【インナーユニット】とは、体幹(コア)のうち骨格構造で保護されていない腹腔(腹部臓器が収まる空間)を囲む4つの筋肉による機能ユニット(最深層構造)です。
背骨のアライメントを整えて姿勢を根本から改善し、下腹が凹んでくびれたウエストがある強くてキレイなコア(体幹)を作りたいならば、まず注目して鍛えるべきは【インナーユニット】です。
「筋力トレーニング効果が出ない」「怪我が多い」「腰痛や肩こりが治らない」「一生懸命運動しているのに効果が出ない」と悩んでいるなら、【インナーユニット】に注目してみましょう。
【インナーユニット】とは?コア(体幹)の土台となる機能構造
「背骨のアライメントを整えて姿勢を根本から改善したい」「下腹が凹んでくびれたウエストを作りたい」「運動パフォーマンスを根本から高めたい」ならば、まず注目して鍛えるべきは【インナーユニット】です。
【インナーユニット】とは、体幹(コア)の最深層部を構成する筋肉の機能的な連携構造です。
一般的に「体幹(コア)」とは、「背骨を縦軸(大黒柱)として、首下から骨盤までの範囲(上から頸椎部・胸椎(胸郭)部・腹腔(腰椎・骨盤含む)部)」を指し、名前の通り身体の幹となる構造です。
また、「体幹(コア)」は、身体の幹となる構造であると同時に同時に生命維持に必要な臓器(内臓)を保護空間を作る構造でもあります。
そのため、「体幹(コア)」の大部分では、背骨や胸郭という強固な骨格構造を有していますが、腹腔(腰椎・骨盤含む)部のみ背骨以外の骨格構造がないので、その分体幹の安定性を保持しつつもコアの柔軟な可動域を維持するための筋肉構造が必要になりますが、その筋肉構造の中で最深層部にあるのが【インナーユニット】です。
腹腔(体幹のうち強固な骨構造がない場所)には複数の筋肉群が付着していて、呼吸や腹圧調整など生命維持に必要な活動から、姿勢保持やあらゆる運動の基礎土台を作る役割を果たしていますが、腹腔(腰椎・骨盤含む)部がガチガチの骨格ではなく柔軟性のある多層の筋肉群で囲まれていることにより、安定性を維持しつつ、人間らしい多様性のある動きが実現できるのです。
【インナーユニット】とは、腹腔を囲む筋肉群の中でも最深層にある構造で、コア中のコア、体幹の土台とも言える機能ユニットです。
【インナーユニット】に含まれる筋肉は、深層にあると同時にわかりやすい大きな関節運動を起こす作用はないため意識しにくいですが、特に姿勢改善やボディメイクには意識するべき筋肉ですし、より表層にある大きな筋肉を強化したい場合や運動パフォーマンスを高めたい場合にも土台となるため、どんな目的でトレーニングや運動をする場合でもしっかりと解剖学構造を理解しておきたい機能ユニットのひとつです。
【インナーユニットの解剖学】どこにあるどんな筋肉?
【インナーユニット】とは、腹腔(骨格で囲まれていない体幹部分)を上下左右から囲むように覆う機能構造単位(機能ユニット)のことで、「横隔膜」「腹横筋」「多裂筋」「骨盤底筋群」の4筋で構成されます。
筋および筋グループ | |
---|---|
上面 | 横隔膜 |
側面 | 腹横筋(内腹斜筋後部線維も含む場合あり) |
後面 | 多裂筋(最長筋と腸肋筋の腰部も含む場合あり) |
下面 | 骨盤底筋群 |
【インナーユニット】は、腹部にある大切な臓器(消化器や生殖器など)が正常に働ける空間を作る壁となるだけでなく、可動性を保ちながら体幹(コア)を安定させて、身体に負担の少ない正しい姿勢(背骨の正しいアライメント)を維持する役割があります。
腹腔をぐるりと腹巻やコルセットのように囲む構造の「腹横筋」は背中の筋肉(背筋群)を取り巻く結合組織(胸腰筋膜)に接続し、「腹横筋」が収縮することで体重を支える腰椎が安定します。
また、「腹横筋」で囲まれた空間の上下に蓋をするように存在する「横隔膜」と「骨盤底筋群」が相乗的に収縮することで腹腔内圧の調整や呼吸、内臓の位置が下がらないようにすることなどに貢献しています。
【インナーユニット】を構成する筋肉群の詳細構造(起始停止・作用・神経支配など)は、筋肉解剖学のページで詳細を解説しているので確認してみてください。
【インナーユニット】まず最初に鍛えるべき理由
一般的に、体幹(コア)トレとなると、【インナーユニット】よりも、鍛えるための関節運動方向がわかりやすい表層の大きい筋肉(「腹直筋」「外腹斜筋」「内腹斜筋前部繊維」「腸腰筋」など)がターゲットになりやすい傾向がありますが、それらは【インナーユニット】とは神経支配や作用が異なります。
関節を大きく動かす(動作を起こす)ために主に収縮するより表層の筋肉に対して、【インナーユニット】は骨盤、胸郭、背骨を正しい位置に安定させて運動パフォーマンスが正常に機能するため土台を作るために収縮しています。
例えば、腰痛のある人の筋力を測定するとほとんどのケースで「腹横筋」など【インナーユニット構造】の機能が低下しており、反対に腰痛になったことがないという人は「腹横筋」など【インナーユニット構造】の筋肉がよく働いていることが確認できます。
【インナーユニット】が正常に機能していない状態で、より大きな筋肉の筋力トレーニングをしても、運動パフォーマンス改善、姿勢改善、腰痛や肩こりの解消、お腹痩せ効果など理想の身体になれないどころか、腰痛など怪我の原因になるリスクがあります。
反対に、特にトレーニングやスポーツをしない人でも【インナーユニット】が正常に機能する身体にすれば、姿勢が良くなりキレイなスタイルを維持できますし、肩こりや腰痛にもなりにくく、健康を維持できます。
【インナーユニット】正しいトレーニング方法
通常【インナーユニット】の活動強度は、四肢の慣性力、運動強度、椎間板内圧の上昇など状況に応じて流動的に変化して、運動時の関節の安定性維持に貢献しています。
関節運動時には動かす関節周囲の緊張を高めて安定性を維持して「アウターユニット(より表層部の機能ユニット)」の筋活動をサポートするために【インナーユニット】の活動強度は一貫して低下しています。
つまり、関節を大きく動かすようなトレーニングをすればするほど、負荷を大きくすればするほど、【インナーユニット】の活動は低下します。
特に、これまでの筋トレで効果が出ていない、腰痛があるなどの場合は一度今までの関節運動の大きい筋トレをやめて、【インナーユニット】を鍛えて安定した体幹を作ることに集中しましょう。
【インナーユニット】の働きは一度正しく機能する習慣がついてしまえば、あとは努力や意識しなくても自然に姿勢やアライメントを整えようと作用してくれる筋肉群なので、一度正しい動きを覚えさせてしまえば、あとは「特別な筋力トレーニング」をしなくてもスタイルと健康を維持できますし、いつもやっている筋トレ、ヨガ、ストレッチなどエクササイズや運動メニューの効果やパフォーマンスも劇的に改善します。
【インナーユニット】を鍛えたら、運動の基礎要素の運動学的なつながりである「アウターユニット」や「アナトミートレイン」も理解してより安定した体幹を作りながら強度のあるトレーニングを再開しましょう。
更に身体の正しい効率のよい使い方がわかるようになり、怪我や腰痛や肩こりにつながる無駄な疲労を予防しながら、効果的なトレーニングや姿勢維持ができるようになります。
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