肩こりの原因筋としても有名な【肩甲挙筋】の解剖学構造を理解した正しいほぐし方(肩甲挙筋ストレッチや肩甲挙筋マッサージ)を日頃から意識して実践することで、姿勢を整えつつ肩こりを予防解消しましょう。
【肩甲挙筋】とは?どこにあるどんな筋肉?
【肩甲挙筋】は、上部頸椎から肩甲骨上角に向かって走行する細長い筋肉で、名前の通り「肩甲骨を挙上する作用」があります。
- 名称:肩甲挙筋
- ふりがな:けんこうきょきん
- 英語名:Levator Scapulae
【肩甲挙筋】上部は「頭板状筋」と「胸鎖乳突筋」に覆われ、【肩甲挙筋】下部は「僧帽筋」に覆われていて、解剖学的には表在背筋に分類されて背骨の安定や頚部運動にも作用しますが、主な作用は肩甲帯の運動や安定です。
【肩甲挙筋】は、「僧帽筋」「広背筋」「菱形筋」「前鋸筋」「後鋸筋」「大胸筋」「小胸筋」などと共同して肩甲骨および肩関節運動や安定に作用するため、機能的には「上肢(肩甲帯)の筋肉」と言えます。
【肩甲挙筋】起始停止
【肩甲挙筋】は、「上位4頸椎(C1-C4)横突起」から起始して細長い筋腹を下行させ、「肩甲骨の内側縁上部」に停止します。
- 起始:(C1-C4)横突起
- 停止:肩甲骨の内側縁上部(上角から肩甲棘端)
【肩甲挙筋】上部は「頭板状筋」と「胸鎖乳突筋」に覆われ、下部は「僧帽筋」に覆われていています。
【肩甲挙筋】作用
【肩甲挙筋】は、名前の通り、肩甲骨から肩が引き上がる「肩甲骨挙上運動(いわゆる肩をすくめるような動作)」で作用していることがわかりやすい筋肉ですが、体幹に腕を接続させて機能させる姿勢筋としても重要です。
例えば、重い物を運ぶときなどに重力に対抗して肩甲帯(腕)が下がらないように体幹に引き寄せるなど「肩甲骨を胸郭に安定させる」時にも強く作用しますし、上肢(肩関節)運動時には「関節窩の下方回旋」にも関与します。
また、肩甲骨が固定された状態では、頸椎運動:「頸部同側屈曲(片側収縮)」や「頸部伸展(両側収縮)」に作用します。
作用する関節 | 運動 |
---|---|
肩甲胸郭関節 | 肩甲骨を上内側に引く(肩甲骨挙上) |
肩甲胸郭関節 | 関節窩下方回旋 |
頸椎椎間関節(肩甲骨固定時) | 片側収縮:側屈(同側) |
頸椎椎間関節(肩甲骨固定時) | 両側収縮:伸展 |
【肩甲挙筋】は、「僧帽筋」「広背筋」「菱形筋」「大胸筋」「小胸筋」「前鋸筋」「後鋸筋」などと同時に機能することで作用が促進されますので、胸郭および肩甲帯に作用する筋肉は総合的に整理しておきましょう。
【肩甲挙筋】神経支配
【肩甲挙筋】は、「脊髄神経(C3-C4)の前枝」と「腕神経叢の枝である肩甲背神経(C5の枝)」に支配されています。
【肩甲挙筋】触診
【肩甲挙筋】は解剖学では「背部表在筋」に分類されていて、上部は「頭板状筋」と「胸鎖乳突筋」、下部か「僧帽筋」に覆われています。
「鎖骨」と共に「後頸三角底部」構成に関与する【肩甲挙筋】中部のみ上層の筋肉がないので、【肩甲挙筋】は中部が一番触診しやすい場所です。
【肩甲挙筋】ストレッチとマッサージ(ほぐし方)
【肩甲挙筋】が凝っていると感じる時は、片方ずつ耳を肩に近づけるように頸部を側屈させるストレッチをし、【肩甲挙筋】片方ずつじっくりほぐしていきます。
この時「肩甲骨」が上がらないように、ストレッチしている側の腕は下にひっぱりながら「肩甲骨」を引き下げ、反対の手で筋腹を押圧すると、効果的に【肩甲挙筋】をほぐして柔軟性を高められます。
【肩甲挙筋】より表層にある「僧帽筋」「頭板状筋」「胸鎖乳突筋」が凝っている場合は、背中全体をマッサージや筋膜リリースでほぐしておきましょう。
首肩まわりを大きな筋肉をほぐしてリラックスしてから、頭頸部の回旋運動や肩甲骨を動かすストレッチなどを行い、肩甲骨周り全体の筋緊張のバランスを整えることで、姿勢改善や肩こり解消に効果的です。