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「手が温かい人は心も温かい」理由を医学的に解説!【手も心も温かい人になる方法】

「手が温かい人は心が冷たい」や「手が冷たい人は心が温かい」など手の温度(物理的な体温)と心の温度(マインドや態度)の関係を使った表現が使われることがありますが、実際はどうでしょうか?

温かい手と心で豊かな人生を送れるように「手の温かさと心の温かさの関係」「手が温かいことのメリット」「手も心も温かい人になる方法」を医学的に考えます。

手と心の温度に関係はあるの?

「手が温かい人は心が冷たい」「手が冷たい人は心が温かい」「手が冷たい人は心が冷たい」「手が温かい人は心が温かい」など手と心の温度を関連付けて表現されることがよくあります。

実際に、「手の温度」と「心の温度」にはどんな関係があるのでしょうか?

結論から言えば、医学で考えると「手が温かい」人は「心が温かい」確率が高いと言えますが、手と心の温度の関係を説明するには、「手の温度」と「心の温度」の定義を明確にする必要があります。

手や指の温度(体温)のことを明確に指す「手の温度」に対して「心の温度」のスピリチュアルな要素を含め様々な定義を明確にしながら、医学的な観点で手の温度と心(様々な意味)の温度の関係を考えてみましょう。

【手の温かさの定義】体温(耐熱生産)の仕組みと人による手の温度差

まず定義が明確な「手の温度」の違いが生じる理由を、体温(体熱生産)の仕組みから整理しましょう。

人間の身体の理想的な体温は37度前後ですが、この体温は心臓から24時間365日休まずに全身に送り続けられる温かい血液と血液を全身細胞に循環させる時にポンプの役割を果たす「骨格筋」の収縮によって維持されています。

「骨格筋」は筋繊維ありきではなく、細胞に血液を介して酸素や栄養素を運ぶために血液の周りを囲むように発達する器官で、運動をすると身体が温かくなることからもわかる通り人体最大の熱生産器官です。

先ほど人間の身体の理想的な体温は37度前後といいましたが、これは深部体温(心臓付近の体温)のことで、体温は測定する場所によって異なります。

手先や指や足先や足趾などの身体の末端や指先で冷えを感じやすかったり、筋肉や運動量が少ないほど冷えを感じやすかったりする傾向を実感している人も多いと思いますが、心臓からの距離が離れれれば離れるほど、そして外気に触れる機会が多い場所(衣服などで保温がしにくい場所)や熱生産機能を持つ筋肉が少ない場所ほど表面体温は低くなります。

つまり、心臓から最も遠くなり、外気に直接触れる機会の多い手や指先は熱が奪われて温度が下がりやすい場所ですし、大きな運動を行う筋肉もないので、手は人体の中でも最も体温が低い(冷たい)場所であるといえます。

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最適な体温と体温による心身の変化

適切な体温とは、身体の細胞や器官が一番効率よく働ける体内環境のことです。

人間と気温に置き換えてみると、秋頃の25℃前後が一般的には一番過ごしやすい気温だと言われていて、活動量などにより個人差があってもだいたい20℃〜25℃位、そして、眠るだけの寝室は15℃位が適温と言われています。

気温が快適だとストレスなく本来の活動に集中できますが、真冬のように気温が下がると活動するのがおっくうになるし、かといって真夏のように気温が高すぎても適切な活動はできません。

人間は衣類やエアコンなどでも温度差を調整できるので季節を問わずあまり外気温に左右されず活動できますが、変温動物(外の気温にあわせて体温が変化する爬虫類や魚類など)は気温が低すぎると体温が上がるまで日光浴をするか、それができなければ冬眠してしまいます。

人間の身体の中の臓器等を作る細胞ひとつひとつにも同じように動きやすい(最も活動しやすい)温度というのがあり、それが人間の適正の体温が37℃なのです。

また、体温が1℃下がると免疫機能が30%低下、逆に体温が1℃上がれば免疫機能が5〜6倍になると言われていて、人間の免疫力が最も向上し各機能が滞りなく働く健康な人の体温も36.5℃~37℃です。

「手が温かい人は心も温かい」を医学で説明

人体の中でも最も体温が低い場所が「手」なのですが、握手、マッサージなどの手技、家族や恋人との愛情を込めた触れ合いなど、人と関わりにおいて一番使われる場所も「手」であり、手の温度が相手に与える印象には大きなインパクトがあります。

