【後鋸筋(上後鋸筋と下後鋸筋)】呼吸を補助する肋骨背面の筋肉【イラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学(作用と起始停止)】

背筋(背中の筋肉)
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【後鋸筋】は背面肋骨上にある鋸状の筋肉で、呼吸補助や胸郭の安定に作用します。

【後鋸筋】の解剖学構造(作用や起始停止など)をイラスト図解を用いてわかりやすく説明しています。

【後鋸筋】とは?どこにあるどんな筋肉

【後鋸筋】は、胸郭背部の上部と下部で背面肋骨(胸郭)と背骨を斜めつなぐように走行する鋸状の筋肉で、上部を【上後鋸筋】、下部を【下後鋸筋】と呼びます。

後面にある鋸状の筋肉なので【後鋸筋】という名前がついていますが、椎骨棘突起から肋骨に向かって走行するため、脊柱肋骨筋などと呼ばれることもあります。

読み方/ふりがな 英語
上後鋸筋 じょうこうきょきん Serratus Posterior Superior
下後鋸筋 かこうきょきん Serratus posterior inferior

【後鋸筋】は外因性背筋の中間層に分類され、僧帽筋や広背筋の深層にあります。

【後鋸筋】は、肋骨を動かす作用があるため呼吸補助筋として、また胸郭の安定に作用します。

【後鋸筋】起始停止

【後鋸筋】はそれぞれ以下のような走行になっています。

首の下あたりの椎骨棘突起・項靱帯から2〜5肋骨に向かって斜め下へ走行している【上後鋸筋】と腰あたりの椎骨棘突起から下位4肋骨に向かって斜め上方へ走行している【下後鋸筋】の2つに別れています。

起始 停止
上後鋸筋 C7~T3棘突起、項靭帯 第2~5肋骨肋骨角あたりの上縁
下後鋸筋 T11~L2棘突起 第9~(11)12肋骨下縁

【上後鋸筋】は、項靭帯から薄い腱膜と椎骨棘突起(C7-T3)および棘上靭帯から起始し、胸郭後部外側に向かって下外側に走行しながら四本の指のような突起状になり、第2〜第5肋骨の肋骨角外側に停止します。

【上後鋸筋】は、「頸板状筋」を覆う胸腰筋膜胸椎部の表層にあり、菱形筋や僧帽筋に覆われています。

【下後鋸筋】は、椎骨棘突起(T11-L2)および棘上靭帯から起始し、前外側に走行して第9〜第12肋骨下後面に停止します。

【上後鋸筋】は、「脊柱起立筋群」や胸腰筋膜の表層にあり、「広背筋」に覆われています。

また、「胸神経」外側枝(T7-T12)が【上後鋸筋】を貫通しています。

【後鋸筋】作用

【後鋸筋】は、収縮すると肋骨を動かす作用があるため呼吸補助筋として作用します。

【上後鋸筋】は肋骨を引き上げる作用があるため吸息に、【下後鋸筋】は肋骨を引き下げる作用があるため呼息の際に、横隔膜や他の呼吸補助筋と協調して作用します。

スポーツなどで息が上がっている時や意識的に胸式呼吸をする際など、努力吸気の際によく働きます。

作用(呼吸筋) 作用(姿勢筋)
上後鋸筋 第2~5肋骨を引き上げる(吸息の補助) 胸郭安定
下後鋸筋 第9~12肋骨を下に引く(呼息の補助)後方に引く 胸郭安定

【上後鋸筋】と【下後鋸筋】同時に作用する時は、胸椎伸展を抑制して胸郭を安定させる姿勢筋として作用します。

【後鋸筋】神経支配

【後鋸筋】は肋間神経および肋下神経支配です。

神経
上後鋸筋 肋間神経 T2〜T5
下後鋸筋 脊髄神経前枝と肋下神経 T9〜T12

【上後鋸筋】は肋間神経(T2〜T5)支配です。

【下後鋸筋】は脊髄神経前枝(T9〜T11)と肋下神経(T12)支配です。

【後鋸筋】触診

【上後鋸筋】は、僧帽筋や菱形筋にしっかりと覆われているため明確に区別した触診は困難です。

【下後鋸筋】は、下位肋骨から脊柱に向かうように手を当て呼吸をすることで収縮が確認できます。

【後鋸筋】ストレッチと筋トレ

【後鋸筋】は呼吸補助筋なので、意識的に胸郭を動かす大きく深い呼吸でストレッチおよび筋トレができます。

僧帽筋や菱形筋、脊柱起立筋などより表層にある筋肉と一緒に背面の柔軟性を高めると呼吸が深まります。

 

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