腹筋(コアの筋肉)

【腰方形筋】ストレッチと筋トレのための【イラスト図解でわかりやすい筋肉解剖学(作用と起始停止)】

【腰方形筋】ストレッチ、筋トレ、マッサージ、筋膜リリースなどを効果的におこなうための解剖学知識(作用・起始停止・神経支配)をイラスト図解を使ってわかりやすく解説していています。

【腰方形筋】とは?どこにあるどんな筋肉?

【腰方形筋】は、腹部後面(腰)に手を当てた時に掌が触れるあたり深層にある「不規則な四角形(方形)の筋肉」で、位置的に背筋に分類したくなりがちですが、第12肋骨および脊椎と腸骨稜をつなぐ構造で腹壁後面を構成するため、「腹直筋」や「腹斜筋」などと同じ【腹筋(後腹筋群)】に分類されます。

 読み方(ふりがな)英語
腰方形筋ようほうけいきんQuadratus Lumborum

【腰方形筋】は、上半身と下半身を体前面でつなぐ「腸腰筋」と背中の姿勢保持筋である「脊柱起立筋群」の間にあり、「腸腰筋」と「脊柱起立筋」を制御するように常に緊張し、脊柱(背骨)の多様な動きに対する骨盤と肋骨を安定に作用しています。

また、【腰方形筋】は、「腰椎」「骨盤」「肋骨(呼吸)」運動にも他の筋肉群と協調して作用します。

【腰方形筋】起始停止

【腰方形筋】は、「腸骨稜」と「腸腰靭帯」から起始して上内側へ走行し、「第12肋骨下縁」と「腰椎横突起(L1~L4)」に停止します。

 起始停止
腰方形筋腸骨稜
腸腰靭帯
第12肋骨下縁
L1~L4横突起

【腰方形筋】筋繊維は、左右それぞれに方形(四角形)の筋腹を構成していて、この形状が名前の由来になっています。

【腰方形筋】作用

【腰方形筋】は第肋骨および脊椎と腸骨稜をつなぐように左右対称に存在していますので、脊柱(背骨)の多様な動きに対して胸郭(肋骨)と骨盤の位置間関係を安定させることで、腹腔を後面からサポートしています。

【腰方形筋】の姿勢保持作用は、上半身と下半身をつなぎ股関節屈曲に作用する「腸腰筋」と背骨を支える姿勢保持筋のひとつである「脊柱起立筋」の間に存在していることからもわかり、体幹や股関節運動における前後のバランスの制御にも重要な役割があります。

 関節や器官作用
関節運動体幹(背骨)伸展(両側)、側屈(同側)、姿勢安定
腹圧調整腹腔と内臓圧迫(排尿・排便・出産など)
呼吸肋骨下制(呼吸補助筋)

また、胸郭が動いている時に第12肋骨を固定する(実質下に引く)作用が生じるため、呼息時の呼吸補助筋としての役割や腹腔を囲む腹筋群(コア)のひとつとして腹圧調整や内臓保護機能もあります。

運動面においては、【腰方形筋】両側が収縮すると「背骨の伸展」、片側が収縮すると「背骨の側屈(同側)」運動が生じ、野球やゴルフのスイング時や振り向く動作でよく働きますが、過用や誤用などで左右差が出やすく、骨盤の傾きや腰痛の原因にもなりやすい筋肉でもあります。

【腰方形筋】神経支配

【腰方形筋】は、「肋骨下神経(T12)」および「脊髄神経前枝(L1-L4)」支配です。

【腰方形筋】触診

【腰方形筋】は、「後腸骨稜」の上に指を当てて腰部を側屈させる運動で収縮を確認できます。

【腰方形筋】は腹部後面を広範囲に覆うため、腹側には「結腸」「腎臓」「横隔膜」、背側には「固有背筋群(多裂筋や脊柱起立筋群など)」と様々な組織と隣接しています。

【腰方形筋】腹側では「腰神経叢」を出たあとの「腸骨下腹神経」と「腸骨鼠径神経」が通過し、側腹筋群の方へ向かいます。

【腰方形筋】ストレッチと筋トレ

【腰方形筋】は、不良姿勢や左右偏った負荷のかかる運動などで左右差が出やすい筋肉です。

【腰方形筋】の左右差や凝り固まるなどの機能低下が生じると、「骨盤の傾き」や「姿勢のアンバランス」など見た目でもわかりますし、坐骨神経痛になるケースが多くあります。

ストレッチポールやセラピーボールなどでコリをほぐしたり、筋膜リリースを行ってから体幹をバランスよく鍛えるストレッチや筋トレをしましょう。

女性の体にフィット!こだわりのマッサージボール
合わせてチェック!

また、腹腔を構成する「インナーユニット」や「骨盤(腸腰筋)」と「背骨(脊柱起立筋など固有背筋群)」の連動した動きとの関連についても意識しながらトレーニングやメンテナンスをするとより効果的です。

-腹筋(コアの筋肉)