そう考えると、手と心の温度の関係を表す表現が色々あってもまったく不思議ではありません。

最初に、医学的には「手が温かい人は心が温かい」可能性が高いと書きましたが、その根拠について「心の温度」の定義を明確にしながら詳しく説明します。

「心の温度」=「深部体温」と定義した場合

「心の温度」を「心臓付近の体内で最も体温が高い場所(深部体温)」と定義した場合、手の温かさ(手で感じる体温)と心の温かさ(深部体温)が正比例することは、体熱生産の仕組みから簡単に説明できます。

「心=心臓(深部体温)」と定義して人体の体温の仕組みに照らし合わせると、そもそも深部体温と末端の体温は比例関係にあるので、「手が温かい人」ほど「心(深部体温)が温かい」のは明らかですし、反対に「手が冷たい人」は「心(深部体温)も冷たい」ことになります。

「心の温度」=「マインド」と定義した場合

「手」は様々な運動や作業を行うパーツでもありますが、体温を持った人との人との触れ合いにおいて一番よく使われるパーツでもあり、手から受け取る温度情報はその人の印象を左右する重要な要素になります。

握手をした時、手が温かいか冷たいかで相手の第一印象全体が大きく変わるというのは誰もが経験したことがあると思いますし、リラックスしようと思って行ったマッサージ店で冷たい手で触られたらビックリしてしまいますよね。

スピリチュアルでもなんでもなく、私たちは普段から手から伝わる温度(エネルギー)に影響されています。

そのため「手が温かい人は心が冷たい」「手が冷たい人は心が温かい」「手が冷たい人は心が冷たい」「手が温かい人は心が温かい」など手と心の温度を結び付けた表現が生まれ、これらの表現においての定義は「心=マインド(優しさとか思いやりなど相手に向き合う考え方や姿勢)」になり、「心が温かい」=「優しい、おもいやりがある、気遣いができる...など」ポジティブな印象対して、「心が冷たい」 = 「いじわる、冷酷無情、配慮に欠ける...など」などネガティブな印象になると思います。

「心=マインド(優しさとか思いやりなど相手に向き合う考え方や姿勢)」と定義すると、「心=心臓(深部体温)」と定義した場合よりも単純ではありませんが、やはり「手が温かい人ほど心も温かい」と結論するのが最も自然だと思います。

24時間365日、仮に寝たきりであっても全身に温かい血液を運び続けて37度前後の体温を維持するには膨大なエネルギーが必要で、私たちは体温を維持できなくなれば死んでしまいます。(死人の身体は冷たいですよね。)

身体の構造や仕組みから考えていくと、手先まで常に温かい人は、深部体温が高く、全身の良い循環を起こすエネルギーを生み出せる身体を持っている人だと言えるので、姿勢もよく、身体の機能も円滑に働いているので健康状態も良い人で、仕事や生活のパフォーマンスも高い人だと考えられます。

そもそも、誰かに意地悪したいと思って生きている人はいませんが、強いストレスがかかったり、辛いことが重なれば、自分のことで精一杯で、相手を気遣う余裕は持てないし、精神的にネガティブになり、周りに対して辛くあたってしまうこともあります。

でも、健康でストレスが少なく、物理的にも精神的にも余裕があれば、相手を気遣う余裕(心の温かさ)も自然と生まれますし、パフォーマンスも高い(思考や行動がスムース)ですから、周りの評価も自己評価も高くなり、気持ちが更に穏やかかつ豊かになります。

つまり、手先まで十分に温かいほど健康状態の良い人は心にも余裕がある、つまり「心が温かい人(相手に対しても良い印象を与えられる人)」である可能性が高くなります。

「手の温かさ」だけでも相手に好印象を与えられる

「心=マインド(優しさとか思いやりなど相手に向き合う考え方や姿勢)」と定義してしまうとどうしても曖昧になってしまうので、実際にその人や本当に「心の温かい人」かどうかは医学的には明確な答えを出せませんが、「手が温かい人ほど相手に対しても良い印象を与えられる」という点に関しては医学的な観点からも説明ができます。

