肋骨間を埋める様に走行して胸郭を安定させ、胸郭を広げたり狭めたりしながら横隔膜を補助する呼吸補助筋として働く【肋間筋】解剖学(起始停止、作用、神経支配など)をイラスト図解(解剖図)を使ってわかりやすく説明しています。
【肋間筋】とは?どこにあるどんな筋肉?
【肋間筋】は、名前の通り肋骨間を走行する筋肉(内因性の胸筋)で、一番浅層にある「外肋間筋」、「外肋間筋」の深層を逆方向に走行する「内肋間筋(および最内肋間筋)」に分類できます。
読み方/ふりがな | 英語 | |
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外肋間筋 | がいろっかんきん | External Intercostal Muscles |
内肋間筋 | ないろっかんきん | Internal Intercostal Muscles |
最内肋間筋 | さいないろっかんきん | Innermost Intercostal Muscles |
全肋骨間を埋めるように走行する11対の【肋間筋】は胸郭を安定させる役割があると同時に、【外肋間筋】は胸郭を広げて努力吸息に作用して、横隔膜による呼吸を補助します。
【肋間筋】表層には、「大胸筋」「小胸筋」「前鋸筋」「腹直筋上部」などがあります。
【肋間筋】起始停止
【肋間筋】は、左右で11対ある肋間隙(肋骨と肋骨の間)を埋めるように走行していますが、【外肋間筋】と【内肋間筋および最内肋間筋】は直行する走行で、作用も逆になります。
起始 | 停止 | |
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外肋間筋 | 肋骨下縁 | 直下肋骨上縁 |
内肋間筋 | 肋軟骨下縁と肋骨溝内唇 | 直下肋骨上縁 |
最内肋間筋 | 肋骨溝内面(内肋間筋深層) | 不定 |
【外肋間筋】起始停止
【外肋間筋】は、肋間を埋める「肋間筋」の中でも最も表層にある11対の筋肉で、「肋骨下縁」から起始し、前内側に斜めに下るように走行して後方の肋骨結節から前方の肋軟骨接合部までの広範囲(一部例外あり)で肋間を埋めて、「直下の肋骨上縁」に停止します。
【外肋間筋】最後方の繊維は上肋横靭帯と融合していますし、最前方の繊維は外肋間膜と混ざり合あって肋軟骨接合部から胸骨までの空間を埋めています。
【外肋間筋】は「外腹斜筋」と同じ走行で、下部繊維は一部「外腹斜筋」繊維と融合しており、【外肋間筋】と直下にある【内肋間筋】は薄い筋膜で分離されていて、互いに直行する走行になっています。
【内肋間筋】起始停止
【内肋間筋】は「外肋間筋」深層部、「肋間筋」としては中間層にある11対の筋肉で、「肋軟骨下縁と肋骨溝内唇」から起始し、後下方および内側に走行して胸骨外側縁から肋骨後角までの間:肋骨後角あたりで内肋間膜と融合して肋骨角から脊椎までの肋間スペースを埋め、「すぐ下の肋骨上縁」に停止します。
「内肋間膜」は、後方で「肋椎関節」をサポートする「上肋横靭帯」と、前方で「外肋間筋」と「内肋間筋」を分離する筋膜と結合しています。
浮遊肋と呼ばれる胸骨とつながっていない下位2肋骨間にある【内肋間筋】は、走行が同じ「腹斜筋」と混ざりあっていて【内肋間筋】上縁後面と「最内肋間筋」前面で肋間トンネルを囲み、この間を肋間神経、動脈、静脈が通過します。
【最内肋間筋】起始停止
【最内肋間筋】は肋間筋の中では最深層部、「胸横筋」と同じ層で、「肋骨溝内面(「内肋間筋」起始部の深層)」から起始し、後下方および内側に走行して「下位肋骨上面」に停止します。
【最内肋間筋】は、「外肋間筋」や「内肋間筋」のようにすべての肋間で発達している訳ではなく、上位肋骨ほど未発達で、下位肋骨ほど発達している傾向があり、最も発達している肋間でも肋間全体を埋めている訳ではなく、「肋下筋」と結合している場合もあります。
【最内肋間筋】は、「内肋間筋」と起始が同じで作用も類似するため、「内肋間筋」の一部としてまとめられる場合がありますが、実際に【最内肋間筋】と「内肋間筋」の間には、肋骨溝の神経血管束(肋間神経、動脈、静脈)が通過しているので物理的に分断されています。
肋骨溝の神経血管束(肋間神経、動脈、静脈)は、【最内肋間筋】前面上部を通過しています。
【肋間筋】作用
【肋間筋】の主な作用は、「肋骨間を埋めて胸郭を安定させること」と、「呼吸(横隔膜の作用)の補助」です。
関節 | 作用 | |
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肋間筋全体 | 胸郭(肋間) | 安定 呼吸(横隔膜作用)補助 |
外肋間筋 | 胸郭(肋間) | 肋骨挙上(吸息) |
内肋間筋 | 胸郭(肋間) | 肋骨下制(呼息) |
最内肋間筋 | 胸郭(肋間) | 肋骨下制(呼息) |
【外肋間筋】と【内肋間筋(最内肋間筋)】は互いに呼吸補助筋としては拮抗する作用ですが、肋間を埋める【肋間筋】全体として、呼吸中に常に張力を生じさせることで肋間を安定させて胸壁の強度を高めることで、「横隔膜」が機能しやすくする環境を作っていて、呼吸補助筋の中でも強力に作用します。
通常安静時呼息は、主に横隔膜の弛緩(リバースアクション)で生じますが、運動時など呼吸量が増えている時は、肋骨を動かす作用のある【肋間筋】が強く作用します。
【外肋間筋】作用
【外肋間筋】は、肋骨を引き上げることにより吸息を促進する呼吸補助筋として作用します。
肋骨を引き上げることで胸腔が広がると、肺に空気を取り込む圧が生じるため吸息を促進します。
【内肋間筋】作用
【内肋間筋】は、肋骨引き下げにより呼息を促進する呼吸補助筋です。
肋骨を引き下げることで胸腔が狭まると、肺から空気を押し出す圧が生じるため呼息を促進します。
【最内肋間筋】作用
【最内肋間筋】の機能は明確に定義されていませんが、「内肋間筋」作用を補助すると考えられています。
【最内肋間筋】は肋骨引き下げに作用して肺からの呼息を促進して努力呼吸を補助します。
【肋間筋】神経支配
【肋間筋(外肋間筋・内肋間筋・最内肋間筋)】は全て【肋間神経】支配で、胸椎神経の腹側枝である肋間神経で対応する髄節から支配を受けています。
- 肋間神経(T1~T11)
【肋間筋】触診
肋骨の間に指を当て、呼吸をすると【肋間筋】収縮が確認できます。
【肋間筋】呼吸とストレッチ
【肋間筋】は呼吸で筋トレやストレッチができます。
【外肋間筋】と逆の走行(作用)になっている【内肋間筋】と交互の収縮弛緩(胸郭の動き)を意識しながら行いましょう。