【ヨガポーズ】は、ポーズを深めれば深めるほど、回数をやればやるほど効果が高まると「勘違い」していませんか?
【ヨガポーズ】ではリスクとベネフィットは常に表裏一体です。
ヨガは本質を理解して正しく行うと、美容面でも健康面でもたくさんいいことがありますが、本質からズレてしまうと効果がないだけでなく、マイナスの結果になってしまうこともあります。
あなたは何のためにヨガをやっていますか?
目次
【ヨガポーズ】の実際
ヨガが私たちの生活に広く浸透してきている中、ダイエット・健康・美容のために始めたヨガで関節を痛めたり、逆にスタイルを崩したりしてしまう人が増えているそうです。
ヨガが世の中に急速に広まっていく過程で、ヨガの表面的な部分だけを取り入れり、独自の理論でエクササイズのようにヨガポーズをしたり、ヨガポーズを独自にアレンジしたオリジナルポーズが考案されたり、【ヨガ風のエクササイズやトレーニング】がたくさん生まれ続けています。
この流れ自体は悪いことではないのですが、目的と手段の方向性が一致しない活動では、どれだけ一生懸命頑張っても健康や美容効果など期待したものが手に入らないだけでなく、逆効果になる可能性が出てきてきまいます。
あるヨガインストラクターが、ヨガの【流行り】を風刺するとても興味深いことを言っていました。
- 3日ヨガを続けると体調不良が解消し
- 3週間ヨガを続けると体調が改善し
- 3ヶ月ヨガを続けると体型・体質が改善し
- 3年ヨガを続けると関節を痛める
ヨガに限らず、普段運動を意識的に行っていなかった人が何か身体に意識をむけた運動をすれば、運動不足が解消するので、リフレッシュ効果も相まって最初は体調がよくなったように感じます。
運動不足だったり、同じ姿勢をずっととり続けることが多い現代人は、全身の筋緊張のバランスを整えて血流を改善するだけでかなり健康・美容効果を実感できるので、目的を意識して行えばヨガだろうと、ストレッチだろうと、ウォーキングだろうとよい効果を期待できます。
注目して欲しいのは、【3年ヨガ続けると関節を痛める】というオチで、これはヨガの目的を「ポーズの完成度を高めること」だと勘違いしている場合に起こっています。
ヨガの目的を無視してポーズをとることが目的になってしまうと、自分で自分に関節技をかけているようなものなので、身体や関節に無駄な負担をかけるだけになってしまいます。
もちろん、そのポーズを正しい方法でとることによって、特定の筋肉に刺激が入り、骨格も整うのですが、既に骨格が歪んでいたり、筋肉のバランスが悪いとすぐに正しくポーズが取れることはありません。
そこで、そのポーズを無理やり模倣しようとする人がほとんどなのですが、その場合は刺激が入る場所が変わってしまうので、逆効果(関節を痛める・体型を崩す・体調を崩すなど)になってしまってしまうのです。
【ヨガ】の本質
流れるように淀みなく進むヨガのシークエンスは、ダンスや演技(振り付け)のように見惚れてしまうこともありますが、ヨガシークエンスと振り付けでは、目指す目的が全く異なります。
ダンスや演技の振り付けは、芸術的な表現力や見た目の美しさ(完成度)を目的としています。
もちろん、ヨガポーズも教科書のような完璧なポーズができればそれにこしたことはありませんが、ヨガポーズの目的は、ポーズを通して心、身体、感情に何らかのプラスの効果を得ることです。
そのため、ヨガポーズの練習やシークエンスを組む時には、どんな目的を達成したいのか、効果を最大化し、かつリスクを最小化する配慮が必要です。
ヨガの本質は、【呼吸と動作の連携】と【集中】です。
具体的には以下の3つの目的を同時に達成する手段であり、ポーズの完成度や美しさは結果として後からついてくるものです。
- メンタルヘルス(心の健康)
- フィジカルヘルス(身体の健康)
- 集中力
正しくヨガが行えているかを見極めるポイントは終わった後の感覚です。
ポーズを通して疲れを感じるどころかむしろ元気になるような感覚が生まれてくるのがヨガであり、途中や終わった後に疲労感・痛み・違和感を覚える場合は、身体に無理を強いているだけの可能性があります。
集中する時間は普段私たちが意識せずにため込んでいるストレスから開放してくれる役割もあるので、心と身体をつなぐ呼吸に集中すれば、メンタルヘルスとフィジカルヘルスを同時に実現できます。
【ヨガポーズ】で高い美容効果や健康効果が得られる理由
もともと心身の健康を育むものとして生まれ、場所も時間も年齢も体型も体質も問わず、もちろんお金もかけずに行えるヨガは、人々の健康法として長い歴史があります。
ヨガを通して得られる高い美容効果に注目した海外のセレブたちの影響や、健康ブームの波に乗るようにヨガ本来の目的とは少し異なるアングルでヨガを手段の一部として活用した美容・健康法が爆発的に普及するようになりました。
では、ヨガで、なぜこんなにも多くの人が注目するほどの美容効果が期待できるのでしょうか?