お腹が痛かったり体調が悪かったりした時に温かい手でさすってもらうだけでも和らいだり、寂しいときに人肌が恋しくなったり、人の手を介した温度に大きなパワーを感じることがありますが、これはスピリチュアルでもなんでもなく、温熱治療や温泉療法や岩盤浴など熱エネルギーで行う物理療法で快適さを得られるのと同じ原理に加えて、人の皮膚を通して伝わる温かさには相手が見える安心感が加わるからです。

私自身にも臨床やボディメンテナンスなどで、様々な悩みを持つ方の身体に直接触れることがありますが、《電気治療みたい》《神の手だね》《ジンジンとエネルギーが浸透してくるみたい》《ちょっとしか触っていないのに全身が楽になる》《魔法みたい》などと言って頂くことがよくあります。

もちろん、全身の機能や循環を抑制している部分をリリースしたり、とにかく根本を解決し全身がよい方向へ向かうような手技を施しているからではあるんですが、それに加えて、《手が温かい(皮膚から伝わる温度が心地よい)》ということが、ものすごくよい印象とよい効果(心理的・物理的)を与えている、と考えています。

人の皮膚を通して伝わる温かさは、温熱効果だけでなく、安心感、心地よさ、リラクセーション効果も相手に与えます。

反対に「手が冷たい」人は、本当に心(マインド)が温かいか冷たいかは別にしても、相手にネガティブな印象しか与えないので損してしまいます。

手が冷たい(低体温)ことのリスク

「手が手が冷たい(体温が低い)」と相手に与える印象が悪くなるため社会的にデメリットが多いだけでなく、平熱が36℃以下の低体温は全身の循環不良ですから、おそらく現在すでに様々な体調不良を感じているはずですし、将来大きな病気になるリスクがあります。

最近は平熱が35℃台という人も多いので、36.5℃~37℃と聞くと高熱のように感じるかもしれませんが、37℃という体温でも、だるい・つらいなど病的な症状がなければ人間の免疫力が最も向上し各機能が滞りなく働く健康な身体である証拠です。

かつて、細菌やウィルスへの対策が不十分だった時代には高熱=死であり「熱が高いこと」が恐れられていましたが、現代においてはむしろ「低体温」の方が問題になっています。

「低体温」は高熱のようなわかりやすい症状や対処療法薬などもなく、病気として認識されていませんが、現代人の体調不良のほとんどは低体温を解消するだけで改善すると言っても過言ではないくらい注目するべき症状です。

人間の身体の中の臓器等を作る細胞ひとつひとつにも動きやすい(最も活動しやすい)温度というのがあり、それが人間の適正の体温である37℃なのですが、慢性的に体温が低いということは本来の身体機能が低下し、神経・血液・ホルモン・リンパなど循環が滞ったり、各器官同士の連携が円滑に行われずバランスが悪くなり、免疫機能も低下します。

最初は、肩こり・便秘・下痢・肌荒れ・肥満・生理不順・低血圧・高血圧など病気未満の症状から始まりますが、放置すると、細胞が死んでしまったり、変性してしまったりしていくことによりより深刻な病気(アレルギー・胃潰瘍・糖尿病・骨粗鬆症・ガン(悪性腫瘍)・メニエール病・パーキンソン病・肺炎・認知症・脳血管障害・心筋梗塞など)につながります。

特に新型コロナウィルスによるパンデミックにより、免疫機能の大切さが更に注目されるようになりましたが、体温が1℃下がるだけで免疫機能が30%低下すると言われています。

もしあなたの平熱が36℃以下であれば、今日からすぐに体温を上げて「手も心も温かい人になる」工夫を取り入れていく必要があります。

「手も心も温かい人」になる方法

「手が温かい人は心も温かい人」になるには、全身の循環機能を高め、適切な体温を維持できるように、身体や生活習慣を整えていく必要があります。

体温を維持できるエネルギーを摂取する

体温を維持するためには大量のエネルギーを消費するので、バランスのよい食事を規則正しく摂取することで、生命維持活動に必要なエネルギーを安定して補給しましょう。

また、無駄なエネルギーを消費しないために、心身に負担のかかる行動やストレスを避け、できるだけ穏やかに過ごせるように環境やスケジュールを調整しましょう。

身体を冷やさない習慣を意識する

冷たい食べ物は極力さけて、温かいものや身体を温める食材を意識して選ぶ、服装や冷暖房温度を調整して身体を冷やさない環境作り、入浴を習慣化するなど身体を温める習慣を持つようにしましょう。

