【棘下筋（ローテーターカフ）】イラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学（作用・起始停止・ストレッチ・トレーニング）

ローテーターカフ下部の構成要素【棘下筋】 の解剖学的構造（起始停止、作用、神経支配）についてイラスト図解を使ってわかりやすく説明しています。

【棘下筋】とは？どこにあるどんな筋肉

【棘下筋】は「肩甲骨棘下窩」から「上腕骨」に向かって走行し、厚く広い筋腹で肩甲骨背側の大部分を占めます。

【棘下筋】は「棘上筋」「小円筋」「肩甲下筋」と共にローテーターカフを構成して肩関節構造を支える重要な筋肉のひとつで、「僧帽筋」や「三角筋」と「広背筋」の一部に覆われています。

【棘下筋】起始停止

【棘下筋】は、「棘下窩内側2/3」と「大円筋と小円筋を隔てる棘下筋膜」から丈夫な筋繊維で起始し、「棘下窩」を覆う広い筋腹を作り、肩甲骨の上外側縁で腱に移行した後は肩関節を後ろから包み込むように走行して「上腕骨大結節」と「肩関節包」に停止します。

【棘下筋】作用

【棘下筋】は、肩関節外転時に「小円筋」と共に「三角筋」の上に引っ張る力に対して作用することで、「上腕骨骨頭の上方変位」や「烏口突起」との衝突を予防したり、上腕の強力な外旋筋として、バレーのアタックや野球のピッチングなど頭上での動作を円滑にする作用があります。

また、肩関節を安定させるための機能ユニットである「ローテーターカフ（回旋筋腱板）」の一部として、肩関節運動における上腕骨頭を関節窩内に安定に作用しています。

「肩甲棘」で分断されてはいますが【棘下筋】と「棘上筋」とひとつの機能単位を構成する筋肉だと考えられ、「棘上筋」と【棘下筋】はお互いの作用や機能をサポートしていて、ローテーターカフの中では「棘上筋」の次に【棘下筋】が損傷を受けやすい筋肉です。

【棘下筋】神経支配

【棘下筋】は「棘上筋」と同じ、肩甲骨上神経（C５- C６）支配です。

【棘下筋】触診

【棘下筋】は肩甲骨背面の肩甲棘下部で「棘上筋」の下外側、かつ「大円筋」や「小円筋」の上内側に存在します。

【棘下筋】の繊維は「大円筋」や「小円筋」の筋繊維とほぼ並行に進みますが、筋腹は分厚い棘下筋膜で分離されています。

【棘下筋】ストレッチと筋トレ

【棘下筋】の解剖学的構造を正しく理解して、過剰な負荷で逆に筋肉を痛めないように、また、より表層にある大きな筋肉で動きを代償しないように小さな動きで丁寧に行いましょう。

【棘下筋】と回旋筋腱板（ローテーターカフ）

【ローテーターカフ】とは、「棘上筋」「棘下筋」「小円筋」「肩甲下筋」の４筋で構成される腱板構造で、人体で最も動く範囲が広い肩関節の安定性と広範囲の可動域を両立させるための解剖学構造です。

【ローテーターカフ】は、広範囲で多彩な運動ができる肩関節の安定性と可動域を実現するため、肩関節の健全な機能を維持するためにとても重要な機能構造単位で、上腕骨骨頭を肩甲骨関節窩に引きつけるように作用することで、肩関節の解剖学的構造のデメリット（不安定性）を補完し、メリット（可動性）を最大限生かす（骨頭を求心位へ誘導して骨頭の安定した支点での運動を制御）役割をしています。