これは、解剖学的・生理学的にも明確です。
美しさの土台は心と身体の健康であり、呼吸と動作の連携は全身の循環と基礎代謝機能を高める最重要要素だからです。
- 呼吸と姿勢(ポーズ)を連動させているため、インナーマッスルを効率よく鍛えられるため基礎代謝が高まる
- 自分の身体の部位への意識を向けるため神経機能発達効果が高まり、姿勢や仕草に対する意識が変わり、所作が美しくなったり、 自分で気が付いていない悪い癖が解消したりする
- 精神安定効果があるため、内面の美しさに影響する
ヨガのポーズであるアーサナは、自分の身体の隅々にまで意識を向け、姿勢を整え、呼吸を整えることで、心身のバランスをとるという目的のために考案されたものです。
ヨガはアーサナという手段を通じて心身のバランスを整えていくことに意味があるので、身体の構造、なぜそのポーズをとるのか、どこに意識を向ければいいのか、などきちんとポーズの目的と身体の構造を理解した上で取り組んでこそ、適切な健康・美容効果が期待できます。
ヨガだから、ポーズを取るから痩せるのではなく、ヨガのポーズを通して、正しい方法で姿勢を正し、呼吸を正し、全身の機能を高めるから、筋トレ効果、ストレッチ効果、マッサージ効果、整体(左右差補正・姿勢矯正)効果、瞑想(マインドフルネス)効果、集中力アップ効果、全身の血流改善効果、様々な美容効果、痩せる(ダイエット)効果などの目的が達成できるのです。
【ヨガポーズ】の効果とリスク
【ヨガポーズ】では、普段の生活では意識しにくい動きや姿勢を使って筋肉や関節など身体のパーツに効果的な刺激を加えることができるため、ヨガ本来の目的である「心と身体を繋ぐ」ことに加えて、身体的にも様々なメリット(美容健康効果)が期待できますが、正しい知識に基づいて行わないと簡単に身体を痛めることもできてしまいます。
【ヨガ】本来の目的を達成するためにも、また美容健康や筋力や柔軟性向上目的のエクササイズとして【ヨガポーズ】を取り入れる場合でも、【ヨガポーズ】の解剖学を理解していることで、安全にその効果を高めることができます。
【ヨガポーズ】のよくある間違い
【ヨガポーズ】ではリスクとベネフィットは常に表裏一体です。
ポーズを深めれば深めるほど効果が高まると勘違いしがちですが、必要以上にポーズを深めてもメリットが高まることはほとんどなく、むしろ身体を痛めるリスクを高めます。
【ヨガポーズ】によって、効果よりもリスクが上回ってしまうよくある間違いには以下のようなものがあります。
- ポーズに入るときに過剰に緊張する
- 局所や弱い(安定性の低い)部分に負担が集中する
- 身体の他の部分で代償する
- 可動域以上に動かそうとして関節の安定性が損なわれる
- 自分の身体の構造や癖をわかっていない
例えば、ヨガポーズを正しく実践(軽減)できていないことが原因で生じる問題として肩・肘・腕の関節を痛めてしまうことがあります。
ヨガポーズでは腕で身体を支えたり、バランスをとったりする要素を含むポーズがたくさんあり、長時間その姿勢を保持することもあれば、太陽礼拝などでは動きの中にそれらの要素が組み込まれています。
そもそも腕の関節(肩関節・肘関節・手関節・指関節)は身体を支えるためにある関節ではありませんので、細かい動きに多様に対応できるように可動性を重視した構造になっている分、下半身の関節に比べて安定性は低くなっています。
水泳、野球、テニスなど腕の負荷が大きいスポーツで生じる怪我と同じように、本来の関節構造で耐えうる以上の負荷をかけ続ければ当然関節構造(筋肉・腱・靭帯)を損傷することにつながります。
ヨガポーズの場合は、正しく身体を使い、適切なシークエンスを組んで、休憩を入れ、必要に応じて適切な軽減方を使うことでこれらの損傷は予防できます。
大切なのは闇雲に頑張るのではなく、賢くやること。
身体を痛めず、安全かつ効果的に行うには正しい知識と自分の身体のイメージを持つことが不可欠です。
せっかくヨガでよい刺激を入れようとしていても、どうしても普段のクセや習慣となっている動きに邪魔されてしまうことがありますが、ヨガポーズには習慣的な動きのパターンや身体の問題点を浮き彫りにする効果もあり、これらを意識することで、潜在的な問題を予防できます。