「お酒を飲むと身体が温まる」とよく勘違いされていますが、実際お酒は身体を冷やします。

酔っぱらうと服を脱ぎたくなってしまう人も多いようですし、確かにお酒を飲むと身体が温かくなったように感じるし、顔も赤くなる人も多いので身体が温まっていると考えている人が多いと思いますが実は身体は冷えています。

お酒によって顔面の皮膚血管が拡張するためで、お酒を飲むと顔面同様、全身の皮膚血管が拡張するので皮膚へ血流が増加するので、皮膚が血液で温められ、皮膚にある温受容器(温かいという感覚情報を感じ取る器官)が刺激されるので温かいと感じますが、お酒を飲む事によって温まるのは、身体の内部ではなくごくごく表面の部分だということがポイントです。

冷たい外界と接している器官が皮膚で、全身を循環し体温の調節をしている器官が血管を流れる血液なので、お酒を飲むと全身の皮膚血管を拡張して皮膚の血流量が増加しますので、冷たい外界と接している皮膚の血流が増加している状態になり、熱の放散量が増加して身体の深部はどんどん冷えていくという現象が起こり、温かく感じている本人とは反対に、実は身体はどんどん冷えているという状態が起きています

酔っていると暑くて服を脱いでしまいますが、酔いざめにガタガタと震えるほど寒くなる理由もこれで説明できます。

急激な気温や外部環境変化に対応する体温調整を意識する

人間には体温を一定に保つ働きが備わっていて、外気温が上がった時や運動などで熱を大量に産生した時は、汗を出したり血管を拡張させたりして体温を放出して下げるように働きますし、逆に体温が下がれば鳥肌を立てたり、身体を震えさせたりして熱を発生させようと働きます。

でも、この体温調整機能が正常に機能しなかったり、対応できる範囲を超えてしまうと、生命を失うほどの病気(夏の「熱中症」と「冷房病」など)の引き金になることもあります。

現代では、普段意識的に汗をかくような運動をしている人は少なく、冷暖房管理された環境にいる時間が長いため、そもそも体温調節機能が低下している人が多く、また年々夏の暑さ過酷になっていくことで、「熱中症:暑さや激しい運動などで、体温の調整が困難な状態まで身体に熱を溜め込んでしまった状態」で救急搬送される人が急増しています。

人間の体温を超える暑さの場所に長時間いることで、体温の調節機能を超える熱が体内にこもり、高熱を出した状態と同じ状態が身体に発生してしまうことで熱中症となってしまいますので、対策としては、汗で失われてしまう水分や塩分摂取に加えて、熱を下げるために冷やすこと、クーラーなどの冷房を適切に使うことが推奨されますが、過剰な冷房により、冷えや体温調節機能の更なる低下など、夏の冷え問題に悩む人も増えてきています。

夏の冷えも体温調節機能の限界が原因で、夏の冷房に対して体内で生産できる熱量が追いつけず、慢性的な冷えが起こってしまっているのです。

この体温調節機能の問題の解消には意識して汗をかく習慣をつけて体温調節機能を低下させないようにすることや外気や基本の変化を意識して外部環境を調整することも必要です。

具体的には運動や入浴で汗をかく習慣を続けることになりますが、運動や入浴をすることで熱中症や脱水症状になることのないよう、水分補給や環境に十分注意して行うようにしてください。

冷房のストレスが大きい場合は衣類などで調節し、過度に冷えないようにして、時々ストレッチや軽い運動をして身体の熱生産を促すことも大切です。

筋肉を鍛えて良い姿勢を維持する

人間最大の産熱機能は骨格筋なので、筋肉を刺激する運動(具体的には基礎代謝を上げてよい姿勢の要となるコア(体幹)を中心としたトレーニング)を積極的に行いましょう。

ストレッチなどで筋肉の柔軟性を保つ、よい姿勢を維持する、意識的に歩く(運動する)時間を作る、呼吸に意識を向けるなどが有効です。

また、有酸素運動などで汗をかく習慣を作ることも有効です。

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