「美しい首元」「デコルテ」「口元のハリ」など魅力的な笑顔のためにも理解しておきたい【広頚筋】の構造についてイラスト図解(解剖図)を使ってわかりやすく説明しています。
【広頚筋】とは?どこにあるどんな筋肉?
【広頸筋】は首前面の皮膚直下に存在する薄い膜のような筋肉で、体幹部と顔をつないでいます。
「鎖骨」と「肩峰(肩甲骨)」および、「大胸筋」や「三角筋」など胸や肩を代表するアウターマッスルを含むエリアの筋膜から起始し、首前面を広く覆いながら上行し、下顎骨と周辺の皮膚および皮下組織に停止します。
- 名称:広頚筋
- ふりがな:こうけいきん
- 英語名:Platysma
体幹部分の骨格筋とは異なり、「頚部の皮下組織(頚部筋膜の表層)」内に存在しますので、構造としては顔や頭蓋骨に付着している【表情筋】に近く、実際に首元、デコルテ、口元のハリを作ったり、下顎骨を引き下げる作用もあるので【表情筋】としても作用しています。
【広頚筋】起始停止
【広頚筋】は、名前の通り頚(頸)表面を広範囲に覆う浅層筋で、骨に付着せず皮膚直下(頚部筋膜の表層)に存在する形状も役割も特殊な筋肉です。
- 起始:鎖骨下/鎖骨上領域の皮膚/筋膜
- 停止:口角結節、下顎骨下縁、口周り皮膚/皮下組織/筋肉
【広頚筋】は「肩峰から第二肋骨前端にいたる線」「大胸筋と三角筋を覆う皮下組織および筋膜」を含み広範囲から起始し、首前面を覆うように広い面積を保って上行し、「口角結節(モダイオラス)」「下顎骨下縁」「頬領域の皮膚」「下唇および口角領域の筋」「口輪筋」「咬筋筋膜」など下顎から口周りの皮膚や筋膜に広範囲に停止します。
【広頚筋】作用
【広頚筋】は、胸郭上部および肩甲帯から下顎および口周りまで幅広く頚部前面を走行している皮膜のような筋肉で、「口角下制筋」や「下唇下制筋」などの「表情筋」とも停止部で混ざり合っているので、収縮すると「下顎を引き下げたり口角を下げる運動作用」が生じます。
また、首前面から胸部前面の筋肉を包み込む筋膜のように表層に存在する薄い皮膚のような性質の筋肉のため、【広頚筋】深部にある筋肉を連動して緊張させたり、収縮によりシワを作るなどの作用が生じます。
更に、運動やランニングなどで努力呼吸が生じている時には、頸静脈の圧迫や首の軟部組織の引き込みを予防するため【広頚筋】が膨らむことで「呼吸を促進(息苦しさを軽減)」します。
- 「頚部」や「胸部(鎖骨下方)」に皺を作る
- 「頚筋膜」や「口筋筋膜」を緊張させる
- 「口角」や「下顎」を下方に引く
- 「口輪筋」に関連する様々な表情変化を作る
【広頚筋】は「口角結節(モダイオラス)」の構成要素にもなっているので、表情筋のハブである「口輪筋」と共に表情の変化にも大きく作用するので、「表情筋」としても作用します。
ただし、【広頚筋】は薄い膜のような筋肉なので、筋膜のように周りの筋肉の動きを連動させて滑らかにし、「張力で首元・デコルテ・口元の張りを作る筋肉」と考えておくとしっくりくると思います。
スマホの長時間使用など、首や顎を引いた状態で長時間【広頚筋】の張力が発揮できない状態が続くと、「顔周り」「呼吸」「首-胸-肩周り」の問題が連動して生じやすくなります。
- 呼吸機能低下
- 顎関節機能低下
- 首こり
- 肩こり
- 首全体がたるんでシワができる
- 口元が下がる
- 口元がたるむ
- デコルテリンパが詰まる
【広頚筋】神経支配
【広頚筋】は「表情筋」と同じく顔面神経支配です。
- 顔面神経の頸部枝(CN VII)
【広頚筋】触診と視診
【広頚筋】は首前面に薄い膜のように広がっているため、掌で触れるようにすると触診できます。
また、口角を下げる時に頚部にできるシワは【広頚筋】によるものなので、視覚でも簡単に確認できます。
美しいデコルテを作る【広頚筋】ストレッチと筋トレ
【広頚筋】は、「首のシワをさするように伸ばしながら口角を挙げる(スマイル)意識をもつとストレッチできますので、鏡を見るタイミングで常に首回りやデコルテをチェックする習慣をつけましょう。
大きな関節運動を起こす筋肉ではないので、首や顎の位置を動かすというよりも、口角を上げて首回りの皮膚全体を上に引っ張っていくイメージで丁寧にケアします。
また、【広頚筋】を含めた顔下部分の筋トレ(エクササイズ)は、口を大きく使う表情筋エクササイズが有効です。
「表情筋」のハブである「口輪筋」と首肩胸から繋がる【広頚筋】まで考慮しながら表情筋のコンディニングを行えば、効果が何十倍にもアップしますし、筋膜でつながった首-胸-肩周りの筋肉のコンディションを整えるようなストレッチやマッサージを実践する時には、【広頚筋】のコンディションを指標のひとつにすると効果がわかりやすくなります。
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