自分の身体を知り、このヨガポーズで何を達成したいのか目的を明確にすれば、無駄な頑張りで疲れることも身体を痛めてしまうこともありません。
姿勢やポーズの軸となる背骨の動きでヨガのポーズを分類しています。
ヨガポーズ分類 | 背骨の動き |
---|---|
軸を伸ばすヨガポーズ | ニュートラル〜椎間を広げる |
前屈ヨガポーズ | 前屈 |
後屈ヨガポーズ | 後屈 |
側屈ヨガポーズ | 側屈 |
ツイストヨガポーズ | 回旋 |
背骨の柔軟性と可動性を維持することは、様々な活動を行う姿勢の土台になります。
前屈は日常でも頻回に行う動作のひとつですが、【ヨガポーズ】を介して背骨や身体の構造を意識するだけでも劇的に姿勢や体調不良が整います。
また、軸を伸ばす、後屈、側屈、ツイストは日常ではほとんど行わない動なので、【ヨガポーズ】を介して取り入れることで、背骨のしなやかな動きを維持して良い姿勢を保つことに役立ちます。
それぞれのポーズごとの特徴や期待できる効果とリスクを回簿学的に理解して、正しく安全に【ヨガポーズ】を楽しみましょう。
【ヨガポーズ】と背骨とコア
まず、基礎知識としてそれぞれのヨガポーズにおける背骨の解剖学的変化を理解して置く必要があります。
例えば、ヨガでは前屈の姿勢から「背骨をひとつづつ積み上げていくようにロールアップ する」という説明が使われますが、実は腰に大きな負担をかけています。
背骨の解剖学構造と背骨の運動(可動域)について理解していれば、正しいヨガポーズを安全に作って維持(ホールド)できるだけでなく、ポーズからポーズへの移行も安全かつ効果的に行えます。
軸を伸ばす【ヨガポーズ】
ヨガは、呼吸・心・身体を連動させる目的のためにアーサナを手段として活用し、結果身体が疲れずに元気になり、穏やかで満たされた心を養うことができますが、ヨガの効果を最大限生かすためには、何よりまず姿勢(軸)と呼吸にまずしっかり意識を向けることから始めましょう。
呼吸と身体の中心(軸)から起こる動作が連動することが感じられるようになれば、特に難しいポーズができなくても健康・美容効果は実感できますし、軸と呼吸が安定すれば、不思議なほど簡単に様々なポーズがとれるようになります。
前屈【ヨガポーズ】
【前屈ヨガポーズ】とは、股関節から身体を折り曲げるように身体の上前面と下前面を近づけていくポースで、背面筋肉群の筋膜のつながり(SBL)に沿った深いストレッチ効果に加え、ソフトな逆転ポーズ効果などが期待できます。
【前屈ヨガポーズ】の解剖学および運動学に基づく正しい姿勢の作り方、注意点、様々な応用ポーズの種類や効果、軽減方法などについてイラスト図解を用いてわかりやすく解説しています。
後屈【ヨガポーズ】
【後屈ヨガポーズ】とは、猫背姿勢になりがちな姿勢の問題を解消してくれるストレッチと筋トレ要素が含まれ、正しく実践すれば優れた美容健康効果を期待できますが、腰や首を痛めるリスクも非常に高いヨガポーズです。
【後屈ヨガポーズ】の解剖学および運動学に基づく正しい姿勢の作り方、注意点、様々な応用ポーズの種類や効果、軽減方法などについてイラスト図解を用いてわかりやすく解説しています。
側屈【ヨガポーズ】
背骨の【側屈】は普段の生活ではほとんど意識しませんが、【側屈ヨガポーズ】を正しく行うことで、背骨や椎間組織の機能と呼吸機能を高める優れた効果があります。
【側屈ヨガポーズ】の解剖学および運動学に基づく正しい姿勢の作り方、注意点、様々な応用ポーズの種類や効果、軽減方法などについてイラスト図解を用いてわかりやすく解説しています。
ツイスト【ヨガポーズ】
「背骨にエネルギーを与える」効果があると表現される【ツイスト(ひねり)ヨガポーズ】は、背骨を回旋させることにより椎間組織の弾性を高め、背骨と肩甲帯、背骨と骨盤帯の連携を調整する効果に優れています。
【後屈ヨガポーズ】の解剖学および運動学に基づく正しい姿勢の作り方、注意点、様々な応用ポーズの種類や効果、軽減方法などについてイラスト図解を用いてわかりやすく解説しています。