節 | 作用 |
---|---|
距腿関節(足関節) | 背屈(底屈抑制) |
距骨下(距踵)関節 | 外反(内反抑制) |
足関節背屈運動は「前脛骨筋」や「長趾伸筋」を補助するように作用し、足の外反は「腓骨筋群(長腓骨筋と短腓骨筋)」を補助するように作用します。
歩行時に足とつま先が地面から離れる動作や、様々な立位活動やスポーツにおいて足の内反を抑制する働きがあり、捻挫や怪我予防にも機能しています。
【第三腓骨筋】神経支配
【第三腓骨筋】は、「坐骨神経」の枝である「深腓骨神経(L5、S1)」支配です。
【第三腓骨筋】触診
【第三腓骨筋】は「長趾伸筋」の外側、「短腓骨筋」前方にある筋肉です。
【第三腓骨筋】ストレッチと筋トレ
足首の筋肉は内くるぶしの後ろを通過する筋肉が多いため、足首全体として内反する力が強くなりやすいので、外反作用が低下すると足首の内反による捻挫が生じやすくなります。
【第三腓骨筋】は、「外反作用により内反を抑制」することで足首を安定させる役割があります。
足部全体の構造を理解し、目的に合わせてトレーニングやコンディショニングを実践しましょう。