【上半身(胸・肩・腕)】を鍛えるトレーニングやエクササイズ効果を最大限高める解剖学と運動学についてイラスト図解を用いてわかりやすく解説しています。
正しいトレーニングの基礎知識
【上半身(胸・肩・腕)】を鍛えるトレーニングやエクササイズでも、下半身を含む準備姿勢の作り方や全身の筋肉連動を意識した動かす方向や負荷のかけ方で効果が大きく変わります。
無理のない効果的なトレーニングを行うには、姿勢保持に働く筋肉、主に動作に働く筋肉、補助的に動作に関与する筋肉それぞれの相互作用やバランスをきちんと把握すること大切です。
「どの筋肉を鍛えたいのか?」「どんなパフォーマンスを出したいのか?」を正しい解剖学および運動学知識を土台に意識することで、理想のトレーニングや正しい問題解決につながります。
【プッシュアップ(腕立て伏せ)】正しいやり方
腹筋と並ぶ筋トレの代名詞 【プッシュアップ/腕立て伏せ】ですが、使っている筋肉を意識してポジションを調整するだけで結果に大きな違いが出ます。
主に鍛えたい筋肉を明確にすることでとるべき姿勢(スターティングポジション)が変わってきますし、補助的に働く筋肉姿勢を保つ為に必要な筋肉もあわせて理解することで、その人の能力や目的に合わせて効果的な筋力トレーニングができるようになります。
【プッシュアップ/腕立て伏せ】の基本姿勢(ポジション)を取るためには、体幹を安定させるための筋肉が必要です。
基本開始姿勢と基本動作
【プッシュアップ(腕立て伏せ)】のターゲットとなる筋肉を鍛える為のポジション(姿勢)をつくるためには、「背骨」と「骨盤」をニュートラルに安定させたプランク姿勢を作れることが不可欠です。
腹部、腰部、股関節の位置が安定したプランクを作るには、背中や肩周りだけでなくお腹やふともも腿の前側にある筋肉の筋力や柔軟性も不可欠です。
バリエーション
【プッシュアップ(腕立て伏せ)】では、「大胸筋」「三角筋」「上腕三頭筋」「前鋸筋」「烏口腕筋」「手根新筋群」など胸〜肩〜腕〜手の筋肉が協調的に作用しますが、メインターゲットはポジションの取り方で変わります。
バリエーション | メインターゲット | 肩関節の運動方向 |
---|---|---|
クラッシックプッシュアップ | 大胸筋 | 水平内転 |
ナロープッシュアップ | 三角筋前部 上腕三頭筋 | わずかな水平内転を伴う屈曲 |
「クラッシックプッシュアップ」と呼ばれる最も一般的な【プッシュアップ(腕立て伏せ)】でメインターゲットとなっている筋肉は「大胸筋」という胸一番表層にある大きな筋肉ですが、脇を閉めて腕を体側に近づけて肩を引き下げるナロープッシュアップでは、「三角筋前部と上腕三頭筋」がメインターゲットとなります。
【クラッシックプッシュアップ】正しいやり方
【クラッシックプッシュアップ】は、胸の横に手の平を置いた基本のプッシュアップポジションから始めます。
体幹を安定させて背骨の軸をまっすぐに伸ばしたら、体幹をゆっくり床に近づけ、ゆっくりもとのポジションに戻します。
肩関節の水平内転運動を起こす「大胸筋」がメインターゲットになります。
【ナロープッシュアップ(ダイヤモンドプッシュアップ)】正しいやり方
【ナロープッシュアップ(ダイヤモンドプッシュアップ)】は、「上腕三頭筋」と「三角筋(前部)」をメインターゲットにした腕立て伏せで、二の腕の引き締めたり、負荷を強くして太い上腕や肩を作って逆三角形ボディメイクに有効です。
両手を胸の真下におき、両手の人差し指と親指を合わせて三角形か「ひし形」の形を作るようにおいて、基本のプッシュアップポジションを作り、脇を閉めて腕を体側に近づけて肩を引き下げます。
体幹を安定させて背骨の軸をまっすぐに伸ばしたら、体幹をゆっくり床に近づけ、ゆっくりもとのポジションに戻します。
肘を体側から離してしまうと、効果がないだけでなく肘関節を痛めてしまいますので、肘を体側に近づけ、肩を耳から離す基本姿勢を意識しながら行いましょう。
「大胸筋」は水平内転時に肩の屈曲補助に作用しますが、メインターゲットではなく、肩関節の動きはわずかな水平内転を伴う屈曲で、肘関節への負荷がクラッシックプッシュアップよりも大きくなります。
よくある間違いと軽減方法
【プッシュアップ(腕立て伏せ)】では、「前鋸筋」の収縮による代償や体幹軸の崩れが生じやすくなりますので、「肩甲骨」は胸郭に安定させたまま維持することを意識します。
体幹に関しては基本姿勢(プランク)から崩れないことが基本ですが、体幹が崩れてしまう場合は、膝を着いて軽減します。
また、手首に痛みを感じる場合は、手掌全体で体重を支えるように意識するとともに、マットなどを使って手関節背屈角度を小さくする軽減方法方もあります。